著者
小田 順一 加藤 博章 平竹 潤 田中 啄治
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

本研究では、ATPを補酵素として用いる反応として、異なる基質間にCN結合を形成する3つのリガーゼ、グルタチオン合成酵素、γグルタミルシステイン合成酵素、アスパラギン合成酵素を、また、NADPHを用いる反応として、トロピノンから互いにジアステレオマ-の関係にあるトロピンとψトロピンを生じる2つのトロピノン還元酵素を取り上げ、X線結晶解析による立体構造を基に、遺伝子工学を用いて部位特異的変異導入を行いながら、有機合成化学的なアプローチによって反応機構を明らかにするための研究を行った。得られた成果のうち主なものは以下の通りである。1.γグルタミルシステイン合成酵素の分子表面に存在するシステイン残基をセリン残基に変換することにより、同酵素を結晶化することに成功した。同酵素の遷移状態アナログの合成にも成功し、活性中心において厳密に認識されている部分構造のモチーフを明らかにすることが出来た。2.互いに立体特異性の異なる2つのトロピノン還元酵素については両者とも結晶が得られ、多重同形置換法を用いて独立にX線結晶解析を行い、立体構造を決定することが出来た。その結果、厳密な基質特異性の違いは、基質結合部位のわずかな違いによるものであることが判明した。3.アスパラギン合成酵素の活性中心を形成していると予想されるアミノ酸残基を部位特異的に変換することにより、活性に必須なアミノ酸残基を同定することに成功した。また、同酵素の遷移状態アナログの合成にも成功し、得られた遷移状態アナログと酵素との複合体のX線結晶構造解析も現在進行中である。
著者
加藤 誠 鈴木 達朗
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.903-907, 1967 (Released:2009-02-09)
参考文献数
7

The process of producing the hologram of an incoherently illuminated object and that of obtaining the reconstructed image from the hologram are described mathematically based on the Fresnel-Kirchhoff diffraction integral. Formulas are given which represent the magnification, posi-tion and separation of the reconstructed images. Distortion term does not appear in the case of incoherent holography. The condition for obtaining Fourier transform holograms is outlined. A system consisting of two spherical mirrors and a beam splitter is proposed.
著者
沼倉 彬雄 加藤 成将 佐藤 和幸 富沢 武弥 三好 扶 明石 卓也 金 天海
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.269-270, 2015-03-17

力学系学習木を用いた小型船舶の外乱推定法を提案する.小型船舶を海上の任意の地点に自律的に留めるためには,波などの外乱の影響を考慮した制御が必要となる.提案法では,実際の船舶の挙動を力学系学習木に学習させ,船舶の挙動を推定することで小型船舶への外乱を求める.小型船舶の実機データに対し提案法を適用した結果,外乱推定が可能であることが分かった.
著者
合川 正幸 藤本 正行 加藤 幾芳
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.99, no.5, pp.E123-E128, 1999-08-20

球状星団中で、他の星とは異なる組成を持つ星が観測されている。その中で、^<24>Mgが減少し、Alが増加しているが、MgとAlの和が一定の星がある。しかし、現在までのデータによる反応率や星のモデルを用いて行なわれた計算では、観測値を説明できず、何らかの補正が必要であることがわかっている。そこで、反応率、あるいは星の構造の修正によって、この問題が解決できるかどうかについて議論をおこなった。
著者
佐川 隆一 加藤 幸三 松田 裕昌 蔵田 親利 森 鋭和
出版者
The Japan Institute of Marine Engineering
雑誌
日本舶用機関学会誌 (ISSN:03883051)
巻号頁・発行日
vol.8, no.9, pp.697-708, 1973

