著者
甲斐 郷子 中村 順一 吉田 將
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 自然言語処理研究会報告
巻号頁・発行日
vol.95, no.27, pp.79-84, 1995-03-09
参考文献数
10
被引用文献数
4

科学技術論文などの論理的文章にとって,論旨展開が明確であること,事実,主張,根拠などがバランスよく述べられていることは重要である.しかし初心者にとってこれらの適切さを認識することは容易ではない.本稿では,このような論文作成の初心者に論文改訂作業を支援するシステムの試作と改訂実験によるシステムの評価について述べる.本プロトタイプシステムでは,表層的な情報を基に改訂対象の文章構造を解析し,その結果を筆者に提示することにより支援を行う.改訂実験により明かになった本プロトタイプシステムの有効性と限界についても論じる.
著者
桂 紹隆 吉田 哲 片岡 啓 志賀 浄邦 護山 真也 能仁 正顕
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

平成28年5月28日・29日に龍谷大学において国際ワークショップ「Bhaviveka and Satyadvaya」を開催した。京都大学の出口康夫教授の基調講演"Bhaviveka on Negation from a Contemporary Viewpoint"のあと、米国のDavid Eckel, Mark Siderits教授、中国の葉少勇、何歓歓、李生海博士、日本の一郷正道、斎藤明教授他8名、合計15名の研究発表が行われた。Eckel, Siderits, 一郷教授の発表は「インド学チベット学研究」第20号に既に掲載されている。李博士の研究は、Journal of Indian Philosophyに掲載される予定である。近年斎藤教授を中心に進められているBhaviveka(清弁)研究の国際ワークショップを引き継ぐものであり、上記の研究成果は、ラトナーカラシャーンティの『般若波羅蜜多論』の内容理解、とくに対論者である中観派の学匠の見解を同定するの大いに貢献した。『般若波羅蜜多論』を読解するための定例研究会を引き続き行い、平成29年3月には全編を読了することができた。主として関係文献へのレファレンスからなる詳細な和訳研究は一応完成することができた。ただし、梵語原典の校訂者である羅鴻博士の来日が実現しなかったため、「和訳研究」の出版には、もう少し時間をかけることとした。平成29年3月には、タイのマヒドン大学で開催された「ジュニャーナシュリーミトラ研究会」に参加し、『般若波羅蜜多論』の梗概を紹介すると同時に、ハンブルク大学のIsaccson教授の「有相証明論」の読書会に参加し、ラトナーカラシャーンティの「無相論」の理解を深めることができた。
著者
吉田 克志 武田 善行
出版者
農業技術研究機構野菜茶業研究所
雑誌
野菜茶業研究所研究報告 (ISSN:13466984)
巻号頁・発行日
no.3, pp.137-146, 2004-03

チャの重要病害である炭疽病の抵抗性検定法を確立するため,付傷接種による抵抗性検定法を検討した。ジャガイモ蔗糖液体培地にメチルセルロース400cPを最終濃度3%(w/v)になるように混合し,これに炭疽病菌分生子を加え,最終濃度が1×10 7個/mlになるように調整した分生子懸濁液を検定に供試した。チャ炭疽病菌分生子懸濁液を付着させた,3mm幅のマイナスドライバーを用いて,充分に硬化したチャ成葉を十字型に付傷すると同時に接種を行った。その後,湿室・暗黒下で26℃,18時間静置した後,オアシス(R)育苗成型培地に接種葉を挿し,湿室条件下で2週間培養すると,その品種の炭疽病拡大抵抗性の強さを反映した,炭疽病の病斑形成が認められた。炭疽病抵抗性の強さを病斑の大きさにより,極強(3mm未満),強(3-5mm未満),中(5-8mm未満)および弱(8mm以上)の4段階に類別した。また,成葉の供試時期の違いにかかわらず再現性の高い結果が得られた。本検定法はチャの拡大抵抗性を調査するもので,圃場抵抗性を直接反映するものではないが,圃場における炭疽病自然発生の程度と本検定法の結果は類似性が高いこと,幼木から採取した成葉も検定法に供試できることから,本検定法はチャ育種における炭疽病抵抗性系統の早期選抜に利用可能であると考えられる。
著者
吉田 一史美
出版者
日本医学哲学・倫理学会
雑誌
医学哲学医学倫理 (ISSN:02896427)
巻号頁・発行日
no.29, pp.53-62, 2011-09-30

