著者
富田 隆 後藤 英和 住谷 賢治 吉田 正 田中 勝也 幸田 幸直
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.136, no.3, pp.517-521, 2016-03-01 (Released:2016-03-01)
参考文献数
9
被引用文献数
2 4

To avoid fluctuation of the serum lithium concentration (CLi), sodium chloride (NaCl) intake was regulated in oral alimentation. A 62-year-old woman was hospitalized and orally administered 400 mg of lithium carbonate a day to treat her mania. Her CLi was found to be 0.75-0.81 mEq/L. Vomiting made it difficult for the patient to ingest meals orally, and therefore parenteral nutrition with additional oral intake of protein-fortified food was initiated. On day 22, parenteral nutrition was switched to oral alimentation to enable oral intake of food. The total NaCl equivalent amount was decreased to 1.2 g/d, and the CLi increased to 1.15 mEq/L on day 26. Oral alimentation with semi-solid food blended in a mixer was immediately initiated. Although the total NaCl equivalent amount was increased to 4.5-5.0 g/d, her CLi remained high at 1.14-1.17 mEq/L on days 33 and 49, respectively. We investigated oral administration of NaCl (1.8 g/d) on day 52. The total NaCl equivalent amount was increased to 6.3-6.8 g/d, and the CLi decreased to 1.08-0.97 mEq/L on days 63 and 104, respectively. After the start of the orally administered NaCl, her diet was changed to a completely blended diet on day 125. The total NaCl equivalent amount was increased to 9.0-14.5 g/d, and the CLi decreased to 0.53 mEq/L on day 152; therefore, the oral administration of NaCl was discontinued on day 166. The CLi was found to be 0.70-0.85 mEq/L on days 176 and 220.
著者
加納 寛起 山根 岳志 吉田 正道 柴柳 敏哉
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.27-34, 2022-03-20 (Released:2022-03-20)
参考文献数
15

2種の輸送物性,拡散係数およびSoret係数が未知である水溶液に対して,レーザホログラフィ実時間干渉法を適用し,それぞれを同一の光学系上で計測するシステムを提案する.まず,本計測法の妥当性と信頼性を検討した.拡散係数はNaCl水溶液,KCl水溶液を対象に,拡散方程式の厳密解が正規分布にしたがうことから干渉縞群厚さの時間変化を利用して算出し,文献値と良好に一致した.Soret係数はNaCl水溶液を対象に,ある時刻の干渉縞位置,熱拡散項を含んだ拡散方程式の厳密解,上記で求めた拡散係数から算出し,既往研究の計測値と良好に一致した.妥当性確認後,文献値に乏しいNa2CO3水溶液10 wt%においても両者の計測を行った.また,本計測に対する誤差要因を明らかにし,拡散係数およびSoret係数の不確かさ幅を推定した.本法は等屈折率線と一致する干渉縞の解析に溶液の屈折率と温度・濃度の関係を利用することで,既存手法に比べて拡散係数およびSoret係数算出の単純化が図られた.
著者
吉田 正義 江渡 次雄
出版者
財團法人防虫科學硏究所
雑誌
防虫科学 (ISSN:00065420)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.154-159, 1957-02-18
著者
吉田 正昭 藤井 和子 栗田 淳子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.74-85, 1966-06-10 (Released:2010-07-16)
参考文献数
8
被引用文献数
1 1

