著者
井関 文 畠 榮 加藤 克幸 小林 晴美 原 稔晶 下山 芳江 中村 栄男 松下 正
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.289-296, 2017-05-25 (Released:2017-05-31)
参考文献数
14

浸潤性小葉癌組織球様細胞亜型(histiocytoid breast carcinoma; HBC)は,多形型浸潤性小葉癌に含まれるまれな組織型で,アポクリン分化が指摘される。今回われわれは,細胞診で組織球様腫瘍細胞が多量に出現したHBCの1例を経験した。症例は80歳代,女性で,左乳房腫瘤の穿刺吸引細胞診で,広い泡沫状細胞質を有する組織球様細胞や,好酸性顆粒に富むアポクリン様細胞を,散在性または疎な結合の重積性集塊で認めた。病理組織学的には,Alcian blue染色がびまん性陽性を呈した。ジアスターゼ抵抗性PAS反応は好酸性顆粒に富む細胞では強陽性,好酸性の弱い泡沫状細胞では陰性もしくは弱陽性を示した。GCDFP-15は陽性で,好酸性の弱い細胞により強染した。Adipophilin陰性,CD68陽性,ER,PgR,HER2陰性,androgen receptor陽性,Ki-67陽性率2%,p53はweakly 5–10%であった。E-cadherinは陰性,p120は細胞質内にびまん性陽性を示し,浸潤性小葉癌の組織球様細胞亜型(HBC)と診断した。HBCは,出現様式や粘液の染色態度が多形型浸潤性小葉癌と同様であったが,核異型,HER2,p53発現,Ki-67陽性率が異なり,それらは両者の鑑別点となると考えられた。またadipophilinが陰性を示し,アポクリン所見は不完全であった。
著者
加藤 行夫
出版者
筑波大学
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.1-20, 1999-03-30

やはり問題の発端は、作品を読んでいて、その箇所に来たときに必ず抱き、いかなる解説書によっても払拭できない「心残り」といった感覚だ。『マクベス』のなかでそれを感じるのは、劇の終幕近く、マクダフとの決闘の際に明かされる予言 ...
著者
川西 翔樹 加藤 健郎 松岡 由幸
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.38-38, 2011

デザイン対象の機能は,デザイン対象とその周辺環境である場の関係に依存するといわれている.デザインという創造的行為における法則性の解明と,デザイン行為に関する知識の体系化を目指すデザイン科学を構築するためには,デザインにおける場について,デザイン場としての学術的な概念を確立する必要がある.場の概念は,デザインだけではなく様々な学術領域で用いられている.デザイン場構築の際に,これらの場の概念が参考になると考えられる.本研究では,デザイン場の構築を目指し,デザイン行為を包括的に論じることができる多空間デザインモデルを用いて,他の学問領域(物理学,生物学,ゲシュタルト心理学,社会心理学,生命関係学,組織論)における場の概念について,学問領域間の比較を行った.その結果,4つの場の類型を得た.
著者
加藤 智絵里
出版者
Japan Society for Head and Neck Cancer
雑誌
頭頸部癌 (ISSN:13495747)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.337-340, 2005
被引用文献数
2

神戸大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科にて2002年4月より言語聴覚士が定期的に口腔・中咽頭癌患者の術後摂食・嚥下障害のリハビリテーションに関わっている。術前よりオリエンテーションを実施しており,その内容と利点について述べる。また嚥下リハビリテーションの開始時には耳鼻咽喉科医師と共に嚥下機能評価を行うことや,実際によく実施している間接嚥下訓練と直接嚥下訓練について舌癌(部切,舌半切,舌亜全摘)と中咽頭癌に分けて具体的に紹介する。
著者
加藤 裕子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.375-380, 2005

専門分野の特性を活かした図書館業務とは何かを考えるきっかけとして, 大学における法律専門の研究図書館において, 最近の学術情報の多様化, 高速化, 電算化等図書館業務の変化にどう対応してきたかを紹介する。また, 法科大学院の開設に際し, 蔵書・データベースの選定や教育IT環境, 教育支援ソフトの立ち上げに, 実際に専門分野の知識を有し, 資料やIT関連の知識があり, 教育研究のサポートができるスタッフが必要とされた事例として, その経緯や法科大学院における教育・研究支援活動についても紹介する。
著者
橋本 鉱市 小原 明恵 加藤 靖子 HASHIMOTO Koichi KOBARU Akie KATO Yasuko
出版者
名古屋大学高等研究教育センター
雑誌
名古屋高等教育研究 (ISSN:13482459)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.81-99, 2017-03 (Released:2017-03-29)

