著者
秦 隆志 西内 悠祐 田中 克也 坂本 正興
出版者
一般社団法人 表面技術協会
雑誌
表面技術 (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.430-434, 2018-10-01 (Released:2019-04-01)
参考文献数
8
被引用文献数
3 3
著者
牛見 悠奈 宮武 優太 筒井 直昭 坂本 竜哉 中田 和義
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.79-86, 2015-12-28 (Released:2016-02-01)
参考文献数
18
被引用文献数
8 5

北米産外来種のアメリカザリガニは,在来生物の捕食などを通じて,在来生態系に深刻な影響を及ぼしている。 また,本種が掘る巣穴が水田漏水の原因になるなど水田管理上の問題も引き起こしている。このため,本種は緊急対策外来種と日本の侵略的外来種ワースト 100 に指定され,効率的な駆除手法の開発が求められている。 そこで本研究では,水田水域や河川・湖沼等に定着したアメリカザリガニの駆除に用いる人工巣穴の適したサイズを明らかにすることを目的として,本種による人工巣穴サイズ選好性実験を実施した。灰色の直管型の塩ビ管を人工巣穴とし,内径と長さの異なる人工巣穴をアメリカザリガニに室内水槽内で選択させた。その結果,人工巣穴の内径については,全長(X, mm)と好んで選択された内径(Y, mm)の間に Y=0.58X+4.26 という有意な回帰式が得られた。人工巣穴の長さについては,全長の 4 倍の長さの巣穴が好んで選択された。以上の結果をもとに,アメリカザリガニの駆除に用いる体サイズ別の人工巣穴サイズを提案した。
著者
坂本 昭彦 金子 智之 金谷 淳志 木村 将貴 高橋 さゆり 山田 幸央 三宅 康史 坂本 哲也 中川 徹
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.112, no.2, pp.65-69, 2021-04-20 (Released:2022-04-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

(目的) 帝京大学附属病院において,過去10年間にフルニエ壊疽と診断・加療された15例の患者背景,臨床的指標および予後に影響を与える因子を明らかにすること. (対象と方法) 2009年5月から2019年4月までの10年間に,帝京大学医学部附属病院においてフルニエ壊疽と診断・加療された15症例を対象とした.患者背景およびFournier Gangrene Severity Indexを含めた臨床的指標を記述した.生存例と死亡例における臨床的指標の比較を行い,予後に影響を与える因子について検討した. (結果) 15例の年齢中央値は67才,全例が男性であった.糖尿病合併例は9例(60%)であった.14例(93%)に対して外科的デブリドマンが施行された.精巣摘出術を要したのは5例(33%),膀胱瘻造設術を要したのは3例(20%),人工肛門造設術を要したのは3例(20%)であった.死亡例は3例(20%)であった.生存例と比較して,死亡例は有意に高齢であり(p=0.043),BMI低値であった(p=0.038).Fournier Gangrene Severity Index等の予後予測指標は死亡例で高い傾向を認めた. (結論) 当院における過去10年間のフルニエ壊疽15例の死亡率は20%であった.2010年代においても,フルニエ壊疽は死亡率の高い疾患であった.
著者
山本 浩範 竹井 悠一郎 香西 美奈 田中 更沙 坂本 達昭 池田 涼子
出版者
公益社団法人 日本ビタミン学会
雑誌
ビタミン (ISSN:0006386X)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.514-518, 2013-09-25 (Released:2017-08-10)

1,25-Dihydroxyvitamin D_3, an active form of vitamin D_3, which plays a central role in the regulation of calcium and bone homeostasis through vitamin D receptor (VDR). In 1994, Morrison and colleagues first reported that bone mineral density was associated with single nucleotide polymorphisms (SNPs) in the intron 8 of human VDR gene. In 1997, we clarified the whole structure of the human VDR genome and reported the relationship between FokI and Cdx-2 SNPs in the human VDR gene and bone density in Japanese women. Osteoporosis is known as one of multifactorial genetic diseases and its occurrence is associated with not only genetic factors but also environmental factors, lifestyle such as diet and exercise, aging, and abnormal bone mineral metabolism. Therefore, it can be expected that the identification of osteoporosis-related genes including the VDR gene will lead to the development of new methods to treat and to protect against osteoporosis, although there are several statistical problems for data analysis.
著者
藤田 陽師 福重 透也 松田 泰河 秦 隆志 西内 悠祐 坂本 正興
出版者
The Japan Petroleum Institute
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.10-16, 2021-01-01 (Released:2021-01-01)
参考文献数
28
被引用文献数
2 4