Purpose. “On” is a very difficult concept to translate into foreign languages. Japanese English dictionaries assign kindness, favor, love, obligation, or indebtedness to this word, but they are not broad enough to cover all the forms of “on”. Before the termination of Pacific war, loyalty towards emperor and filial piety supported the every structure of Japanese community, and authoritarian attitude among the Japanese. But since the new Constitution become effective, these concepts have changed drastically, and the contents of “on” also is expected to change, because it has very close connection with them. With these considerations, two surveys were planned.(I) Method. Free associations and semantic differential ratings concerning “on”, were obtained from 215 adults (male and female, their ages ranging 17-50) in Tokyo. Results. Clearly “on” has two aspects, the one is based on old-fashioned, feudalistic, one-way devotion, etc., and the other is based on universality of human nature. Older people recognize the former aspect, but regard it as more “beautiful” because of the latter aspect, and highly esteem it as a moral standard, In contrast with this, younger people show fairly negative attitude towards the former aspect.(II) Method. Costant sum method. 100 points were assigned to 22 attributes of “on” for 19 human relations listed below. Enquetes were presented to three groups of Ss, (i) younger male, (ii) younger female, and (iii) older people. Number of Ss in each group was about 50, all living in Tokyo. Attributes were (1) true love, (2) gratitude, (3) tradition, (4) “taimen” or appearances, (5) human obligation, (6) “girl”, (7) fictitious love, (8) voluntariness, (9) social coercion, (10) friendship, (11) comradeship, (12) expectation of future guarantee, (13) benefit of others, (14) dependence on authority, (15) conscience, (16) indebtedness, (17) reverence, (18) pursuit of own benefit, (19) mutual dependence, (20) social courtesy, (21) contract, and (22) feudally. Human relations used were (1) parent-child, (2) main family-branch family, (3) parent and child in law, (4) ancestordescendant, (5) boss-henchman, (6) landlordtenant, (7) emperor-subjects, (8) masterservants, (9) guild master-apprentice, (10) trader-consumer, (11) employer-employee, (12) senior-subordinate, (13) capitalist-laborer, (14) parent company-subsidary company, (15) neighbourhood, (16) individual-society, (17) friendship, (18) teacher-pupil, and (19) godhuman beings.Results. Data for only younger males are shown in Table 2. They are the most radical of the three groups, older people being the most conservative, and younger female lying between the two Items which were accepted positively were based on true love, gratitude, friendship, obligation, conscience, voluntariness, mutual dependence, and items which were accepted negatively were based on authority, feudality, tradition, “girl”, etc. These results are in marked contrast with the pre-war concept of “on”.
著者
小塚 みすず 吉田 正樹
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.35(2021年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.25-30, 2021-11-30 (Released:2021-11-29)
参考文献数
4

エスカレーターは利用者を効率よく大量に輸送できる装置として広く普及している。多くの人が利用する乗り物だからこそ,安全で安心して利用できることが求められる。しかし,エスカレーターにおける事故は後を絶たない。そこで本研究では,神戸市営地下鉄を対象に,エスカレーター事故のデータを整理し,事故の要因および状況からその特徴を解析的に明らかにする。分析の結果,飲酒での利用や高齢者は事故発生のリスクが高く,とくに高齢者は救急搬送されるケースが多いことが示された。また,時間帯によって事故要因に特徴がみられることも明らかとなった。
著者
吉田 正義 出島 富士夫
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.244-250, 1958

