著者
吉田 正裕 小山 和子 馬場 基芳 秋山 英文
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.772-778, 2000-10-05

ソリッドイマージョンレンズと呼ばれる固体レンズを顕微計測と組み合わせて使用することで,光の回折限界を超えた高い空間分解能,かつ,高い検出効率での光学計測が可能となる.その利点を活かして,産業分野では高密度光記録分野などへ応用され始めている.また,物性研究の分野においても有用な高分解顕微計測法として注目され始めている.本稿では,ソリッドイマージョンレンズの原理,基本性能について,応用上重要である収差や分解能,高い蛍光検出効率を中心に説明する.また,物性研究分野への応用として,半導体ナノ構造のソリッドイマージョン顕微蛍光画像・分光計測について紹介する.
著者
渡辺 和子 細野 喜美子 嶋田 智明 吉田 正樹 佐藤 英一 新田 麗子 細野 喜美子 渡辺 和子
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1985

看護における移動技術の巧拙は看護者の体のテコのバランスの用い方と密接に関連しているが, 患者及び看護者の重心移動に関するより詳細なバイオメカニクス的研究は未だない. 重量負担の大きい患者の移動動作の効率的な介助方式の開発は, 老人人口が増加する今日の重要な課題である. 従って, 我々は日常用いられている看護者の移動技術を取り上げ熟達者と未熟者達の技術の差及び患者の受ける負担を力学的・生理学的に解明することを目的とした. 全介助の必要な患者を仰臥位から起坐位にする場合の技術の効率性を検討するために次のような実験を行った.1.熟練者の技術の特長から指導ポイントを取り出し, これを用いて未熟練者の指導前後の関節角度の変化を分析し, 指導ポイントの要因について考察し知見を引き出した.2.熟練者の移動動作における筋活動の発生順序の分析の結果, 動作初期の腓腹筋と大腿四頭筋・左上腕三頭筋・左上腕二頭筋の活動の様相に特徴が見られた.3.未熟練者の左右の腰背筋の筋電図と関節角度の変化を指導前後に測定した. 指導前に腰背筋は最大収縮力を使っているが, 指導後は低い筋活動で患者の移動を成功している. これにより指導ポイントがより明らかになった.4.熟練者から取り出した指導ポイントを用いて, 未熟練者14名の指導前後の筋電図の比較検討を行った. その結果, 指導によって動作はリズミカルになり, 筋活動も効率的となることが明らかになった.5.全介助の必要な患者をベッド上で仰臥位から坐位にする際, ベッドの高さに対して介助者の身体的負担への影響を検討した. その結果介助者の身体疲労・疼痛の程度は身長の50%のベッドの高さで最も少なかった.
著者
内田 九州男 竹川 郁雄 寺内 浩 山川 広司 加藤 好文 川岡 勉 加藤 国安 小嶋 博巳 河合 真澄 関 哲行 弘末 雅士 稲田 道彦 大稔 哲也 野崎 賢也 伊地知 紀子 松原 弘宣 西 耕生 田村 憲治 神楽岡 幼子 黒木 幹夫 菅谷 成子 若江 賢三 藤田 勝久 高橋 弘臣 吉田 正広 木下 卓 矢澤 知行 岡村 茂 石川 重雄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

シンポジウム・研究集会を3年開き31本の報告を実現、各発表は報告書に掲載した。巡礼の諸相の解明では、日本の四国遍路、熊野参詣、西国巡礼、海外では10巡礼地を調査し、キリスト教世界(古代東部地中海、中世ヨーロッパ、スペイン中近世、イギリス中世・現代)、古代ギリシア、アジア(中国中世、韓国現代、モンゴル中世、エジプト中世、ジャワ中世)の巡礼で実施。国際比較では、日本の巡礼とキリスト教巡礼での共通性は中近世では来世での霊的救済と現世利益の実現を願うことであることを示した。
著者
吉田 正人 河内 直子 伸岡 雅裕
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.119-128, 2003-12-30
被引用文献数
2

