著者
松原 直義 宮元 敬範 丹野 史朗 宮川 淳 阿部 祐也 横尾 望 金子 和樹 高橋 大志 中田 浩一
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.100-105, 2023 (Released:2023-01-25)
参考文献数
12

カーボンニュートラル社会の実現に向けて様々な産業の脱炭素化に資する水素が注目されており,運輸部門においてはFCEVに加えて水素エンジンの検討がなされている.水素はガソリンと比較して着火しやすいという特性があるため異常燃焼が生じやすい.本論文では,水素特有の異常燃焼の発生メカニズムの解析を実施した.
著者
北原 英幸 野上 達也 渡り 英俊 金原 嘉之 藤本 誠 柴原 直利 嶋田 豊
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.137-142, 2020 (Released:2020-12-07)
参考文献数
19

症例は42歳女性。1年前から月に1—2回,呼吸困難,恐怖感,手の硬直などを伴うパニック発作があり,多忙時や月経期間に生じやすく,他院から処方された加味逍遥散エキスと甘麦大棗湯エキスが有効であったが,自動車の接触事故後に今まで以上に強い発作が出現したため当科を受診した。血液検査,画像検査等で特記所見なくパニック症と診断。奔豚気と捉えて苓桂甘棗湯を処方し,2週間後から気分の改善と発作症状の軽減を得たが,仕事が多忙となった2ヵ月後から週1—2回発作が再発した。前駆症状として後頸部の異常感覚が生じ,同時期に頸部痛,頸部の凝りが増悪することを考慮して桂枝去桂加茯苓白朮湯に転方したところ,後頸部の異常感覚が消失し,以後,発作は出現せずに経過した。頸部の不調がパニック発作の出現と関連する場合,桂枝去桂加茯苓白朮湯が発作予防に有効な方剤と考えられた。
著者
清水 渉 相庭 武司 栗田 隆志 里見 和浩 横川 美樹 岡村 英夫 野田 崇 須山 和弘 相原 直彦 鎌倉 史郎
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.147-157, 2008-03-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
17

Brugada症候群には一部の患者ではSCN5Aなどの遺伝子変異が同定され, 遺伝性不整脈疾患にもかかわらず, 若年発症はまれで40~50歳にかけて初発することや, 常染色体優性遺伝形式をとるにもかかわらず男性に圧倒的に頻度が高いという性差など, 未解決な点も多い.動脈灌流右室心筋切片に高感度光マツピング法を応用したBrugadaモデルにより, ST上昇や心室細動 (VF) 第1拍目の心室期外収縮には, 心外膜-心内膜細胞間の電位勾配と心外膜細胞間のphase 2 reentryが関与するが, VFが持続するためには, 軽度の伝導 (脱分極) 異常が必要であるとされている, SCN5A陽1生Brugada症候群患者ではSCN5A陰性患者に比べ, 心電図の脱分極指標 (PR, QRS時間) が長く, 平均10年間の経過観察でこれらの延長度も大きいことが報告され, 特にSCN5A陽性例で, 加齢による脱分極異常がVFの晩期発症に関与する可能性が示唆されている.男性優位の性差には, 右室心外膜細胞の第1相notchが雌に比べ雄で大きいことが関与していると動物実験で報告されている, また, Brugada症候群男性患者では, 年齢を一致させた対照男性に比べて, 外向き電流を増加させる男性ホルモン (テストステロン) レベルが有意に高く, 体脂肪率が低いことが報告されており, テストステロンの関与も示唆されている.
著者
田原 直美 三沢 良 山口 裕幸
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.74-86, 2008 (Released:2008-11-14)
参考文献数
20

