著者
兼子 樹広 及川 正明 吉原 豊彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.181-183, 1993-02-15
被引用文献数
3

レース中に骨折した470頭の競走馬の骨折部位を病理学的に検索した. 骨折は四肢の骨に多発(98%)し, 関節内骨折が高率を占めた. 骨折の発症部位に概ね一致して, 過激な運動負荷および乏血性変化としてとらえられる限局性の関節軟骨下骨壊死および骨硬化病変が共通して指摘された. これら病変は剪断負荷および捻転負荷への抵抗力を弱め, 非骨折骨にも多発してみられることから, 競走馬の骨折に対する前駆要因と推測した.
著者
田川 智恵 中澤 慶久 田頭 栄治郎 上田 太郎 山口 康代 大原 豊実 鬼塚 重則 西部 三省
出版者
日本生薬学会
雑誌
生薬學雜誌 (ISSN:13403443)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.117-120, 2005-06-20

In order to clarify the mechanism of the antihypertensive effect of Eucommia leaf (Eucommia ulmoides Oliver) extract (ELE), ELE was partitioned into two fractions, water eluted fraction (H_2O ext.) and methanol eluted fraction (MeOH ext.)(Eueommia leaf glycoside), by using a Diaion HP-20 column. The antihypertensive effects of ELE and two fractions were investigated by their intravenous (i.v.) administration to SHR. Transient antihypertensive effects were shown in ELE and MeOH ext. and their effects were respectively attenuated by i.v. injection of atropine, suggesting that the antihypertensive effects of both ELE and MeOH ext. might be mediated via the muscarinic acetylcholine receptors. On the other hand, H_2O ext. showed the sustained antihypertensive effect which was not attenuated by i.v. injection of atropine. This result suggested that two types of components which have different mechanisms of antihypertensive effect are contained in ELE.
著者
小室 一成 瀧原 圭子 松原 弘明 斉藤 能彦 室原 豊明 福田 恵一
出版者
千葉大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

本研究の目標である心不全の病態解明と新たな治療法の確立について多角的に研究を推進できたと考えられる。特にマウスの心機能解析法(心臓カテーテル検査、心臓エコー検査)を確立させたことは、我が国全体における心機能解析技術の飛躍的な向上に寄与できだと思われる。また、本研究代表者や研究分担者らがこれまで世界的にもリードしてきた研究対象であるナトリウム利尿ペプチド、アンジオテンシンII、サイトカイン、三量体G蛋白質、などに着目し、これらの遺伝子改変マウスを作製し実験に用いることができた。心機能に関与する遺伝子をターゲットとした遺伝子改変マウスの解析をおこなうことで心不全の病態を分子レベルで解明した。さらにこれらのマウスに胸部大動脈の縮窄または冠動脈の結紮などの手術を施し、圧負荷心肥大モデル、心筋梗塞モデル、虚血再灌流モデルなどを作製した際の心不全の発症・進展に対する影響も検討した。得られた知見は心不全の発症機序のみならず、心筋細胞が正常機能を維持するための機序についても新しい概念を与えた。心不全発症の分子機序を明らかにすることで心不全の新たな治療基盤を打ち立てることができた。また、心筋細胞の分化・発生の機序に関する研究をおこない、心筋細胞の分化に必須の転写因子や成長因子などを同定した。複数の転写因子を同時に発現させることにより心筋細胞の分化が誘導されることを明らかにした。細胞治療に関する研究では幹細胞生物学と再生医学、心臓病学の領域において先駆的な業績をあげ、国内外における心筋細胞の再生研究に大きな進歩をもたらした。
著者
正道寺 康子 原 豊二 岡部 明日香 佐藤 信一 笹生 美貴子 西口 あや 王 維坤 劉 暁峰
出版者
聖徳大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、まず『琴操』の翻刻・訓読をし語釈を附すことで、『琴操』そのものの研究を行った。次に、隋・唐時代の古琴曲を調査し、それらに纏わる音楽説話も収集し、さらには、日本古典文学への影響を明らかにした。特に、『琴操』は『うつほ物語』や『源氏物語』に大きな影響を与えていることが分かった。また、『琴操』以外の古琴曲も音楽そのものではなく、それらの音楽故事が『うつほ物語』や『源氏物語』の主題と深く関わることを指摘した。
著者
林 農 加藤 優 田川 公太朗 原 豊
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.74, no.740, pp.841-849, 2008-04-25 (Released:2011-08-16)
参考文献数
11
被引用文献数
1

