著者
磯部 光平 坂本 一仁 葛野 弘樹
雑誌
コンピュータセキュリティシンポジウム2019論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.1140-1147, 2019-10-14

AndroidやiOSのようなスマートデバイス向けオペレーティングシステム(OS)では,ハードウェアによる暗号鍵管理機能(鍵管理機能)が提供されている.ユーザのクレデンシャルがハードウェアによる鍵管理機能によって強固に保護されている場合,高いセキュリティが実現されていると言える.一方,スマートデバイスの製造業者が鍵管理機能を利用可能な状態でデバイスを提供し,さらにアプリケーション(アプリ)が鍵管理機能を利用しているかどうかは不透明な状況にある.本稿では,Android OSを搭載したスマートデバイスに着目し,暗号鍵管理の使用実装状況を調査した.アプリではライブラリを中心に広く鍵管理機能が利用されていることを確認した.デバイスでは調査した 71 機種のすべての機種で RSA はハードウェアによる鍵管理機能が利用可能なものの,楕円曲線暗号や HMACにおいて,利用不可な機種が一定数存在することを確認した.
著者
坂本 龍太 Dendup Ngawang 安藤 和雄 坂本 陽子 赤松 芳郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は、日本、ブータン両国の関係者が互いに現場を行き交い、課題を共有する双方向型の研究である。高齢者の健康を守るという目的を共有しながら、医学、経済学、農学、文化生態学の専門家がチームを組み、高齢者の健康評価、伝統医療の調査、村の保健を基本的に無報酬で担うVillage Health Worker (VHW)の潜在力や持続可能性の分析、紹介医療システムの検証、過疎・離農の現状分析、それらの高齢者の健康への影響分析等に、VHWへのバイタルチェックのトレーニングや高齢者を源とする文化継承活動などのアクション・リサーチを交えて、地域社会と協働で高齢者の健康を守る仕組みをつくる創造型地域研究である。
著者
一ノ瀬 雅之 井上 隆 坂本 義仁
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.74, no.640, pp.729-734, 2009-06-30 (Released:2010-01-18)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

This paper presents actual performance of high-reflectivity paints by environmental exposure test. Test panels were coated with high-reflectivity or conventional paints on site or in-factory at the manufacturing stage by a newly developed heat curing paint method. Our results reveal that solar reflectivity of the panels were degraded by up to 20 percent from initial status during first year, and this degradation is chiefly due to airborne contamination. This study also demonstrates that panels coated with high-reflectivity heat curing paint with a photocatalyst finish can preserve high reflectivity and therefore thermal conditioning effects longer than the panels painted on site.
著者
箱崎 真隆 坂本 稔 篠崎 鉄哉
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
学術変革領域研究(A)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、先史時代の日本列島域の古環境変遷を「酸素同位体比年輪年代法」および「炭素14スパイクマッチ法」を用いて高い時空間解像度で復元する。特に①「鬼界アカホヤ噴火」の誤差0年決定、②過去6400年間の降水量と太陽活動の復元、③世界的寒冷化イベント(4.2-4.3kaイベント)の影響評価を目的とする。そのために、埋没木と遺跡出土木材の網羅的な酸素同位体比分析と炭素14分析を実施する。並行して新規の木材資料獲得と年代決定を行ない、より古い時代まで復元できる基盤形成を進める。本研究によって、日本列島域における古環境の形成と先史人類の適応について明らかにする。
著者
桂 大地 大内 昴 坂本 大介 小野 哲雄
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.798-810, 2021-11-15 (Released:2021-11-15)
参考文献数
57