本研究は,病棟クラークの導入が看護師の業務の安全性と円滑さに及ぼす影響を,看護師の行動的及び心理的側面から検討した。K大学病院のA病棟に2名の病棟クラークを約8ヶ月間試験的に導入し,看護師の,業務中断経験,業務中のトラブル経験,ストレッサー,及びチームワークについて,導入前後の変化を追跡調査した。分析の結果,クラーク導入後のポジティブな変化として,看護師の業務中断経験及びトラブル経験の減少が確認されたが,ネガティブな変化として,患者に対応の遅れを指摘される経験の増加と看護師のチームワークプロセス認知の悪化が認められた。クラークの導入は看護師の業務負担軽減や安全性確保に有効であるが,そのためには,一定の時間とクラークと看護師の連携が不可欠であることが示唆された。
著者
荻原 直道
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.116, no.2, pp.99-113, 2008 (Released:2008-12-27)
参考文献数
97

アウストラロピテクス・アファレンシスの化石骨格(Lucy)とラエトリで発見されたその足跡化石は,初期人類が二足歩行をしていたことを示す最も直接的な証拠である。これら形態情報を生体力学的に分析し,その二足歩行を復元する試みが近年進んでいる。本稿では,こうした生体力学的方法論,特にA・アファレンシスの力学的相似則に基づく歩行速度推定と,筋骨格モデルを用いた歩行復元シミュレーションについて,その現状と課題を解説する。
著者
前原 直子
出版者
中央大学経済研究所
雑誌
中央大学経済研究所年報 (ISSN:02859718)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.723-754, 2015-09-30

『国富論』のアダム・スミスによれば,教育の役割は,《相対的幸福》の実現に寄与することにある。人間各人が,人生の目標を富の増大=物質的利益の増大に見定め,「利己心」を発揮し「勤勉」に自己「努力」を図り自己の境遇を改善すれば,物質的に豊かな経済生活を実現できる。こうして《相対的幸福》の実現を目指し,「勤勉」に自己「努力」する人間が増えてゆくならば,イギリスは生活水準の高い経済社会を形成するのみならず,国家の税収を増やし,道路の整備や港湾の建設などの公共事業を通じて,一国の資本蓄積を進展せしめ,豊かな経済社会を実現できる。 『国富論』においてスミスは,資本蓄積論と分業論を展開することによって,社会における「教育」の重要性を主張した。その意味でスミスは,経済的利益の増大と教育とが密接に関連していることを主張する教育経済論を展開しているといえる。具体的には,スミスの主張は国民教育の導入と大学教育の改革に向けられた。 これに対し,『道徳感情論』における教育の役割は,《絶対的幸福》の実現に寄与することにあった。人間各人は,他者との比較による物質的利益の増大,すなわち《相対的幸福》を実現したのちは,「生活必需品」と「便益品」を獲得すること以上の利己心の作用を「自己抑制」し,「心の平穏」を保持しなければならない。『道徳感情論』における教育の役割は,人間各人に高い「共感」能力を育成し,「心の平穏」を保持することの重要性,すなわち《絶対的幸福》の重要性を認識させることにあった。 総じていえば,スミスにおいて教育の役割は,「共感」能力の向上によって人生の目標を発見し,「利己心」の発揮によって自分の理想とする自分を創造する力の涵養,そして必要以上の「利己心」を「自己抑制」する「徳」を培い,自分の「才能」=自己「能力」に見合った仕事を通じて社会に貢献してゆく力の涵養,という点にあった。
著者
増原 直樹 岩見 麻子 松井 孝典
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.33(2019年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.43-48, 2019-11-25 (Released:2019-11-22)
参考文献数
9
被引用文献数
2

本研究は,SDGs 達成に向けた取組みの一つとして,政府が指定した国内29 のSDGs 未来都市に着目し,環境モデル都市,環境未来都市,SDGs 未来都市が相互に重複する取組みであることを実証するとともに,29 自治体のSDGs 未来都市計画が貢献しようとするゴールを集計した。環境未来都市の中ではゴール7やゴール11 に関する取組みが多かったのに対し,SDGs 未来都市では,それらに加えゴール8,9,13 に関する取組みが増えており,取組みの多いターゲット17.17 に関してグローバル指標とSDGs 未来都市が設定するKPI の傾向が異なっていること,京都市の事例からはローカライズ指標に関するデータ取得や指標範囲設定の困難さの存在を明らかにした。
著者
吉原 直樹
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.35-47, 2014-07-25 (Released:2015-08-24)
参考文献数
19

