著者
大和田 潔
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.1134-1135, 2013

群発頭痛の治療は,診断するところからすべてが始まる.本講演では,群発頭痛と診断されるまでに苦労された患者さんの男女例を示した.治療においては,激しい群発頭痛の疼痛の制御の面から,予防薬の方が発作治療薬よりも重要でさえある.ステロイドは必須ではない.バルプロ酸,ガバペンチン,アミトリプチリン併用療法を紹介し,予防薬だけで発作が軽く終わった例も提示した.激しい発作にはスマトリプタン自己皮下注キットがもちいられるが,当クリニックのエキスパート看護師たちの主導による講習会も紹介した.群発頭痛の治療には,適切な診断と予防薬と発作治療薬の組み合わせが必須である.
著者
大和田 秀二 所 千晴
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

CO2を飽和させた硫酸溶液に、硫酸第一鉄と過酸化水素、pH調整剤を少しずつ断続的に添加させることによって高効率にラジカルを発生させる高効率フェントン法を用いて、CO2をメタノールやエタノールへ変換させることに成功した。中間生成物として、ギ酸、酢酸、シュウ酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドが生成することがわかった。また、各種触媒の使用や、プロセス条件の最適化によって収率が向上した。さらに、フェントン反応の結果生じる汚泥は水酸化第二鉄とシュベルトマナイトの混合物であるが、水酸化第二鉄の割合が大きくなるようにプロセス条件を制御することによって、アルコール生成の収率が向上することがわかった。
著者
徳山 寛 和田 圭二 五箇 繁善
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.141, no.4, pp.324-329, 2021-04-01 (Released:2021-04-01)
参考文献数
21

In power converter circuits, a gate drive circuit is connected to the power devices for the switching operation. The gate drive circuit transmits both signal and power to the power devices, simultaneously. At present, multi-level converter circuits using large numbers of devices have been proposed for power electronics circuits, but these are complicated to implement in a circuit. Hence, simplification of the signal and power transmissions of the gate drive circuit is required for circuit implementations. This paper proposes a gate drive circuit using SAW (Surface Acoustic Wave) devices that can transmit signal and power to the power devices, simultaneously. To use the several-hundreds MHz signal output from the SAW filter as the gate signal, this paper presents the design procedure for the internal parameters of the detection circuit that demodulates the signal into a several kHz signal. The usefulness of the proposed design is demonstrated by experimental evaluation of a half-bridge inverter and gate drive circuit with SAW filters.
著者
于 卉 大和田 泰伯 小口 正人
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.241-242, 2019-02-28

インターネットとスマートフォンの急速的な普及に伴い,その関連技術とアプリケーションが現代人の生活の一部分になった.地震等の自然災害が起きた際に,被災地のインターネットインフラが断片的に壊れることにより,ネットワークが通信不能になり,インターネットの高依存のアプリケーションが使えなくなる可能性がある.しかし,災害の関連情報や避難情報や生活支援情報等の情報を被災者に伝達することが必要である.本研究はインターネット非接続の条件下,断片化のネットワークを利用し,XMPP を用いて災害時の分散臨時SNSシステムの構築を目標として,管理者の管理手段を検討する.
著者
菅野 三郎 和田 裕 川名 清子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.10, no.6, pp.371-375_1, 1969
被引用文献数
1

食パン中のプロピオン酸は水蒸気蒸留で分離後, 熱検出液体クロマトグラフィーにより定量可能である.<br>食パン中にプロピオン酸を添加した場合回収率は90%以上であるが, パン製造時に添加した場合回収率は約70%に低下した. このような回収率の低下は焼き上げ時の加熱によるプロピオン酸の揮散によるものであることがわかった. またカビの発生とともにパン中のプロピオン酸は急速に減少した.
著者
匂坂 真依人 和田 正義 杉山 高聖
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1P2-E14, 2018

<p>This paper is a study on power assist suit. We have developed an electric power assist device that has compliance to users. Next, we constructed a control system in which the assist device follows the movement of a human user. Then, we devised a control system that detects and automatically supports the movement of the user lifting up. In addition, in order to support multiple tasks of users, we constructed a system that automatically supports the action of climbing stairs. We confirmed that the intended action of PAS was realized by experiments.</p>
著者
高野 邦彦 尾花 一樹 田中 武 和田 加寿代 佐藤 甲癸 大木 真琴
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.29-32, 2002
参考文献数
11
被引用文献数
1