沖縄島の最大の海草置場は名護市辺野古沖の173 ha, 第二の海草藻場は沖縄市泡瀬沖の112 haであるが,いずれも米軍普天間飛行場の移設や埋め立て計画によって消失の危機にある. これらの開発活動に先立つ環境影響評価には問題点も指摘されており, その監視のためには, 開発サイドから独立した市民による科学的な調査が有効であると考えられる. そこで, 日本自然保護協会は, 2002年5月より, 沖縄県名護市において, 市民参加による海草藻場モニタリング調査「沖縄ジャングサウォッチ]を実施した. 調査では, まず, ボランテイアとして参加した一般市民を対象に,海草の識別方法や調査方法の講習を行ったうえで, スノーケル潜水を利用して, 実際の海草藻場において被度調査を行った.得られた調査データについては,目視による被度判定の個人差を補正し海草各種の分有および被度を解析した.海草は,海岸線からの距離に応じて,種ごとに特徴的な分布を示した.また,辺野古の海草藻場については, 空中写真による分布域の読みとりでは, 実際の分有面積を過小評価していることが判明した.したがって, 米軍飛行場移設にともなう環境影響評価においては, 空中写真に基づいた予測では不十分であり, 現地調査から得られる海草の種ごとの分布および被度の変異も考慮したうえで環境保全措置をとる必要が示唆された.今後の市民参加のモニタリング活動においては, 特定事業の監視のためだけでなく, 赤土流出等の局所的な環境汚染, および温暖化問題等に代表される地球規模の環境変動の影響などを視野に入れた, より広域かつ長期的な調査体制を整えることが望まれる.
著者
土屋 雅子 吉田 正廣 畠間 晴夫
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.45, pp.387-388, 1992-09-28

導入を予定して富士通(株)と共同研究を推進している数値風洞(NWTと略記する)は、要素計算機にベクトル計算機を配置する分散主記憶型並列計算機システムであり、搭載OSはUNIXベースのOS(NWT/OSと略記する)である。また、NWTは既設の大型電子計算機システム(FACOMVP2600:VPと略記する)をフロントエンドシステムとして有機的に結合した複合計算機システムを構成する。VPのOSはNWTとVPの緊密な連携をとるために、親和性の観点から、UNIXベースのOSを搭載する必要がある。しかし、航技研では10年来、現OS(MSPと略記する)で運用しており、JCL等ユーザ側からみた使い勝手のノウハウを含めたMSPの資産は膨大である。また、UNIXは不特定多数のユーザが混在して利用する大型汎用計算機システムのOSとしては、システムの管理運用機能が十分ではない。以上の観点から、VPには、MSPとUNIX(USXと略記する)の二つのOSを搭載し、ユーザインタフェースはMSPビューとする運用を検討した。MSPとUNIXでは、ユーザピューにおいて、種々な相違点がある。MSPピューとするためには、両OSの相違を吸収するための各種インタフェースが必要となる。本報告は、これらのインタフェースの実現方式の検討結果について述べる。
著者
吉田 正平 海野 信也 香川 秀之 篠塚 憲男 上妻 志郎 武谷 雄二
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, 2001-11-01

正期産妊娠における妊娠中の胎児超音波計測による推定体重と出生体重の関係を知る目的で548例の児奇形のない妊娠をretrospectiveに検討した.対象症例は正期産時の出生体重の偏差値によって6群に分類した.推定体重偏差値と出生体重偏差値の関係とその変化を, 推定時期を妊娠20週以降4週間ごとに分けて検討した.推定体重偏差値によって判定した胎児発育パターンは正常発育児とIUGR児では明らかに異なっていた.その差は妊娠20〜23週には既に存在していた.妊娠20〜23週以降満期に至るまで推定体重偏差値は出生体重偏差値と有意に相関していた.本研究によって, 超音波測定によって検出しうる胎児発育の差は既に妊娠20〜23週で存在していることが明らかとなった.
著者
吉田 正純
出版者
京都大学大学院教育学研究科生涯教育学講座
雑誌
京都大学生涯教育学・図書館情報学研究 (ISSN:13471562)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.19-30, 2007-03-31

本稿の目的は雑誌『土曜日』を中心に展開した「反ファシズム文化活動」を、近年の社会運動研究における「フレーム分析」の知見を援用して改めて「社会運動における学習」のプロセスとして析出することにある。

1 0 0 0 OA 樹木と重力

著者
中村 輝子 吉田 正人
出版者
日本宇宙生物科学会
雑誌
Biological Sciences in Space (ISSN:09149201)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.123-131, 2000 (Released:2006-02-01)
参考文献数
67
被引用文献数
6 5 6

: In this review, we attempted to summarize the effect of gravity on growth of woody plants, broad leaved trees, on earth. It is well known that in tilted broad leaved trees, tension wood formed in the secondary xylem causes negative gravitropism. Gibberellin has been shown to induce tension wood in weeping branch, causing its upright growth. Recent study has shown that seedling of Japanese cherry tree grew on three dimensional clinostat, a device that simulates microgravity, grew at random angles, and that the formation of secondary xylem, as supporting tissue for upright growth, decreased. In the decreased xylem formation, the inhibition of the differentiation and development of fiber cell was clearly observed. These results suggest that in attitude control and morphogenesis of stem in woody plant, secondary xylem formation seriously relates to gravity on earth. In woody plant, the mechanism of gravity perception and the following signal transduction have not yet been elucidated, although the recent study reported the possibility that endodermal starch sheath cells and plant hormones may play some role in the mechanism. Space experiment is expected to study these problem.
著者
門石 明浩 原 良昭 吉田 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.401, pp.15-18, 2004-10-27