本研究は、女子大学の自己認識の布置構造と変容を、学長(の言説)から計量的に分析することを目的とした。まず各大学のウェブサイトに掲載された学長メッセージを収集してその内容分析を行い、いずれの大学にも共通する、もしくは差異のある要素を抽出し、さらに女子大学から共学化した大学群との比較においてその変容を分析した。分析の結果、学長メッセージでは「育成する人物像」に関する言及量の割合が最も高かった。さらにその内容を精査すると「感性・品性・人間力」を挙げる大学が最も多く、次いで「自立・主体性・向上心」「社会貢献」「専門性」「倫理観・奉仕の精神」「教養・知性」など女子大学共通の項目が析出された。とくに共学大学との比較において、「感性・品性・人間力」「自立・主体性・向上心」の両者が、最も女子大学としての自己認識の中核であることがわかった。さらに大学の属性別の分析によって、各大学の育成人物像は内面的に豊かな人間像と社会的に活躍するそれとに大きく二分されており、それらは偏差値構造および伝統校か否かの影響を強く受けていることがわかった。This article presents content analysis of presidents’ messages of women’s colleges from the viewpoint of self-recognition. It examines how presidents recognize their own colleges under difficult conditions in order to survive. Concretely, the following research measures were taken: collecting presidents’ messages on each college’s website, analyzing all the texts using quantitative text analysis, and extracting common core features and differentiation strategies. The findings were as follows: 1) In presidents’ messages, the content with the largest amount of words was “the model of student development,” followed in order by “the college’s history and mission” and “the educational policy.” 2) Women’s colleges tend to list “an emotionally intelligent person,” “a self-reliant person,” “a person with high levels of expertise,” “a person who can contribute to society,” and “a person who is cultured and educated” as models of student development. This indicates that these personalities embody the central ideals of women’s colleges. 3) Colleges that were previously women’s colleges are less likely than women’s colleges to refer to “an emotionally intelligent person,” “a self-reliant person,” and “a person who has good leadership skills” as models of student development. This shows that only women’s colleges prefer and retain such models.

1 0 0 0 OA さへづり草

著者
加藤雀庵
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻179,180,
著者
松田 秀人 橋本 和佳 関 哲哉 吉田 真琴 増田 拓也 加藤 大輔 伊藤 裕 栗崎 吉博 斉藤 滋 高田 和夫 長嶋 正實 滝口 俊男
出版者
Japanese Society for Mastication Science and Health Promotion
雑誌
日本咀嚼学会雑誌 (ISSN:09178090)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.141-145, 2002

チューインガムの機能には, 咀嚼能力の向上, 脳血流の亢進, 中枢神経系への作用, 唾液の分泌亢進など咀嚼による直接作用が認められている. 食欲の調節機構としては, 満腹中枢および摂食中枢が食行動調節を司っている. 咀嚼が中枢に及ぼす影響についての研究は少なく, 臨床研究は特に少ない. 摂食抑制物質のうちヒスタミンの分泌は, 咀嚼すなわち噛む刺激によることが, 遺伝性肥満動物Zuckerラット実験により判明した. このような背景から, 食事前にチューインガムを噛むことにより, 咀嚼がインスリン分泌に及ぼす影響について検討した.<BR>19歳から25歳までの健康な女子19名を対象に, ガムベースの15分間咀嚼の後, 75gブドウ糖負荷試験を行い, ガム咀嚼の前, 咀嚼後3分, 6分, 9分, 15分と, それに引き続いて75gブドウ糖負荷後の15分, 30分, 60分, 120分後の計9回, 肘静脈より採血して, 血糖, インスリンを測定した. さらに, ガムを咀嚼しない場合で同様の測定を行った.<BR>その結果, コントロールに比べてガムベースを咀嚼した時のほうが, 75gブドウ糖負荷後の30分値において, インスリン分泌量が多かった. このことから, 咀嚼による中枢への関与が示唆された.
著者
古宮 誠一 加藤潤三 永田 守男 大西 淳 佐伯 元司 山本 修一郎 蓬莱尚幸
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.1998, no.100(1998-SE-121), pp.99-106, 1998-11-05

ソフトウェアに対する顧容の要求を抽出する技術をインタビュー技術であると捉え、インタビューによる要求抽出作業を誘導するシステムをWWW上に開発中である。この論文では、インタビューによる要求抽出作業を誘導するシステムの実現方式を明らかにしている。
著者
北川 洋介 加藤丈和 呉海元 和田 俊和
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.88, pp.17-24, 2005-09-05
被引用文献数
3