This paper studies a movement in Japan in the 1970s and 1980s for a new adoption system to give women reproductive freedom by providing an alternative to abortion. The study examines why the adoption movement resulted in failure and reveals how concurrent campaigns to restrain abortion influenced this failure. In 1973, Dr. Noboru Kikuta publicly confessed to arranging 100 illegal adoptions using false birth certificates in cases of unwanted pregnancy to protect the mothers and save their fetuses. Subsequently, he started a movement to deny abortion to any woman past her seventh month of pregnancy, when a fetus can survive outside of the womb, and to establish a new adoption system protecting women's privacy in records of childbirth and adoption to provide an alternative to abortion. However, jurists did not embrace the protection of unmarried mothers from stigma and the Special Adoption Law established in 1987 did not reflect Kikuta's proposal. In the 1970s and 1980s, while Kikuta developed his movement, some religious groups and politicians criticized the Eugenic Protection Act, which was enacted in 1948 and allowed abortion within the seventh month. They campaigned to amend the act to prohibit most abortions and include disabled fetuses in eugenic policies instead. However, feminist and disabled people's groups protested against and frustrated the campaigns. As a side effect of this controversy, Kikuta's movement for a new adoption system was seen as being radically pro-life or anti-feminist. Moreover, obstetricians making a living by performing abortion and feminists did not actively support him. Kikuta's new adoption system was a simple proposal to protect fetuses' lives and add to women's choices, but the concurrent anti-abortion campaigns made Kikuta's beliefs and actions seem overly political. Kikuta's failure and the present situation of adoption in Japan are representative of the limitations of women's reproductive freedom in Japan.
著者
吉田 香奈
出版者
広島大学高等教育研究開発センター
雑誌
大学論集 (ISSN:03020142)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.137-152, 2014

The purpose of this study is to clarify the trends and problems of public college tuition and state student aid policy in Pennsylvania which is known as the highest tuition level in the United States. Access to higher education is an extremely important policy issue. In granting student financial assistance and maintaining low-tuition level, the state government has enlarged the opportunity of higher education for many years. However, many states have shifted high-tuition/high-aid policy recently. They have shifted the cost burden from taxpayers to college students and their families through high percentage tuition increases in the public colleges and universities. Why is the tuition level of public colleges in Pennsylvania the highest in the nation? How do they compensate the rising tuition through student financial aid programs? In pursuing the goal of this study, the author conducted hearings with the Pennsylvania Department of Education, Pennsylvania Higher Education Assistance Agency and the student aid offices of colleges and universities in Pennsylvania in 2011, 2013 and 2014. The study consists of four sections. The first describes the characteristics of Title IV postsecondary education institutions in Pennsylvania, its average cost of attendance, and the decision making process of tuition setting. The second explains the characteristics of state student aid programs carried by the Pennsylvania Higher Education Assistance Agency and it's positioning in the United States. Pennsylvania has had a strong tradition of providing need-based financial aid program to students. But, it has been difficult to raise state appropriations for the need-based student aid program to compensate for the rising tuition. The third examines the difference of net price. Net price is generated by subtracting the grant or scholarship aid from the total cost of attendance. It was found from the data that the highest net price in the lowest income group was the four-year public research university. For low income students, it is likely to be difficult to access and persist their learning in selective public research university due to their burden of cost of attendance. Fourth and lastly the study concludes by summarizing the main points and indicating the implications for Japanese national and public university tuition setting and student financial aid policy.
著者
吉田 哲也
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM)] (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.79-88, 2012-09-28

