著者
岡村 靖 北島 正大 荒川 公秀 立山 浩道 永川 正敏 後藤 哲也 倉野 彰比古 中村 正彦 丸木 陽子
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.91-102, 1979-03-01

人間の寿命は70年±10年であり, 無限の空間と久遠の宇宙実存において思惟するならば, 人間の一生は瞬時の生命に過ぎない。しかし, その間, 先天的な素因, および, 環境要因に加えて, 感情や意志, すなわち, 人間の大脳皮質, とくに, 新皮質の神経細胞の機能が, 側体のhomeostasisを司る内分泌一自律神経系に種々の影響を及ぼして疾病が発生し, また, 多様な予後を示すので, 心身相関の問題は, 疾病の発生, 経過, および, 治癒の上に極めて重要である。したがって, 疾患の発生機序について, 心理学, 内分泌学, ならびに, 自律神経学の3方面から, 系統的な研究, ならびに, 考察を行い, 疾患のとらえ方に新しい概念を導入した。そして, この概念に基づいて疾患の診断と治療を行なう意義の重要性を提起した。その具体例として, 内分泌疾患, 自律神経失調症, および, 分娩における, 心身の環境因子と精神-自律神経-内分泌系との関連について研究を行った成績を述べた。(1979年1月16日 受付)
著者
笹本 洋子 松村 正 小林 由佳 内古閑 修 長澤 利彦 十川 裕史 佐々木 環
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.49, no.9, pp.599-604, 2016 (Released:2016-09-29)
参考文献数
22
被引用文献数
1

7X歳女性, 血液透析 (HD) 歴1年. 透析当日, 来院時から全身倦怠感と発熱 (37.5°C) を認め入院となった. 血液培養検査でG群β溶血性レンサ球菌を検出した. 一時40°C近い発熱と敗血症様の症状を呈し全身状態が悪化したが, 抗菌薬の点滴により全身症状は速やかに改善した. しかし同時に両眼の視力低下を認め, 敗血症による両眼の内因性細菌性眼内炎と診断された. 内因性細菌性眼内炎は, 視力予後不良な疾患として知られているが, 幸いにも速やかな診断の上で抗菌薬の全身投与と抗菌薬の頻回点眼により最終的には視力回復を得た. 今回, われわれは早期の診断と適切な抗菌薬の全身投与によりG群β溶血性レンサ球菌 (GGS) の敗血症から発症した内因性眼内炎から視力回復した症例を経験した.
著者
古川 亮
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本研究課題の遂行課程で、粘性の圧力微分の逆数を超える剪断率を与えたとき、液体の一様状態が不安定化し、遂にはキャビテーションやシアバンドどいった非線形現象に至るという全く新たな機構を提案した。この機構は特に粘性の大きな液体系について広く成立しうるものであると予想しており、この研究で得られた知見を基に、さらなる一般化を行った。特に過冷却状態あるいは、ガラス状態にある極めて高粘性な液体や固体(金属ガラスや地球マントルなど)の塑性変形の機構、あるいはシアバンド形成、破壊、疲労現象などの不均一化を伴う変形について理解するために、自由体積などミクロな描像を有効的に組み入れたメソスケールモデルの立場から、系統的な研究を行ってきた。そのほかに、下記のような研究を展開した。(i)過冷却液体中に成長する動的不均一構造と輸送物性の関係について、主に数値シミュレーションを援用して、新たな知見を得た。(ii)膜の連続体シミュレーション法を開発し、流体力学相互作用など複雑な効果がある場合につい研究を行った。これらの研究についても、現在、論文投稿中である。
著者
竜崎 崇和 松下 雅博 半田 みち子 古川 智洋 猿田 享男
出版者
The Japanese Society for Dialysis Therapy
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.45-51, 1998

