著者
山川 達志 水田 克巳 黒川 克朗 永沢 光 山田 尚弘 鈴木 恵美子 和田 学
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.9, pp.485-491, 2017 (Released:2017-09-30)
参考文献数
24
被引用文献数
1 12

2008,2011,2014,2016年夏季に経験したヒトパレコウイルス3型感染に伴う成人の筋痛症17症例(男性14例,女性3例)について検討した.年齢は21歳から50歳.全例,四肢に強度の筋痛,筋力低下,握力低下を認めた.14例(82%)に発熱,8例(47%)に上気道炎症状,4例(24%)に胃腸炎症状,男性4例(男性の29%)に陰部痛を認めた.血清CKが1例を除き上昇していた.骨格筋MRIは5例中2例に大腿筋に異常信号を認めた.神経伝導検査は9例中5例でF波の誘発が不良だった.7例で同時期に家族内の乳幼児に発熱,感冒様症状があり家族内感染が疑われた.全例1~2週間で軽快した.
著者
星野 直 石原 唯史 岡田 広 松永 綾子 粒良 昌弘 田邉 良 木村 翔 石和田 稔彦 中島 弘道
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.97, no.1, pp.18-25, 2023-01-20 (Released:2023-01-20)
参考文献数
22

千葉県小児災害対策ネットワーク参加施設(38医療機関,県内の全2次医療圏をカバー)を対象に,千葉県の小児新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019:COVID-19)入院例について後方視的に検討した.流行第1波~第5波(2020年3月~2021年12月)は観察研究で集計した155例(年齢中央値6歳10カ月)を,第6波(2022年1月~5月)はメーリングリストで集計した354例(同3歳)を対象とした.ピーク月の比較で,第6波は第5波までの5倍の入院数を認めた.第5波までは軽症例(発熱のみ,上気道炎,無症状)が9割を占めたが,重症肺炎が1例見られた.一方,第6波では,痙攣(19.5%),クループ症状(4.5%)での入院例が増加した.痙攣のうち重積が42%,群発が30.4%を占め,3例が脳炎・脳症と診断された.また,この3例を含む13例(3.7%)が集中治療室管理またはそれに準ずる治療を要した.第6波での新型コロナワクチン2回接種完了者は,5~11歳で2.6%,12歳以上で40%と低率であった.このように,第6波の主体であったオミクロン株流行期には,小児COVID-19患者の症状に変化が見られた.また,入院例での新型コロナワクチン接種率は低く,重症化予防の観点から,小児へのワクチン接種の積極的推奨の重要性が示唆された.

4 0 0 0 OA 安部公房論

著者
和田 勉
出版者
九州産業大学
雑誌
九州産業大学国際文化学部紀要 (ISSN:13409425)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.A1-A14, 2007-09
著者
和田 俊昭
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.54-67, 1986 (Released:2018-03-14)

What is the essence, the origin and the function of religion? To this important question in science of religion René Girard gave a very simple and clear reply in recent years. According to him, all religions come from sacrifice, and all sacrifices, after all, can be reduced to redemptive victims. The origin of the redemptive victims lies in human sacrifice, and animal sacrifice is the mere mimesis. To avoid mutual violence between people and to establish social-cultural order is the purpose of the human sacrifice. I think it is difficult to prove Girard’s theory of religion on the strength of the latest studies of sociology, anthropology and science of religion.
著者
和田 由佳子 松岡 宏高 藤本 淳也
出版者
日本スポーツマネジメント学会
雑誌
スポーツマネジメント研究 (ISSN:18840094)
巻号頁・発行日
pp.2022-001, (Released:2022-05-18)
参考文献数
50
被引用文献数
1

After the 2015 and 2019 Rugby World Cups, the Japan Rugby Top League games attracted many new fans including female fans and niwaka fans (bandwagon fans/fair-weather fans). Understanding the characteristics of game attendees could be crucial to retain new fans and expand the fan base. The purpose of this study was to categorize attendees into four segments according to gender and fan types and to compare their characteristics, motivations for attending games, and knowledge of rugby. Data were collected from seven games at five venues from January 12 to 26, 2020. The four segments—male niwaka fans, female niwaka fans, male regular fans, and female regular fans—were compared by one-way analysis of variance. It was found that male regular fans had supported rugby since 1980, while female regular fans appeared after the 2015 Rugby World Cup. Further, the motivations of female niwaka fans and regular fans were different.
著者
原山 茉優 永井 宏達 大川 夏実 佐野 恭子 楠 博 玉城 香代子 和田 陽介 辻 翔太郎 新村 健
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.483-490, 2022-10-25 (Released:2022-12-06)
参考文献数
30

