著者
古川(笠井) 恵美 内藤 孝子 松嶋 紀子
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.47-58, 2009

発達障害のある高校生をもつ保護者を支援する方策を考える資料とするために,保護者が心配していることを調査票により調査した.全国LD親の会の高校生相当の子どもを持つ会員527人を対象として,315人(59.8%)から回答を得た.彼らの子どもたちは一人で複数の診断名または判定名を持ち,学習障害(LD)が128人,注意欠陥多動性障害(ADHD)が84人,広汎性発達障害(PDD)が126人,知的障害(MR)が72人であった.通常の高校在籍者199人の障害の重複状況はLD単独が46人,LD・ADHDの重複が24人,LD・PDDの重複が13人,LD・MRの重複が4人,LD・ADHD・PDDの重複が6人,LD・ADHD・MRの重複が3人,LD・PDD・MRの重複が1人であり,199人中97人(48.7%)がLDを含む.また,ADHD単独は12人,ADHD・PDDの重複が4人,ADHD・MRの重複が2人,PDD単独が67人,PDD・MRの重複が5人,MR単独は12人であり,LDを含まない者が102人であった.なお,通常の高校においてMRを含む者は26人であった.多くの保護者は,状況判断が悪い,話すことに困難がある,自分の気持の表現が下手,不器用である,暗黙のルールがわからない等を心配していた,これらは人間関係がうまく築けない原因と考えられた.LDと他の障害が重複する場合は,LD単独の心配より他の障害の心配事が強く現れた.LDを含まない障害の重複は少数であった.ADHDは不注意,注意集中の困難が多く,PDDは上記の他,他人との付き合い方がわからないという心配があった.MRは上記の他,金銭の管理ができないという心配があった.学校側との連携は担任を中心に行われており,養護教諭の関与についてはわからないとするものが多く,保護者は養護教諭との関係性が薄い傾向にあることが推察された.発達障害のある生徒に関わる教員は,こどもや保護者とよく接触をして,一人ひとりの子どものタイプや特性を理解し,その特性に合わせた学習指導や生活支援が必要である.
著者
金澤 伸雄 有馬 和彦 井田 弘明 吉浦 孝一郎 古川 福実
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.388-400, 2011 (Released:2011-10-31)
参考文献数
44
被引用文献数
3 4

中條—西村症候群(ORPHA 2615, MIM 256040)は,幼小児期に凍瘡様皮疹で発症し,弛張熱や結節性紅斑様皮疹を伴いながら,次第に顔面・上肢を中心とした上半身のやせと拘縮を伴う長く節くれだった指趾が明らかになる特異な遺伝性炎症・消耗性疾患である.和歌山,大阪を中心とした関西と東北,関東地方に偏在し,30例近い報告がある.全国疫学調査で生存が確認された関西の10症例に加え,新規幼児例が和歌山で見出され,今後も増える可能性がある.長らく原因不明であったが,ホモ接合マッピングにより,免疫プロテアソームβ5iサブユニットをコードするPSMB8遺伝子のホモ変異が同定された.患者由来細胞,組織の検討により,本疾患ではプロテアソーム機能不全のためにユビキチン化,酸化蛋白質が蓄積することによって,p38 MAPK経路が過剰に活性化しIL-6が過剰に産生されることが示唆された.最近,欧米からもPSMB8遺伝子変異を伴う類症が報告され,遺伝性自己炎症疾患の新たなカテゴリーであるプロテアソーム不全症が世界に分布することが明らかになりつつある.
著者
細田 耕 古川 英光 吉田 一也 池本 周平
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では,イオン液体・イオンゲルを媒体としたネットワーク構造を持つ生物模倣ソフトセンサを開発し,多感覚モダリティ間の学習を行うことで,人間と同等の適応性を持つロボットハンドの実現を目的とする.イオン液体・イオンゲルを用いたネットワークは,近年の3次元プリンタ技術を駆使することで実現可能であり,進展に強く壊れにくく,回路が破損した際も,ネットワークに圧力をかけることで自律的に再構成し,治癒する.このような生物型ネットワークセンサを開発し,構造がもたらす多感覚モダリティを学習する方法を提案,人間と同等の適応性を持つロボットハンドを実現する.
著者
本山 達男 尾川 貴洋 田村 裕昭 古江 幸博 永芳 郁文 川嶌 眞之 佐々木 聡明 渡邊 裕介 小杉 健二 川嶌 眞人
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.254-257, 2015-03-25 (Released:2015-05-22)
参考文献数
7