スポーツ心理の分野で応援する観客の存在は競技者の精神状態にポジティブな影響があるとされている.スポーツにおいて,選手のモチベーションを高めることを目的にコーチやパートナーとしてのエージェントの効果を検証する研究が行われてきている一方で,エージェントからの応援の効果は検討されてきていない.本研究ではエージェントによる応援の影響を調査するために,予備実験による実験条件の検討後,競技者の動機づけに対するエージェントの応援の有効性の検討を目的に2つの調査を行った.予備実験では応援のタイミングやエージェントの応援に適したジェスチャの選定を行った.第1調査「動画による仮想エージェントの応援の印象調査」では,初心者とエキスパートそれぞれに「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」,「音声エージェントによる応援」,「応援なし」の3条件による競技者を応援するエージェントの印象をWebアンケートで比較した.続いて第2調査「競技中の参加者に対する仮想エージェントの応援の有効性検証」では初心者に対して「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」,「応援なし」の2条件でのエージェントから競技者への応援の印象を実験室実験で比較した.第1調査からは「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」が競技者のモチベーションを高める効果があることが明らかになった.第2調査からは「CGアニメーションと音声のエージェントによる応援」が競技者のモチベーション及び作業成績を高めることが確認された.
著者
坂本 貴志
出版者
株式会社 リクルート リクルートワークス研究所
雑誌
研究紀要 Works Review (ISSN:24350699)
巻号頁・発行日
vol.13, no.8, pp.2-11, 2018 (Released:2019-10-08)

本研究の目的は,自己啓発の実施の有無が2 年後の正規雇用者の賃金の増減に対して影響を与えているのかを検証することである。本研究において,個人の能力をコントロールすると賃金上昇の効果は消失すること,専門的な技術を有する者がその周縁知識となる知識を身に付けることで業務能力や賃金の上昇につなげていること,資格取得を通じた学びが実際の業務能力向上や賃金の上昇につながっている可能性があることが示された。
著者
坂本 徳仁 後藤 玲子 宮城島 要 中田 里志 吉原 直毅
出版者
東京理科大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

本研究課題は、東京理科大学・一橋大学で定期的に開催してきた規範経済学研究会の日本側研究者チームと、英国ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのVoorhoeve教授らとの国際共同研究を推進し、①不確実性の文脈に応じた望ましい政策評価方法の構築、②異なる集団・自治体・国家間の福祉比較の方法の開発、③さまざまな評価の方法の理論整備と応用可能性の拡大、といった問題を分析する。本研究課題では、実務上恣意的に用いられてきた政策評価の方法を理論的に検証し改善を加えることで、「望ましい社会とは何か」という規範分析の最重要課題に科学的な回答を提供する点に特色と意義がある。
著者
玉井 昌紀 英 肇 古田 浩人 坂本 浩一 濱西 徹 木村 りつ子 巽 邦浩 下村 裕子 小林 正人 若崎 久生 松本 英作 西 理宏 中尾 大成 佐々木 秀行 南條 輝志男
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.9, pp.755-758, 2004-09-30 (Released:2011-03-02)
参考文献数
9
被引用文献数
2

症例は63歳, 女性, 2型糖尿病, 妄想性障害にて加療中, 自殺企図にてインスリン1200単位を皮下注射し入院となった, 約4日間低血糖が持続し, 治療のために投与したブドウ糖の総量は1.050gであった. 経過中特に重篤な合併症や後遺症を認めなかった. 本症例を含む10症例の検討では, 低血糖消失までの時間は14時間から6日で, 数百単位以上のインスリン投与例のほとんどは2日間以上低血糖が持続していた. また, 治療に要したブドウ糖総量は170-3, 100gで, 単位時間当たり平均約18gが投与されていた. 報告例は全例糖尿病患者で, 1型と2型糖尿病患者がほぼ同頻度に認められた, 基礎疾患としてうつ病などの精神疾患が多く, 再発例も2例認められたことから, 再発予防のための十分な精神的ケアも必要であると思われる.
著者
坂本 圭司 赤崎 弘平
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.66, no.548, pp.185-192, 2001-10-30 (Released:2017-02-04)
被引用文献数
4 2

