著者
吉田 正尚
出版者
福島県ハイテクプラザ
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン(PO)類は一般に表面不活性であり表面修飾が非常に困難な材料である。しかしシラン系結合剤(3-ルメタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)と微粒子を含んだ攪拌液相中にPO基材を浸漬し表面に微粒子を固定していく独自の手法であれば表面修飾が可能である。今回は何故表面修飾が可能なのか更に考察した。1.PO基材に表面修飾出来るシラン系結合剤の化学的条件を調べた。即ちシラン系結合剤分子の末端結合基を(a)メタクリロキシ基(b)エポキシ基(c)アミノ基(d)イソシアネート基の4種類のシラン系結合剤1%水溶液中にタングステン(W)微粒子及びPE平板を同時に投入し時間毎に基材表面に固定されるW量を定量した。その結果W量は結合剤(a)を用いた時が最多であり他3種の結合剤は殆ど固定されなかった。故に結合剤の結合基はPO基材の表面修飾に大きな影響を与えることがわかった。2.表面修飾可能なPO基材の物理的条件を調べた。即ち走査型プローブ顕微鏡によりPO基材の表面状態を評価した。可能なPE基材(高結晶且つ顔料無)の表面には板状結晶やラメラ晶などの高分子の整列部分が多数存在した。一方困難なPE基材(低結晶又は顔料有)にはそれらは見られなかった。3.溶媒極性を変化させ本現象の駆動力について検討した。即ち溶媒を水、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノールの順に極性低下させた時の各溶媒のW量は水が最多であった。また微粒子を投入せず結合剤のみ投入した場合の(a)〜(d)の各結合剤自体の固定量は結合基が非極性基である結合剤(a)が最多であった。このことは結合剤(a)は水分子間の水素結合ネットワークに入れず微粒子を伴いつつ水からはじかれる形で同じ非極性のPE基材表面に集まる現象即ち疎水性相互作用により微粒子固定されるものと推察された。
著者
花村 昌樹 吉田 正章 金子 昌信
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