膝外傷後の痛みで,単純X線で異常なくてもMRIで骨挫傷を認めることが散見される.靭帯損傷を伴わない骨挫傷単独例を,受傷機転,骨挫傷部位,疼痛が消失した時期,スポーツ復帰で検討した.対象と方法)対象は2011年11月より2013年12月まで,MRIで膝の骨挫傷単独例と診断し当院で加療を行った13例,13膝で平均年齢は19.6歳(13-36歳),男性10例,女性3例で,後ろ向きに調査を行った.結果)受傷機転はスポーツ中のもの6例,交通事故5例,子供のバットが当たったもの1例,不明1例であった.受傷部位は大腿骨内側顆10膝,大腿骨外側顆2膝,脛骨内側顆4膝,膝蓋骨1膝であった.疼痛の消失時期は受傷後より約3-7週で平均4.2週であった.考察)膝の単独の骨挫傷は診断にはMRIが必須で,予後は良好であるが,骨の外傷であり歩行時痛が消失するのは3週以上かかることが多く,スポーツ復帰は5週以上要した.
著者
金谷 整一 中村 克典 秋庭 満輝 寺川 眞理 池亀 寛治 長野 広美 浦辺 菜穂子 浦辺 誠 大山 末広 小柳 剛 長野 大樹 野口 悦士 手塚 賢至 手塚 田津子 川上 哲也 木下 大然 斉藤 俊浩 吉田 明夫 吉村 充史 吉村 加代子 平山 未来 山口 恵美 稲本 龍生 穴井 隆文 坂本 法博 古市 康廣
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 = Japanese journal of conservation ecology (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.77-84, 2005-06-30
参考文献数
24
被引用文献数
3

2003年9月に種子島の木成国有林で確認されたヤクタネゴヨウの新群生地において, 2004年1月に調査を行った結果, ヤクタネゴヨウ13個体とクロマツ7個体の枯死が確認された.これらのうち, 材片を採取したヤクタネゴヨウ10個体のうち7個体からと, クロマツ7個体のうち6個体からマツ材線虫病の病原体であるマツノザイセンチュウが検出された.このまま枯死したヤクタネゴヨウとクロマツを放置すると, 今後, マツ材線虫病被害が拡大すると予測されることから, すべての枯死木を伐倒し約50cmの丸太に玉切りし, 直径1cm以上の枝とともに個体群外へ搬出した.搬出した丸太と枝は, 焼物製作のための薪として焼却した.今回の活動を踏まえ, 今後のヤクタネゴヨウ自生地保全にむけたマツ材線虫病被害木のモニタリングから処理の一連の作業手順を提案した.
著者
林 義裕 若林 千裕 古畑 朋彦 新井 雅隆
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.72, no.716, pp.1021-1028, 2006-04-25 (Released:2011-03-03)
参考文献数
31

Mixture formation of diesel spray impinged on an extruded surface, which was a top of cylindrical column, was investigated experimentally. A diesel spray was impinged vertically to the extruded surface. The behaviors of impinged spray were observed using a high-speed drum camera. A spray volume was estimated from the photographs. Effect of cylindrical column diameter on spray behavior was investigated. Adhering fuel was measured by a primitive “wiping by paper and mass measuring” method under various conditions. Air-fuel ratio in spray was calculated from spray volume and adhering fuel. As the result, the behavior of diesel spray impinged on an extruded column was strongly influenced by the diameter of the extruded column. From the measured results, it is clear that the air-fuel ratio in spray in the extruded column diameter of 45 mm was larger than those in the other columns.
著者
加藤 亮 吉川 大弘 古橋 武
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回全国大会(2014)
巻号頁・発行日
pp.2A15, 2014 (Released:2018-07-30)

