著者
吉田 勝行 吉田 将行
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.127-132, 2001

パーソナル・コンピューター, カラー・プリンター, ディジタル・カメラ等のハードウェアと画像処理ソフトウェアの普及により, 3次元立体や空間に関する図や写真の加工が容易となり, その結果が説明図として, 一般にも利用されるようになってきている。しかし, 図法に対する理解が無いまま3次元立体や空間に関する図に加工がなされると, 思いもよらない誤りが図中に生じ得る。しかも, 平成10年12月14日に告示の小学校及び中学校学習指導要領, および平成11年3月29日に告示の高等学校学習指導要領によれば, 高校卒業までにこうした事柄について学ぶ機会は設けられていない。身の回りの空間や立体を図として正確に美しく表現し, 誤り無く他に伝えるための素養は, 加工された図が一般に流布する時代には, 文字による正確で美しい文章の作り方等と同様に, 初中等教育の中で修得させておく必要がある重要な項目の一つである。図的表現についての許容限界を吟味して, 初等および中等教育に盛り込むべき内容を検討する。
著者
高橋 英孝 笹森 典雄 吉田 勝美 近藤 健文
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.47-49, 1993-10-20 (Released:2012-08-27)
参考文献数
21

人間ドックを受診したL806名(男1,502名,女304名)に生体インピーダンス法による体脂肪率の測定を実施し,体格指数と体脂肪率の組合せによる肥満評価法の検討を行った。体格指数および検査正常者(男133名,女45名)における体脂肪率の平均値と標準偏差は,男18.9±4.7%,女23.2±3.4%であった。体格指数正常かつ体脂肪率が男15~23%,女20~27%を標準値とし,体格指数が正常でも体脂肪率の増加がみられる者は,早期肥満として生活指導の対象になると考えられた。
著者
吉田 勝二 今西 実
出版者
Japanese Society of Tea Science and Technology
雑誌
茶業研究報告
巻号頁・発行日
vol.1976, no.44, pp.32-38, 1976

奈良県における昭和48年度の品評会茶150点のうち,上位50点,下位50点からそれぞれ任意に抽出し,計32点を対象として,官能審査評点と茶無機成分含有率との関係について調べた。その結果を要約すると次のとおりである。<BR>1) 上位グループの全窒素含有率と滋味との間に5%水準で負の相関が認められた。<BR>2) カルシウム含有率と滋味,香気および内質全体との間に5%水準で負の相関が認められた。また下位グループにおいて5%水準で水色との間に正の相関が認められた。<BR>3) 下位グループにおいてマンガン含有率と香気との間に5%水準で負の相関が認められた。2000ppm以上を含有する場合には明らかに劣った。<BR>4) 鉄含有率と水色および内質全体との間に5%水準で負の相関が認められた。また上位グループにおいて滋味との間に5%水準で負の相関が認められた。<BR>5) 鉄とマンガン含有率との間に5%水準で正の相関が認められた。
著者
チッパンニャー スーカン 河本 順子 阿部 浩和 吉田 勝行
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.69, no.582, pp.41-46, 2004

It has so far been said that it is difficult to identify the distinction between traditional Buddhist architecture in Laos and Thailand. In this paper, the planning element of the traditional Buddhist architecture in Laos and Thailand is analyzed. The Phoutthasima building of typical traditional Buddhist architecture in Vientiane, Luang Prabang, Xieng Khouang, Ayutthaya and Chiang Mai are investigated. We proved that the difference in the characteristic of traditional Buddhist architecture in Laos and Thailand could be distinguished by some planning elements. Those are scale, plan shape, location of verandah and feature of column etc.
著者
吉田 勝 浅野 雅春 嘉悦 勲 今井 強一 真下 透 湯浅 久子 山中 英寿 鈴木 慶二
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.809-812, 1985
被引用文献数
1

