著者
桑原 一良 桑原 直子
出版者
新見公立短期大学
雑誌
新見公立短期大学紀要 (ISSN:13453599)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.1-24, 2002-12-25

筆者らはハーンが自分の日本名に色々な意味を込めながらも,秘めた部分があったのではないかと推測をした。それは八雲が自分の名について多くを語っていないことや,いろんな場面に数の八を伏せている感があるからである。しかも,ハーンにかかわる多くの記号が八に収斂されていくが,このハーンの周囲にあふれる八は何であったのか。そこで「八雲名」に関わった諸々の記号をたどり,彼を囲んできた時間・空間が織りなした知を掘り返し,ハーンのこれまで見せなかった部分を浮びあがらせることをこころみた。
著者
藤原 直子 大野 裕史 日上 耕司 久保 義郎 佐田 久真貴 松永 美希
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.159-173, 2010-06-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
6

本研究では、「気になる子」を担任する幼稚園教諭(コンサルティ)に対する集団コンサルテーションプログラムを作成・実施し、その効果を検討した。6名のコンサルティに対して全6回(フォーローアップ1回を含む)のプログラムを実施し、行動の見方や対応方法を応用行動分析学に基づき教授した。また、グループワークにおいては、コンサルティが行った「気になる子」の観察記録をもとに対応方法を検討した。その対応をコンサルティが実践した結果、対象児の行動に改善がみられた。さらに、コンサルティが子どもに対応する際に感じるストレスが軽減し、保育者としての効力感が向上した。満足度アンケートによる評価も高く、このコンサルテーションの内容は、幼稚園において実施可能であり、その対応方法は「気になる子」の支援に有効であることが示唆された。
著者
前原 直子
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.723-754, 2015-09-30

『国富論』のアダム・スミスによれば,教育の役割は,《相対的幸福》の実現に寄与することにある。人間各人が,人生の目標を富の増大=物質的利益の増大に見定め,「利己心」を発揮し「勤勉」に自己「努力」を図り自己の境遇を改善すれば,物質的に豊かな経済生活を実現できる。こうして《相対的幸福》の実現を目指し,「勤勉」に自己「努力」する人間が増えてゆくならば,イギリスは生活水準の高い経済社会を形成するのみならず,国家の税収を増やし,道路の整備や港湾の建設などの公共事業を通じて,一国の資本蓄積を進展せしめ,豊かな経済社会を実現できる。 『国富論』においてスミスは,資本蓄積論と分業論を展開することによって,社会における「教育」の重要性を主張した。その意味でスミスは,経済的利益の増大と教育とが密接に関連していることを主張する教育経済論を展開しているといえる。具体的には,スミスの主張は国民教育の導入と大学教育の改革に向けられた。 これに対し,『道徳感情論』における教育の役割は,《絶対的幸福》の実現に寄与することにあった。人間各人は,他者との比較による物質的利益の増大,すなわち《相対的幸福》を実現したのちは,「生活必需品」と「便益品」を獲得すること以上の利己心の作用を「自己抑制」し,「心の平穏」を保持しなければならない。『道徳感情論』における教育の役割は,人間各人に高い「共感」能力を育成し,「心の平穏」を保持することの重要性,すなわち《絶対的幸福》の重要性を認識させることにあった。 総じていえば,スミスにおいて教育の役割は,「共感」能力の向上によって人生の目標を発見し,「利己心」の発揮によって自分の理想とする自分を創造する力の涵養,そして必要以上の「利己心」を「自己抑制」する「徳」を培い,自分の「才能」=自己「能力」に見合った仕事を通じて社会に貢献してゆく力の涵養,という点にあった。
著者
高橋 良平 中川 紗央里 徳原 直子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.s1, pp.s40-s43, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
12

国の分野横断型統合ポータル「ジャパンサーチ」は、我が国の幅広い分野のデジタルアーカイブのメタデータを集約し、多様なコンテンツをまとめて検索・閲覧・活用できるプラットフォームである。ジャパンサーチでは、コンテンツの二次利用を促進するため、分かりやすい利用条件の表示等に取り組んできた。本発表は、ジャパンサーチの活用事例と機能について紹介した上で、ジャパンサーチ上の二次利用条件整備の取組を解説するとともに、データのオープン化に向けた課題及び事例について報告するものである。
著者
久保 彰子 大原 直子 焔硝岩 政樹 積口 順子 須藤 紀子 笠岡(坪山) 宜代 奥田 博子 澁谷 いづみ
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.344-355, 2020