Web上の膨大な文書情報に対して分類・検索を行う場合,情報に対して適切なタグを付与することは有用である.しかし,膨大な情報すべてに対して,人手によりタグ付与を行うことは,労力や時間の点で非現実的である.そこで本稿では,潜在的ディリクレ配分法により得られたトピック情報を用いて,文書にタグを自動付与するシステムを提案する.実験により,提案システムの妥当性を検証する.
著者
加藤 亮 吉川 大弘 古橋 武
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第30回ファジィシステムシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.35-38, 2014 (Released:2015-04-01)

近年,ブログやtwitterなどの普及により,インターネット上には膨大な量の文書が投稿されている.しかし,それらの文書は無秩序に投稿されているため,所望の文書を効率的に検索することは容易ではない.そのため,多くの場合,人手により文書へのタグ付与がなされている.しかし,特にtwitterなど,タグが付与されていない文書もまだ多く,これら膨大な文書に対して管理者や投稿者がタグ付与を行うことは負担となる.そこで本稿では,潜在的なトピックを用いた文書への自動タグ付与システムを提案する.本稿では,実際のブログ文書に対してタグ付与実験を行い,提案システムの性能を評価する.
著者
古谷 将彦 西村 岳志 森田(寺尾) 美代
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.624-630, 2017-08-20 (Released:2018-08-20)
参考文献数
40

植物は生活環のほとんどで移動することはないが,「運動」する.さまざまな植物の運動の中でも「屈性」という成長運動は,進化論で有名なDarwinなど多くの研究者の興味をひ引いてきた,植物生理学の課題である.屈性の特徴は,植物が光,重力,水分,接触などの刺激の方向を認識したうえで成長方向を変化させる,という点にある.屈性は,刺激受容,細胞内シグナル伝達,細胞間シグナル伝達,器官屈曲の順に反応が進むと考えられる.後に紹介するが,細胞間シグナル伝達や器官屈曲とオーキシンとの関連性は,近年分子・細胞レベルの研究が進んでいる.本稿では重力屈性を中心に,最新の知見を概説する.また最後に,植物の側方器官が重力を指標に一定の角度を保って成長をする傾斜重力屈性と呼ばれる現象についての解説も加える.
著者
古谷 経衡 奥田 愛基
出版者
文芸春秋
雑誌
文芸春秋
巻号頁・発行日
vol.93, no.13, pp.152-159, 2015-11
著者
池田 登顕 柴田 昌和 古川 洋高 立壁 大地 神谷 真知子 塩野 浩章
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P3485, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】近年,腰部骨盤帯における機能解剖学的知見は増加してきている.特に多裂筋や腹横筋,骨盤底筋群,横隔膜は腰部骨盤帯への安定性に作用するといわれているが,これらの筋の明確な作用はまだ全て明らかにされていない.また,多様な臨床評価方法や運動療法なども紹介されてきてはいるが,明らかな誘発原因のない腰部骨盤帯疾患の発生機序は明確になっていない.今回,仙髄レベルに神経症状や梨状筋症候群,坐骨神経痛を患った症例に対する理学療法を経験した.その際,既存の機能解剖学的知見に基づいて理学療法を展開したが,治療後に症状は軽減したが消失しなかった.この課題を解決し,解剖学的な検証をするために腰部骨盤帯を観察する機会を設けさせていただいた.屍体は大殿筋が中央で切離され,梨状筋下孔が良好に観察できるものであり,仙骨のうなずきおよび腸骨の起き上がり操作介入による検討が可能であった.その結果,梨状筋の弛緩および梨状筋下孔の拡大を触診できた.そこで,前述の症例に対して屍体で得られた機能解剖学的所見と同様の操作を加えることで,各症例の症状に変化がみられるかどうかを検討することとした.【方法】仙髄レベルに神経症状や梨状筋症候群,坐骨神経痛を有し,明らかな誘発原因のない腰部骨盤帯疾患症例10名を対象とした.対象者は男性2名・女性8名であり,平均年齢は69.7歳であった.この10名のうち,症状と画像所見とが明瞭に一致したのは1名であり,症例は全て腰椎の後彎により症状が悪化した.この10名に対して以下の3通りの徒手操作をランダムに加え,操作後の症状の変化を,「消失」・「軽減」・「変化なし」の3通りから回答させた.徒手操作は,既存の臨床評価方法を参考にした,A仙骨のうなずき操作,B腸骨の起き上がり操作,C同時にAおよびBの操作である.なお,各操作は1日以上間隔を設け,操作における効果が消失してから次の操作を加えた.また,症例は本研究内容の説明をし,同意を得られた10名である.【結果】Aでは3名が「軽減」,7名が「変化なし」と回答し,Bでは2名が「消失」,2名が「軽減」, 6名が「変化なし」と回答した.Cでは全ての症例が「消失」と回答した.【考察】既存の知見では,多裂筋・腹横筋・骨盤底筋群および横隔膜は,腰部骨盤帯における安定性確保のための機能を1つのユニットを形成することで担っており,股関節周囲筋が補助的に担っているとされている.さらに,仙骨をうなずかせるように作用する筋は多裂筋であり,腸骨を起き上がらせる筋は大殿筋である.今回の症例では,仙骨のうなずきおよび腸骨の起き上がり操作により症状が消失した.これより大殿筋のロッキング作用によって,腸骨が固定されている環境下で多裂筋が効率的に働き,両者の相互作用によって,梨状筋下孔が拡大することで仙髄レベルでの神経通路が確保されている可能性を示唆された.
著者
伊藤 朗 古賀 由香 秦野 伸二 三上 俊夫 村上 秀明 後藤 浩史 丹 信介
出版者
一般社団法人 日本痛風・核酸代謝学会
雑誌
尿酸 (ISSN:03884120)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.65-74, 1986 (Released:2012-11-27)
参考文献数
21
被引用文献数
2