テストステロンを含む卵状の生体非分解ポリマー義睾丸を親水性ビニルモノマーの低温放射線重合によって調製した。得られた義睾丸は1個当り約2.05g(40wt%テストステロン含有)の重さをもつ。この義睾丸からのテストステロンの媒液中(水が主成分)における放出速度はビニルモノマーに対するテストステロンの溶解性(生成ポリマー中での分散状態)および得られたポリマー担体の親水性に依存することが分った。すなわち, テストステロンの溶解性とポリマーの親水性の増加とともに, 義睾丸からのテストステロンの放出は著明に増大した。本研究では, HEMA/HPMA(70/30)コポリマーより成る義睾丸を去勢した家兎の陰のう部位に埋入留置した。この義睾丸からのテストステロンのみかけのin vivoにおける平均放出速度は, 1.2mg/dayであった。一方, 血清中のテストステロン濃度は, 初期段階でゆるやかに減少し, そののち一定値を維持する傾向がみられた。
著者
吉田 勝行 吉田 将行
出版者
日本図学会
雑誌
図学研究 (ISSN:03875512)
巻号頁・発行日
vol.35, no.Supplement, pp.127-132, 2001 (Released:2010-08-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

パーソナル・コンピューター, カラー・プリンター, ディジタル・カメラ等のハードウェアと画像処理ソフトウェアの普及により, 3次元立体や空間に関する図や写真の加工が容易となり, その結果が説明図として, 一般にも利用されるようになってきている。しかし, 図法に対する理解が無いまま3次元立体や空間に関する図に加工がなされると, 思いもよらない誤りが図中に生じ得る。しかも, 平成10年12月14日に告示の小学校及び中学校学習指導要領, および平成11年3月29日に告示の高等学校学習指導要領によれば, 高校卒業までにこうした事柄について学ぶ機会は設けられていない。身の回りの空間や立体を図として正確に美しく表現し, 誤り無く他に伝えるための素養は, 加工された図が一般に流布する時代には, 文字による正確で美しい文章の作り方等と同様に, 初中等教育の中で修得させておく必要がある重要な項目の一つである。図的表現についての許容限界を吟味して, 初等および中等教育に盛り込むべき内容を検討する。
著者
田辺 仁志 中山 忠三 浅山 哲 内海 進 栗栖 弍彦 市川 吉夫 河合 孝 鮎沢 千尋 河原畑 勇 福原 敏彦 橋本 陽子 久保 正太郎 楠野 正夫 中村 二郎 宮沢 左門 有賀 久雄 宮島 成寿 今井 退 小田 常治 川森 郁郎 川瀬 茂実 石川 義文 沖野 英男 山口 孝根 三好 健勝 倉田 啓而 鮎沢 啓夫 山口 定次郎 小林 勝 岩下 嘉光 細田 茂和 松沢 則子 山崎 寿 小林 あつ子 山田 たけを 市岡 正道 丸山 長治 高須 敏夫 佐藤 清 山崎 昭治 酒井 英卿 片岡 平 梅村 義雄 村上 昭雄 田島 弥太郎 鬼丸 喜美治 佐渡 敏彦 広部 達道 沓掛 久雄 渡部 仁 長野 ヒロ 小林 悦雄 佐伯 佳之 阿相 敏雄 佐藤 正市 平田 保夫 武井 隆三 長島 栄一 高沼 重義 蒲生 卓磨 一場 静夫 宮川 千三郎 清水 滋 堀内 彬明 波島 千恵子 安江 昇 辻田 光雄 真野 保久 板垣 正男 田中 義麿 中山 光育 筑紫 春生 土井 良宏 山下 興亜 長谷川 金作 小林 勝利 石戸谷 幸雄 楠木園 正雄 橋口 勉 吉武 成美 赤井 弘 森 精 有本 肇 小西 孝 小野 四郎 荒井 三雄 加藤 康雄 土橋 俊人 後藤田 さっき 吉田 勝 進士 安治 青木 一三 小松 計一 鳥居 礼子 橋本 嘉男 清水 正徳 坂口 育三 小笠原 真次 中川 房吉 北村 愛夫 佐藤 歌子 大野 巌 原田 泰介 関 文夫 石垣 隆謌 嶋崎 昭典 大沢 定敏 小島 哲雄 布目 順郎 小川 敬之 松田 和夫 大工原 建
出版者
The Japanese Society of Sericultural Science
雑誌
日本蚕糸学雑誌 (ISSN:00372455)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.207-221, 1965