目的:地域在住高齢者における身体活動量とアパシーの関連を明らかにすることである.方法:本研究は地域在住高齢者を対象とした横断研究である.アパシーの評価には日本語版Geriatric Depression Scale15の下位項目のうち,アパシーに関する項目である3項目を用いた.身体活動量はリストバンド型身体活動量計を用いて,2週間あたりの中強度以上身体活動量,低強度身体活動量,座位行動を測定した.統計分析として,アパシーの有無と各強度別身体活動量の関連について,ロジスティック回帰分析を用いて検討した.結果:784名(平均年齢72.7±5.9歳)が解析対象となった.対象者のうち,アパシー群は103名(13.1%),非アパシー群は681名(86.9%)であった.多変量解析の結果,基本属性により調整したモデルでは,総身体活動量(OR=0.947,95% CI=0.912~0.984,p=0.005),低強度身体活動量(OR=0.941,95% CI=0.899~0.985,p=0.009),座位行動(OR=1.002,95% CI=1.001~1.003,p=0.007)がアパシーの有無に有意に関連していた.一方,中強度以上身体活動量はアパシーとの有意な関連が認められなかった(OR=0.916,95% CI=1.826~1.017,p=0.100).機能的な因子による調整を加えた最終モデルでは,身体活動量のすべての強度レベルにおいてアパシーとの有意な関連性はみられなくなり,うつ症状を表すGDS-12とアパシーとの強い関連が示された.結論:アパシーを呈する高齢者では,総身体活動量,低強度身体活動量が低下しており,座位行動が延長していた.しかしながら,それらはうつ症状の影響を強く受けており,身体活動量とアパシーの独立した関係は認められなかった.
著者
和田 宗一郎 野上 正雄 田村 卓也 齋 秀二 上野 倫彦 長谷山 圭司 南雲 淳
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.110-113, 2021-03-01 (Released:2021-03-01)
参考文献数
11

患者搬送固定翼機(メディカルジェット)による補助循環用ポンプカテーテル(IMPELLA®)装着下転院搬送を行った。症例は12歳女児で,急性心不全の加療目的に約300 km遠方の病院から回転翼機で当院に搬送された。拡張型心筋症の診断で治療を行ったが,転院から約1か月後に心原性ショックに陥り,IMPELLA®を装着した。1,000 km離れた小児心臓移植施設への転院のためメディカルジェットの使用を決定した。機材の一体化・超音波検査装置の携行・場面別シミュレーションにより搬送中のカテーテルの位置変動リスクを低減し,合併症なく搬送を完遂した。非医療職を含めたスタッフの普段からの搬送業務への関与が,メディカルジェットの円滑な運用に寄与したと考えられた。
著者
清水 岑夫 和田 修治 林 利光 有澤 宗久 池ヶ谷 賢次郎 大角 誠治 矢野 三郎 森田 直賢
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.108, no.10, pp.964-970, 1988-10-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
12
被引用文献数
4 25

Hypoglycemic activity of several kinds of Japanese tea was examined and bancha was found to have potential hypoglycemic activity in streptozotocin-induced hyperglycemic and normal rats. One of the active principles was purified by chromatograph on Toyopearl HW-50F and diethylaminoethyl-cellulose and determined to be heteropolysaccharide (T-b) consisting of arabinose, D-ribose and D-glucose (5.1 : 4.7 : 1.7), which gave a molecular weight of approximately 4×104.
著者
尾崎 茂 和田 清
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.117, no.1, pp.42-48, 2001 (Released:2002-09-27)
参考文献数
35
被引用文献数
4 5