近年, 舶用主機の大容量化に伴い, ボイラ燃焼室の発熱負荷は大幅に増大している.これにより加熱管の局所過熱や熱計算法の再検討等の問題が起きている.これらの問題点に関する情報を得るために, 自然循環ボイラ (蒸発量30T/H) を用いて実験を行なった.<BR>本報告は, これらの問題に大きな関連を持つ燃焼ガスのフローパターン, 炉内温度分布, 熱流束分布等の実験結果について示す.<BR>まず, 炉内フローパターンの観察を5孔ピトー管, 発煙筒等を用いて行なった結果, 以下のことが判明した.<BR>(1) フロパターンは燃焼時でも非燃焼時でもほとんど同様である. (2) 火炎形状は卵形であり, 燃焼室の形状には無関係である. (3) 火炎と底面の間の狭い領域に強い逆流が存在している. (4) 上部空間には炎がなく, ガスは停滞している.<BR>次に, 吸引式温度計を用いて炉内温度分布を測定した結果, フローパターンの計測並びに火炎形状の観察結果と良い対応を示した.最高温度は火炎のバーナ寄り約1/3の所で記録された.燃焼室出口ガス温度は計算結果と大体一致した.<BR>最後に, 手製の熱流束計を用いて熱流束の分布を測定した.本装置は全熱流束だけでなく, ふく射成分のみの分離計測も可能である.最大熱流束は火炎の中央で記録され, その値は燃焼室平均値より67~84%大きかった.その結果, 各々の水冷管の熱吸収割合にはかなり大きな差が現われた.この差異はボイラの循環や安全性に大きな影響を持っているであろう.<BR>全熱流束に対するふく射成分は2/4負荷時に約84%であった.
著者
加藤 克佳 辻本 典央
出版者
近畿大学法学会
雑誌
近畿大學法學 = Kinkidaigaku hogaku: the law review of Kinki University (ISSN:09164537)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.275-316, 2013-06-01

[目次] はじめに, 第1部.刑事法部会の提言, 第2部.刑事法部会の決議, 第3部.関連文献
著者
大友 祐一 薮上 信 加藤 和夫 小澤 哲也 荒井 賢一
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
Journal of the Magnetics Society of Japan (ISSN:18822924)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.283-286, 2009-05-01 (Released:2009-05-21)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

We developed a very sensitive high-frequency carrier-type magnetic-field sensor with a sub-pT resolution using a transmission-line-type sensor. Meander-type sensor elements using amorphous CoNbZr films (4μm in thickness), Cu conductor with a meander pattern (30 mm in length, 1.0 mm in width, 18 μm in thickness), and a ground plane were fabricated. We obtained a magnetic field resolution of 9.1×10-13 T/Hz1/2 at 1 Hz. The detectable magnetic field was limited by the 1/f noise. We detected a magnetocardiogram (MCG) signal of heartbeats with the sensor.
著者
薮上 信 加藤 和夫 加茂 芳邦 小澤 哲也 荒井 賢一
出版者
公益社団法人 日本磁気学会
雑誌
Journal of the Magnetics Society of Japan (ISSN:18822924)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.483-486, 2008-07-01 (Released:2008-07-18)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

We developed a very sensitive high-frequency carrier-type magnetic field sensor with a pT resolution using a transmission-line-type sensor. Meander-type sensor elements using amorphous CoNbZr films were fabricated. We obtained a magnetic field resolution of 3.0 x 10-12 T/Hz1/2 at 1 Hz. The detectable magnetic field was limited by the 1/f noise. We detected the magnetocardiogram (MCG) signal by using the sensor.
著者
福田 将義 大坪 倫代 徳山 理恵 山田 透子 村野 竜朗 加藤 知爾 井上 大 清水 寛路 小田柿 智之 岡宮 聡 村田 直樹 小倉 祐紀 竹縄 寛 芝 祐信
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.44-47, 2009-12-10 (Released:2013-07-29)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