126) キンケムシの核多角体病に関する研究 (第1報) 発生実態調査と多角体の性状について<BR>127) キンケムシの核多角体病に関する研究 (第2報) ウイルスのキンケムシに対する感染力とウイルス伝播の-知見<BR>128) キンケムシの核多角体病に関する研究 (第3報) ウイルスの交差感染について<BR>129) 野外昆虫多角体病と家蚕多角体病に関する研究 (VIII) 家蚕, サクサンなどに感染性を示す核多角体病ウイルス
著者
山内 博 網中 雅仁 荒井 二三夫 吉田 勝美 中井 泉 斉藤 秀
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究は、急性や慢性砒素中毒患者の妊婦が高濃度な無機砒素を摂取した場合、胎児の脳中枢神経障害は発生するか否かについて、動物実験モデルを用いて解明を試みた。妊娠ラット(妊娠17日目)に投与した三酸化二砒素量はLD_<50>の1/4(三酸化二砒素として、8.5mg/kg)である。三酸化二砒素投与後、12、24、48時間目にラットを屠殺し、脳中の砒素を化学形態別に測定、そして、組織診断(タネル法でのアポトーシス細胞診断)を行った。他方、自然出産させた群(生後5週齢)を用いて、自発行動量(Animex)と7項目(潜伏時間、歩行量、立ち上がり回数、毛繕い回数、洗顔回数、脱糞回数、排尿回数)のOpen-field testを実施した。脳血液関門が未成熟な段階において、胎仔の脳へ三酸化二砒素もしくはその最終代謝産物であるジメチル化砒素(DMA)が増加し、脳細胞は損傷を受けた現象が観察された(アポトーシス細胞;12時間目が最も発生し、時間の経過と共に減少傾向)。この作用は母獣では認められず胎仔のみであった。脳細胞への損傷は三酸化二砒素によるものか、それとも代謝物であるDMAによる作用であるか、新たな研究の必要性が提起された。行動学(Open-field test)の7項目の結果は、三酸化二砒素投与群と対照群の二群間を比較すると、歩行量と潜伏時間に二群間で有意差が認められた。立ち上がり回数、毛繕い回数、洗顔回数、脱糞回数、排尿回数に関しては、二群間で差が見られなかった。しかし、三酸化二砒素投与群の雌では立ち上がり回数の減少、毛繕い回数の増加がそれぞれ統計学的に有意差が認められた。自発行動量の結果は、三酸化二砒素投与群と対照群の休眠期の活動に差は認められなかった。しかし、活動期では三酸化二砒素投与群は午前4:00〜午前8:00の時間帯での活動量の減少を認めた(t-testとANOVA)。今日、飲料水の無機砒素汚染からの高濃度な無機砒素暴露者は世界的な規模では約1300万人存在し、妊婦、胎児や乳児への暴露が存在している。また、急性砒素中毒患者の妊婦から生まれて来た赤ん坊も存在している。本研究において、胎児期の砒素暴露による脳障害の発生は、組織診断と行動学的な検査結果において示唆され、今後、この分野の研究は十分に発展させる必要性があると考えた。
著者
加藤 陸奥雄 石井 孝 渡辺 孝男 吉田 勝一
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.83-88, 1966
被引用文献数
8

ドライアイスから発散する炭酸ガスを誘引源とする蚊採集用トラップ(図4, 図5)を考案した. 1964年夏, 宮城県名取市下余田にある畜舎(豚舎, 牛舎)に加藤式蚊トラップをつけ, この近くに新らたに考案したトラップを設置して, 2種トラップ間での 1) 採集蚊の種類数構成比較, 2) 夜間1時間ごとに採集した場合の採集蚊数変動比較を行なつた.結果は次の通りである : 1) 採集された蚊はコガタアカイエカ, キンイロヤブカ, シナハマダラカ, アカイエカ, オオクロヤブカの5種類で, 採集蚊の種類数構成は多くの場合2種トラップ間で有意的差があつた(表1, 図7). 2) 夜間1時間ごとに採集した場合の採集蚊数変動はコガタアカイエカ, アカイエカ, シナハマダラカについては2種トラップ間で顕著な差を示したが, キンイロヤブカにおいてはあまり顕著でなかつた.
著者
可知 直毅 平舘 俊太郎 川上 和人 吉田 勝彦 加藤 英寿 畑 憲治 郡 麻里 青山 夕貴子
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