動因喪失症候群(amotivational syndrome)は, 有機溶剤や大麻等の精神作用物質使用によりもたらされる慢性的な精神症状群で, 能動性低下, 内向性, 無関心, 感情の平板化, 集中持続の因難, 意欲の低下, 無為, 記憶障害などを主な症状とする人格·情動·認知における遷延性の障害と考えられている.1960年代に, 動因喪失症候群は長期にわたる大麻使用者における慢性的な精神症状として報告された.その後, 精神分裂病の陰性症状, うつ病, 精神作用物質の離脱症候などとの鑑別が問題とされ, 定義の曖昧さを指摘する意見もあるが, 現時点では臨床概念として概ね受ケ入れられつつある.その後, 有機溶剤使用者においても同様の病態が指摘されるとともに, 覚せい剤, 市販鎮咳薬などの使用によっても同様の状態が引き起こされるとの臨床報告が続き, 特定の物質に限定されない共通の病態と考える立場がみられつつある.また, 精神作用物質使用の長期使用後のみならず, かなら早期に一部の症状が出現することを示唆する報告もある.1980年代より, X線CTなどを用いた有機溶剤慢性使用者における脳の器質的障害の検討によって, 大脳皮質の萎縮などが指摘されてきた.最近は, 神経心理学的手法, MRI, SPECTといった形態学的あるいは機能的画像解析などを用いて, 動因喪失症候群の病態をより詳細に解明しようとの試みがなされつつある.それによれば, 動因喪失症候群にみられる認知機能障害の一部には, 大脳白質の障害が関連し, 能動性·自発性低下には前頭葉機能の低下(hypofrontality)が関連している可能性が示唆されている.これについては, 動因喪失症候群の概念規定をあらためて厳密に検討するとともに多くの症例で臨床知見を重ねる必要がある.治療については今のところ決め手となるものはなく, 対症的な薬物療法が治療の中心である.賦活系の抗精神病薬や抗うつ薬を中心に投与しつつ, 精神療法や作用療法を適宜導入して, 長期的な見通しのもとに治療にあたることが求められる.
著者
丸山 祥 松本 仁美 岡和田 愛実 新藤 恵一郎 赤星 和人 金子 文成
出版者
三輪書店
巻号頁・発行日
pp.1437-1442, 2020-12-15

Abstract:脳卒中後の重度上肢麻痺に対する視覚誘導性自己錯覚(KINVIS)療法と従来型運動療法による複合療法に,Aid for Decision-Making in Occupation Choice for Hand(ADOC-H)を加えたアプローチによって日常生活での手の使用に変化がみられたので報告する.患者は50代男性で,左脳梗塞発症後3.5年経過していた.介入(10日間)は,①視覚誘導性自己錯覚療法,②従来型運動療法,③ADOC-Hを用いたアプローチを毎日行った(③のみ7日間).結果,上肢運動機能の改善を認め,日常生活での麻痺手の使用が増加した.本結果は,視覚誘導性自己錯覚療法と従来型運動療法によって運動機能改善が得られ,さらにADOC-Hを用いたアプローチによって日常生活での麻痺手の使用が促進することを示唆している.
著者
福田 直人 和田 浄史 高橋 茂男 田村 義民
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.939-943, 2004-07-31 (Released:2010-09-24)
参考文献数
25
被引用文献数
3

症例は74歳, 女性.下腹部痛と嘔気を主訴にイレウスの診断で当院に緊急入院となった.病歴聴取により発症2日前に玉こんにゃくを咬まずに飲み込んだことが判明した.腹部単純X線撮影およびCT検査で管腔内に腸液とガスが充満し, 全体的に拡張する小腸像を認めた.当初, 経鼻胃管により保存的治療を開始したが軽快しないため, 4日目にイレウス管挿入し5日目に小腸造影を行った.その結果, 回腸に玉こんにゃくが詰まってイレウスの原因となっていることが判明したため, 同日緊急開腹術を施行した.気管支喘息という基礎疾患を有することおよび閉塞部位が下腹部に限定されたことより, 腰椎麻酔+硬膜外麻酔下に下腹部の5cm小開腹で低侵襲手術 (minimally invasive surgery: MIS) を行った.回盲弁より10cmの回腸に4×3×2cm大の玉こんにゃくが詰まっており, 同部の小腸を切開して摘出した.術後, 23病日で軽快退院となった.文献的考察も含め報告する.