カルシウム拮抗薬ベシル酸アムロジピンの血液透析患者における有用性と血液透析による透析性を検討した. 対象は維持血液透析施行中の高血圧を合併した慢性腎不全患者で, 観察期透析前血圧が収縮期血圧160mmHg以上または拡張期血圧95mmHg以上の外来患者19例. 2~4週間の観察期の後, アムロジピンを2.5~7.5mg/日の量にて投与開始. 服薬は夕食後の1日1回投与とし, 12週間の投薬期間中透析前後で血圧を測定し比較した. その間, 他の降圧薬を服用している患者では降圧薬の変更を禁止し, その後も除去率やクリアランスの測定を施行した例では薬剤の変更は行わなかった.<br>アムロジピンの血清濃度の測定を第1週および第2週目に透析前に施行, 4週以上投与された安定期-1と, 12週以上投与された安定期-2にクリアランステストを施行し, 除去率も計算した.<br>アムロジピン5mg/日服用の15例では, 観察期の透析前収縮期圧, 拡張期圧は, 199±4/95±3mmHgであった. アムロジピン服用開始1週後より有意に血圧は低下し, 12週後には170±5/83±3に低下した. また, 心拍数は観察期には81±2拍/分であったが, 服用開始1週間後に有意に減少し75±2となった. 服用開始2週目以降は観察期と比べ有意な変化は認められなかった. また, 透析後の血圧および心拍数の変動では服用開始1週以降に収縮期血圧で有意な低下を認めたが, 拡張期血圧は第4週と8週に有意な低下を認めただけであった. 透析後の心拍数については, 有意な変化は認められなかった.<br>透析前アムロジピン血清濃度は5mg/日服用者で, 第1, 2, 4週以降, 12週以降でそれぞれ, 6.8±0.8ng/ml, 7.1±0.7, 8.1±1.0, 8.6±1.2であったが有意な差は認められなかった.<br>透析後のアムロジピン血清濃度は透析前の値と比較しても, また, 透析が行われなかった場合の予測値と比較しても有意に低下していた. 透析による除去率は14%から18%であったが, 透析開始1時間という一時点でのクリアランスでは負の値を示した.<br>アムロジピン投与にて血液透析患者の透析前血圧は投与1週間後より12週間まで有意に低下した. また, 少なくとも投与12週間までの間では, 5mg/日の投与量では有意な蓄積傾向はなく, 血液透析による除去率は14~18%であった.<br>結論: ベシル酸アムロジピンは透析患者においても通常投与量で長期投与にても蓄積なく, 安全に降圧し得ると思われた.
著者
明石 恵司 近藤 秀樹 槙永 剛一 森岡 千佳子 松村 喜志雄 越智 直哉 古河 辰之 鄭 庸勝 谷口 典男 田中 重実 金子 仁郎 西村 健
出版者
The Japan Academy of Neurosonology
雑誌
Neurosonology:神経超音波医学 (ISSN:0917074X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.33-37, 1996-05-31 (Released:2010-10-14)
参考文献数
4

This study was performed to examine the effects of mental arithmetic (MA) on cerebral blood flow (CBF) . We recorded the blood flow velocity before, during and after mental arithmetic in the bilateral internal carotid arteries (ICA) and vertebral arteries (VA) simultaneously and continuously in nine healthy males (25.8±7.2 y.o.) . The subjects performed MA for 30-60 seconds. The mean values of blood flow velocity (BFV) were calculated for each pulse using an FFT-analyzer.We observed BFV in 24 ICAs and 9 VAs in all of the 9 subjects. During MA in comparison with the period before MA, BFV in the 10 of ICAs and the 3 of VAs increased significantly, however BFV in the other 3 of ICAs decreased significantly and the rest 11 of ICAs was unchanged. The number of increases was significantly higher than that of decreases and no changes. After MA compared with the period during MA, BFV in the 3 ICAs and the 3 VAs decreased significantly, however BFV in one ICA increased significantly and the rest of 20 ICAs was unchanged. Also the blood pressure and heart rate were unchanged during MA.In summary, our study identified and documented statistically significant changes in cerebral blood flow velocity during MA. And it was suggested that some other factors, such as mental state, have influence on cerebral blood flow velocity during MA.
著者
古城 和子 黒岩 純子
出版者
九州女子大学・九州女子短期大学
雑誌
九州女子大学紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:09162151)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.21-39, 1999-09