各種スポーツマン, すなわち陸上競技の投てき(以後投てきと略),同短距離(以後短距離と略),同跳躍(以後跳躍と略),同長距離(以後長距離と略),器械体操,水球,水泳,ラグビー・フォワード( 以後フォワードと略) , 同バックス(以後バックスと略),野球,ハンドボール(以後ハンドと略),バレーボール(以後バレーと略),バスケットボール(以後バスケと略),サッカー,弓道,スキー,テニス,柔道,モトクロスの尿酸代謝について検討した.被検者は,18-29歳の男性211名とした.結果は以下のとおりである.1)全員の血清尿酸値(以後SUAと略)は,正規分布を示し,平均値は5.95mg/dl,2 S.D.は3.07-8.83mg/dlであった.種目別のSUAは高値順から投てき,水球,野球と続き,低値順からはモトクロス,跳躍,バレーと続いた.2)全員の高尿酸血症(7,5mg/dl以上)発症率(以後発症率と略)は9.95%,種目別発症率は,高率順から投てき,野球(各25%),テニス(20%)と続き,モトクロス,弓道,スキーなど7種目は発症しなかった.3)全員の尿中尿酸排泄量は,正規分布を示し,平均値は692mg/day,2S.D.は220-1,161mg/dayであった.種目別では,高値順から野球,柔道,バックスと続き,低値順からは器械体操,水泳,弓道と続いた.4)全員の尿酸クリァランス(以後CUAと略)は,対数正規分布を示し,平均値は7.87ml/min,2S.D.は3.35-18.49ml/minであり,種目別では高値順から長距離,バレー,バックスと続き,低値順からは器械体操,サッカー,テニスと続いた.5)全員のSUAとCUAには相関が認められ,相関係数は- 0.523 (p<0.001) であった.以上の結果および各種目の運動特性を考慮すると以下の示唆が得られた.1)アマの一流でない一般のスポーツマンのSUAは,一般人の平均値より高値が13種目,低値が6 種目, また発症率が一般人より高率が7種目,同率5種目,低率7種目であり種目間の差が著しく,なかには運動の影響のみられない種目があることが示唆された.本対象のSUA,発症率は最高でもプロ,アマー流選手より低く,活躍度が関係していることが示唆された.2)各種目の運動特性と尿酸代謝の関係は,パワー,有気的持久性,無気的持久性が多く含まれている種目の影響が大きく,なかでもパワーの影響が大きい.またパワー,有気的持久性が多く含まれ,無気的持久性の少ない種目は,尿酸産生過剰型であることが示唆された.一方,無気的持久性が多く含まれる種目は,尿酸排泄低下型であるが,パワー,有気的持久性の要素も含まれる種目では産生過剰の両型あることが示唆された.
著者
古川 安之
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.899-907, 1992-08-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
55