本研究では,等尺性随意収縮時に測定される筋音図(MMG)を時間一周波数解析の手法の1つであるMatching Pursuit(MP)法を用いて解析する.上腕二頭筋を最大随意収縮力(MVC)の10〜90%まで一定の割合で力を増加させた時のMMGを測定し,MP法により詳細な時間周波数分布を求めた.30%MVC未満は20Hz前後の周波数成分にエネルギが集中していた.30〜60%MVCの範囲では%MVCの増加と共に高周波成分も増加した.60%MVC以上では特徴的な周波数成分の変化は確認されなかった.本結果より,30%MVC未満では遅筋線維が動員され,30%MVCから速筋線維の動員が開始されることが示唆された.
著者
澤井 一義 吉田 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.11, pp.2054-2061, 2004-11-01
被引用文献数
2

近年,高齢社会を迎えて独居高齢者が増加している.そこで,独居高齢者の在宅健康管理を目的として,家屋内にセンサを設置し,長期間のモニタリングが実施されている.本論文は,日常生活における在宅高齢者の異常状態(体調不良でどこかにとどまっている場合,転倒や急激に体調が悪化して動けなくなった場合)を検出することを目的として,実際の高齢者宅に取り付けられた様々なセンサの動作時刻のデータから被験者(高齢者)の異常状態を検出するアルゴリズムの開発を行った.そのアルゴリズムとして,被験者に何らかの異常があった場合に長時間センサが反応しなくなると考えて,すべてのセンサの出力信号のORをとるという簡単な論理演算を用いたアルゴリズムを開発した.更に,センサの反応しない時間に対して,検出率にどう影響があるのかを検討した.その結果,センサの反応が2時間15分ない場合に異常と検出するのが妥当となった.
著者
川崎 賢一郎 奥野 竜平 吉田 正樹 赤澤 堅造 川崎 敦子 宮本 芳明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.97, no.525, pp.109-115, 1998-01-31

筋電義手を日常生活において使用するためには, 義手の開閉動作の妨げにならないグローブの開発が必要になる. 本研究では, 脱タンパク天然ゴムを用いた, 柔軟性の高い筋電義手用グローブを試作した. 試作したグローブを本研究室で開発したバイオミメティック筋電義手に装着し, 義手開閉動作に対する負荷が市販品と比較して小さいことを示した. また, 健常者による物体把持実験を行い, グローブ装着時においても, 本研究室の義手の特性を損なわず, 物体を柔らかく把持できることを示した.
著者
奥野 竜平 吉田 正樹 内山 孝憲 赤澤 堅造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.96, no.581, pp.99-106, 1997-03-17
被引用文献数
2

本研究の目的は,可聴周波数以下の振動周波数を用いた義手感覚フィードバック装置を開発し,義手の操作性に対する効果を検討することである.本研究で試作した感覚フィードバック装置は,義手が物体を把握した時に指に生じる反力(把握力)を,可聴周波数以下の皮膚振動刺激を用いて使用者に伝達するものである.情報の伝達方式としては,刺激パターン(連続刺激と断続刺激)の切り替えによって行う.健常者を用いた心理物理実験を行い,本感覚フィードバック装置に用いる皮膚振動刺激の振動周波数と断続刺激の刺激提示時間,刺激休止時間を決定した.健常者を用いた物体把握実験を行い,試作した感覚フィードバック装置の義手の操作性に対する効果を示した.
著者
奥野 竜平 木村 貴俊 吉田 正樹 赤沢 堅造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.98, no.174, pp.77-81, 1998-07-14

本研究の目的は, 3次元コンピュータグラフィックスを用いた。オンオフ型筋電義手のシミュレータを開発することである。本シミュレータは, 2chの筋電位信号と上肢の三次元位置を入力とし, 3D-CGを用いて表示された義手の開閉角度と上肢姿勢をリアルタイムで制御するものである.シミュレータでは, 実際のオンオフ型筋電義手のダイナミックをモデル化し, 義手の開閉角度を算出している.健常者による筋電制御実験を行い, リアルタイムでの計測・制御が可能であることを示した.