The first building height limitation in Chicago was enacted in 1893. This paper is to review the process in enacting the limitation, from its drafts to the enacted limitation, and Chicago's own social context that enabled lawmakers to enact such a limit. Specifically, this paper is to focus on: 1) what urban problems were arising from the boom of "skyscrapers," 2) who took part in a series of discussion in conjunction with building height controls, for what intentions they agitated the matter, and whose intentions were brought into the enacted limitation, 3) what influence the limitation caused to the city and whether the lawmakers' intentions were realized.
著者
坂本 考司 原水 聡史 征矢 智美 中野 詩織 松本 雅之 中村 純二
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.247-252, 2022-09-20 (Released:2022-09-20)
参考文献数
25

化粧品の触覚情報は感性・情緒的価値をもたらす要素の1つである。これまでに,両手で顔の肌に穏やかに触れることで快感情を喚起するハンドプレス刺激の継続により,「キメの整い感」等の肌の質感が向上することが報告されているが,詳細なメカニズムは明らかではない。本研究では健常日本人女性を対象に,主に脳で合成されるホルモンのオキシトシンに着目し,検討を行った。その結果,快感情を喚起する触覚刺激の1つである前腕へのチークブラシ刺激の継続で,定常状態(ベースライン)のオキシトシンが上昇し,さらに試験参加者の88%が肌状態の変化を実感していた。そこでオキシトシンと顔の肌状態との関連性を解析した結果,オキシトシンと肌の質感(キメの整い感,色むらのなさ,つや)のスコア値が正相関を示した。そしてハンドプレスによる快感情喚起度合いとオキシトシンとの関連性を解析した結果,両者で正相関が認められた。したがって,ハンドプレスのような快感情を喚起するスキンケア動作の継続で,定常状態(ベースライン)のオキシトシンの上昇を介して,肌の質感が向上する可能性が示された。
著者
森 啓輔 小西 有望 坂本 典子 山田 知子 江本 晶子 小向 翔 江口 由美子 山下 佳雄
出版者
一般社団法人 日本老年歯科医学会
雑誌
老年歯科医学 (ISSN:09143866)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.465-470, 2019-03-31 (Released:2019-04-24)
参考文献数
10
被引用文献数
3

口腔衛生状態を良好に維持するためには,適切な湿潤状態を維持することが重要である。しかし,高齢者の多くは加齢による唾液分泌能低下,内科的疾患やその治療薬の副作用のため口腔乾燥症を発症している。高齢化に伴い,この口腔乾燥症患者は年々増加しているが,その多くは対症療法として口腔保湿剤を使用している。しかし,経済的な理由から保湿剤の適正使用ができていない場合も多い。今回,安価なグリセリンを主成分とした溶液が口腔乾燥症に対して応用可能であるかどうかを,鳥ムネ肉を検体として用いて基礎実験を行った。比較溶液としては蒸留水,市販の口腔保湿剤(バトラージェルスプレー®)を用いた。水分量は口腔水分計ムーカス®を用いて測定し,水分保持能力は水分量の変化率(処置前水分量-120分後の水分量/処置前水分量×100)と定義した。結果,鳥ムネ肉における120分後のグリセリン溶液群とバトラージェルスプレー®群では同等な水分保持能力を示した。また,グリセリン溶液濃度(12・24・36%)と水分保持能力には統計学的に有意な相関関係は認められなかった。 今回の実験結果から,グリセリン溶液は市販の口腔保湿剤と同等な水分保持能力を有することが判明した。グリセリンは安価なことから,経済面からも長期使用が可能な口腔保湿剤の一つになりうると考える。
著者
坂本 佑樹 高橋 達二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回 (2015) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1D21in, 2015 (Released:2018-07-30)

近年の動画解析技術の進歩から現実の動物の群れの中にスケールフリー相関、相転移等の概念が新たに発見された。しかしながら、群れらしさを示すと思われるスケールフリー相関を自在に調整する手法は未だ明らかにされていない。本研究では二種類の近傍を切り替える群れのMTIモデルをベースに、スケールフリー相関の傾きを調整する手法を新たに提案する。また、その傾き係数と「群れらしさ」知覚との関係を実験的に検討する。
著者
勝岡 由一 月山 秀一 天野 江里子 小島 茂樹 黄 世捷 遠藤 陽 松村 かおり 薄場 渉 坂本 三樹 菊地 栄次
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.281-285, 2021 (Released:2022-02-22)
参考文献数
16