福島第一原発が立地する大熊町では,全住民の96パーセントが「帰還困難区域」に指定され,故郷を追われている.加えて,新自由主義的な復興政策の下ですさまじい勢いで「難民化」=「棄民化」がすすんでいる.にもかかわらず,東京に拠点を置く主流メディアは真実を報道することを避け,人びとの目をフクシマからそらすことに躍起になっている.避難民は,「忘却」という暴力にさらされたうえで,「絶望の共有」(shared despair)を余儀なくされている.しかしながら決してあきらめず,自らの生存と人権をかけた復興への道を模索している. 本稿では,たえず組み合わせを変えながら横に広がっていく「関係としての相互作用」を通して,剥奪された場所を回復しようとする避難民の姿を,サロンを事例にして,「創発するコミュニティ」の展開をフォローアップしながら追う.そして旧来のガバメント(統治)によるトップダウンの「統制」(control)にも,市場を介して私化された関係による「調整」(coordination)にも回収されないコミニュニティの可能性について論じる.併せて,「コミュニティ・オン・ザ・ムーブ」を契機とするコミュニティ・パラダイム・シフトの方向性について検討する.
著者
吉原 直樹
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.17-30, 2008-07-17 (Released:2013-12-27)
参考文献数
38
被引用文献数
1

近年,新自由主義的なグローバル化の進展とともに,ローカルの次元でいわゆる「閉じられたコミュニティ」への希求が広がっている.本稿ではそうした「閉じられたコミュニティ」に回収されていかない「開かれた都市空間」の可能性を,ジンメル,ジェイコブス,ダール等の都市空間への視座を受け継ぎながら,複数の主体の間で繰り広げられる調整パターンとしてのローカル・ガバナンスの存在形態に即して論じる.併せて,ヘルドのいう社会民主的なグローバル化への道をさぐることにする.
著者
細田 隆介 久野 篤史 中島 龍汰 朝倉 聖大 岩原 直敏 野島 伊世里 國本 梨沙 堀尾 嘉幸
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 第95回日本薬理学会年会 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.2-YIA-44, 2022 (Released:2022-03-21)

[Background] SIRT1, an NAD+-dependent deacetylase, positively regulates autophagy, which maintains muscle mass and declines with age. We previously reported that treatment with resveratrol (RSV), an activator of SIRT1, restores muscle autophagy and preserves muscle mass in a mouse model of Duchenne muscular dystrophy. We hypothesized that RSV attenuates age-related muscle atrophy by activating SIRT1 and autophagy.[Methods and Results] DDY mice were treated with either a control diet or a diet containing RSV (0.4 g/kg diet) from 23 weeks of age, and tissues of tibialis anterior muscle were analyzed at 60 weeks old. Rotarod running time was shortened with aging; however, RSV treatment preserved running time. RSV blocked the aging-related increase in acetylated lysine levels in muscles, suggesting that RSV restored deacetylase activity of muscle SIRT1. Compared with 20 weeks old mice, the myofiber diameter was decreased in untreated 60 weeks old mice. In addition, LC3-II/LC3-I ratio, a marker of autophagic activity, was decreased and p62 and ubiquitinated protein levels, which are degraded by autophagy, were increased in muscles of 60 weeks old mice, suggesting impaired autophagy by aging. RSV treatment preserved the myofiber diameter, increased LC3-II/LC3-I ratio, and decreased p62 and ubiquitinated protein levels. RSV did not change activities of signals that regulate autophagy including AMPK and mTORC1.[Conclusion] These results suggest that RSV attenuates age-related muscle atrophy and motor dysfunction by activating SIRT1 and promoting autophagy.
著者
高橋 良平 中川 紗央里 徳原 直子
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.s1, pp.s40-s43, 2021 (Released:2021-04-20)
参考文献数
12