内視鏡的大腸ポリープ切除術について,後出血の危険因子および後出血予防処置としてのクリッピングの有効性について検討を行った。2004年から2007年の4年間に,当院にて施行した1049病変について解析を行った。出血例は26病変に認められ,出血率は2.5%であった。病変部位,病変の大きさ,病変形態,切除方法,組織型,クリップ施行の有無について検討を行った。後出血の要因として,病変部位としては左側結腸,大きさは15mm以上,病変形態は広基性または10mm以上の有茎性,切除方法は分割切除,組織型は腺癌であった。クリッピングの有効性については,施行例・非施行例での背景が異なっており,有効性を示すためには施行規準を設けた前向き研究が必要と考えられた。
著者
加藤 和彦 白井 清昭 戸田 巖 和田 隆夫 星野 力 加藤 和彦
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.726-733, 2001-07-15

ITの花咲き乱れる昨今ではあるが,ITを支える基盤ソフトウェアの分野は閉塞感に覆われているのではないだろうか.立ち止まって考えてみよう.足下を見つめてみよう.そして,新たな地平を切り開く可能性を論じよう.
著者
長尾 清香 佐藤 拓也 加藤 伸一 チェン リ 宮本 有正
出版者
Japanese Society of Oral Medicine
雑誌
日本口腔粘膜学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Oral Mucous Membrane (ISSN:13417983)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.29-36, 2009-06-30
参考文献数
16
被引用文献数
1

近年,活性酸素は様々な炎症性疾患との関連性が示唆されており,様々な機構によって組織に損傷を与えることが知られている。活性酸素への防御については,生体内に備えられている内因性抗酸化システムに加えて,近年では抗酸化物質に注目が集まっている。白金ナノコロイドは,平均粒径約2nmの白金粒子が分散したコロイド状溶液であり,過酸化水素等の活性酸素を触媒的に消去する新規抗酸化物質である。そこで,われわれは活性酸素由来の炎症を白金ナノコロイドが抑制するのではないかと考え,基礎研究の第一歩としてヒト口腔上皮細胞を用いた<i>in vitro</i>実験を実施した。その結果,過酸化水素の添加による細胞活性の低下及び細胞からのIL-8産生量増加を,白金ナノコロイドが抑制することが明らかとなった。本研究より,白金ナノコロイドによる,活性酸素由来の炎症に対する抑制効果が期待される。
著者
榊原 僚子 加藤 宗規 菅沼 一男 芹田 透 知念 紗嘉
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.473-479, 2010 (Released:2010-07-28)
参考文献数
12

〔目的〕股関節痛と歩行困難を呈していた症例に対して,応用行動分析学に基づいた介入を行った結果について検討すること。〔対象〕両側変形性股関節症による股関節痛の増強により歩行不可能となり他院での4ヶ月の入院後,当院での外来通院を開始した52歳女性であった。〔方法〕1日で歩行した歩数(歩行量),歩行時痛についてベースライン測定後に行動分析を行い,規定した目標歩行量の遵守と自己記録を行動とした介入を設定した。介入の有効性について,1セッションが約3ヶ月間の7セッションの経過における歩行量,歩行時痛,使用する歩行補助具から検討した。〔結果〕行動は継続され,歩行量のばらつきと歩行時痛が減少し,歩行補助具は両松葉杖からT字杖に変化した。[結語]応用行動分析学を用いた今回の介入は,変形性股関節症で慢性的な強い歩行時痛を有していた症例に対して,理学療法士による1日の歩数を制限する指導を長期にわたり遵守させ,痛みと歩行能力の改善に影響したと考えられた。
著者
岩崎 真樹 神 一敬 加藤 量広 大沢 伸一郎 下田 由輝 中里 信和 冨永 悌二
出版者
The Japanese Congress of Neurological Surgeons
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.9, pp.744-749, 2014