50歳代の男性。腎硬化症のため16年前から血液透析がなされていた。胸部異常陰影精査目的の胸腹部CT検査にて5cm大の左副腎腫瘍が指摘された。血液透析患者に発症した左副腎褐色細胞腫と診断され,泌尿器科・循環器内科・腎臓内科・内分泌内科・麻酔科が合同で厳格な水分管理のもとに手術を行う方針となった。術前3週間前よりα/β遮断薬を投与し,dry weightを徐々に増加させた。腹腔鏡下副腎腫瘍摘除術に加えて左腎摘出も行った。腎動脈の遮断まではα遮断薬を用いて降圧し,中心静脈切離後からカテコールアミンで昇圧した。術後合併症を認めず手術9日目で退院となった。血液透析患者の心肺予備能を考慮し,慎重な術前体液管理・術中血圧管理を必要とした点,長期血液透析患者ゆえに組織の脆弱性が予想され手術操作に細心の注意を払った点など,示唆に富んだ貴重な症例を経験したので報告する。
著者
坂本 憲治 掃本 誠治 橋本 洋一郎 榛沢 和彦 辻田 賢一
出版者
一般社団法人 日本血栓止血学会
雑誌
日本血栓止血学会誌 (ISSN:09157441)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.648-654, 2022 (Released:2022-12-22)
参考文献数
13

2016年4月,2度の地震(震度7)が熊本地方を襲った.本震から2日後,車中泊の51歳女性が急性肺塞栓症(pulmonary thromboembolism: PTE)により死亡し,我々は避難所巡回での深部静脈血栓症スクリーニング検診を開始した.車中泊者を中心に要入院重症VTE患者が多数発生する中,のべ136会場で4,135名に下肢静脈エコー検診を行なった.急性期検診(発災後45日間)のDVT陽性率は9.5%.予後調査で健診による3名の要入院者を同定できたが,死亡例はなかった.慢性期検診の検討では,DVT陽性率の検診時期毎の低下傾向を認めなかったが,高齢者を除くと経時的な陽性率低下が確認できた.急性期に同定されたDVTの慢性期推移を検討した結果,56%に消失が確認できた.血栓消失群における消失時期について検討したところ,49%は2ヶ月以内,87%は6ヶ月以内の追跡で血栓の消失が確認できており,発災直後からの予防啓発活動の重要性が示唆された.
著者
長坂 聡子 橋本 秀紀 坂本 静男 田口 素子
出版者
独立行政法人 日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
Sports Science in Elite Athlete Support (ISSN:24322091)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.45-54, 2016 (Released:2019-02-15)
参考文献数
20

The purpose of this study was to investigate the effects of postexercise carbonated high-carbohydrate beverage (Carbonated Trial: CT) compared with non-carbonated high-carbohydrate beverage (Non-Carbonated Trial: NCT) on gastrointestinal (GI) problems and physiological indexes during 4 hours of recovery period in athletes. Eight Japanese collegiate athletes (age : 21±1yr ; height : 170.8±6.0cm ; body weight(BW) : 68.70±8.29kg ; percent body fat : 11.7±2.7%) participated in the cross-over designed study. Immediately after the exhaustive exercise, subjects consumed 3.5ml/kg BW of 1) water, 2) high-carbohydrate beverage : NCT (1.8gCHO/kg BW/h), and 3) carbonated high-carbohydrate beverage : CT (1.8gCHO/kg BW/h) every 30 min during 4 hours of recovery period. No difference was observed in blood concentration of glucose, insulin, free fatty acid, and subjective GI problems between CT and NCT. However the rate of vomiting was significantly higher in the NCT compared with CT (p < 0.05). These results suggest that ingesting carbonated beverage during recovery period may help digestion and absorption in the stomach of athletes.