著者
澤木 優治 山本 裕泰 本村 和也 山本 正彦 古川 研治 斉藤 修
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-001706, (Released:2022-08-26)
参考文献数
27

左頭頂葉白質を中心とした脳梗塞により第一言語である日本語と第二言語である英語の混同および音韻性錯語を呈した左利きバイリンガル症例について報告した.症例は日本語および英語のバイリンガルである46歳の左利き女性であった.本症例では発症急性期より理解面は聴覚・視覚のいずれの経路も良好に保たれた一方で,表出面においては日本語発話時に日本語と英語の混同を認めた.拡散テンソル画像の分析から,本例の言語症状の出現には左下頭頂小葉直下の白質線維である上縦束や弓状束の関与が示唆された.
著者
重藤 隼人 田中 陽一 古賀 優之 大住 倫弘 森岡 周
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.133-140, 2020-09-30 (Released:2020-09-30)
参考文献数
23

Central sensitization (CS) and psychological factors are associated with pain intensity. However, it has remained unclear whether the effects of central sensitivity syndromes and cognitive ⁄ emotional factors differ depending on the severity of pain and the pain quality. Our purposes were to perform subgrouping based on central sensitivity syndromes and pain intensity, and to clarify the difference in central sensitization syndrome and pain intensity between subgroups.Fifty–nine patients with musculoskeletal pain were included in this cross–sectional study. Pain intensity and psychological problems were assessed with Central sensitization inventory (CSI–9), Short–Form McGill Pain Questionnaire 2 (SFMPQ2), Hospital Anxiety and Depression Scale (HADS), Pain Catastrophizing Scale (PCS–4). The cluster analysis with a ward method was used to divide patients into subgroups based on central sensitization syndrome and pain intensity. In addition, Kruskal–Wallis test, multiple comparison (Bonferroni method), and Fisher’s exact test were performed to compare clinical outcomes between subgroups. The level of significance was set at 5%.The cluster analysis classified into three subgroups. One subgroup of patients (n=11) was characterized by high level of central sensitivity syndromes, pain intensity and psychological problems. A second subgroup (n=19) was characterized by low level of central sensitivity syndromes, moderate level of pain intensity, high level of psychological problems. The third subgroup (n=29) was characterized by low level of central sensitivity syndromes, pain intensity and psychological problems. That is, one subgroup was mainly affected with central sensitivity syndromes, and another subgroup was affected psychological factors. These results indicated the differences in pain mechanism among subgroups.
著者
古川 健司 重松 恭祐 岩瀬 芳江 三上 和歌子 星 博子 西山 孝子 大塚 藍 阿部 宏子
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.1139-1146, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
25

【目的】がんに対する糖質制限食として、medium chain triglyceride(以下、MCTと略)オイルの少ない修正MCTケトン食を導入し有効性を検討した。【方法】ステージⅣ進行再発大腸癌患者10例に、ケトン比が1.4:1の修正MCTケトン食を1年間抗がん剤と併用し、RECIST判定、血中総ケトン体、quality of life(以下、QOLと略)の評価を行い、ステージⅣで抗がん剤治療のみを行った群14例と比較検討を行った。【結果】抗がん剤単独群は、CR0例、PR3例、SD6例、PD5例で、奏効率21%、病勢コントロール率64%で、ケトン食併用群は、CR5例、PR1例、SD1例、PD3例で、奏効率60%、病勢コントロール率70%で、1年継続することで、CR率が50%に上がった。【結論】ケトン食併用の抗がん剤治療は、抗がん剤単独群と比較し、奏効率、病態コントロール率が高く、ステージⅣ大腸癌の支持療法になると思われた。
著者
北田 宗弘 古家 大祐
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.294-301, 2013-05-01 (Released:2014-05-01)
参考文献数
46

栄養応答シグナルは,アミノ酸やグルコースなどの栄養素摂取や活動により刻々と変化する細胞内のエネルギー状態を認識し,個体のエネルギー・栄養代謝の恒常性を維持している.栄養過剰状態では,栄養応答シグナルの調節不全として,mTOR経路(栄養過剰シグナル)増強やSIRT1, AMPK(エネルギー不足感受シグナル)の減弱が生じることで,エネルギー代謝の恒常性が正の方向へ破綻する.その結果,肥満・メタボリックシンドローム・糖尿病を引き起こしている可能性が考えられるため,栄養応答シグナル調節不全の是正,すなわちmTOR経路抑制やSIRT1, AMPK活性化が治療標的として期待できる.
著者
神田 賢 北村 拓也 金子 千恵 井出 愛実 古西 勇 渡辺 慶 佐藤 成登志
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.407-416, 2019 (Released:2019-12-20)
参考文献数
49