ホログラフィとは,三次元物体を空間に投影させることを可能とする技術である.これまでに,ホログラフィの画像再生では,結晶書込み手法やレンズ系を用いた再生法が検討されてきた.しかし,これらの方法では,表示できる像のサイズが小さいことや,レンズの特性によって視域が制限されるという点が問題となっていた.それに対して,提案手法では散乱物質(霧化した水粒子)そのものをスクリーンとして用いることにより,従来手法(1.5[cm]×1.5[cm]程度)に比べ容易に比較的大きな立体像(10[cm]×10[cm]程度)を観察することが可能となった。
著者
布施 陽子 江川 千秋 杉本 由美子 大和田 沙和 矢﨑 高明 大野 智子 福井 勉
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1795, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】我々は妊婦を対象とした理学療法を検討し,幾つかの研究を行ってきた。女性は妊娠によって様々な身体的変化を生じ,身体的愁訴として腰痛,尿失禁などのマイナートラブルが問題視されている。妊婦は腹部が前方へ突出するに従いsway-back姿勢となり易く,それに伴い,骨盤帯における運動機能が破綻し腰痛を生じてしまう可能性がある。骨盤帯における運動機能を再構築するための方法の中に腹横筋エクササイズ(以下,EX)があり,従来検討を繰り返してきた(2008~2014布施)。今回,腰痛を呈する妊婦に対し,腹横筋EXを実施し,疼痛,筋機能,頸管長にどのような影響を与えるかについて検討したので報告する。【方法】対象は腰痛を呈した妊婦50名(妊娠周期28.1±5.5週,平均年齢33.3±4.4歳,身長1.6±0.1m,体重57.7±8.2kg,BMI22.5±2.4 kg/m2)とし,事前に医師による診察を実施し早産の危険性がないと判断された妊婦とした。対象者に対し,1.超音波診断装置による視覚的フィードバックを用いた腹横筋収縮学習(第49回日本理学療法学術大会により腰痛を呈する妊婦への腹横筋EXとして有効性を研究),2.ストレッチポール上背臥位(第44回日本理学療法学術大会により腹横筋EXとして有効であるとしたものであり,ストレッチポールの種類については個々に評価した上で実施),3.ストレッチポール上背臥位でのu・oの発声(第46回日本理学療法学術大会により腹横筋EXとして有効であると立証),4.ストレッチポール上背臥位での上肢課題運動(第45回日本理学療法学術大会により上肢外転側と反対側の腹横筋EXとして有効であるとしたものであり,左右の回数については個々に評価した上で比率を検討し実施),5.立位での上肢課題運動(第47回日本理学療法学術大会により上肢外転側と反対側の腹横筋EXとして有効性を検討したものであり,左右の回数については個々に評価した上で比率を検討し実施),6.呼吸指導(第47回日本理学療法学術大会により腹横筋EXとして有効であると立証)の6種類の腹横筋EXの中から個別性を検討・評価した上で1つ以上の腹横筋EXを選択し,各対象者において約30分個別に実施した。計測項目は,1)疼痛スケール(VAS),2)脂肪および側腹筋群(外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋)の筋厚,3)頚管長の3項目とし,それぞれ目盛りのない10cm線,超音波診断装置(HITACHI Mylab Five),経膣超音波を用いて計測した。1)は対象者による自己評価,2)は理学療法士による計測,そして3)は医師により実施された。頚管長測定は,介入による切迫早産の兆候を確認するテストバッテリーとして実施した。また,計測肢位は2)ベッド上安静背臥位,3)産婦人科内診台上安静座位とした。2)はわれわれの先行研究で高い信頼性が得られた位置である,上前腸骨棘と上後腸骨棘間の上前腸骨棘側1/3点を通る床と垂直な直線上で,肋骨下縁と腸骨稜間の中点にプローブを当てて,腹筋層筋膜が最も明瞭で平行線となるまで押した際の画像を静止画として記録した(第43回日本理学療法学術大会により計測方法の信頼性を研究)。以上3項目を,介入前後に計測した。統計的解析は,対応のあるt検定を実施し有意水準1%未満で検討した(SPSSver18)。【結果】1.1)疼痛スケール,2)腹横筋厚に差を認め,1)は有意に減少し,2)は有意に増加した(p<0.01)。2.3)頸管長については差を認めなかった(p=0.89)。3.2)脂肪厚,外腹斜筋厚,内腹斜筋厚については差を認めなかった。【考察】本研究では,腰痛を呈する妊婦に対し,我々が先行研究にて立証してきた腹横筋EXを実施した結果,腰痛の緩和,腹横筋厚の増加を認めた。腹横筋は体幹深層筋群の1つであり,姿勢保持作用・腹腔内圧調整作用を持つと言われている。腹横筋EXを実施した事で妊娠により増大した腹部を効率的に支えられるようになり疼痛の緩和に繋がったと考えられる。妊娠24週未満で頚管長が25mm以下では標準的な頚管長に比べ6倍以上早産になりやすいとされているが,介入前後で頸管長差がなかったことから,本研究での実施内容は早産リスクを高めるほど過度な腹圧をかけたEXではないと考えられた。【理学療法学研究としての意義】本研究結果から骨盤帯における運動機能を再構築する方法として本研究での腹横筋EXが腰痛を呈した妊婦に対して安全かつ有効であることが示された。今後,妊娠経過に伴う姿勢制御機能破綻から引き起こされる疼痛に対する予防的位置付けとして本研究での腹横筋EXが貢献できると考えられる。
著者
古賀 愼 和田 猛郎 北山 淑江 下坂 康哉 竹内 義弥 小川 孝雄 高橋 昭三
出版者
一般社団法人日本粘土学会
雑誌
粘土科学討論会講演要旨集 (ISSN:24330566)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.31, 2004