平成10年度入学生から、小学校・中学校教諭普通免許状の取得要件として、「教員が個人の尊厳および社会連帯の理念に関する認識を深めることの重要性と教員の資質向上および学校教育の一層の充実を図る」観点から『介護等体験』が義務づけられた。『介護等体験』を充実した教師教育のプログラムとするためには、養成側の大学での事前・事後指導と、受入側の各学校・施設における体験とが、有機的に結び付き、学生が障害者や高齢者等との交流・介護・介助等を通して、価値観の相違や地域社会での共生等を学ぶことが必要である。本研究は、初年度の『介護等体験』の体験生を対象に、現場での具体的な体験内容を集約し、今後の指導上の課題を探り、現場に即した事前指導の在り方を検討することを目的として行なわれた。その結果、学生の体験内容から、1)養護学校、社会福祉施設での体験に違いがあること、2)養護学校、社会福祉施設共にそれぞれの学校・施設の種別によって求められる体験が異なっていることが明らかとなった。また、指導上の課題としては、1)基礎的介助・介護の説明・実習、2)受入先の養護学校、社会福祉施設に関する説明及び入所者・通学(通所)者の状態・症状についての説明、3)入所者・通学(通所)者とのコミュニケーションの取り方の指導、4)一人ひとりに合わせた対応の仕方についての指導の必要性があることがわかった。
著者
古賀 崇
出版者
日本アーカイブズ学会
雑誌
アーカイブズ学研究 (ISSN:1349578X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.129-132, 2016

史上はじめての包括的・国際的なアーカイブズ学事典と銘打って刊行された本書につき、Encyclopedia of Library and Information Sciences, 3rd ed.(CRC Press, 2010)と比較しながら紹介・論評した。
著者
古川 厚 塚原 宏子
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.31-34, 1965-08-30 (Released:2010-03-09)
参考文献数
6

従来, 水棲生物飼育のために, 多くのコンクリート池が使用されているが, 新らしくコンクリート池を造成した場合, その直後に生物を入れると, へい死するという事実は各所で知られている。この原因がいわゆるコンクリートの“アク”といわれる物による事もよく知られている。しかし各所で種々な方法によって“アク抜き”が行なわれているにもかかわらず, 公開されている文献は極めて少ない (1) (2) (3) 。我々は新らしくコンクリート池を造成した際に, pH変化及び温度変化を自記々録させたのでその結果を紹介する。
著者
古西 満 善本 英一郎 三笠 桂一 成田 亘啓
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.87, no.11, pp.2234-2239, 1998-11-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7

敗血症の臨床像は患者の基礎疾患で異なり,ショックや播種性血管内凝固症候群(DIC)を合併した症例は予後が不良で,敗血症治療時には合併症治療も行なう必要がある.敗血症性ショックの病態は末梢血管拡張と血管透過性亢進とによる循環障害で,治療の基本は体液補正である.敗血症によるDICは線溶抑制型で,より臓器障害を起こし易いので積極的な治療が求められる.したがって感染症治療時は原因治療とともに全身管理が重要な課題となる.
著者
古谷 真帆
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
中国研究月報 (ISSN:09104348)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.41-50, 2007-04

急速な経済発展を遂げる隣国中国の知的財産権侵害の実情は日本でも頻繁に報道されている。この様に知的財産保護に関し問題視される中国が,現在国家知的財産戦略制定作業を進めている。本稿は,近く発表されるであろう国家知的財産戦略の内容を既に制定されている地方知的財産戦略の内容等から予測し,中国が有効な知的財産の取扱いをどの様に捉えているかについて考え,知的財産権問題で中国が置かれている立場を探ろうと試みるものである。
著者
古村 健太郎 村上 達也 戸田 弘二
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.303-313, 2016
被引用文献数
18