【目的】地域在住高齢者女性の本態性慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子を比較した。【方法】地域在住高齢者女性33 名(有訴群22 名,無有訴群11 名,平均年齢71.1 ± 4.4 歳)を対象に,頭部突出角度(以下,FHA),上位胸椎前傾角度,頸部屈筋群持久力,頸部機能不全度(NDI)を評価した。【結果】肩こり有訴の有無におけるFHA,上位胸椎前傾角度では,有意な差を認めなかったが,頸部屈筋群持久力では,有訴群が無有訴群と比較して有意に低い値を示し,頸部機能不全度では,有訴群が無有訴群と比較して有意に高い値を示した。また,筋持久力においては,肩こり有訴群のオッズ比が有意に高い値を示した。【結論】地域在住高齢者女性においては,頸部屈筋群持久力は本態性の慢性肩こり有訴に影響を及ぼす因子となることが示唆された。また,本態性の慢性肩こり有訴は,頸部機能にも影響を与える要因となることが示唆された。
著者
加古 哲也 持田 耕平 中務 明 小林 伸雄
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.339-347, 2020 (Released:2020-12-31)
参考文献数
21

日本固有の多年草であるトウテイラン(オオバコ科クワガタソウ属,絶滅危惧II類)について,隠岐諸島における自生状況の調査を行い,さらに自生個体に由来する実生を栽培し,園芸的観点から評価を行った.隠岐諸島内の幅広い環境に分布する本種には,草姿,花器形質,開花期に多様性が確認された.その草姿および花器形質の多様性を活用し,切花,鉢花,苗物など幅広い用途に利用可能であることが示唆された.花色についても従来の青紫色に加え,白色,紫色の個体が見いだされ,育種素材として活用することで花色の幅の拡大が期待される.また,開花期間の異なる個体を利用することで長期間にわたり生産,観賞できることが示唆された.地域特産遺伝資源であるトウテイランの特性を活かした今後の新品種の育成,生産方法の確立を通じ,日本原産の新規花き品目としての活用が期待される.
著者
高本 真寛 古村 健太郎
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.14-27, 2018-03-30 (Released:2018-04-18)
参考文献数
38
被引用文献数
7 4

本研究は,大学生がアルバイトを行うことによって精神的健康と修学にどのような影響を受けるのかについて検討した。研究1では,大学生284名を対象に,アルバイト就労と抑うつとの関連を検討した。決定木分析の結果,心理的負荷のかかる出来事(職場での人間関係のトラブルやサポート源の消失)の方が深夜勤務よりも抑うつへのリスクが高いことが示された。研究2では,大学生324名を対象に,アルバイト就労と修学との関連について検討した。決定木分析の結果,アルバイト就労による授業等の欠席および期末試験期間中のアルバイト就労が修学困難に対するリスク要因となることが明らかとなった。本研究の結果から,大学生が修学に支障を来すにいたるまでのプロセスには,(a)アルバイト中に心理的負荷のかかる出来事を経験することで精神的不調になり修学困難に至る,(b)深夜勤務による睡眠不足や疲労の蓄積が大学への出席に支障を来すことで修学困難に至るという2つの存在が示唆された。
著者
橋爪 圭司 渡邉 恵介 藤原 亜紀 佐々岡 紀之 古家 仁
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.141-149, 2011 (Released:2011-03-11)
参考文献数
12
被引用文献数
1

髄膜が破れて髄液が漏れると低髄液圧性頭痛が発症する.代表的なものに硬膜穿刺後頭痛がある.特発性低髄液圧性頭痛(特発性脳脊髄液減少症)は頚・胸椎からの特発性漏出が原因で,造影脳MRI,RI脳槽造影,CT脊髄造影などで診断される.自験ではCT脊髄造影での硬膜外貯留が最も確実であった.むちうち症が髄液漏出であるとの意見があり(外傷性脳脊髄液減少症),RI脳槽造影における腰椎集積が漏出と診断される.われわれはRI脳槽造影とCT脊髄造影を43症例で比較したが,腰椎集積はCT脊髄造影では正常神経根鞘であった.CT脊髄造影を診断根拠とした291症例では,1症例の外傷性脳脊髄液減少症も発見できなかった.
著者
古村 健太郎
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.195-206, 2017 (Released:2017-04-27)
参考文献数
33
被引用文献数
3 2