気-液有機反応に対し,気体反応物をファインバブルとして導入できる新しい旋回液流型のファインバブル有機反応装置を開発した。ベンズアルデヒドの分子状酸素による酸化反応をモデル反応として,酸素ファインバブルによる気-液有機反応の反応促進効果を評価した。その結果,O2ファインバブルを用いることで顕著な反応促進効果が得られることが確認された。この反応促進は選択率の向上よりもむしろ転化率の向上が大きく影響していることが判明した。転化率が90 %となる反応時間を同じ流量のエアレーション手法と比較すると,約1/5に反応時間が短縮されていた。通常のサイズの泡と比較して体積あたりの表面積が大きい,浮遊速度が遅い,溶媒中のガスの過飽和を保持できる等のファインバブルの持つユニークな特性が転化率向上に大きく影響したと考えられる。
著者
坂本 佑太朗
出版者
日本テスト学会
雑誌
日本テスト学会誌 (ISSN:18809618)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.95-109, 2023 (Released:2023-06-30)
参考文献数
34

本研究の目的は,学力テストに設定される下位領域に着目し,学力テストの結果をどのように捉え,それを活用していくことが望ましいかについての指針を得ることであった。実証的に検証するため,わが国におけるTIMSS2003中学校2年生理科データを用いて,下位領域に焦点を当てたマルチレベル分析を行いながら検討した。その結果,下位領域特有の学力に対する規定要因からの影響は限定的であった。このことから,当該テスト結果の解釈では一次元の学力の存在を前提に,それに加えて下位領域ごとの特徴を参考程度に参照することが心理測定学的に支持されることが明らかになった。本研究での結果は,心理測定技術と教育社会学的なアプローチをハイブリッドしてはじめて得られるものであり,下位領域が設定されるさまざまなテスト活用場面における検証アプローチとしての有効性を示し,本研究の意義として議論された。
著者
坂本 純一
出版者
公益財団法人 年金シニアプラン総合研究機構
雑誌
年金研究 (ISSN:2189969X)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1, 2021-01-21 (Released:2021-01-23)
参考文献数
27
被引用文献数
1

カナダの公的年金制度は大きく2 つの部分から成り立っている。ひとつは1952 年に導入された老齢保障制度 (OAS) と呼ばれる非拠出制の定額年金である。もうひとつは被用者や年収が一定以上ある自営業者などに適用される報酬比例年金で、ケベック以外の事業所に適用されるカナダペンションプラン (CPP) とケベックの事業所に適用されるケベックペンションプラン (QPP) がある。これらは1966 年 に導入された。OAS にはCPP/QPP が導入された際に、所得保障補足年金 (GIS) が付加された。CPP とQPP は完全に通算可能で、制度改正については連携することが確認されている。 わが国の公的年金制度は、まず報酬比例年金が創設され、それから国民皆年金になったが、カナダの場合は国民皆年金が最初で、そのあと報酬比例年金が導入された。そして、その際、報酬比例年金給付が無い者、もしくは低い者にはGIS が支給されることとなり、このことによってカナダの高齢者の貧困率は低い。 1980 年代からカナダの経済は不振に陥り、市場原理主義的なマネタリストの影響のもとに、一時、 社会保障制度は拡大路線から縮小路線に切り替わり、所得の高い年金受給者のOAS 年金を削減する措置 (clawback) が出てきたが、2007-8 年のリーマンショックによりマネタリストの影響が薄らぐと、この金融経済危機による高齢者の引退後の所得の落ち込みを防ぐために2016 年にCPP/QPP の給付水準の改善を行った。 本稿では、OAS が創設されるまでのいきさつや、CPP/QPP 導入の経緯、ベビーブーマーの引退とともに人口高齢化の見通しが厳しくなるなかで導入されたCPP/QPP の1998 年の財政規律、2016 年の CPP/QPP の給付改善に触れながら、カナダの公的年金制度の歴史を概観する。
著者
洞井 裕介 領木 慎一 山下 真弘 長坂 雄一 仙田 航基 坂本 洋介
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J106-B, no.8, pp.582-593, 2023-08-01