平成10年に鉱物本館、平成13年に粘土新館が建設され、村立の小さな博物館として牛歩的に活動が続行されている。経済社会が停滞し、国民の間には閉塞感が漂い、未来に希望を失っている状況下、人に重点を置いた温もりのある社会派の博物館運営が渇望されている。これまでの活動内容、現況(特に粘土鉱物試料の収集整理保管・データーベース化、生活と密着した粘土製品の展示)、マネージメントミュージアム、将来ビジョンなどに関してご報告したい。
著者
伊木 れい佳 齋藤 恵美子 和田 伸子 高田 寛仁 四宮 真利子 嶋田 雅俊 田中 雅子 吉住 智奈美 阪井 宏彰 片岡 裕貴
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.93-98, 2021 (Released:2021-03-22)
参考文献数
17

【背景と目的】国内外を通し苦痛のスクリーニングの効果を検証した研究は少ない.今回兵庫県立尼崎総合医療センターにて化学療法導入時にスクリーニングを実施し,緩和ケア介入件数が増加するかを検討した.【方法】2018年2月から2019年1月に化学療法同意書を発行された患者を対象にスクリーニングを実施した.回帰不連続デザインを用いて導入前後の緩和ケアチーム介入件数の変化を評価した.スクリーニング回収率を算出し,回収に影響した因子についてロジスティック回帰分析にて評価した.【結果】チーム介入件数の変化の推定値は3.32件/月(95%CI: −3.19〜9.82)であった.回収率は月平均35.2(±7.94)%であり,回収有に関して診療科による差がみられた.【結論】当院で導入したスクリーニングでは緩和ケア介入件数の有意な増加は得られなかった.
著者
和田 実
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.45-52, 1988-04-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
25
被引用文献数
3 3

Effects of liking, interpersonal distance, and intimacy of topics on nonverbal behaviors were investigated in a setting simulating natural interaction, using a multichannel approach, which simultaneously took account of look, eye contact, body orientation, body lean, head orientation, and utterances. Twenty four male undergraduates interacted in pairs. Their interactions were video-taped. 1. Effects of liking were found on forward body lean, smile, head orientation, eye contact, and quantity of look. 2. Effects of interpersonal distance were found on forward body lean, eye contact, and body orientation. 3. In high liking, the smaller the interpersonal distance (or the greater the immediacy in terms of interpersonal distance), the greater the immediacy defined as a composite of other behaviors, and in low liking vice versa.
著者
小川 祐生 八村 寿恵 山岡 佳代 和田 慎太郎 大成 衷子 網本 昭輝
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.97-100, 2016-09-25 (Released:2017-09-25)
参考文献数
9

猫の若年性歯周病は乳歯列から永久歯列への交換の時期に始まる歯肉・歯周炎であり,過形成性歯肉炎と若年性歯周炎に大別される。本症例は発症が4.5カ月齢時で,重度の歯肉炎や歯周炎がみられたことから若年性歯周炎と診断し,抗生剤やステロイドなどによる一般的な内科的治療を実施したが奏功しなかった。歯肉炎を起こし歯肉後退を起こした部分と,それに続く健康な歯を含めた全臼歯抜歯を実施したところ症状の軽快を得た。本症例により,第一選択の治療であるスケーリングや,ステロイド剤や抗生物質などの内科的治療に反応が見られない症例に対して,全臼歯抜歯が有効な治療法であることが示された。
著者
河原 達也 筧 捷彦 和田 勉 久野 靖 辰己 丈夫
出版者
情報処理学会 ; 1960-
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.270-277, 2016-02-15

