著者
福元 健太郎 坂本 孝治郎 待鳥 聡史 増山 幹高
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

全裁判官の経歴に関するデータ・べースを構築した。これを用いて、9月開催のアメリカ政治学会で、福元・増山は共著論文を発表した。これは、裁判官の青年法律家協会への加入の有無が部総括への昇進を遅らせるとする先行研究に対して、分割母集団生存分析とマッチングの手法を用いるとそうした効果は見られないことを示した。福元は次の研究を行った。(1)立法府から行政府への委任は、最終的な司法府の判断を考慮に入れながらなされる。立法府の議員の選好が多様であることも委任をもたらす。(2)議院が他の議院の政策選好に関する情報が不確実であったり、法案が重要であったりすると、後議院修正や両院協議会が起きる。坂本は、政治・司法関係の変遷について、1962年の臨時司法制度調査会の発足から1987年の中曾根内閣終了までに関し、衆参の法務委員会における司法行政や関連法案の審議に際し、どのような頻度で最高裁事務総局裁判官が出席を求められ、どのような質問をされたか、その頻度データや質疑内容の分析をおこなった。それに、最高裁長官がどのような行事に出席しているか、三権の長が揃って出席する催しにはどんなものがあるか、事例を収集・整理した。待鳥は、日本の地方政府を素材として、行政府と立法府の部門間関係が政策選択に与える影響について分析した共著書『日本の地方政治-二元代表制政府の政策選択-』を刊行した。また、二元代表制が地方政府の運営に与える影響を概観した小論も公表した。増山は二院制の論点整理を試み、第二院と行政権の問に「信任関係」を制度化する方策を検討し、「二院制と行政権」と題する論文を日本公共政策学会で報告するとともに、戦後の日本における首相の信任、不信任に関してより多角的な検討を進めている。
著者
北村 美穂子 下畑 さより 介弘 達哉 池野 篤司 坂本 仁 折原 幾夫 村田 稔樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.67, pp.97-102, 2008-07-10

近年インターネットの普及と価値観の多様性の拡大により,様々なサービスやコンテンツが提供される時代になっているが,多種多様化しているサービスやコンテンツは様々な言葉や形式で表現されているため,従来のキーワード型の検索サービスだけでは自分のニーズに合ったものを見つけることができない.我々は,対話システムにおいて,「対話の中で徐々に掘り下げた質問を繰り返すことにより,ユーザの真のニーズや価値観を引き出す」 ラダリング手法を用いることによりシステムがユーザに質問を投げかけ,ユーザが単独では表現できなかったキーワードや表現を引き出し,多種多様でかつ大量のサービスやコンテンツの中からそれとマッチするものを探し出す 「ラダリング型検索サービスシステム」 を構築した.本稿は,対話エンジン部を中心に本システムの全体概要を説明する.It has become common to search needed services and contents using the Internet, but it is difficult to find exactly what one is looking for through keywords as each service is described in just too many ways. We developed "Laddering" Search Service System that matches users with the search targets by communicating with the users through interviews. The system consists chiefly of the laddering dialog engine employing "laddering method" which enables the engine to ask questions to users and extract keywords and expressions that users probably would not have been able to express on their own. This paper describes the outline Laddering Search Service System, focusing the laddering dialog engine.
著者
秋野 晶二 林 倬史 坂本 義和 山中 伸彦 鹿生 治行
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

PC産業は、細分化された分業構造を基盤としながら、絶えざるイノベーションを特徴として成長を続けてきた。この継続的イノベーションは、部品・周辺機器産業におけるイノベーションと、そのイノベーションを方向づけるバスアーキテクチャのイノベーションとの二重のイノベーションにより実現され、それを可能にする企業内、企業間の開発・生産ネットワークが形成されてきた。ここでは製造機能、開発機能、販売機能のグローバルな分業構造が新たに見られる一方、製造機能は、規模/範囲の経済性を有効に機能させるための水平的統合・垂直的統合が見られる。
著者
丸山 史郎 坂本 比呂志
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.233-240, 2010 (Released:2010-08-01)
参考文献数
7

爆発的に増え続けるテキストデータから,どのようにすれば重要な情報を素早く取り出すことができるか,どのようにすれば効率的なデータ管理が可能となるか,さまざまな研究が進められている。本稿では,そのひとつの解決策として,データ圧縮とその関連技術を取り上げる。そのような技術のうち,データ圧縮を用いることで飛躍的に情報検索の規模を高めることができる手法と,その技術を用いることで従来のキーワード検索では拾いきれないデータ同士の関連情報を大量のテキストデータから取り出すメタ情報検索の可能性を解説し,この技術の将来展望を述べる。
著者
坂本 雄児 森島 守人 臼井 章
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.549-554, 2004-04-01
被引用文献数
6 2