ローカル5Gは,携帯電話事業者による全国向けの5Gとは別に,5Gを企業等が自らの建物,敷地内で整備できる制度である.鉄道事業者においてローカル5Gを導入するためには,車両走行中の伝送品質等の動的変化や,敷地外へ漏れる電波の影響について,鉄道固有環境での検証が必要である.今回,新幹線回送線沿いにローカル5Gシステムを構築し,指令からの監視等,走行中の回送車両上から地上への映像伝送や,車両センターにおける保守作業にローカル5Gを活用することを念頭に試験を実施し,ローカル5Gにおける伝送品質等の動的変化,映像伝送特性,車両センター着発収容庫車両内の電波特性,敷地外電波強度に関するデータを収集・解析し,鉄道固有環境が及ぼす影響を検証した.その結果,回送車両上と地上との間で,システム仕様上の最大スループットを達成し,地上への4Kカメラ映像伝送に成功した.また,車両センター着発収容庫内の電波環境を明らかにした.更に,自己土地から最大約1 km離れた地点で,制度上調整対象区域とされる強度の電波を観測した.そして,使用環境が屋外か屋内かにかかわらず,自己土地外での電波強度確認が必要であることを明らかにした.
著者
田中 敦子 坂本 靖英 眞弓 大介 東野 晴行 坂田 将 中尾 信典
雑誌
日本地球惑星科学連合2015年大会
巻号頁・発行日
2015-05-01

化石燃料をエネルギー源とする発電所で燃焼によって発生するCO2や、天然ガス・石油等の精製所から精製の工程で発生するCO2を処理する手段として、CO2地中貯留技術が期待されている。CO2地中貯留技術は、臨界状態の密度の高いCO2を地中に隔離するため、大量のCO2の固定が可能である。CO2地中貯留の対象とされる地層は主にかん水層や枯渇したガス油田である。 CO2地中貯留(CCS)の重要な候補サイトの一つとなっている枯渇油ガス田には、未回収の原油が半分以上残されている。近年眞弓らは、油ガス貯留層内に自然に存在する嫌気性の特定の微生物のメタン生成能力が、CO2分圧の上昇によって活性化されることを見出した 。これは枯渇油ガス田を対象としたCCSサイトにおける、原位置での天然ガス資源創成の可能性を示唆するものと言える。 このような地下環境における微生物活動を考慮した新たな資源創成型のCCS技術を確立するためには、まず、微生物によるメタン生産量とCO2固定量をはじめとする諸元の定量的に評価して便益を把握する必要がある。 我々は、微生物活動を考慮した新たな資源創成型のCCS技術の基本的な便益を明らかにすることを目標に、地層モデルに地下微生物の働きを組み込み、CCSプロセスにおける地層モデルの挙動とメタン産出量の評価を行うとともに、CO2地中貯留にかかわるサイト周辺の環境インパクト評価および産業安全面のリスクアセスメントを進めている。CO2地中貯留サイトの地下の貯留層・地表・注入井坑口周辺の大気環境をとりあげて、CO2漏洩のリスクの評価を進めるとともに、CO2地中貯留リスク評価プログラムを開発中である。本報告ではこれらの取り組みの中から、とりわけサイト周辺のリスク評価について報告する。
著者
坂本 忍
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