In recent years, the wind turbines have been installed actively and the suitable sites of wind farm have been decreased on land. On the other hand, a lot of wind energy resources are latent and it is expected that wind power will be installed in the future on the sea. This study aims to establish a measurement method of wind characteristics using a small ship for decision of suitable site for offshore wind power. We constructed the wind measurement system, which is composed of an ultrasonic anemometer, a differential GPS (DGPS) and an inertial measurement unit. The system was installed to a small ship and wind characteristics at 10 m height above the sea surface were measured by an ultrasonic anemometer on the Sea of Japan close to Tottori prefecture. Raw data of the wind velocity obtained in the proposed method includes the error caused by the pitching, rolling and yawing of the ship. In this study, the raw data of wind velocity was corrected by the data of the DGPS and the inertial measurement unit. Conclusively, the raw wind velocity contaminated by the oscillation and cruising of the ship was corrected and the wind velocity maps were obtained.
著者
河原 豊和 大野 和則 田所 諭
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp."2P1-C30(1)"-"2P1-C30(3)", 2006

Our research objective is localization and mapping for rescue crawler robot in unknown environment. The problem is well known as SLAM problem. For solving the problem, the robot position and environment shape are measured by odometry and LRF respectively. Odometry's error is corrected by matching these shape data. Map is constructed from these shapes and the modified robot position. However, odometry can not be used for measurement of our crawler robot's position because the crawler has crawlers and wheels as locomotion. In this paper, the authors present our approach for measurement of its position and construction of the map. Concretely, the authors measure its position by matching 2D scan data measured at different points. Moreover, we correct the scan's distortion caused by robot movement.
著者
松原 豊 本田 晋也 高田 広章
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.2387-2401, 2011-08-15

分散リアルタイムシステムにおいて,個別に開発・検証されたリアルタイムアプリケーションを,単一のプロセッサに統合して動作させるための階層型スケジューリングアルゴリズムが数多く提案されている.本論文では,統合前に,プリエンプティブな固定優先度ベーススケジューリングによりスケジュール可能なリアルタイムアプリケーションを対象に,優先度設計を変更することなく統合後もスケジュール可能であることを保証する階層型スケジューリングアルゴリズムを提案する.提案アルゴリズムの正当性を理論的に証明し,さらに,スケジューリングシミュレータを用いて,同一のアプリケーションに対するスケジュール可能性を従来アルゴリズムと比較した.その結果,従来アルゴリズムでは統合後にデッドラインをミスしてしまうアプリケーションが,提案アルゴリズムによりスケジュール可能であることを確認した.
著者
林 農 神近 牧男 若 良二 原 豊 田川 公太朗 河村 哲也 山田 廣也
出版者
鳥取大学
雑誌
地域連携推進研究費
巻号頁・発行日
2000