To display 3D images on a computer-generated hologram, you need to have a very high resolution hologram-recording system. We developed a CD-R. (Compact Disk-Recordable) drive to record CGH data on CD-R disks, that have a high resolution and a dot size of 1.5μm. By using this drive, it is possible to make holograms inexpensively in a short-time without the need for special environments, such as dark rooms, clean rooms, etc. The drive realizes desktop holograrning that can handle all CGH process including model making, hologram calculations, and hologram recordings on a personal computer. In this paper, we describe the system and discuss the hologram-calculation method adapted for CD-R disks.
著者
後藤 洋信 坂本 雅洋 江見 圭司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告コンピュータと教育(CE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.15, pp.51-56, 2009-02-20

数学教育をウェブ上で行う場合,数式表示が課題となる。 「数式表示可能なウェブ上でのコミュニケーションシステムの構築」 と題して発表したが,今回は数式表示可能なブログを用いた教材開発の一端について報告する。ブログによる教材の提供は,通常のウェブと同様の操作性で利用することができ,コミュニケーション機能も備えているので,学習者・指導者の双方にとって有効な e-Learning システムとして活用することができる。また,ブログは無料提供されている場合が多く,システム構築の作業が軽減される。本研究では,ブログなどのコミュニケーションシステムを用いたインストラクショナル・デザインについて述べる。When we carry out math education on the Web, it is necessary to display math equations on Web pages.Formerly, we had a report whise title is "Constructioning communication system that can display math equation on the web". We have developed math-communication system, such as Bulletin Board System, Wiki and Blog. We are going to discuss about instructional design for math with blog sytem that can display math equation on the Web.
著者
松木保浩 稲垣 嘉信 坂本 久 喜田弘司 垂水 浩幸
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータと教育(CE)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.108(2006-CE-086), pp.59-66, 2006-10-21

近年,学生がレポート作成時にwebで手軽に調査できるようになって来たが,ただ写しているだけという弊害も指摘されている.そのような中,まじめにレポートを作成した学生には努力を正当に評価されたいという要求がある.本稿では,レポート作成中のコピー操作やキーボード操作など,学生のレポート作成過程を記録し,教師にレポート作成時間や文字の入力頻度などの様々な解析結果を閲覧させることにより,まじめな学生が正当な評価を受けられるよう支援するシステムについて,基本設計と予備調査実験について述べる.
著者
坂本 研一 菅野 徹 山川 睦 吉田 和生 山添 麗子 村上 洋介
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.91-94, 2002-01-25
被引用文献数
3

2000年に92年ぶりに日本で口蹄疫の発生があった.宮崎県の第3発生農家の黒和牛のプロバング材料を牛腎臓細胞等に接種して2日後に円形細胞が浮遊する細胞変性効果が認められた.RT-PCR法で口蹄疫ウイルスに特異的な遺伝子の増幅が認められた.抗原検出ELISA法で分離された口蹄疫ウイルスがOタイプであることを同定した.この分離ウイルスのVPl遺伝子の塩基配列を決定した.
著者
杉野 圭史 本間 栄 宮本 篤 高谷 久史 坂本 晋 川畑 雅照 岸 一馬 坪井 永保 吉村 邦彦
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.97-103, 2007 (Released:2007-05-21)
参考文献数
15
被引用文献数
4 3

目的.肺結核と原発性肺癌の合併症例の臨床的特徴ならびに問題点を分析し,今後の対策について検討した.対象および方法.1985年から2005年までの21年間に当院に入院した活動性肺結核患者788例および肺結核治療後の患者240例の中で,原発性肺癌を合併した17例を対象とし,患者背景,画像所見,予後をretrospectiveに検討した.結果.17例の内訳は男性15例,女性2例,平均年齢は73.4歳であった.肺癌の組織型では,腺癌が10例と最も多く,病期では,同時型(活動性肺結核が肺癌と同時期に発症・発見されている症例)が5例で全例III期,IV期の進行例であったのに対し,異時型(肺結核後遺症あるいは,すでに化学療法が終了し排菌のない症例)12例では,4例(33%)においてI期の早期肺癌が発見された.両疾患の病巣が同側肺あるいは同一葉内に存在する割合は,同時型でそれぞれ4例(80%),3例(60%)で,異時型ではそれぞれ8例(67%),1例(8%)で,同時型の方が同一葉内に存在する傾向が高かった.考察.肺結核と肺癌が合併した症例のうち,とくに同時型では,進行肺癌で診断されることが多く,予後が不良である.注意深い観察と積極的な診断および治療へのアプローチが必要である.
著者
中村 有作 舞田 哲哉 坂本 比呂志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.191-199, 2007 (Released:2007-01-25)
参考文献数
29

We propose an efficient algorithm for deciding the reachability between any nodes on XML data represented by connected directed graphs. We develop a technique to reduce the size of the reference table for the reachability test. Using the small table and the standard range labeling method for rooted ordered trees, we show that our algorithm answers almost queries in a constant time preserving the space efficiency and a reasonable preprocessing time.
著者
坂本 亘 井筒 理人 白旗 慎吾
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1-2, pp.55-94, 2009-05-31 (Released:2017-05-01)
参考文献数
100

