著者
加藤 宏之
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.7-12, 2007 (Released:2007-04-10)
参考文献数
20

脳卒中後に見られる片麻痺の回復の脳内機序の詳細は不明である。最近開発されたfunctional MRI(fMRI)や光トポグラフィー(NIRS)を用いると脳卒中患者の麻痺手運動時の脳活動を非侵襲的に画像化することができる。また,拡散テンソル・トラクトグラフィーにより錐体路を描出することもできる。これらの評価法により,片麻痺の回復には,既存の運動ネットワークの損傷の程度に応じて,可逆的障害からの回復や大脳皮質運動ネットワークの再構築を駆使して,運動機能を回復させることを示唆するデータが得られている。さらに,この機能回復には発症後1ないし2ヶ月の臨界期が存在することも示唆されている。
著者
伊藤 和之 加藤 麦 中村 仁洋 池田 和久 幕内 充 水落 智美 岩渕 俊樹
出版者
国立障害者リハビリテーションセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

重度の中途視覚障害者の手書き行動が学習に影響を与えるかを検証するため,新規外国語単語学習課題を手書き有り無しの2条件で行う行動実験及びMRI撮像を行った.その結果,聴くだけの学習は短期記憶で,手書きとの併用は長期記憶で有効との示唆を得た.また,視覚障害者群で,両側の運動野を含む前頭頭頂葉から後頭葉に亘る広い領域で,晴眼者に比して強い神経活動が見られた.特に,左前楔状回を中心とする視覚領域では,手書き条件で,非手書き条件より強い神経活動が観察された.重度の中途視覚障害者の手書き行動は,長期記憶に有効であり,視覚心像に関わる視覚連合野を中心とする神経活動を介して学習促進が起こることが示された.
著者
宮本 恭兵 加藤 正哉
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.69-73, 2017-02-28 (Released:2017-02-28)
参考文献数
10

硫化水素はさまざまな産業の副産物として生じ,しばしば中毒症例が報告されている。今回われわれは農薬タンク内で硫化水素が発生し中毒を発症した症例を経験したので報告する。症例は37歳男性。農薬タンク内の洗浄のため中に入ったところ意識消失し,救急要請となった。現場周辺は硫黄臭があり,ガス検知器で硫化水素が200ppmであった。タンク下部を切断して内部の換気を行ったのち,救助した。石灰硫黄合剤と第一リン酸カルシウムの混合により硫化水素が発生したことが判明した。当院到着時はGlasgow Coma ScaleでE2V2M5と意識障害があり,気管挿管による純酸素投与,亜硝酸ナトリウム投与を行った。亜硝酸ナトリウムは間欠投与より持続投与でメトヘモグロビンの良好な調整が得られた。どちらの投与法でも明らかな副作用は生じなかった。入院3日目に意識状態が改善し,入院6日目に神経学的症状を残さず自宅に退院となった。
著者
加藤 潔 カトウ キヨシ Kiyoshi Katoh
巻号頁・発行日
vol.12, pp.101-116, 1999-03-31
著者
加藤 康司
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.1602-1606, 1990-09-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
4
被引用文献数
3 6
著者
足立 幸志 加藤 康司
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.60, no.10, pp.1410-1415, 1994 (Released:2009-06-30)
参考文献数
43
被引用文献数
1
著者
林 洋史 宮内 靖史 林 明聰 高橋 健太 植竹 俊介 坪井 一平 中辻 綾乃 村田 広茂 山本 哲平 堀江 格 小原 俊彦 加藤 貴雄 水野 杏一
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.S3_34-S3_41, 2011

症例は52歳, 男性. 繰り返す動悸を自覚し, 携帯心電計で周期240msのnarrow QRS頻拍と心房細動を認めたため, アブレーションを行った. 両側肺静脈を隔離後, 冠静脈洞近位部からのburst pacingでWenckebach型房室ブロックを伴う周期240msの心房頻拍(AT)が誘発され, このATはATP 5mg静注で停止した. AT中のelectroanatomicalマッピングでは, 右房はHis束領域が最早期であったが, 局所の単極電位にR波を認めた. 左房は前壁中隔が最早期であったが同部位での焼灼は無効であった. そこで大動脈弁無冠尖(NCC)にカテーテルを留置したところ, His束領域よりも20msec先行し, 単極電位ではQSパターンとなる最早期興奮部位を認めた. ここでの通電中にATから周期350msの非通常型房室結節リエントリー頻拍(AVNRT)へと移行. その後, 通常型AVNRTも誘発され遅伝導路領域を焼灼し, これらの頻拍はすべて誘発不能となった. NCC起源ATを認め, その焼灼中にAVNRTへの移行が見られた症例を報告する.
著者
加藤 享 古川 善夫 村田 芳久
出版者
JAPAN SOCIETY OF GYMNASTICS for All
雑誌
体操研究 (ISSN:18835872)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-37, 2014