本研究は、世界各地の乾燥地で運転可能な風車と風力発電を開発することを目的として着手した。得られた研究業績の多くは、その取り組みの容易さから、サボニウス風車と直線翼垂直軸風車の数値シミュレーションにまず成果を得た。風車の性能試験は風洞実験施設の設計と建設に時間を必要としたこと、新技術風車もまた設計と試作に時間を必要としたので多くの研究業績を得るまでには至らなかった。この研究期間の内に挙げることができた研究業績は次のように分類することができる。(1)直接研究:サボニウス風車、垂直軸風車の数値シミュレーション、風洞実験など(2)関連研究:(a)沙漠に関する研究(b)風力発電に関する研究:(i)風況精査に関する研究(ii)風車の要素技術に関する研究本研究のために開発した風洞は、風車研究用風洞として世界に稀な特性を有する風洞である。すなわち、動翼ピッチ可変式の軸流送風機により定常風のほかに自然風のように時間とともに風速が変動する風を吹かせられる風洞であり、脈動風、突風、瞬間風の3種類の変動風パターンを発生することができる。この科学研究費補助金は地域連携を推進するための助成金であるので、地域の産学官連携に携わる人達、鳥取大学と共同研究を望む人達、流体力学の分野で活躍する研究者達、風力発電を事業化しようとする自治体の人達など、鳥取大学を訪れる多くの人達に沙漠環境風洞を見学する機会を提供した。さらに、本研究費の趣旨に則って、地域の企業との産学連携を積極的に推進するために多くの共同研究を受け入れ、鳥取県、NEDOや企業などからの委託研究も積極的に受け入れた。さらに、本研究は、最終年・平成14年度に文部科学省の21世紀COEプログラムに採択された鳥取大学「乾燥地科学プログラム」の自然エネルギーグループに研究が引き継がれる幸運が重なることになった。したがって、地域連携推進研究費で設計し試作した新技術風車は、その風車の改良を含めて、乾燥地科学プログラムのなかで、詳細な特性試験と再設計を繰り返して完成品へと導かれることになる。
著者
竹中 興慈 落合 明子 小原 豊志 井川 眞砂
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、アメリカ合衆国における「白人性」whiteness意識の構築とその展開過程を社会史的、文化的、思想史的側面から学際的、総合的に検討した。全年度を通じて、毎週1回、2〜3時間程度の研究会を開催した。研究会では、主としてD.Roediger, The Wages of the Whiteness(白人性の代償)をテキストにして、その内容理解とともに、諸問題に関するディスカッションを行った。そのなかで浮上した様々な問題点の解決、および各研究分担者の関連諸テーマを深めるための資料収集、およびアメリカ合衆国の研究者との意見交換のために、平成13年度に竹中興慈がイリノイ州シカゴ、平成14年度に井川眞砂がニューヨーク州エルマイラ、平成15年度に小原豊志がノースカロライナ州チャペルヒルへ出張した。研究補助金による研究の締めくくりとして、『アメリカ社会における「白人性」成立の学際的総合研究』を公刊した。各研究分担者が執筆した内容は、1.竹中が「日本における『白人性』研究の現状と展望」というテーマで、日本における「白人性」研究の持つ問題点と展望を考察した。2.井川は「『ハックルベリー・フィンの冒険』をめぐる人種主義論争-19世紀アメリカの白人作家が描写した黒人像」というテーマで、今日のアメリカ合衆国で展開されている本作品の人種主義論争に関わる黒人描写を検討した。3.小原は「アメリカ合衆国における黒人選挙権問題の19世紀的展開-選挙権における『白さ』の研究-」というテーマで、南北戦争を画期にした選挙権のおける「白さ」の構築・解消・再構築の過程を追究した。4.落合は「人種と記憶-『記憶の場』としての映画『グローリー』-」というテーマで、南北戦争をめぐる記憶の形成と、黒人の排除によって成立した白人性の構築との関係を検討した。
著者
小原 豊志
出版者
山口大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

今年度は、南北戦争以降の黒人選挙権問題の展開を検討した。特に報告者が注目したのは、南北戦争直後に成立した合衆国憲法修正第15条である。なぜなら本条項は「黒人選挙権保障条項」として知られるように選挙権における人種差別を禁止したにもかかわらず、結局のところ19世紀末の南部に展開した黒人選挙権剥奪運動を阻止しえなかったからである。そこで報告者は、本条項の成立過程を追跡することにより、同条項の意義を再検討できると考えた。考察から明らかになったのは、合衆国の国制的特質および当時の黒人選挙権観が本条項の成立に大きな制約を与えたということである。すなわち前者についていえば、そもそも建国期から選挙権授権権限は州に帰属していたのであり、連邦政府が選挙権問題に干渉する余地はなかったのである。こうした「選挙権におけるフェデラリズム体制」が既に確立していたために、連邦が直接黒人に選挙権を付与することは国制上不可能であったわけである。さらに後者についていえば、世論の反黒人選挙権感情は戦前から一貫して強固であり、奴隷制の存在しない北部においても大半の州が黒人選挙権を拒絶していた。しかしながら、憲法修正条項が成立するためには四分の三以上の州で承認を得る必要があったため、黒人に対象を限定した選挙権保障条項案は各州から否決されるおそれがあった。以上の国制的制約および世論的背景のために、合衆国憲法修正第15条は選挙権授権にあたって各州に人種資格の設定のみを禁止するという内容にならざるをえなかったといえる。以上のことから、合衆国憲法修正第15条は消極的かつ間接的な「黒人選挙権保障条項」であったといえ、本条項においても「選挙権のフェデラリズム体制」を根本的に変革し得なかったことが後の南部黒人選挙権剥奪運動を招来する一因であったといえる。