1) 圃場におけるハリガネムシの分布の実態を知らんがため,春(大麦畑)秋(白菜畑)の2期ハリガネムシが耕土上層に棲息する時期をねらって,作物を中心とした区劃および植物の根株を単位にハリガネムシを採集して,2年目以降の幼虫に対する個体群の分布様式について調査した。<br>2) 秋期および春期における区劃ならびに根株単位の分布様式はいずれもP&oacute;lya Eggenberger分布に適合した。根株単位の頻度分布は区劃単位のそれに比して&chi;<sup>2</sup>検定は高い信頼度で適合した。<br>3) 白菜の根部以外の区劃内に棲息するハリガネムシの数は,根部の土壌に棲息するそれに比較してきわめて少ないので,密度を推定するには1区劃全部の土壌を調査する方法より植物の根部の土壤のみを対象とするほうが得策かも知れない。<br>4) ハリガネムシの分布が栽培植物に対して高い集中性を示したが,その理由としてa)成虫の産卵は栽培植物の周辺の土壤にばらばらに行われることb)摂食期の幼虫は栽培植物に好んで潜入する性質をもつことc)非摂食期においても栽培植物の真下に当る耕土の下部に潜入していることが考えられる。<br>5) 集中性をはばむ事柄として,マルクビクシコメツキの幼虫のように経過の長い昆虫では,栽培植物に集中したものを耕転により分散させることが考えられるが,春期の甘藷の畝立作業や秋期の麦作は2年目以降のハリガネムシが耕土の下層に潜入した後に当るため大きな影響は考えられない。<br>6) 大麦畑における頻度分布もおおむね白菜畑におけると同様な傾向を示した。<br>7) 調査圃場はいずれも西側が高く東側に低いゆるやかな傾斜地であったが,分布は何れも低い場所に多く認められた。これは成虫が風の当らない日だまりの低地に集中産卵を行うことによるものであろう。<br>8) 棲息密度の増加と集中性について,<i>S<sup>2</sup>/x</i>により比較すれば,各区とも1より大きく,密度が高くなるにつれて高い集中性がみられ,各区ともP&oacute;lya Eggenberger分布に当てはまった。<br>9) 白菜の被害程度の異なる株を任意に選び根部に棲息するハリガネムシの数を調査した。採集虫数は枯死葉と健全葉の混合株区に最も多く,次は枯死株区,健全株区,欠株区の順であった。<br>10) アリの巣やモグラの孔のある場所ではハリガネムシは比較的少なく採集された。また圃場はコガネムシ類の多数棲息する場所であるが,ハリガネムシの密度の多い場所では,コガネムシの幼虫はほとんど採集できず圃場の周辺にのみ少しずつしか採集されなかった。<br>11) 圃場に栽培されている植物が少ない場合はハリガネムシもコガネムシの幼虫も根部に集中するが,ハリガネムシは肉食性でもあるのでコガネムシの体内に潜入して同虫を倒すためであろう。<br>12) このことはハリガネムシを採集する時,しばしば1頭のコガネムシの幼虫に10数頭のハリガネムシが集中して潜入しているのを観察したり,同じ容器でヒメコガネの幼虫とハリガネムシを混合して飼育する時,コガネムシ幼虫の体内に多数のハリガネムシが潜入することなどにより容易に推察される。
著者
三村 雄一 柴田 誠司 久田 茂 児玉 晃孝 吉田 正尚 増山 剛 成田 隆博 立花 滋博 古谷 真美 桑形 麻樹子 早川 和宏 青木 豊彦 細川 暁 牧 栄二
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
vol.39, pp.P-44, 2012

Wistar HannoverラットはSDラットに比して小型であり、生存率が高く、自然発生腫瘍が比較的少ないことから、安全性試験への利用が注目されている。今回、IGSラット研究会の活動として、4施設参画によるCrl:WI(Han)ラットの一般毒性試験に関する背景データの収集を実施した。下記の共通プロトコールを基に、各施設で試験条件を設定し、Crl:CD(SD)ラットの背景データとの比較を行った。共通プロトコール: • 観察・投与期間 : 4週、13週または26週 • 動物数 : 雌雄 n=10/ 性 (無処置または溶媒投与) • 飼育条件 : 任意 (実施施設で決定,飼料等の条件設定はしない) • 検査項目 : GLP 適用試験で実施する検査項目結果及びまとめ:Crl:WI(Han)ラットは、Crl:CD(SD)ラットと比較して、以下の特徴が認められた。なお、主要な所見について、施設間に相違は認められなかった。 • 体重及び摂餌量:低値 • 眼科学的検査:角膜混濁 頻度増加 • 血液学的検査:WBC、Platelet低値 • 血液生化学的検査:脂質系、AST及びALT低値 • 器官重量(相対):胸腺高値 • 眼の病理組織学的検査:角膜鉱質沈着 増加
著者
吉田 正尚
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
日本セラミックス協会 年会・秋季シンポジウム 講演予稿集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.1H23, 2008

ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン(PO)類は一般にその化学構造から表面不活性で後加工による着色等の表面修飾が非常に困難な材料である。そこで新たにシラン系結合剤と機能性微粒子を含む液相中でPO基材表面に微粒子を固定する、ゾルゲル法を基にした手法を独自に開発した。この方法によるとPE糸にダメージを与えること無くW微粒子を強固に固定でき高比重化等の表面修飾をすることができた。では何故PO基材に表面修飾できるのかを考察したところ、PE基材への熱処理実験と結晶性の異なるn-テトラコンタン基材へのW微粒子固定実験の結果から、PO基材への微粒子固定には高い結晶性が必要であると考えられた。またSEM観察の結果、W微粒子はPOが結晶化した部分に島を形成し、その島を起点として拡がるように基材表面を被覆していくものと思われた。
著者
久利 彩子 勝山 隆 臼井 永男 吉田 正樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.A3P3011, 2009