<p><b>目的</b> 本研究は,災害時の栄養・食生活支援について,対人サービスに係る被災者の健康管理支援と対物サービスに係る被災者への提供食の準備状況を明らかにすることと準備における行政管理栄養士等の関わりの状況を検討することを目的とした。</p><p><b>方法</b> 2018年9月,全国1,741市区町村の防災担当課宛に大規模災害時の栄養・食生活支援に係る準備状況を尋ねる質問紙調査を依頼した。防災担当課で回答が難しい質問は関係各課に照会し回答するよう求めた。基本集計の他,地域防災計画等策定への行政管理栄養士等の参画の有無および常勤行政管理栄養士等の配置の有無と質問項目との関連をピアソンのカイ二乗検定で調べた。</p><p><b>結果</b> 1,056市区町村から回答があった(回収率60.7%)。栄養・食生活支援を計画等へ記載している市区町村は52.8%,要配慮者の把握の防災計画等への記載は35.9%だった。要配慮者に対応した固定備蓄として,おかゆを備えているのは28.2%,乳児用粉ミルクは30.8%,アレルギー対応食は20.9%であった。炊き出しを提供する市区町村は82.1%だが献立基準を設定しているのは5.2%,弁当等を事前協定している市区町村は32.6%,献立基準を設定しているのは0.9%と少なかった。常勤行政管理栄養士等の発災時の従事内容は,要配慮者への支援33.2%,炊き出し又は弁当等の献立作成や助言39.3%だった。管理栄養士等の応援要請を記載している市区町村は29.0%と少なく,応援要請しない理由は,どのような活動をしてもらえるのかわからないが33.6%と最も多かった。地域防災計画等に行政管理栄養士等が参画したところは,栄養・食生活支援の記載や食事調査の実施,食事調達や炊き出し等の関係部署との連携が多かった。常勤行政管理栄養士等が配置されているところは,それらに加え流通備蓄や食料の衛生保管および適温提供の機器整備も多かった。</p><p><b>結論</b> 栄養・食生活支援に関する記載や要配慮者に対応した食品備蓄は以前より増加したが,炊き出しは減少した。要配慮者に対応した食事提供や炊き出しおよび弁当等の献立基準の作成等,行政管理栄養士等の関与が必要な準備について防災担当課等との連携不足が示唆され,積極的な関与が必要と考えた。一方,常勤行政管理栄養士等が未配置の市区町村は,管理栄養士を活用した食事提供支援の準備をすすめるために適正な配置が望まれた。</p>
著者
藤原 直子 竹下 輝和
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.632, pp.2041-2048, 2008-10-30 (Released:2009-10-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

In this study we analyzed characteristics of activities of junior-high-school teachers, and got some insights of the teachers-room. Teachers' time is severely restricted. Particularly, in the 10-minute-free-time they must manage many tasks, as the school building plan intends. When teachers' working space is under much attention of students, individual guidance and grading is difficult. When the teachers' rooms are separated, teachers need much time to move, so it is difficult to rest and work in the 10-minute-free-time. Also, they have less communication, and have more trouble under sudden accidents on students.
著者
前原 直子
出版者
経済学史学会
雑誌
経済学史研究 (ISSN:18803164)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.100-126, 2011 (Released:2019-08-20)

This paper aims to analyze John Stuart Mill’s theory of joint-stock companies on the basis of Mill’s theory of an ideal civil society. Mill recognized that the Industrial Revolution sparked social and economic problems. Unskilled labourers lapsed into moral decadence, which lowered productivity and decreased profit rates; thus this would then result in a dismal stationary state without any reform in the distribution of wealth. However, Mill asserted that social reforms would realize the ideal condition of a civil society even in the stationary state. To resolve these problems, Mill’s theory of joint-stock companies is significant from two perspectives. First, from the perspective of productivity, large-scale production is greatly promoted by the accumulation of large capital through the formation of joint-stock companies. Furthermore, co-operation among various people and combination of the labour force would lead to superior productivity. Second, from the perspective of property, Mill insisted on fair and just distribution of wealth and the necessity of managerial reforms. Reforms aimed at solving the unequal distribution of wealth could raise the living standards and the moral and intellectual standards of labourers. The moral qualities of this new kind of labourers, which could increase the rate of productivity, are as important to the overall efficiency of their labour, as their intellectual qualities. On the basis of the law of the inverse relationship between cost of labour and profits, Mill asserted that superior productivity would reduce the total cost of labour and increase the real wages of labourers and profits of capital. It was for this reason that Mill emphasized the importance of human development in terms of both labour and capital and the significance of joint-stock companies wherein labourers acquire skills and develop their abilities and individual specialties. JEL classification numbers: B 31.
著者
飯田 貴子 藤山 新 來田 享子 風間 孝 藤原 直子 吉川 康夫
出版者
日本スポーツとジェンダー学会
雑誌
スポーツとジェンダー研究 (ISSN:13482157)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.20-35, 2018 (Released:2018-12-29)
参考文献数
20
被引用文献数
1