両側頭蓋内電極留置によって術前精査と逆側の発作起始を捉えた側頭葉てんかんの1例を経験した. 症例は35歳右利き男性. 20歳のときに難治の複雑部分発作を発症した. 頭部MRIとFDG-PETは正常. 発作間欠時に両側側頭部のてんかん棘波を, 発作時に右側頭部に始まる脳波異常を認めた. 両側海馬と側頭葉に頭蓋内電極を留置して記録したところ, 左海馬に始まり対側海馬に伝播する発作が確認された. 左側頭葉前半部切除術を行い, 術後12カ月にわたり発作は完全消失している. 病理学的に皮質形成異常と海馬硬化が認められた. 側方診断に疑問がある側頭葉てんかんは, 両側電極留置によって発作起始を確認することが重要である.
著者
佐藤 三矢 加藤 茂幸 弓岡 光徳 日高 正巳 小幡 太志 酒井 孝文 仁木 恵子
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
日本理学療法学術大会 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.E0183-E0183, 2005

【背景】<BR><BR> 痴呆患者に対し、理学療法が移動能力向上に寄与するところは大きく、維持期(慢性期)のリハビリテーションを展開している現場では、下肢筋力増強や立位バランス向上のための運動療法、屋外歩行や階段昇降などの実践的な応用歩行練習が一般的に用いられている。このような運動療法プログラムは全身運動であり、痴呆の中核症状である精神症状や知的障害を予防または改善する効果を指摘する報告は多い。また、痴呆の進行を予防する上で、寝たきりの状態にさせないことを主張している文献も多く、移動能力促進を目的とした理学療法は寝たきり防止の点についても有意義であると考えられる。<BR> このように痴呆性高齢者において、移動能力は重要な意味を持つ行為であり、移動能力向上を目的とした理学療法は、病院や老人保健施設・在宅などで今や普遍的に行われている。<BR> しかし現在、痴呆性高齢者の移動能力とQOLとの関連性について調査している報告は散見する程度である。<BR> よって今回、痴呆性高齢者を対象として「移動能力」と「QOL」を点数化し、相関について調査した。<BR><BR>【方法】<BR><BR> 対象は、介護老人保健施設に入所している痴呆性高齢者85名。本研究は、対象施設の承認を得た後、文書にて家族からの同意が得られた対象者のみに実施した。痴呆性高齢者の移動能力の評価尺度であるSouthampton Mobility Assessment (SMA)日本語版と痴呆性高齢者のQOL評価尺度であるQOL-Dを用いて、対象者の「移動能力」と「QOL」を点数化し、相関関係について調査した。<BR><BR>【結果】<BR><BR> Speamanの順位相関を用いて検索した結果、SMA日本語版とQOL-Dとの間において、有意な相関関係が認められた(r=.471,p>.001)。<BR><BR>【まとめ】<BR><BR> 今回、SMA日本語版とQOL-Dとの間において、有意な相関関係が認められた。よって、痴呆性高齢者の移動能力への理学療法介入がQOL向上につながる可能性がうかがえた。
著者
加藤 大介 芝 譲 松田 壮史
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.63, no.506, pp.155-161, 1998-04-30 (Released:2017-02-02)
参考文献数
10

The main objective of this paper is to propose an evaluating equation for deformation capacities of reinforced concrete columns determined by flexural failure, which is caused by the compressive failure of the core concrete. The effects of the compressive failure of the core concrete become significant for corner columns subjected to varying high axial load. Therefore, these problems are discussed paying special attention to the effects of the varying axial load. The proposed equivalent axial load ratio was found to be effective to apply equations to columns with varying axial load.
著者
加藤 直子 国分 一郎 金子 史男 大河原 章 目黒 高志
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.794-800, 1987-10-01 (Released:2012-03-10)
参考文献数
9

Disseminated DLEとして発症し, SLEへの移行を示し急性膵炎を併発した1例を報告した。患者は41才女子, プレドニソロン60mg投与で加療中, 心窩部痛後, 急激な左腹部痛が出現した。検査上, 血清および尿アミラーゼの上昇がみられ, 腹部エコーおよびCTにより膵臓の腫大と腹腔内の浸出液を認めたことから急性膵炎と診断した。ただちに膵床ドレナージ術を施行したが回復せず死亡した。剖検所見から急性出血性膵炎, 急性多発性胃潰瘍, 肺アスペルギルス症, 肝細胞変性などが確認された。