1。 混合モティーフ理論1. 体k上のうえの混合モティーフ層(mixed motivic sheaves)のなす三角圏(triangulated category)D(k)が構成された。論文1にまとめられた。これは、1980年代はじめ、Beilinson等に予想されていた理論である。混合モティーフ層はその応用もふくめ、大きく数学界で注目されている。2. 混合モティーフ層の圏D(k)がt-構造をもつための条件が論文2で考察された。高次Chowに対するMurre,Beilinson-Souleの予想からその条件がしたがうというのが結果である。t-構造の核を考えることにより、混合モティーフ層のアーベル圏の候補が得られる。3. 射影代数多様体にその勘合モティーフ(あるD(k)の対象)を対応させるこができることを示した(論文3)。D(k)の定義自体は非特異射影多様体を用いるが、cubical hyperresolutionという技法により、射影代数多様体を非特異なもので置き換えられることをつかう。4. 位相的層についての分解定理とは、代数多様体の間の固有写像による定数層の順象が交叉複体の直和に分解するという主張である(Beilinson-Bernstein-Deligneによる)。この類似定理を混合モティーフ層について定式化し、それをいくつかの特別な場合に証明し、その応用を見つけることが興味深いことである。この研究はその原理的解決がA.Cortiと論文4においてなされている。さらに実際にモデユラー多様体へ応用ができる形で米国のB.Gordon,オランダのJ.Murre両氏と共同研究が進行中である。2。代数多面体のscissors合同群の理論分担者の吉田正章氏と代表者の花村はツイストコホモロジーに対するホッジ理論の応用を研究し論文Hodge structures on tiwsted cohomology and twisted Riemann's inequality,Iにまとめた。ツイストコホモロジーを研究するのに、ホッジ理論が有用であることは興味深い。我々はこの結果を高次元の場合に拡張することを、研究目標にしている。
著者
原 耕平 河野 茂 門田 淳一 朝野 和典 平潟 洋一 前崎 繁文 中富 昌夫 浅井 貞宏 水兼 隆介 奥野 一裕 福島 喜代康 伊藤 直美 井上 祐一 小池 隆夫 大西 勝憲 大道 光秀 山田 玄 平賀 洋明 渡辺 彰 貫和 敏博 武内 健一 新妻 一直 柳瀬 賢次 友池 仁暢 中村 秀範 加藤 修一 佐田 誠 池田 英樹 板坂 美代子 荒川 正昭 和田 光一 原口 通比古 星野 重幸 五十嵐 謙一 嶋津 芳典 近 幸吉 瀬賀 弘行 関根 理 鈴木 康稔 青木 信樹 滝沢 敬夫 兼村 俊範 竹村 尚志 長尾 光修 濱島 吉男 坂本 芳雄 坂田 憲史 豊田 丈夫 大角 光彦 小林 宏行 河合 伸 酒寄 享 杉浦 宏詩 押谷 浩 島田 馨 佐野 靖之 荒井 康男 北條 貴子 小川 忠平 柴 孝也 吉田 正樹 岡田 和久 佐藤 哲夫 古田島 太 林 泉 宍戸 春美 松本 文夫 桜井 磐 小田切 繁樹 鈴木 周雄 綿貫 祐司 高橋 健一 吉池 保博 山本 俊幸 鈴木 幹三 下方 薫 川端 原 長谷川 好規 齋藤 英彦 酒井 秀造 西脇 敬祐 山本 雅史 小笠原 智彦 岩田 全充 斉藤 博 三木 文雄 成田 亘啓 三笠 桂一 二木 芳人 河端 聡 松島 敏春 副島 林造 澤江 義郎 高木 宏治 大泉 耕太郎 木下 正治 光武 良幸 川原 正士 竹田 圭介 永正 毅 宇都宮 嘉明 秋山 盛登司 真崎 宏則 渡辺 浩 那須 勝 橋本 敦郎 後藤 純 河野 宏 松倉 茂 平谷 一人 松本 亮 斎藤 厚 健山 正男 新里 敬 伊志嶺 朝彦 上地 博之 比嘉 太 仲本 敦 我謝 道弘 中島 光好
雑誌
日本化学療法学会雜誌 = Japanese journal of chemotherapy (ISSN:13407007)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.901-922, 1997-11-25
参考文献数
20
被引用文献数
19
著者
吉田 正人
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (世界遺産学) 学位論文・平成24年8月31日授与 (乙第2614号)
著者
井村 英昭 吉田 正道
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学會論文集. B編 (ISSN:03875016)
巻号頁・発行日
vol.56, no.532, pp.3816-3820, 1990-12-25
被引用文献数
4

An experimental study on the heat transfer coefficient and critical heat flux in two-phase double-tube thermosyphons was carried out using water, ethanol and R113 as the working liquids. The same experiment for a single-tube thermosyphon was also performed for comparison. The effects of the top-end shape of inner tubes on the heat transfer coefficient and the critical heat flux were investigated in detail. As a result, it was shown that the heat transfer coefficient was not significantly affected by the difference of the top-end shape, but the critical heat flux was very sensitive to the top-end shape of the inner tubes. For R113, the critical heat flux in the thermosyphon with the inner tube having a T- or flange-shape top-end, was about four times as large as that in the single-tube thermosyphon.
著者
吉田 正志
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