交感,副交感神経は心臓にも分布し,心臓機能を調節している.ここでは心臓内の交感,副交感神経の分布様式の差異と心臓内の自律神経刺激が洞調律と房室伝導に与える影響について解説を試みた.洞調律と房室伝導を調節する副交感神経節が心臓外膜側に独立して存在することが示されたことから,我々は麻酔犬を用い,直接それぞれの副交感神経節前線維を電気刺激する方法を開発し,洞調律と房室伝導に対する副交感神経刺激の作用をそれぞれ独立して観察した.さらに,洞調律と房室伝導に対する副交感神経興奮の相互作用を検討し,副交感神経興奮による房室伝導時間の延長が方法のいかんに拘らず洞周期の延長によって短縮されることを示した.また,心臓内の一部の交感神経を刺激することによって洞調律あるいは房室伝導時間を選択的に直接短縮できることを示すとともに,房室結合部調律のような補充調律も一部の交感神経の興奮によって惹起できることを示した.さらに,左右からの迷走神経は心臓内副交感神経節を介しそれぞれの神経節が1:1の対応で洞調律あるいは房室伝導を調節しており,交感神経の多重支配とは異なることを示し,解説した.
著者
天笠 正孝 斎藤 善郎 鈴木 誉一 内田 武士 古川 保
出版者
工業化学雑誌
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.1841-1849, 1970
被引用文献数
1

シクロヘキセンを出発原料とし,硝酸酸化によりアジピン酸を製造することを目的とし,反応条件を研究した。1)シクロヘキサノールの硝酸酸化:この反応において硝酸消費量はシクロヘキサノール1molにつき2.2~3molであり,アジピン酸収率が高くなる反応条件下においては硝酸消費量が少なくなることがわかった。2)シクロヘキセンの硫酸水和-硝酸酸化2段法によるアジピン酸の製造:硫酸水和反応で副生する黒色物質はシクロヘキセン中の微量過酸化物を除くことにより解決された。シクロヘキセンと硫酸の反応で上層に分かれてくる有機層を分離し,これよりシクロヘキセンを留去したものを硝酸酸化して92%の収率でアジピン酸を得た。3)シクロヘキセンの硝酸酸化によるアジピン酸の製造:過塩素酸添加濃度,反応温度,触媒濃度の変化に対し,それぞれアジピン酸収率72%,グルタル酸19%,コハク酸6%,油状物5wt%であった。
著者
古川 聡子 河口 勝憲 加瀬野 節子 前田 ひとみ 末盛 晋一郎 通山 薫
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.648-654, 2014-09-25 (Released:2014-11-10)
参考文献数
3
被引用文献数
1

溶血・混濁は測定値に影響を与えるため,血清情報(溶血・混濁)を臨床側に報告することは病態把握および検査値を解釈する上で必要である.しかし,血清情報に関しては各施設任意の判定基準を採用しており,標準化が行われていないのが現状である.そこで,現状把握のため調査を実施した.調査内容はアンケート調査,溶血・混濁の希釈系列を用いたコメント付加開始点の調査(岡山県近隣施設の施設間差と目視判定の個人差)および測定値への影響について行った.アンケート調査では,約7割の施設が自動分析装置で血清情報の測定を行っており,報告形態は定性値の軽度(弱または微)・中度・強度の3段階が最も多く使用されていた.溶血のコメント付加開始点の調査ではヘモグロビン(Hb)濃度40~50 mg/dLでの設定が多く,Hb濃度50 mg/dLにおける測定値の変化はLD:53.0 U/L(+29.7%),K:0.16 mEq/L(+4.2%),AST:2.5 U/L(+10.2%)の上昇であり,その他の項目では影響(変化率:4%未満)は認めなかった.混濁のコメント付加開始点はイントラリポス濃度0.02%前後の設定が多く,イントラリポス濃度0.02%では測定値の変化は認められなかった(変化率:4%未満).また,溶血・混濁のコメント付加開始点は施設間で異なり,目視判定も個人の認識に差があることが明らかとなった.
著者
古屋鐡石著
出版者
精神研究会
巻号頁・発行日
1906