外来哺乳動物の攪乱の結果、生態系機能が消失した海洋島において、外来哺乳動物の駆除が生態系機能に及ぼす影響を評価し、駆除後の生態系の変化を予測するために、小笠原諸島をモデルとして、野外における実測データの解析と生態系モデルによる将来予測シミュレーションを実施した。シミュレーションの結果、ヤギとネズミを同時に駆除した方が植生や動物のバイオマスの回復効果が大きいことが明らかとなった。また、予測の精度を上げるために、環境の空間的不均質性を考慮する必要があることが示唆された。
著者
宮川 雅巳 吉田 勝実
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.12-18, 1992-04-15
被引用文献数
1

In this paper, interaction patterns in L_<18> orthogonal array are classified as the confounding patterns between interaction and main effect ,and the degree of confounding is evaluated quantitatively for each pattern. An equivalence relationship is defined among the forms of confounding patterns to classify into several confounding patterns. To evaluate the degree of confounding quantitatively, the ratio of sums of squares between interaction and main effect are used. For instance, these results suggest that when there are only factors with three levels and the number of factors is six at most, these factors should be assigned from the third column to reduce the confoundings as least as possible.
著者
池永 誠 大島 行彦 清水 正夫 後藤 紀夫 渡辺 龍彦 吉田 勝明 宮内 邦浩 中村 秀夫 朝永 哲弥 比企 能樹
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.1116-1120, 1990-05-01
被引用文献数
15

大腸穿孔21例を対象とし, 穿孔部位, 原因, 臨床症状, 手術時期, 手術術式, 術後経過より検討した. これは虫垂炎を除く消化管穿孔例97例の 21.6%, 大腸手術例173例の 12.1% にあたった. 大腸穿孔の確定診断は, 遊離ガス像の出現率が 33.3% と低い事もあり必ずしも容易ではないが, われわれは発症6時間以内に11例 (52.4%) と早期に手術を施行し全例救命しえた. 大腸癌穿孔は8例にみられ大腸癌手術の 6.1% にあたり, 全例に治癒切除を施行した. 累積生存率は Kaplan-Meier 法にて2年生存率 100%, 5年生存率 75.0% であった. 同期間の全大腸癌例の5年生存率は 65.1%, 治癒切除例の5年生存率は 79.8% であり, 穿孔例, 非穿孔例の間に差異は認められなかった. 穿孔例といえども癌に対する積極的な治療を行うべきと考えられた.
著者
斉藤 正貴 吉田 勝浩 中村 貴彦 駒村 正治 Masaki Saitoh Yoshida Katsuhiro Nakamura Takahiko Komamura Masaharu 東京農業大学大学院農学研究科農業工学 東京農業大学大学院農学研究科農業工学 東京農業大学地域環境科学部生産環境工学科 東京農業大学地域環境科学部生産環境工学科 Department of Agricultural Engineering Graduate School of Agriculture Tokyo University of Agriculture Department of Agricultural Engineering Graduate School of Agriculture Tokyo University of Agriculture Department of Bioproduction and Environment Engineering Faculty of Regional Environment Science Tokyo University of Agriculture Department of Bioproduction and Environment Engineering Faculty of Regional Environment Science Tokyo University of Agriculture
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.189-197,