国の分野横断型統合ポータル「ジャパンサーチ」は、我が国の幅広い分野のデジタルアーカイブのメタデータを集約し、多様なコンテンツをまとめて検索・閲覧・活用できるプラットフォームである。ジャパンサーチでは、コンテンツの二次利用を促進するため、分かりやすい利用条件の表示等に取り組んできた。本発表は、ジャパンサーチの活用事例と機能について紹介した上で、ジャパンサーチ上の二次利用条件整備の取組を解説するとともに、データのオープン化に向けた課題及び事例について報告するものである。
著者
原 直也 野口 太郎
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会誌 (ISSN:00192341)
巻号頁・発行日
vol.88, no.11, pp.866-873, 2004 (Released:2004-12-07)
参考文献数
16
被引用文献数
7 3

The main purpose of coloring an object is to add information and to draw attention to it. However, the visibility of the visual object must not be spoiled by taking these effects too seriously. Explaining the influence of color on the visibility of an object is thought to be useful in showing the effect of coloring except for the visibility after securing the visibility. Our final goal is to establish a visual environment design based on the visibility of a chromatic object. We explain the influence on the visibility of the color quantitatively. The results of a subjective evaluation experiment are shown. The experiment has various conditions systematized by color difference (lightness, chroma, and hue under the CIELAB color system). The readability of chromatic documents was understood by focusing on the color difference as an index that quantitatively shows the degree of influence of the color on visibility. The relationship between the color difference and the equivalent luminance contrast described to discuss the influence of the color is shown.
著者
橋本 修治 相原 直彦 伊達 裕 勝木 桂子 武村 珠子 鎌倉 史郎 下村 克朗
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.29, no.Supplement6, pp.41-46, 1997-12-30 (Released:2013-05-24)
参考文献数
14

【目的】心房細動(Af)例では心房電位が偽陽性の原因になるとされ,体表面加算平均心電図(SAECG)による心室遅延電位(LP)による評価の対象から除外されてきた.しかし,出現時相が不規則であることから加算平均処理により心房電位が相殺され,洞調律(SN)時と同様にLPを評価できる可能性がある.そこで,Af時においてもSAECGがSN時と同様に評価可能か否かについて検討した.【対象と方法】Af時およびSN時に対してSAECGを記録し得た症例17例.各記録をtime domain(TD)法とfrequency domain (FD)法を用いて解析し,比較検討した.【結果】Af時およびSN時記録での各指標の相関はTD法では全指標ともr=0.90以上(p< 0.001)と良好であったが,FD法はarea ratio法でr=0.83(p<0.001),spectro-temporal mapping法でr=0.60(p<0.05)とTD法に比べ劣っていた.【総括】Af時におけるSAECGの有用性をSN時と比較検討した結果,TD法はAf時にもLPを評価することが可能であるが,FD法の各解析法ではLPの評価は困難と考えられた.
著者
武藤 麻美 釘原 直樹 Muto Mami Kugihara Naoki ムトウ マミ クギハラ ナオキ
出版者
大阪大学大学院人間科学研究科対人社会心理学研究室
雑誌
対人社会心理学研究 (ISSN:13462857)
巻号頁・発行日
no.12, pp.173-181, 2012

本研究は、(1)異なる価値観を有する内・外集団ターゲットへの心理的距離の延伸と、印象評価の切り下げとが連関するか否かについての検証、(2)その連関は、認知者が保有するターゲットに対する期待値と、現実値との乖離が大きい場合に、顕著に出現することの検証、を目的とした。実験デザインは、2(戦争反対意見, 戦争賛成意見) × 2(内集団: 日本人, 外集団: 米国人)の参加者間計画とした。結果は次のとおりである。(1)戦争反対条件で、ターゲットに対する距離の短縮化と印象評価の上昇がみられた、(2)戦争賛成反対の両条件とも、外集団ターゲットよりも内集団ターゲットで、距離の延伸と印象評価の低下がみられた、(3)心理的距離と印象評価の変動は類似の傾向を示した。これらの結果について考察を行う。