我々は,一枚の入力画像から黒目の輪郭を抽出し,楕円をフィッティングして,その形状に基づいて視線方向を推定する手法を提案している.しかし,まぶたと黒目の境界線と,黒目の輪郭との区別は一般的こ困難である.この問題を解決するために,本論文では,まぶたと黒目の輪郭をもつアイモデルを構築し,それを用いて安定かつ正確に黒目の輪郭を追跡する方法について検討する.瞬きのある場合にも追跡できるようにするためにcondensationを採用し,黒目のエッジの向きと黒目の輝度を考慮した尤度を擾案する.We have proposed an algorithm for stimating the visud direction using iris contours. The iris contours are detacted from an input image and fitted with ellipses. However, it is difficult to detect the iris contours without the boundaries between an eyelid and the iris. In order to solve this problem, we propose an simple eye-model that onsists of the iris contours and the eyelids. This paper describes how to track the iris contours correctly and robustly by using the eye-model. We use Condensation algorithm for tracking stably the iris contours against blinking and propose a likelihood function Insed on directions of iris contours and a brightnas of iris region.
著者
野田 奈津実 小川 宣子 久慈 るみ子 山崎 泰央 坂田 隆 大竹 美登利 佐々井 啓 中島 明子 宮野 道雄 浜島 京子 加藤 浩文 萬羽 郁子 吉井 美奈子 生田 英輔 奥山 みどり
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的</b> JSHE生活研究では、石巻市にて「郷土料理の伝承」「特産物を生かした料理の提案」を目的とした料理教室と料理コンテストを行ってきた。これらの活動による参加者の意識・意欲の変化を明らかにする。<b></b><br><b>方法 </b>郷土料理教室は3回(2012年3月~2013年12月)、わかめ料理コンテストは1回(2014年10月)実施し、それぞれ参加者へアンケート、聞き取りを行った。<br><b>結果 </b>郷土料理教室の1、2回目は仮設住宅入居者を対象として行ったが、以前から郷土料理を作り、食べている参加者が多かったため、3回目は仮設住宅入居者を講師とし、大学生を対象に行った。終了後、大学生からは「石巻の食文化を知ることができた」「家族や友人に教えたい」、仮設住宅入居者からは「若い人たちと話せて楽しかった」「やりがいを感じた」という感想が多く、「郷土料理の伝承」の新たな形としての可能性が感じられた。わかめ料理コンテストは地域住民34組から応募があり、最終審査は10組で行われた。参加者からは「わかめだけでなく、他の石巻の食材も調べた」「参加者同士で意見交換できた」との声も聞かれ、両活動とも郷土料理や特産物に対する関心や愛着、誰かに伝えたいという意欲を生み、さらに地域関係者も含めたコミュニケーションの場となった。<br>本研究は科学研究費補助金(課題番号:24300243、25350040)、平成25年度(公財)浦上食品・食文化振興財団の助成を受けた。
著者
福山 千代美 加藤 栄子 普天間 歩 大久保 恵里 後藤 祐子 平岡 真砂代 今井 洋子
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.145-152, 1998-07-10 (Released:2009-10-29)
参考文献数
12

我々は,調節緊張を起こした症例の,診断,背景ならびに治療法について検討したので報告する。対象は,調節緊張と診断され,症状の改善に長期間を要した9症例である。観察期間は,2~29(平均12.0)ヵ月であった。年齢は,9歳から11歳の小学校高学年の6名と,22歳から27歳の20歳代の成人3名の2つの分布を呈し,性別では女性に多かった。主訴は,学童群では視力障害が多かったが,成人群では羞明が多かった。初診時の裸眼視力は0.3以下が多く,矯正不良の症例が過半数を占め,全ての症例でマイナスレンズで矯正された。調節麻痺下では+1D程度の遠視が検出され,多くは+1D以上の戻りが認められた。このため調節緊張の症例では,潜伏遠視を背景とすることが多く,調節麻痺下の視力検査が有用であると考えられた。治療の原則は遠視の眼鏡常用と調節緩和で,予後は良好であるが,きめ細かな対処が必要である。
著者
加藤 晴治
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.14-17, 1965

伊勢市倉田山には, 神宮皇学館と並んで, 神宮文庫がある。そこに皇学館の図書館も併置されて, 多くの書籍, 古文書などが保蔵されている。とくにここでは神宮文庫に保蔵されている古文書のうちからいくらかを選び出してそれに用いられている用紙が如何なるものであるかを検討しようとするものである。そのために選定した古文書は次の26種である。これを分類すると次の5種になる。 (カッコ内の数字は第1表の番号である。)