著者
中井 靖 藤本 清秀 三宅 牧人 堀 俊太 森澤 洋介 大西 小百合
出版者
奈良県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

膀胱癌細胞を鉄で処理すると癌細胞が増殖し、5-アミノレブリン酸(ALA)で処理すると細胞増殖が抑制された。ALAを投与すると、膀胱癌細胞のミトコンドリアにおける鉄の発現が低下し、さらに、膀胱癌細胞内のフェリチン(鉄の蓄積)の発現が低下した。これは、膀胱癌細胞が増殖するために必要な鉄が、ALAによってミトコンドリア内で利用され膀胱癌細胞内での鉄が減少し、膀胱癌細胞の増殖が抑制される可能性が示された。このことはALAが新たな膀胱癌に対する治療薬となる可能性が示唆された。
著者
山田 恭子 堀 匡 國田 祥子 中條 和光
出版者
広島大学大学院教育学研究科心理学講座
雑誌
広島大学心理学研究 (ISSN:13471619)
巻号頁・発行日
no.9, pp.37-51, 2009

近年, 生きる力の育成の観点から, 自己調整学習(Zimmerman, 1986, 1989)に関心が集まっている。自己調整学習では, 学習方略をプランニングする過程が重要とされる。そこで, 本研究では, 達成動機と自己効力感が学習方略の使用とどのような関係にあるかを調べた。具体的には, 達成動機と自己効力感を測定し, それらの高低の組み合わせで学習者を4つの群に区分して, それぞれの群の学習方略使用を比較した。調査の結果, (1)自己充実的達成動機の高い学習者は, 低い学習者よりも, 抽象的学習方略(例: 授業中先生の話をよく聞く), 基礎的学習方略(例: 覚えたい内容に線を引く), 自己調整的学習方略(例: 自分で自分の成果をほめる)を使用すること, (2)競争的達成動機の高低のみでは, 学習方略の使用について説明が困難であること, (3)自己効力感が高い学習者は, 低い学習者よりも抽象的学習方略, 基礎的学習方略, 自己調整的学習方略を使用するのに対し, 自己効力感の低い学習者は不適応的学習方略(例: 一夜漬け)を使用することが示唆された。これらの結果を考慮することによって, 学習者の適性に応じた学習指導が可能になり, 自ら学ぶ力の向上に貢献できることを考察した。
著者
久保 加織 川勝 聡美 堀越 昌子 石永 正隆
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.351-358, 2001-04-15
参考文献数
21

The possible utilization as food of linseed oil containing a large proportion of α-linolenic acid, an n-3 poly unsaturated fatty acid, was studied. Linseed oil was oxidized very slowly during storage at 4℃, so we judged that it could be stably kept for 8 weeks at 4℃. Linseed oil was gradually oxidized at 20℃, but the addition of roasted sesame oil was effective for suppressing this oxidation. The fatty acid composition of linseed oil scarcely changed during the storage, showing that the content of α-linolenic acid was more than 50%. Mayonnaise made from linseed oil remained stable in a refrigerator and its composition scarcely changed during 8 weeks. The addition of roasted sesame oil to the mayonnaise further improved its oxidative stability and acceptability.
著者
章 忠 井 和章 三宅 哲夫 今村 孝 堀畑 聡
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 C編 (ISSN:03875024)
巻号頁・発行日
vol.74, no.739, pp.642-649, 2008-03-25 (Released:2011-03-04)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

The direction of a generated sound source can be estimated by humans using the time difference between both ears and the characteristics of the sound. However, it is very difficult to create an estimation system using a computer and two microphones. Aims of this study are the achievement of three dimension sound localization with two microphones. We have developed the sound source direction estimation system, in which the sound source direction can be shown by two angles, the horizontal angle α and the vertical angle, β. The former is presumed from the difference of the arrival time when the sound progresses from the source to right and left ear, and the latter is presumed from spectrum correlation analysis using head related transfer function (HRTF). In this study, we propose a novel sound source direction estimation method, in which the feature difference of two recorded microphone signals is used. As a result, an average correct estimation rate of 96% was obtained in determining the location of 11 kinds of object sounds.
著者
関口 海良 田中 克明 赤石 美奈 堀 浩一
雑誌
SIG-SAI = SIG-SAI
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.1-9, 2007-11-26