【目的】<BR>立位姿勢で床面に接地しない状態の足趾を「浮き趾」と言う.近年,幼児における「浮き趾」の激増や健常成人における「浮き趾」の実態が報告されている.しかし,姿勢の変化や姿勢保持中の経時的な状況において「浮き趾」の床面接地が変化するか否かについて報告は少ない.本研究では,「浮き趾」の足趾が,両足・片脚立位姿勢保持中に,接地状態が変化するか否か明らかにすることを目的に,調査を行った.<BR><BR>【対象者と方法】<BR>対象者は,同意の得られた「浮き趾」のある健常成人9名中「浮き趾」が確認できた14足で,平均年齢28.9±7.7歳(男性5名,女性4名)であった.「浮き趾」有無の評価は,厚さ15mmのアクリル板の上で対象者の両足部を肩幅として前方直視で裸足にて立位保持させ,足底面画像をスキャナー(Canon社製CanoScanD1250U2F)を用いてパソコンに取り込んだ後,足底面の状況を視覚的に観察し確認を行った.さらに,両足部を肩幅として前方直視で裸足にて立位保持させた対象者の足趾と足底接地させたアクリル板との間に,市販の付箋紙1枚を抵抗なく差し込めるか否かで,「浮き趾」有無を再確認した.「浮き趾」の経時的な床面接地状況の測定肢位は,30秒間の開眼閉足両足立位および開眼片脚立位とした.両足立位の測定姿勢は,日本めまい平衡医学会の定めた方法とした.片脚立位の測定姿勢は,東京都立大学体力標準値研究会『新・日本人の体力標準値2000』による指標に基づいた.「浮き趾」の経時的な床面接地状況を確認するため,「浮き趾」が床面に接地するとスイッチが入り,LEDが発光する装置を自作した.様子を撮影した動画を30フレーム/秒ごとに確認し,LEDが発光した全フレーム数を時間に変換し,測定結果を得た.統計処理は,ウィルコクソン符号付順位和検定を用いた.<BR><BR>【結果】<BR>「浮き趾」が30秒間の姿勢保持で接地する時間の第1,第2,第3四分位数はそれぞれ,両足立位で0.0秒,4.2秒,23.8秒,片脚立位で5.6秒,26.2秒,27.7秒であった.片脚・両足立位とも,「浮き趾」の床面接地は経時的に変化していた.片脚立位と両足立位では「浮き趾」の接地時間に有意差が認められた(p<0.01).<BR><BR>【考察】<BR>立位姿勢を保持させ,「浮き趾」の経時的な床面接地状況を調査したところ,片脚立位姿勢保持では,閉足両足立位姿勢保持に比べて「浮き趾」の接地が増大していた.このことは,姿勢保持の難易度と「浮き趾」の接地状況に関係があることを意味すると考えられる.また,閉足両足立位において「浮き趾」の経時的床面接地の中央値は4.2秒であった.「浮き趾」有無の判定は,肩幅に足部を開いた両足立位で行っている.足底が肩幅に開いた立位姿勢と閉足立位の姿勢の違いが,「浮き趾」の経時的な接地に影響を及ぼすのではないかと考えられる.
著者
吉田 正夫
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.681, pp.160-163, 2007-06-25

経済産業省は、ユーザー企業がシステム開発をITベンダーに委託する際に用いる契約書のひな型「モデル契約書」を策定、この4月に公開した。「"阿吽の呼吸"や"以心伝心"に依存した日本型の契約は、もう通用しない。ユーザー/ベンダー双方の役割・責任分担を契約段階から明確にすべきだ」と、策定委員長を務めた吉田正夫弁護士は強調する。
著者
吉田 正 氏原 隆
出版者
愛知教育大学体育教室
雑誌
愛知教育大学体育教室研究紀要 (ISSN:02884712)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.17-25, 2000-03-10