本研究では,恋愛関係への接近・回避コミットメントが恋愛関係における感情経験に与える影響を検討した。異性愛カップル91組を対象とした質問紙調査によって得られたペアデータを用い,個人内過程,個人間過程,パートナー調整効果を検討するため,行為者-パートナー相互依存性調整モデル(actor-partner interdependence moderation model: APIMoM)による分析を行った。その結果,個人内過程において,男女ともに,個人の接近コミットメントが感情バランスをポジティブにした。また,接近コミットメントが弱い場合に,回避コミットメントが感情経験をネガティブにした。個人間過程では,男性の接近コミットメントが女性の感情経験をポジティブにした。さらに,パートナー調整効果については,男性の接近コミットメント×女性の回避コミットメントが男性の感情経験と関連し,女性の接近コミットメント×男性の回避コミットメントが女性の感情経験と関連した。これらの結果について,接近・回避コミットメントが促進しうる行動や相互作用の観点から考察を行った。

6 0 0 0 OA 名古屋市史

著者
名古屋市 編
出版者
名古屋市
巻号頁・発行日
vol.社寺編, 1916
著者
古瀬 暢達 鶴 浩幸 角谷 英治
出版者
一般社団法人 日本統合医療学会
雑誌
日本統合医療学会誌 (ISSN:24355372)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.12-23, 2020-05-20 (Released:2021-05-20)
参考文献数
61

目的 : 「眼疲労および眼精疲労に対する鍼治療」 に関する研究の現状を調査すること。方法 : 医中誌WebおよびPubMedを用いて、関連する研究と症例報告を収集し、本分野における研究の現状について分析した (2019年7月検索) 。結果 : 42文献が収集された。内訳は、ランダム化比較試験が4件、準ランダム化比較試験が6件、比較研究が6件、比較対照群のない研究が13件、症例報告が13件であり、システマティックレビューは報告されていなかった。2010年代の文献数が24文献であり、それ以前と比べて大幅に増加していた。介入・治療は、鍼の種類、通電、刺鍼手技、刺鍼深度、配穴、治療理論、負荷の設定などさまざまな要素の組み合わせで行われていた。収集された多くの文献で、眼疲労または眼精疲労に鍼治療が有効であることが示唆されていた。考察・結論 : 今後、本分野における質の高い研究がさらに蓄積され、より高いレベルのエビデンスが提示されることが望まれる。
著者
中村 航 古谷 誠章
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.661, pp.583-591, 2011-03-30 (Released:2011-03-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 1

There is an “Illegality” on people's activity like hawkers on street. It can be considered coexistence of the spontaneous order as “code” and free behavior without restriction from the law. With that background, Hawker's behavior was analyzed through the comparison with the cases of 4 South-East Asian Cities based on following 3 aims.1. To show the effective utilization through a classification of eating activities on the street as an urban public space.2. To discover the “code” developed from hawker's relations between themselves as a making spontaneous order with their unspoken agreement.3. To obvious the relationship between citie's “code“ and people's behavior.
著者
内田 智也 古川 裕之 松本 晋太朗 小松 稔 佃 美智留 土定 寛幸 大久保 吏司 藤田 健司
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.105-112, 2020 (Released:2020-04-20)
参考文献数
26

【目的】投球動作におけるステップ脚膝関節動作と肘外反トルクとの関連から肘関節負荷を増大させる動作を検討する。【方法】中学生投手20 名のFoot Contact(以下,FC)以降のステップ膝動作を膝関節位置の変位が生じない固定群と投球方向へ変位する前方移動群の二群に群分けした。FC・肩関節最大外旋位(以下,MER)・ボールリリースのステップ膝屈曲角度,投球中の肘外反トルク(身長・体重での補正値)および投球効率(肘外反トルク/ 球速)を群間比較した。【結果】固定群は14 名,前方移動群は6 名であり,前方移動群のステップ膝屈曲角度はFC からMER にかけて増大することが示された。また,肘外反トルクおよび投球効率は固定群が前方移動群より有意に低値を示した。【結論】前方移動群はFC 以降に膝の縦割れが生じていることで,肘関節に過度な負荷が加わっていることから,ステップ膝動作の評価は野球肘の理学療法において重要であることが示唆された。