スプラインによる平滑化の研究の近年の動向を概説する.平滑化(罰則付き)スプラインが混合効果モデルで表現できるという点が注目されている.打ち切りベキ基底を用いる罰則付きスプラインは,そのまま混合効果モデル表現に帰着され,スプラインや罰則項の複雑な計算を回避することから,とくに有用である.罰則付き回帰問題とBayes流接近法との関連も重要である.罰則付きスプラインの滑らかさを制御する平滑化パラメータの選定問題では,従来は(一般化)交差確認法の利用が主流であった.しかしながら,混合効果モデルの分散パラメータの推定問題に帰着されうることから,制限付き最尤推定法(REML)またはこれと同等な経験Bayes法がより有用であり,実際に主流になりつつある.罰則付きスプラインによる線形(多項式)回帰仮説の検定は,ランダム効果の分散が0であるか否かの検定に帰着され,制限付き対数尤度比統計量が有用とされている.ただし,その帰無分布は漸近的には得るのが困難であり,乱数を用いて再現される.シミュレーションにより,対数尤度比統計量よりも平滑化パラメータのREML推定量自体が高い検出力を与えることが示される.最後に,罰則付きスプラインは諸種の回帰モデルへの拡張が可能であり,その推測方法は混合効果モデル表現およびBayes流接近法により展開される.
著者
坂本 将基 高柳 暁斗 安東 大輔
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.1-16, 2024 (Released:2024-02-06)
参考文献数
28

This study investigated the characteristics of visual behavior in skilled kendoists while judging the validity of strikes. A total of 19 expert and 19 novice kendoists were asked to judge the validity of strikes for men (head armor), do (side trunk covered by a stomach and chest protector), or kote (lower forearm covered by a gauntlet). Simultaneously, the participants' eye movements were recorded at 30 Hz, and the location at which their gaze was directed was identified. Additionally, the pupil area was calculated for each frame. Both expert and novice kendoists focused on the striker's shinai (bamboo sword) during the phase from 900 ms to 600 ms before striking, and on the site struck during the phase from the moment of striking to 300 ms after striking. However, during the phase from 600 ms before the strike to just before the strike, the experts tended to switch their gaze from the strikefur's shinai to the striking site earlier than the novices. Furthermore, the pupil areas of the experts were correlated with their years of experience in judging the validity of a strike to the men. The gaze behavior specific to expert kendoists, such as observing the striking area during the phase just before striking while exhibiting intense scrutiny, may be related to their superior ability to judge the validity of strikes.
著者
三角 一浩 鳥居 哲太郎 青木 修 藤木 誠 三浦 直樹 柳田 宏一 坂本 紘
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.829-836, 2001-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

肥育牛における蹄の生長, 蹄疾患の発生や生産性と削蹄との関係について検討した. 肥育期の黒毛和種16頭 (13.0±2.0カ月齢, 体重308.0±30.8kg, 去勢牛) を削蹄間隔により3, 6および12カ月削蹄群ならびに無削蹄群の4群に分け, 以後19カ月間, 蹄計測, 蹄形の変化を記録した. と殺後, 蹄病変を観察し, 枝肉成績を記録した. 削蹄間隔の延長に伴い, 蹄角度は小さく, 蹄壁・蹄踵長は長くなった. 12カ月削蹄群および無削蹄群では蹄の変形が進み, 伸びた蹄踵で負重するようになった. 白帯離解の発生頻度は無削蹄群で有意に高かった (P<0.05). 歩留基準値は, 6カ月削蹄群が12カ月および無削蹄群と比較して有意に高い値を示し (P<0.05), 産肉量が向上していた.本研究結果から, 削蹄間隔を6カ月とすることで, 標準蹄に近い蹄形が維持され, 蹄病変の発生抑制と産肉量向上に役立つことが明らかとなった.
著者
中村 孝太郎 坂本 英之 Dejan Krizaj
出版者
サービス学会
雑誌
サービソロジー論文誌 (ISSN:24355763)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.12-24, 2021 (Released:2021-12-23)
参考文献数
54

Applying networking and connectivity to empower human resources and infrastructure towards the formation of sustainable regional service ecosystems is becoming increasingly important for well-being of people within and outside society to meet social challenges. However, the concepts of smart city (SC) for residents/citizens and smart tourism destination (STD) for visitors/tourists are not yet well coordinated. Therefore, this research provides a framework for regional innovation through “smartization”, which is common to both SC and STD. The framework is constructed from the perspective of the service ecosystem and applied by analysis of four case studies: two representative smart city projects (“urban policy”-directed type) (Toyama and Aizu-Wakamatsu), and two advanced tourism projects (“resource integration”-directed type) in Japan and Slovenia. Based on these examples, the framework clarifies the macro aspects of human resources and infrastructure’s roles with data platform and presents a smartization model with service layers and dynamic spiral through integrating to the concept of Smart Tourism City (STC): a city that aims to improve/create QoL (quality of life) and QoE (quality of experience) for citizens and tourists. It is expected that further STC-concept-based research towards building the quantitative model will lead to concrete insights into the typology of holistic servitisation of each city or region.