近世国家の犯罪処理は、決して国家のみによって担われれているのでなく、領民の経済的・労力的諸負担がその不可欠の一環として構成されている。従来の刑事法研究では、このような観点が希薄であった。本研究は、その具体的あり方を仙台藩を素材にして考究し、それらが領民の「役」としての性格をもっていたことを指摘した。1.捜査及び被疑者の逮捕段階城下及び村方それぞれの捜査機関につき新たな知見を得るとともに、同心や目明しが村方に於いて捜査することにより、彼らの宿泊や被疑者の暫定的拘禁が領民に対し負担を強いるものであることを明らかにした。2.評定所への護送段階村方で逮捕した被疑者を審理のため城下の評定所へ護送する際、その宿泊や見張り人、さらには護送人をその道中の宿駅が負担する場合があり、この点も無視できない。3.審理段階藩・領民双方にとって最も関心のある問題は、被疑者を牢に拘禁している間の諸費用を誰が負担するかである。仙台藩で「牢米」と呼ばれるこの制度をはじめて本格的に追究し、さらに五人組の負担の大きさを実証的に示した。また、関係者召喚費用についても検討し、とくに村役人の場合は村の負担として現れることを指摘した。4.刑の執行段階死刑及び晒刑の検討はかつて行ったので、ここでは流刑について考察し、とくに流刑地までの陸路輸送において、その道中宿駅の負担が深刻であったため、天保期に海上輸送に変更されたことを確認した。
著者
吉田 正人 山本 浩之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

樹木の姿勢はあて材に発生する成長応力で調整されている。しかし、木材にあて材が含まれると、割れ・反りが大きくなり、高度利用の障害となる。そこで本研究は、針葉樹のあて材がどのように形成するのかを遺伝子発現の立場から理解することを目指した。細胞壁リグニンの合成に関連する遺伝子を調べたところ、あて材が形成されるときだけに発現する遺伝子を発見し、これをCoLac1と命名した。この遺伝子はあて材の細胞壁においてリグニン増加と密接な関係にあることを明らかにした。また、次世代シーケンサであて材形成時の遺伝子発現を網羅し、あて材形成の理解を深めた。
著者
松田 尚樹 工藤 崇 中山 守雄 井原 誠 岡市 協生 吉田 正博
出版者
長崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

放射性ヨウ素による内部被ばくの影響を検出する新しい評価系の開発をin vitro、in vivoの両面から試み、その結果を住民とのリスクコミュニケーションを通して不安緩和に随時応用した。In vitroではI-131を取り込んだラット甲状腺培養細胞の生存率、DNA損傷、シグナル系が急性照射とは異なる応答を示す結果を得た。In vivoでは、I-131を用いるSPECTの実現可能性は確認されたものの、内部被ばく検出とその健康リスク評価については、さらに複数の核種、プローブを駆使して開発を進める必要が残された。このような実験結果は、リスクコミュニケーションを進める上での重要な素材となった。
著者
吉田 正夫 大津 浩三 山本 雅道
出版者
岡山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1986

受容膜のターンオーバーに関しては, 感桿型をもつ甲殻類, 昆虫, 繊毛型をもつ脊椎動物の各視細胞で知られている. 本研究のナメクジウオは同一動物が再種の型の視細胞をもつが, 明暗によりターンオーバーを示すものは感桿型であるジョセフ, ヘッセ細胞のみであった. 繊毛型のラメラ細胞でターンオーバーが見られなかったが, 脊椎動物の円盤膜も, それ自身がターンオーバーするのではなく色素上皮細胞に喰われることによる現象であること, 即ち視細胞自身の活性に基くものでないことに着眼, 進化的2型と対応したターンオーバーの意味を探ることを本年度の目標とし, 繊毛型視細胞(クラゲ, ホタテガイの遠位網膜)の明暗順応過程の調査を行っている. 現在のところ上記の作業仮説に反する結果は得られていないが, 進化的にも, 膜の生理機能の上でも広く且重要な結論となり得るので, 今少し調査の必要がある.
著者
白井 純宏 川上 茂生 吉田 正貴 上田 昭一 中村 武利 本田 由美
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.847-850, 1999-10-20
被引用文献数
3 1