24名の大学生(18±0.5歳)を対象に4種類の体ほぐしの運動を実践した。実践後に、それぞれの大学生に気づいたこと、調整したこと、交流したことについてコメントカードに記述することを求めた。「 2人でリズムに乗って 」仲間やリズムに動きを合わせることや体が温まったことについて16名が気づき、仲間や音楽に動きを合わせることについて13名が調整した。また、仲間と動きを合わせることと互いに教え合うことを交流として12名が記述していた。なお、仲間と動きを合わせることは交流や調整と捉えられていた。 「 3~6人の運動」運動の工夫や友達との信頼関係について10名が気づき、運動の工夫と体の姿勢について15名が調整した。コミュニケーションをとることや運動を行う人数が増えると楽しいことについては12名が交流として記述していた。 運動の工夫は気づきや調整と捉えられていた。「あんたがたどこさ」歌いながら運動することの楽しさについて10名の学生が気づいた。ボールや歌に動きを合わせる調整を14名が行った。全員で歌うことや仲間の歌を聴くことを12名が交流と記述していた。歌のリズムに合わせて動くことは気づきや調整と捉えられていた。「 組み体操 」相手の動きが自分に影響することについて5名が気づき、仲間とバランスをとることを4名が調整した。コミュニケーションについて12名が交流として記述していた。
著者
加藤 憲司 鈴木 志津枝 船山 仲他 福嶌 教隆 田中 紀子 岡本 悠馬 川越 栄子 長沼 美香子 益 加代子 植本 雅治 嶋澤 恭子 山下 正 松葉 祥一 金川 克子
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

昨年度に引き続き、学部生対象の単位互換講座(10~1月 全15回)およびユニティ市民公開講座(7月 全5回)を実施した。今年度はロールプレイにスペイン語および中国語のネイティブスピーカーをそれぞれ招いて演習を行ったので、過年度よりも一層の臨場感を講義の中に盛り込むことができたと考える。ただしユニティ市民公開講座については、受講者数の減少が止まらず、市民への普及・啓発としての本講座の役割は終えたと判断することとした。医療通訳を巡る国内の情勢は極めて大きな変革期を迎えているため、常に最新の情報を踏まえて方向性を探る必要があることから、関連する第20回日本渡航医学会(倉敷市 7月)、第1回国際臨床医学会(東京 12月)などの学会や、全国医療通訳者セミナー(東京 8月)などのセミナーへ積極的に参加した。さらに、地元の兵庫県においても医療通訳の制度化に関する研究会が立ち上がり、3回の会合がもたれ、本研究チームからも複数のメンバーが参加した。調査研究については、昨年度末に1300通以上の質問紙を全国の一定規模以上の医療機関に発送したが、回収率は20%以下に留まった。データを一旦分析し、本学紀要に投稿したものの、追加のデータ分析をすべく取り下げ、現在も論文原稿を執筆中である。
著者
前田 博子 山口 泰雄 竹下 俊一 加藤 寛 石川 慎之助
出版者
日本キャリア教育学会
雑誌
キャリア教育研究 (ISSN:18813755)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.41-52, 2016-03-31

The purpose of this study is to discuss issues related to the careers of football club coaches. Specifically, it clarifies the current state of the professionalization of the coaches and future prospects for the professionalization of young volunteer coaches (YVs), and examines their factors. Furthermore, it examines appropriate support measures based on the results obtained. Research methods included data collection by questionnaires targeting football clubs and statistical method data analysis. First, descriptive statistics for the entire data and crosstabs between items were used for analysis. Descriptive statistics, crosstabs and one-way ANOVA were used for items related to YVs. Currently, 26.6% of coaches are full-time, and 25.7% are other paid workers. YVs (25 years old or younger; do not maintain a living by coaching) comprised 15.8% of the total, and represented in the 51.8% of the clubs. Of these clubs, 67% predicted YVs would remain volunteers in the future. The degree of professionalization of the coaches varied depending on scale of the club, type of legal entity, and degree of policy modeling. The study concludes that in order to solve problems related to the careers of local sports club coaches, complex measures suited to the situation surrounding the club and coach must be taken. In response, the following 3 countermeasures are proposed: to proceed with club type-specific measures to professionalize coaches, to promote development of programs linked to career acquisition for young volunteer coaches, and to advance measures to promote civil organizations and companies that support volunteer coaches.
著者
細田 智子 加藤 千晶 三戸 夏子 平山 倫子 佐藤 和人
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.473-479, 2000-06-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

乾燥ビール酵母摂取が免疫機構に与える影響について検討するため, DBA/1Jマウスに対照飼料およびビール酵母飼料 (BY) を4カ月間投与した.(1) 実験1 : 腸管免疫系における免疫組織学的観察において, 腸管のB細胞数がBY摂取により減少していた.(2) 実験II : タイプIIコラーゲン誘導関節炎 (CIA) モデルマウスに与える影響について検討した.関節の組織学的観察において, 関節炎はBY摂取により抑制された.さらに経口トレランスもBY摂取により影響される可能性が示された.以上の結果より, BYは腸管免疫系に影響を与え, CIAの抑制に有効であることが示された.