2015年8月末,本会の元会長であり,現在は日本学術振興会理事長である安西祐一郎先生へのインタビューが行われた.安西先生は,現在は文部科学省に設置された高大接続システム改革会議の座長である.本会からは,河原達也(教育担当理事/京都大学),筧捷彦(教育委員会委員長/早稲田大学),和田勉(初等中等教育委員長/長野大学),久野靖(会誌編集委員/筑波大学),辰己丈夫(会誌編集委員/放送大学),および事務局から後路が参加した.
著者
古川 雄祐 平岡 信弥 和田 妙子 菊池 次郎 加納 康彦
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理學雜誌 = Folia pharmacologica Japonica (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.138, no.1, pp.26-32, 2011-07-01
参考文献数
31
被引用文献数
1 2

ベンダムスチン(トレアキシン<sup>&reg;</sup>)はプリンアナログ様骨格にアルキル基が結合したハイブリッドな抗がん薬である.作用機序はDNAアルキル化が主体と考えられ,代謝拮抗作用については明確な結論は出ていない.がん細胞に作用させた場合に他のアルキル化薬に比べて多彩な作用を示すのが特徴で,(1)架橋形成~DNA鎖切断によるネクローシス誘導,(2)DNA損傷チェックポイント活性化によるp53依存性アポトーシスおよび活性酸素種(ROS)を介するp53非依存性アポトーシスの誘導,(3)分裂期チェックポイントの阻害による分裂期細胞死(mitotic catastrophe)誘導,(4)DNA修復阻害,(5)遺伝子発現調節,(6)早期のS期停止誘導などが報告されている.このような多様な作用機序を有することが,アルキル化薬を含む他の抗がん薬と交差耐性を示さない,単剤で従来の標準併用化学療法を上回る成績を示すなどの優れた特徴を生んでいると考えられる.ベンダムスチンは1963年に旧東ドイツにおいて開発されたが,90年代に入ってから本格的に臨床試験が行われ,低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫(瀘胞性リンパ腫,小細胞リンパ腫),マントル細胞リンパ腫,慢性リンパ性白血病に対する有効性が確立している.現在は再発・難治例が適応となっているが,初発の低悪性度非ホジキンリンパ腫を対象としてリツキシマブ+ベンダムスチンと現在の標準的治療であるリツキシマブ+CHOP(シクロフォスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,プレドニゾロン)を比較する第III相試験が行われ,無増悪生存期間の中央値において前者が有意に優れていた.さらに現在,中悪性度非ホジキンリンパ腫(びまん性大細胞性リンパ腫,末梢性T細胞リンパ腫),多発性骨髄腫への適応拡大のための臨床試験が行われている.副作用としては血液毒性,リンパ球減少による日和見感染,消化器毒性(食欲不振,悪心,便秘)などがあるが,重篤なものではない.脱毛,末梢神経障害は認めない.ベンダムスチンは今後,さまざまな悪性腫瘍において第一選択の薬剤となる可能性がある.
著者
野原 博人 和田 一郎 森本 信也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.293-309, 2018-03-19 (Released:2018-04-06)
参考文献数
17

本研究では, Engeström, Y.による「拡張的学習(Expansive Learning)」を理科授業デザインの視点として援用し, 主体的・対話的で深い学びを通した子どもの科学概念構築に関わる変化の様態について, 形成的アセスメントの要素とその関連性を視点として分析した。その内実と関連づけた上で, 主体的・対話的で深い学びの評価について, Sawyer, R.K.による「深い理解」を規準とした。科学概念の構築を図るための「道具」の変換過程をⅠ〜Ⅴと措定し, 小学校第4学年の水の温まり方についての授業デザインの分析を行った。分析した結果, 以下の諸点が明らかとなった。(1)「拡張的学習による理科授業デザイン」が具現されていくことで, 知識としての「道具」が主体的・対話的で深い学びによって構築されていった。(2)主体的・対話的で深い学びによって構築された知識としての「道具」は, Ⅰ〜Ⅴの段階を通して, 「深い理解」の具現化として, 質的変換が図られた。(3)「深い学び」と「学習における主体性・協働性」は表裏一体化して機能する。