本稿では,複数のコミュニティへの所属を許容する重複コミュニティの発見を実現するために,ネットワークの重みを反映する重み付き線グラフを提案する.従来のノード分割に基づくコミュニティ発見手法ではノードは 1 つのコミュニティに割り当てられるため,複数のコミュニティには所属できないという課題がある.この課題に対し,本稿ではネットワークをその線グラフに変換し,変換後の線グラフにノード分割手法を適用することにより重複コミュニティ発見を実現する.従来の線グラフはネットワークの接続関係のみから定義されるが,ネットワークの重みを活用したリンク分割を実現するため,重みに基づいて拡張した重み付き線グラフを提案し,その性質を示す.さらに,ノード分割に基づくモジュラリティを拡張し,重複コミュニティ発見におけるソフトなノード分割に対するモジュラリティを提案する.提案法を人工ネットワークと実世界のネットワークに適用し,他手法との比較を通じてその有効性を示す.
著者
大久 長範 堀金 明美 大能 俊久 吉田 充
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.522-527, 2005 (Released:2007-04-13)
参考文献数
11
被引用文献数
3 4

1) 稲庭うどん, ナンバーワンひやむぎ, 讃岐うどんの圧縮強度 (低圧縮H1, 高圧縮H2) 及びその比 (H2/H1) を求めた.2) 茹で30分後のH2は, ナンバーワンひやむぎで1.9N, 讃岐うどんで2.5Nでに対し, 稲庭うどんでは4N~7Nと大きな値であった. 時間の経過とともにH1とH2は変化するものもあったが, H2/H1比はほぼ一定の値となり, No1ひやむぎが約10, 讃岐うどん約8, 稲庭うどんが13~18であった.3) 茹でた稲庭うどんをMRIにより観察したところ, 空隙があり, 空隙には水が進入していない状態が6時間に渡り維持された. ナンバーワンひやむぎや讃岐うどんにはこのような空隙が観察されなかった.
著者
楠城 一嘉 吉田 明夫
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2017
巻号頁・発行日
2017-03-10

各マグニチュードの地震発生頻度を、横軸にマグニチュード(M)、縦軸に頻度の対数をとってプロットすると、十分に検知できているマグニチュードの範囲で、地震頻度分布は直線で良く近似できる。グーテンベルグ-リヒターの法則として知られているこの分布式で、直線の傾きの値(b値)は、地震発生域の差応力の大きさと相関がみられることが知られており、一般に、断層のアスペリティのような応力の集中しているところではb値は小さく、一方、差応力が小さいところ、例えば、間隙水圧が大きなところ等では、b値は大きい。こうした経験的知識を基に、2011年東北地方太平洋沖地震の震源域のb値の空間分布の変化を調べたTormann et al. (2015)は、2013年以降、b値の空間分布が、ほぼ震源域全体に渡って東北地方太平洋沖地震発生前のb値の分布に戻っているという結果を得たことから、東北地方太平洋沖地震の震源域の応力場は、わずか数年で地震発生前の状況に回復したとみなし、このことから、巨大地震は特徴的な再来周期を持たず、時間的にランダムに発生すると結論している。これは本当だろうか?もし、彼らの結果、及びその推論が正しければ、これまで文部科学省の地震調査委員会が進めてきた地震発生の長期予測の考え方を根本的に見直す必要が生じることになる。 我々は、こうした問題意識を持って、東北地方太平洋沖海域におけるb値の時間的変化を詳細に解析した。Tormann et al. (2015)の解析方法と基本的には同じだが、プレート境界での地震と上盤の地震を分けたこと、地震活動度の空間分布の時間的な変化について考慮したことなど、いくつかの点で、手法に改善を加えた。 我々の解析で得た主要な結果は以下の通りである。2011年東北地方太平洋沖地震で大きくすべった領域では、b値は地震直前の小さな値(Nanjo et al., 2012)に戻っていない。牡鹿半島沖合の想定宮城県沖地震の震源域付近でもM9地震の前にb値が次第に小さくなっていた。三陸北部沖合の海域ではb値の小さい状態が継続しており、しかも最近、低b値域の範囲が西側に広がってきている様子が見える。この低b値域の北部は1994年三陸はるか沖地震の破壊開始域と重なるが、南部は過去の大地震の破壊域と重ならない。総じて、我々の結果では、Tormann et al. (2015)が主張するように震源域全体でb値は東北地方太平洋沖地震前の状況に戻ったとは言えない。また、三陸北部沖合の低b値域では、近い将来における大地震発生の可能性も考慮して注意深く推移を見守っていく必要があると考える。
著者
石垣 一彦 矢加部 茂 竹尾 貞徳 前川 宗一郎 吉田 康洋 池尻 公二
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.325-328, 1986-04-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
10