多元的な世界とは,真理,価値,世界観などの多様性を認める世界である.これを実現するためには,人と人の対話を支援することが有効であると考えられる.ロボット・ネットワークを用いれば,人とロボットの同期対面(ミクロ)の対話と,ネットワークを介した人と人の非同期非対面(マクロ)の対話の両方を,効果的に支援することができる.本論文ではコンセプトを提案し,研究開発中のプロトタイプを紹介する.
著者
飯倉 拓也 松田 哲 大竹 千尋 草間 淳 飯塚 奈々 小澤 万純 河方 知裕 堀内 康志 齋藤 大嵩 長谷川 陽子
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.57-65, 2019-03-29 (Released:2019-03-28)
参考文献数
33
被引用文献数
1

概要:今回,上唇可動量の過剰によるガミースマイルに対し,口唇移動術を行い,1年の経過を追い,良好な結果が得られたので報告する。症例は過度な歯肉露出を主訴に来院した24歳の女性である。全身状態は良好,歯肉に炎症を認めなかった。笑った際に上顎前歯部で8 mmの歯肉露出を認め,口腔内検査所見およびX線写真検査所見より上唇可動量の過剰によるガミースマイルと診断した。治療方針:口唇移動術に先立ち,組織の切除を行わない可逆的試験処置を行った。1週間経過観察を行い,口唇移動術を実施することを決定した。治療経過:口唇移動術は上唇小帯を保存することにより,術後の左右非対称を防止できる改良型口唇移動術を行った。術後,口唇の運動制限を指導した。1週間後の抜糸時には,疼痛,腫脹,皮下出血を認めた。1ヶ月後には症状は消失し,笑った際の歯肉露出は上顎前歯部で8 mmから1 mmに改善し,口唇の非対称性などの合併症も認めなかった。1年間の経過観察を行い,後戻りも認められず,経過は良好で満足度は高かった。考察:過度のガミースマイルは審美的な問題となる。ガミースマイルに対する治療法は様々あり,口唇移動術は適応可能な症例や長期予後に関して議論の余地がある。可逆的試験処置を行うことにより予知性を高めることができ,的確な診断のもと行えば,補綴や外科矯正と比較して,治療期間,侵襲の点などで優れた治療法であると考察する。
著者
大久保 紀一朗 佐藤 和紀 中橋 雄 浅井 和行 堀田 龍也
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.33-46, 2016 (Released:2017-09-14)
参考文献数
7
被引用文献数
5

本研究は,マンガを読解・解釈・鑑賞する活動を通してメディア・リテラシーを育成する学習プログラム(小学校第5学年対象)を開発し,その有効性を検証したものである。国語科の漫画家を題材にした説明文の学習を通して,マンガの表現技法について学んだ上で,漫画家の作品を読み込み,マンガレポートや本の帯やポップを作成する活動を行った。能力評価尺度を用いた事前調査と事後調査の平均点を比較したところ,全ての項目で事後調査の平均点が高く,有意な差を確認することができた。また,開発した学習プログラムを実施したクラスの平均点は,実施していないクラスの平均点よりも高く,有意な差を確認することができた。評価基準による3者の評価の平均点が3点満点中2.5点以上であったこと,Kendallの一致度係数はすべてW=.7以上であったことから,本論で示した学習プログラムは有効であったことが示唆された。
著者
澤畠 公則 堀 雅寛 永田 稔 榎本 裕治
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.141, no.10, pp.771-777, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)
参考文献数
10