透析患者に合併した膀胱肉腫様癌の1例を経験したので報告する.症例は65歳女性.平成8年3月,慢性糸球体腎炎による腎不全のため血液透析導入となった.平成9年6月より肉眼的血尿が出現し,膀胱鏡検査にて右側壁から後壁にかけて広範囲に隆起性病変を認め,TUR-Btによる病理組織診はsarcomaであった.臨床病期T3bN0M0,StageIIIの診断にて同年9月10日,膀胱子宮全摘術を施行した.最終的な病理組織診断は移行上皮癌(Grade3)の成分と異型紡錘形細胞の増殖をみる肉腫様の部分とで構成された肉腫様癌(sarcomatoid carcinoma)であった.透析患者に合併した膀胱原発の肉腫様癌は極めて稀であり,調べ得た限りでは本症例は本邦2例日である.
著者
吉田 正樹 (2007-2008) 田中 啓治 (2006) BOUCARD CHRISTINE BOUCARD Christine BOUCARD Christine Claudia
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

1.静的視野検査の施行により、視放線の障害部位が臨床的にあらかじめ推定可能であった脳出血による視野障害症例に、機能的磁気共鳴イメージング法および拡散テンソル画像法をおこなった。2.機能的磁気共鳴イメージング法による視覚皮質における網膜位置情報レチノトピーの検討と、視放線の視覚皮質への接続性評価をおこなった。レチノトピー情報は、視野障害を正確に反映した結果が観察された。3.上記結果を、高磁場3T装置に応用し、シーケンスの最適化をおこなった。従来の1.5T装置と同程度の撮像時間内での撮像と、3T装置の長所である高空間分解能が可能となった。実際には、撮像時間は同じであるのに対して、機能的磁気共鳴イメージング法では、従来の1.5T装置では、3mm四方の空間分解能に対し、3T装置では、2mm四方の空間分解能が実現可能であった。拡散テンソル画像法では、1.5T装置では、2.5mm四方の空間分解能に対し、3T装置では、1.5mm四方の空間分解能が実現可能であった。4.緑内障性視野障害は、視覚野における形態変化を伴うことが剖検例で報告されている。緑内障症例に対して高空間分解能機能的磁気共鳴イメージング法および拡散テンソル画像法を施行した。先天緑内障症例において、視覚野、および視放線における形態変化を伴うことが示された。実際には、視覚野において、前方皮質の減少が観察され、視野障害に一致した。視放線に一致した白質の減少も同時に観察された。
著者
吉田 正夫
出版者
岡山大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1983

1.8種類のウニ(タワシウニ、コシダカウニ、エゾバフンウニ、タコノマクラ、アカウニ、バフンウニ、ムラサキウニ、サンショウウニ)の幼生および稚ウニの飼育を試み、理学部付属臨海実験所レベルの小規模施設における稚ウニ生産技術の確立をめざした。2.タコノマクラを除き、大規模な飼育設備を持たない施設においても、数千個の稚ウニを生産できることが判明し、実験の性質を限れば、研究者にある程度安定的にウニを供給できる目途がついた。3.海水の汚染状況は各地で異なるため一概には言えないが、適当な濾過装置を用いれば幼生飼育可能な海水を得ることができる。4.幼生飼育の餌としては、珪藻Chaetoceros gracilisが最適である。5.変態前の幼生は、30リットルパンライト容器中で、1mlあたり6個体の密度で飼育した。飼育液中に繊毛虫が発生してきたら換水した。6.幼生が8腕期に達し、ウニ原基が十分に発達したら変態誘導をおこなった。予め器壁に付着珪藻を付けておいた500リットルパンライト容器中に、プラスチックの波板を組合わせて作ったコレクターを設置し、変態直前の幼生を入れると直ちに変態を開始した。7.20°Cで飼育して、変態誘導までに要した時間は、アカウニ、21日、バフンウニ、18日、ムラサキウニ、12日、サンショウウニ、9日であった。8.変態後の稚ウニは、アナアオサやモクを餌として与えて飼育し、殻径が5mm〜1cmに達したら海へ放流した。9.500lパンライト容器で生産可能な稚ウニの数は、最大1万であろう。