The purpose of this study is to examine the relationships between the knowledge about sexual minorities and gender views, homophobia, transphobia and the sense of value for sport. The participants were 2,763 college students who were in the departments related to physical education or sports in Japan at the time of study (male students: 1,493, female students: 1,270). The questions regarding sexual minorities were created by authors. The four scales used in this study include: gender views (the Short-form of the Scale of Egalitarian Sex Role Attitudes: Suzuki, 1994); homophobia (the Index of Homophobia: Hudson & Ricketts, 1980); transphobia (the Transphobia Scale: Bornstein, 1998); and the sense of value for sport (the Psychosocial Functions of Sport Scale: Spreitzer & Snyder, 1975). The result shows that those who gave more correct answers to the questions concerning the knowledge about sexual minorities tend to hold more egalitarian beliefs on gender equality. They also tend to be less homophobic and transphobic. Those students, both female and male, who had more correct knowledge about sexual orientation and biological sex tend to be significantly less homophobic and transphobic. Therefore, the result suggests that having the knowledge about the diversity of sexual orientation and biological sex is a crucial factor for the better understanding of LGBT. On the other hand, those who gave more wrong answers to the questions concerning the knowledge about sexual orientation and biological sex tend to have stronger sense of value for sport. This tendency of prejudice was more salient among male participants. The correlation between a support of sexual binary system and a stronger sense of value for sport showed in this study requires further examination.
著者
人見 英里 三浦 裕美子 三原 香奈 大西 志麻 原 直子 中野 昌俊
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.594-598, 2005 (Released:2007-04-13)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

ルイボスティー熱水抽出物の食品に対する抗酸化能を探るためにDPPHラジカル消去能, ラードに対する抗酸化能, 各種鉄化合物により鉄を強化したモデルクッキーにおける抗酸化能を検討した. ルイボスティー熱水抽出物は濃度依存的にDPPHラジカル消去能を示した. ラードにおいても, ルイボスティー熱水抽出物の添加量の増加に伴って酸化が抑制された. クッキーの保存試験では, コントロールクッキーに比べ, 塩化第一鉄, 酵素処理ヘム鉄, クエン酸第二鉄, クエン酸鉄アンモニウムを添加した場合に, 著しく脂質過酸化が促進されたが, さらにルイボスティー熱水抽出物を添加することにより, 酵素処理ヘム鉄以外で, 脂質過酸化を抑制することができた. 以上のことから, ルイボスティー熱水抽出物は, 高脂肪含有食品に対する抗酸化物質として利用可能であることが示唆された.
著者
清水 まり恵 中村 淳子 内野 郁代 津久井 和夫 佐竹 正博 中村 榮一 柏瀬 貢一 田中 秀則 植木 純一 峯元 睦子 市原 孝浩 菅原 直子 栗田 裕子 中島 文明
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.11-19, 2003

<p>我々は日常, HLA-A, B, C検査に血清学的検査法とDNAタイピング法を, HLA-DRB1検査にDNAタイピング法をそれぞれ実施している. DNAタイピング法としてはPCR-microtiter plate hybridization(PCR-MPH)法とPCR-single-strand conformation polymorphism(PCR-SSCP)法を通常用いている. これらのタイピングで, HLA抗原型またはHLAアリルが確定できなかった場合に, sequencing based typing(SBT)法によりHLAアリルの確認を行なっている. SBT法で新対立遺伝子を含むヘテロ接合体が検出された場合は, 新対立遺伝子を含む一方の染色体の遺伝子領域を増幅し, その塩基配列の決定を行なった. それらのアリルのうち, 7種類がWHO HLA命名委員会によりそれぞれ公認, 命名された(A*0259, A*020107, B*5609, B*5131, B*5205, DRB1*1444, DRB1*1445). A*0259は, A*020101と比較して第2エクソンに位置する塩基125のGがAに置換することにより, コドン18のGlyがSerに変異していた.</p>
著者
八田 武志 八田 武俊 岩原 昭彦 八田 純子 伊藤 恵美 堀田 千絵 永原 直子 加藤 公子 藤原 和美
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.43-50, 2018 (Released:2018-07-02)
被引用文献数
1

The purpose of this study was to develop a new questionnaire to assess the burden expressive suppression for Japanese (J-BES) based on the BES by Niermeyer, Franchow & Suchy (2016). In this study 1, 465 upper-middle and older adults filled 20 questionnaire items and two factors, social suppression and personal suppression, were identified by the factor analysis and selected 8 items as J-BES. In study 2, possible relations between J-BES score and D-CAT (representing attention related prefrontal cortex function) and Logical Memory test (representing memory related frontal-temporal cortex function) scores were examined. High J-BES score group participants showed worse D-CAT scores than low J-BES score group participants. These findings seem to support that J-BES has a certain level of test validity.