本研究では、ビジョントレーニングを実施した選手の心理的内面にどのような変化が起こったのかを検討し、合わせてビジョントレーニングがバレーボールのパフォーマンス向土にどのような影響を与えるかという目的で、本学女子バレーボール選手4名を被験者とし、約2ヵ月のトレーニングを行ない、次のような結果を得た。(1)ビジョントレーニング前と後の視機能変化において、KVA動体視力、DVA動体視力については改善がみられた。また、ビジョントレーニングの数字読みトレーニングのタイムに向上がみられた。(2)トレーニング期間中の試合での 1)スパイク決定率 2)ブロック成功率 3)サーブレシーブ返球率 4)スパイクレシーブ返球率などのパフォーマンスについては、大きな変化はなかった。(3)内省報告においては、4名の被験者すべて、ビジョントレーニングがバレーボールに必要ということを認め、確実にプレーがプラスに変化してきたことを報告した。
著者
吉田 正樹 井田 正博 政岡 ゆり 小岩 信義 Jean Louis Stievenart 吉川 輝
出版者
日本神経眼科学会
雑誌
神経眼科 (ISSN:02897024)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.334-343, 2016

中枢機能を非侵襲的に研究するために,課題や刺激による局所脳活動解析がおこなわれてきた.一方で,このようなアプローチでは中枢機能の統合過程を研究するには限界があった.近年,安静時の脳活動という概念がデフォルトモードネットワークとして紹介され,これが内的思考などに関与し,従来の目標指向型の課題遂行で脱賦活する特徴があることがわかってきた.このような脳の自発的な活動は,従来の課題による脳局所活動と密接に相関することもわかってきた.この流れより,中枢機能の統合過程を解析する手段として,MR信号や拡散テンソル画像をベースにしたグラフ理論による解析法が提唱された.これらの,脳機能の局所解析からネットワーク全体の解析に至る過程を解説する.
著者
吉田 正友 岡村 義徳 田坂 茂樹 下手 敏勝
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1+2, pp.11-20, 1995 (Released:2011-10-02)
参考文献数
9

コンクリート中に微量に含まれている有機系化合物,即ち,混和剤の敏感な熱的変化に着目し,UVスペクトル法を用いて,火害を受けたコンクリートの受熱温度推定方法を提案した。得られた結論は以下の通りである。(1)吸光度と受熱温度の関係より,常温から600℃までの受熱温度を推定できることが分かった。(2)加熱試験を実施した柱及び床のコンクリート部材からサンプルを採取し,受熱温度を推定した。その結果,推定値は温度測定値とほぼ一致し,推定方法の実証が図られた。(3)火害を受けたRC造建物よりコンクリートのサンプルを採取し,受熱温度を推定した。その結果,コンクリートの変色状況,圧縮強度,中性化深さ,等による結果と推定結果はおおむね整合することが分かった。(オンラインのみ掲載)
著者
吉田 正彦
出版者
明治大学人文科学研究所
雑誌
明治大学人文科学研究所年報 (ISSN:05433908)
巻号頁・発行日
no.31, pp.87-91, 1990-12-25

グリム兄弟は「子供と家庭のための昔話」の第一巻を1812年に公にした。三年後には第二巻を刊行,合せて二百編の昔話を収録する。1822年に出版された第三巻「注釈」編を含めて全巻が整う。しかし前二巻の第二版(1819年)及び後の版では,前の版に収められた幾編かが他の物語と挿し替えられている。初版第33話「長靴をはいた牡猫」,62話「青ひげ」などがそれであり,20話を超えるはずである。それらが二版以降で省かれた理由として,兄弟の昔話収集の本来の意図からはずれていたためである,という。つまりドイツ本来の伝承ではなく,たとえばフランス,あるいはスコットランド語から兄ヤーコプが翻訳したものなどが多く含まれている。また,その幾つかはフランスの,それも17世紀末のシャルル・ペローによる『過ぎし昔の物語ならびに教訓』に由来する口承であるからだ,ともいわれる。