小規模循環型農園においてヒトが継続的に生存していくために必要な要素と規模を明らかにすることを目的とし,資源循環シミュレーションモデルを作成した。モデル対象地を静岡県として,ヒト一人の栄養バランスを保つことを前提条件とした循環システムの構成要素を提示し,農作物の収量と農地・森林面積を試算した。結果は以下の通りとなった。1.構成要素 : ヒト,家禽,養魚,農作物,緑肥作物,水質浄化作物,淡水プランクトン,森林 2.農地面積 : 5.6a(5.6×10^2m^2)(ヒト住居,鶏舎,養殖池は除く) 3.森林面積 : 2.9a次に,正規分布による確率密度関数を用いて農作物の収量に対する信頼度を明確化し,農作物収量および農地面積を算出した。信頼度ごとに割り出した農地面積は以下の通りとなった。信頼度50% : 6.9a, 信頼度75% : 7.3a, 信頼度95% : 8.0aThe purpose of this study is to show the elements and amounts, which are required to maintain a man's life on a small-scale-recycling-oriented farm. A simulation was done to show how materials recycle in a system in Shizuoka, Japan. This simulation presumed that a man can maintain his own nutritional balance and showed the constituent elements of the system. After the necessary quantity of food was calculated, the necessary amount of yields for providing food was calculated. Then the farmland area and the amounts of manure for these crops were calculated. After that the forest area for providing manure was calculated. The following results were obtained : 1. Constituent elements : Man, Chicken, Fish, Crops, Green manure, Water purifying plants, Limnoplankton, Trees 2. The farmland area : 5.6×10^2m^2 (except for the man's house, henhouse and fishpond) 3. The forest area : 50% reliability : 2.9×10^2m^2 In addition, the reliability of the yields was made clear according to a probability density function and the farmland areas each were calculated according to the yields of each case, 50%, 75% and 95% reliability. The following results were obtained : 50% reliability : 6.9×10^2m^2, 75% reliability : 7.3×10^2m^2, 95% reliability : 8.0×10^2m^2
著者
西沢 祐介 田中 寛人 吉田 勝俊 佐藤 啓仁
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
Dynamics & Design Conference
巻号頁・発行日
vol.2006, pp."108-1"-"108-5", 2006-08-06

非線形振動系とその複製に共通の不規則外乱を与えると,両者の応答が同期する現象が知られている.任意の初期値から同期状態へ到達するまでの収束時間は,パラメータ条件の選び方に大きく依存するが,未検討である.そこで本報では,このような収束時間のパラメータ依存性を,統計的等価線形化法によって定量評価してみる.具体例として,ランダム調和入力を受ける系(式(Al))と,狭帯域ランダム入力を受ける系(式(A2))を取り上げる.x+cx+kG(x_0+x;μ)=Q+P_<cos>(ωt)+sw(t) (A1) {x+cx+kG(X_0+x;μ)=Q+F(t) F+2ζω_nF+ω^2_nF=sw(t) (A2) G(x_0+x;μ)={x_0+x+μ (x_0+x&le;-μ) 0 (-μ<x_0+x<μ) x_0+x-μ (x_0+x&ge;μ)以下の数値例では,式(A1)に対してc=0.04, k=1,0, Q=0.3, P=0.2,μ=0.7, s=0.02とする.図A1は,式(A1)から求めた同期誤差の見本過程の一例を表わす.ω=1.07に対する図A1の(a)の結果では同期までの収束時間はT=195程度だが,ω=0.81に対する図A1の(b)では, T=18973程度を要する.このように,同期に至る収束時間にはパラメータ依存性がある.同期可能なパラメータを推定する常套手段として,式(A1)の系の最大リアプノフ指数を入力周波数ωの関数としてプロットしたのが図A2である.先ほどの条件ω=1.07,0.81に対する最大リアプノフ指数はそれぞれλ&ap;-0.102,-0.101となり,収束時間の変化は捉えられない.そこで,積率微分方程式を用いて式(A1)の分散応答を求めた結果を図A3の上段に示す.ω=0.77,0.92を跳躍点とする跳躍履歴現象が見られる.図A1の収束時間と比較すると,収束時間が短い条件ω=1.07は跳躍履歴現象の外部に位置し,収束時間が長い条件ω=0.81では内部に位置している.すなわち,積率微分方程式の跳躍履歴現象の有無によって,同期への収束時間を評価できる可能性が明らかになった.この仮説を確かめるため,図A3の下段に,サンプルiの初期値x_kに対する収束時間をT_i(x_k)とするときの平均収束時間〈T>= 1/(MN)Σ^M_<i=1>Σ^N_<k=1> T_i(x_k)を示す..M=100, N=5×5とした.収束時間が長い条件ω=0.81は,積率微分方程式の跳躍履歴現象の発生領域に含まれており,式(A1)の積率微分方程式の跳躍履歴現象は,同期の収束性が悪化するための十分条件を与えている.なお,式(A2)の場合には逆に必要条件を与える.