精神障害者同士の結婚例12組について, 主として社会適応面から調査し報告した.1) 病名は夫婦とも精神分裂病である組合せが7組で, 12組のうち11組の両方あるいは片方の患者は分裂病者であつた.2) 結婚の様式は恋愛結婚6組, 見合結婚5組で, 見合結婚の経過が良好であった.3) 結婚の動機として, 男性では長子, 祭 主宰者としての役割を期待され, 女性では親の老令化, 同胞の世話になりたくないため結婚している者が多かつた.4) 社会適応状況は男性より女性の方が良好であつた.5) 結婚から現在までの経過は安定型, 不安定維持型, 挫折型の3つに分類出来た.
著者
神倉 和見 杉浦 辰美 齋藤 康孝 吉田 博明
出版者
The Japanese Society of Extra-Corporeal Technology in Medicine
雑誌
体外循環技術 = The journal of extra-corporeal technology (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.88-89, 2005-03-01

乳児領域で使用可能なプレコネクト回路を使用する機会を得たので報告する。以前より使用していた人工肺(Baby-RX),ハードシェルリザーバー(CX-RR10),動脈フィルター(CXAFO2),器械側,術野側をXコーティング回路6.4mmでプレコネクトし,滅菌されたシールドで術野側と器械側を仕切り,術野に密着することで回路を短くし,初期充填量を少なくすることができた。接続箇所を少なくすることで,体外循環準備時間の短縮,誤接続防止,感染リスクの低減が期待できた。梱包が小さくなり,器材庫の省スペース化,ごみの削減,在庫管理の効率化に有効であった。しかし,器械側シールド内の空間が狭く,操作性向上のためには改良が必要と考えられた。またシールド内の術野回路の位置,取り出し方法にも改良の必要性を認めた。プレコネクト回路シールドパックは待機手術だけでなく,一刻を争う緊急時にも有用であると考えられる。回路径を変更することで乳児だけでなく新生児にも対応できる回路である。

1 0 0 0 OA 環境電磁工学

著者
吉田 昭二
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.434-439, 1984-05-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
23

我が国は経済, 技術の急速な発展のため公害の苦い経験がある.現今, 電気電子機器の発達普及もまた目覚ましいものがあるので, 環境電磁工学研究会その他で発表されたデータを引用しながら, 電磁環境問題について概観した.
著者
吉田 仁美
出版者
岩手県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

平成29年度は、第一に、主に内外の文献収集につとめた。その際には統計情報も収集し、現在、文献を整理し分析を行っている。また、統計情報に関しては国連統計委員会などの情報がウェブ上に掲出されており、常に動向をチェックする必要があったので、インターネット上の情報も参考にした。第二に、障害統計やデータに関して重要だと思われる関連文書、国際的文書、データを収集して分析・考察を行った。中でも、障害統計の整備に向けて重要だと思われる「ワシントン・グループ」の活動に着目して研究を進めた。同時に国連統計委員会を支える「シティ・グループ」への理解を深めることも意識的に行った。第三に、障害測定に関してワシントン・グループが開発した「短い質問セット」が世界各国でどのように使用されているか(国勢調査、全国調査、障害モジュール、事前テスト等)文献資料やインターネットからの情報をもとに調べた。このことと関連して、障害測定の枠組みの基礎となるWHOのICF(国際生活機能分類)の形式について検討を行った。第四に、これらの研究に関して、自主的な研究会や英語文献学習会を開催するなどして継続的に研究を続けられるように工夫をした。本研究は外国語文献に依拠することが多く、専門用語の翻訳等は注意深く行う必要があった。その場合は適宜、専門家の指導・助言を受けながら進めた。第五に、日本の高等教育の障害者のニーズを把握するために先進的な取り組みをしている大学数校にヒアリングを実施することができた。なお、今年度の成果の一部は岩手県立大学社会福祉学部紀要に投稿し、掲載された。