The purpose of this study was to translate the Experience of Close Relationship-Relationship Structure (ECRRS) and evaluate its validity. In study 1 (N = 982), evidence based internal structure (factor structure, internal consistency, and correlation among sub-scales) and evidence based relations to other variables (depression, reassurance seeking and self-esteem) were confirmed. In study 2 (N = 563), evidence based on internal structure was reconfirmed, and evidence based relations to other variables (IWMS, RQ, and ECR-GO) were confirmed. In study 3 (N = 342), evidence based internal structure (test-retest reliability) was confirmed. Based on these results, we concluded that ECR-RS was valid for measuring adult attachment style.
著者
樋脇 弘 馬場 愛 江渕 寿美 古田 宗宜 小田 隆弘 宮本 敬久
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.120-126, 2009
被引用文献数
2

<i>C. jejuni</i> の<i>hip</i> 遺伝子,<i>C. coli</i> に特異的な<i>glyA</i> 遺伝子配列,および<i>C. jejuni</i>/<i>coli</i> に共通する<i>glyA</i> 遺伝子配列を増幅する3種類のLUX蛍光プライマーセットを作製した.<i>C. jejuni</i> を検出するJ-hip-FU/RLは<i>C. jejuni</i> に対して,<i>C. coli</i> を検出するC-glyA-FU/RLは<i>C. coli</i> に対して,<i>C. jejuni</i>/<i>coli</i> を検出するJC-glyA-FL/RUは<i>C. jejuni</i> と<i>C. coli</i> の両菌種に対して特異的であるとともに,定量性に優れ,検出感度も良好であった.<br>食品サンプル25 gの増菌液10検体を用いて,これらのLUX蛍光プライマーによるLUX-qPCRを実施した結果,LUX-qPCRの成績は培養法の成績と完全に一致した.さらに,食品サンプル10 gの増菌液35検体を用いて,J-hip-FU/RLとC-glyA-FU/RLを組合せたM-LUX-qPCRを実施した.その結果,M-LUX-qPCRが陰性であった増菌液では培養成績も陰性となったが,M-LUX-qPCRが陽性となったすべての増菌液から菌が分離されず,M-LUX-qPCRと培養法の成績は完全には一致しなかった.本法は,増菌液からのスクリーニング試験あるいは分離した菌の迅速な鑑別・同定検査に有用であると考えられた.
著者
古賀 史子 福田 平八郎 松尾 哲子
出版者
社団法人日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.282-291, 2002-10-15
被引用文献数
3

今日サービス供給の仕方が自給から外部依存へと推移してきており, その一つの要因として質の高いサービスが求められるようになってきたことがあげられる.しかしながら, サービス企業の品質評価に関する一般的な指標は未だ得られていない.そこで, われわれはサービス企業の品質を評価する手法の開発を目的として, 次のことを行った.(1)製造業に最も近いサービス業としてクリーニング企業をとりあげ, 顧客属性の最低要求水準を稼働率のある上限という最小コストで評価するという論点から, 福田の"相対的期間利益と稼働率の理論的関係"のノウハウを活用することにより, 品質面の相対的収益性(品質力)とその理論的標準値を求める.(2)品質力と標準的稼働率の関係を理論的に導き, 標準的稼働率をパラメータとして品質力と相対的期間利益の関係を求め, これらの妥当性を白洋舎の実績資料により検証する.(3)品質力の理論的標準値と標準的稼働率を用いて, クリーニング取次手数料率の理論的標準値の算出式を与え, それによる試算が現実を反映しているかをみる.その結果, サービス企業の一般的に比較可能な品質評価指標(品質力)とその標準値が得られた.