精巣腫瘍の増加、精子数の減少、不妊の増加、乳癌の増加、子宮内膜症の増加などが「内分泌撹乱物質」との関連を懸念されている。我国の約13万人の女性が内膜症治療を受け、患者数は100万人を越えるとまで言われている。内膜症の発生と進展に与える内分泌撹乱物質の影響は、PCB、DDT、ビスフェノールAなどのように直接エストロゲンレセプターを介するものが先ず第一に考えられるが、ダイオキシン類のようにサイトカイン制御異常から免疫防御機構の破綻が原因することも大いに考えられる。流産防止の目的でジエチルスチルベストロール(DES)を投与された妊婦から生まれた子に、膣癌、子宮形成不全、精巣萎縮などが発生し大きな社会問題に成ったことは余りにも有名な話しである。本科学研究費補助金の援助を得て、イソフラボン、ビスフェノールAなど内分泌撹乱物質のマウス子宮腺筋症と乳癌の発生と進展に与える影響を、子宮腺筋症と乳癌が自然発生してくるSHNマウスを用いて検討した。SHNマウスは商業的には購入不可能な閉鎖系のために、当該実験動物施設内でのみ自己繁殖が可能であり、繁殖作業と実験作業を平行して行っている。そのために研究計画は未だ終了しておらず、現在も進行中であるが、一応の結果は得ている。また、本研究中に派生的に生じた興味ある実験結果を報告した。すなわち、血管新生阻害因子がこのマウス子宮腺筋症の進展を抑制するというものである(Fertil Steril 80 : 788-794,2003)。
著者
油野 規代 加藤 真由美 坂本 めぐみ 藤田 結香里
出版者
日本転倒予防学会
雑誌
日本転倒予防学会誌 (ISSN:21885702)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.33-44, 2022-05-09 (Released:2023-01-26)
参考文献数
21

【目的】転倒したがん患者の特徴と,転倒による損傷および治療の状況を文献レビューから明らかにすることを目的 とした。【方法】医学中央雑誌Web 版Ver.5 のデータベースからがん患者の症例報告について文献検索し,除外基準,採択基 準に基づき,95 編の原著,100 事例,104 件の転倒を分析対象とした。【結果】患者の特徴は75 歳未満が78 名(78.0 %)であり,乳がん患者が26 名(26.0 %)であった。転移を認めた患 者は70 名(70.0 %)であり,そのうち骨転移のある患者は44 名(44.0 %)であった。転倒による損傷は97 件(93.3 %)に発生していた。そのうち骨折が71 件(68.3 %)であり,大腿骨骨折が52 件(50.0 %)であった。非定型大腿骨骨折18 件(17.3 %)が,病的骨折13 件(12.5 %)より多い傾向にあった。大腿骨骨折に対して骨接合術,人工骨頭・股関節置換術が47 件(45.3 %)に行われ,病的骨折に対して腫瘍切除術が10 件(9.6 %)同時に行われていた。【結論】転移のあるがん患者に転倒が発生する傾向がみられ,転倒したがん患者において損傷の約半数が大腿骨骨折 であった。薬剤の使用が影響した非定型大腿骨骨折と病的骨折が,がん患者の転倒における損傷の特徴であった。病的骨折に対して腫瘍切除術が同時に行われていた。
著者
森本 晃司 桜井 進一 内藤 慶 青柳 壮志 奥井 友香 加藤 大悟 遠藤 康裕 中澤 理恵 坂本 雅昭
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.37 Suppl. No.2 (第45回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3O1119, 2010 (Released:2010-05-25)

【目的】ラグビーやアメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツにおいて,脳震盪などの頭・頚部の外傷は時として重大な事故を引き起こすことから,安全対策上重要な問題として取り扱われる.国際ラグビー評議会の定款では,未成年のラグビープレイヤーは脳震盪を生じた場合,3週間の練習・試合を禁止するとされており,頭・頚部の外傷は頚部筋力を向上させることで予防可能との報告もある.本研究の目的は,高校生ラグビープレイヤーにおける頚部筋力と周径の関連,脳震盪と頚部筋力の関連について検討し,脳震盪予防の一助とすることである.【方法】 対象は全国大会レベルの群馬県N高校の高校生ラグビープレイヤー69名(1年生30名,2年生18名,3年生21名)とした.評価項目は経験年数,過去8カ月間の脳震盪の有無(1年生を除く),頚部周径,頚部筋力とした.頚部周径はメジャーを使用し直立位にて第7頸椎棘突起と,喉頭隆起直下を通るように測定した.頚部筋力の測定にはアニマ社製ハンドヘルドダイナモメーターμTasMF-01を使用した.測定肢位は臥位とし,両肩と大腿部を固定した.センサーはベッドに固定用ベルトを装着した状態で額,後頭部,側頭部の各部分に当て,頚部屈曲,伸展,左右側屈の等尺性筋力を3秒間測定した.各方向3回ずつ測定し,最大値を採用した.統計学的処理にはSPSS ver.13を用い,頚部筋力と周径,経験年数の関係にはspearmanの順位相関係数を用い,各学年間の頚部筋力,周径との関係には一元配値の分散分析後,Tukeyの多重比較検定を行った.また脳震盪経験の有無と頚部筋力・周径の関係には対応のないt-検定を用い有意水準は5%とした.【説明と同意】チーム指導者並びに対象者に対し本研究の主旨及び個人情報保護についての説明を十分に行い,署名による同意を得て実施した.【結果】2,3年生計39名のうち,脳震盪経験者は28名であり非経験者は11名であった.脳震盪経験の有無で頚部筋力を比較した結果,頚部筋力,周径ともに有意差は認められなかった.頚部筋力と周径では有意な相関関係が認められた(P<0.05,R=0.52~0.65)が,経験年数と頚部筋力及び周径との間には相関関係は認められなかった.学年間の頚部筋力の比較では全項目において有意差が認められ,また,学年間の周径においても有意な差が認められた(P<0.05).多重比較検定では,頚部筋力では1年生に対して2,3年生の筋力が有意に高く(P<0.05),2年生と3年生との間に有意な差は認められなかった.頚部周径では1年生と3年生にのみ差が認められ、3年生の周径が有意に大きかった(P<0.05). 【考察】本研究における脳震盪の有無と頚部筋力の検討では,両群で有意差は認められなかった.タックル動作において,脳震盪となる場面ではタックル時に頭部が下がる,飛び込むなどのスキル的な要素や,瞬間的に頚部を安定させる筋収縮の反応などの要素も関連していると考えられる.今回の研究ではそれらの要素は検討できていないため,両群で差が見られなかったものと考える.また,各学年と頚部筋力の検討では1年生と他学年との間に有意な差が認められたが,経験年数と頚部筋力との間に相関関係は認められなかった.群馬県では中学校の部活動としてラグビー部はなく,経験者も週1回程度のクラブチームの練習に参加する程度である.このため,1年生では経験者であっても十分な頚部筋力トレーニングが行えていない可能性が考えられる.また,頚部筋力と周径ではすべての項目で相関関係が認められたことから,選手のコンディショニング管理の一つとして,筋力測定器などがない場合には,頚部周径を確認しておくことの意義が示唆された.頚部筋力は脳震盪予防のための重要な一要因であるが,今回は頚部筋力と脳震盪経験の有無とに関連は見られなかった.今後はタックル動作のスキルや,筋の反応時間なども検討することが課題である.【理学療法学研究としての意義】本研究の結果から,高校1年生と2・3年生の頚部筋力の違いが明らかとなり,新入生に対する早期からの筋力評価とトレーニングの重要性が示唆され,スポーツ障害予防のための基礎的資料となる.
著者
坂本 博
出版者
日本地域学会
雑誌
地域学研究 (ISSN:02876256)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.927-939, 2009 (Released:2010-04-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

This study is a statistical disparity analysis of the wages of the staff and working (Zhigong) class in China. The Chinese government strictly controlled the wage system of state owned enterprises before the reform and opening of China. However, this system is gradually being reformed and each enterprise can independently decide their own wage system. As a result, the wage disparity has expanded since the reform and opening of China. In 2006, the staff and workers (Zhigong) were 110 million people, which is about 14.6 percent of the workers and about 8.5 percent of the population of China. To understand the recent wage disparities in China, disparity was estimated with a one stage Mean Logarithm Deviation Decomposition Index and from two directions in the decomposition pattern of disparity across region and industrial sector. Several findings are presented in this paper. First, a rapid expansion of disparity occurred during the measurement period. The index was below 0.02 at the start and increased to about 0.08 at the end. Second, the main factor of disparity gradually changed from regional disparity to sector disparity. Third, the regional disparity in each sector expanded in the higher value sectors but decreased in the agriculture and industry sectors. Fourth, the tendencies in the disparity of each sector in each region differed. From these results, wage disparity is a very serious problem in China. Therefore, several difficult correspondences are required from the government to reduce various disparities in the future.JEL classification: J31, O5
著者
川村 ひとみ 坂本 拓也 斎藤 寿哉 諏訪 真知子 服部 万里子 熊澤 美紀子 遠藤 洋子 戸島 洋一
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.210-213, 2019-05-25 (Released:2019-11-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

タゾバクタム/ピペラシリン(TAZ/PIPC)とバンコマイシン(VCM)の併用療法が他の広域抗菌薬とVCMの併用療法と比べ,急性腎障害(AKI)を引き起こすことが海外で報告されている.そこで,AKI発症リスクについてメロペネム(MEPM)との併用療法と比較検討した.AKI発症率はTAZ/PIPC+VCM32.0%,MEPM+VCM 7.9%と有意な差を認めた.多変量解析ではAKI発症のリスク因子としてTAZ/PIPC使用のみ有意な因子(オッズ比6.77,95%CI:1.43-32.09)となった.TAZ/PIPC+VCM併用療法ではVCMトラフ値に関わらず腎機能を注意深く監視する必要がある.
著者
陳 虹 上野 幸三 養父 佐知子 高橋 円 坂本 泰寿 飯倉 洋治
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.645-650, 2001-12-28 (Released:2010-09-09)
参考文献数
11

近年食物アレルギーは世界中で大きな問題になってきている.人間の多くの器官が食物アレルギーによって障害を受けることはよく知られているが, その予防及び治療は, 今後の研究を待つところも多い.我々は補中益気湯を用いて, 食物アレルギーモデルマウスの肝臓障害に対する治療効果について検討を行った.まず, Hyper IgE血症を自然誘発するNc/Jic系マウスを卵白アルブミン (OVA) によって感作した.その後, それぞれに補中益気湯と生理食塩水を投与し, 肝臓における, 肝細胞の病理変化と細胞浸潤の有無について検討を行った.OVAを経口で負荷後, 血清のalanine aminotransferase (ALT) 値を酵素法 (POP) で測定した.サイトカインの検討は免疫染色 (streptavidin-biotin) 法で分析した.その結果, 補中益気湯内服マウスは, 生理食塩水投与の対照群と比べ, 血清ALT値が有意に減少していた.また, 補中益気湯内服マウスの肝臓におけるIL-4, IL-6, TNF-αの陽性細胞数は, 生理食塩水投与の対照群より有意に低かった.この結果から, 補中益気湯が肝臓のアレルギー反応を減少させ, 食物アレルギーによって起こされた, 肝臓障害を抑えることが示唆された.
著者
矢野 雅貴 坂本 勉
出版者
The Linguistic Society of Japan
雑誌
言語研究 (ISSN:00243914)
巻号頁・発行日
vol.149, pp.43-59, 2016-03-25 (Released:2016-06-22)
参考文献数
45

本研究は,事象関連電位を指標として,形態統語的処理と意味的処理がどのように相互作用しているのかを検討した。実験の結果,格違反文(値段をあがる)に対して左前頭部陰性波とP600が観察された。また,格違反は含まないが意味役割が逆転した文(値段があげる)において,同様の左前頭部陰性波とP600が観察された。もしこの左前頭部陰性波が形態統語的な違反効果を反映しているとすれば,この結果は,形態統語的処理と意味的処理が,動詞の呈示開始語400 ms辺りで相互作用していることを示唆している。
著者
鈴木 雄大 坂本 真士 村中 昌紀 山川 樹 亀山 晶子 松浦 隆信
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.247-253, 2023 (Released:2023-08-25)
参考文献数
18
被引用文献数
1

The present research examined the relationship between interpersonal sensitivity (IS), privileged self (PS), and internet addiction, focusing on the direct effects among these variables and the indirect effects of problem-solving coping tendency and expression of emotional coping tendency. A total of 114 university students participated in the questionnaire survey, of which the 92 who completely answered the questionnaire were included in the analysis. Our data showed a significant positive direct effect of IS and PS on internet addiction tendency. Although the indirect effect of IS on internet addiction mediated by problem-solving coping tendency was not significant, the indirect effect of PS on internet addiction mediated by expression of emotional coping tendency was significant. We discussed the direct and indirect effects in terms of IS and PS characteristics and motivations.