Downsizing of motors by achieving a high power density is required to meet the emission regulations of each country. In this study, we developed a permanent magnet synchronous motor (PMSM) with high space factor, which enables the motor to be downsized. This PMSM applies the welding-less rectangular coil to shorten the axial motor length. The developed PMSM was verified by elemental and measurement tests. The test results confirmed that (i) the local heating of the welding-less coil was 4.5K and (ii) the torque and coil temperature of the developed PMSM reached their design values.
著者
堀田 和義
出版者
日本印度学仏教学会
雑誌
印度學佛教學研究 (ISSN:00194344)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1068-1072, 2007

ジャイナ教空衣派の学匠クンダクンダ (Kundakunda) の作品のひとつに『5つの存在体の綱要』(<i>Pa&ntilde;castikaya-samgraha</i>) があり, その第1章では6つの実体 (dravya) について論じられている. なかでも第15~19偈では, 実在の変化と同一性が扱われており, これら一連の偈に関して, 最古の註釈者アムリタチャンドラ (Amrtacandra) は対論者を特定していないが, ジャヤセーナ (Jayasena) は, 仏教学説に対する批判と解釈している.<br>本稿は, 第15~19偈に焦点を当てて, まず, 偈の内容そのものとそれに対するジャヤセーナ註 (<i>Tatparyavrtti</i>) のに見られる仏教学説批判を概観する. そのうえで, (1) 刹那滅一辺倒 (ksanika-ekanta) と恒常一辺倒 (nitya-ekanta). という2つの極端説の設定, (2)〈実体を対象とする視点〉(dravyarthika-naya) と〈様態を対象とする視点〉(paryayarthika-naya) という2つの視点の適用, (3) 想定される問題点とその解決法としてのジャイナ教学説, という3つの点にもとづいて <i>Tatparyavrtti</i> における議論を検討し, ジャイナ教の議論に見られる特徴の一端を明らかにするものである.
著者
伊庭孝遺著 堀内敬三編
出版者
信正社
巻号頁・発行日
1937
著者
橋詰 直樹 八木 実 石井 信二 浅桐 公男 深堀 優 七種 伸行 吉田 索 升井 大介 坂本 早季 恵紙 英昭
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.1093-1099, 2015-10-20 (Released:2015-10-20)
参考文献数
22

機能性ディスペスシアに対し漢方療法を施行し,胃運動機能の観点からその有効性が認められた1 例を経験した.症例は5 歳男児.急性胃腸炎症状軽快後より腹部膨満,心窩部痛,嘔吐を認め近医を受診した.約50 日間摂取後の嘔吐が続き,発症前より3.6 kg の体重減少を認めた.上部消化管内視鏡検査では軽度の胃炎が認められ,画像検査では器質的疾患は認められず,感染性胃腸炎を契機とした機能性ディスペスシアと診断した.胃運動機能検査では13C 酢酸および13C オクタン酸呼気胃排出機能検査,胃電図検査を用いて評価した.入院後アコチアミドとH2 ブロッカーにて治療を開始したが,薬剤性肝機能障害を認め,六君子湯に変更した.内服開始後も水分摂取にて上腹部膨満が認められたため茯苓飲合半夏厚朴湯を追加した.症状改善し固形食摂取可能となった.4 か月間の内服治療により正常な胃排出機能が確認され廃薬とし,廃薬後も経過良好である.
著者
及部 七郎斎 堀 洋一
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.121, no.12, pp.1250-1255, 2001-12-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
14

A novel object transfer system named “Magic Carpet” composed of linear actuator array and driven by autonomous decentralized type control algorithm is proposed. An object is manipulated by a large number of contact points with many actuators, which differs from conventional systems like belt conveyor. In this paper, the control algorithm for such “distributed manipulation” is proposed.Due to recent development of micromachine technology, distributed manipulation becomes more important. This system has a big advantage in its fault tolerance because it has a lot of actuators with poor performance to move a large heavy object. However, it has a serious wiring problem to be solved and homogeneous structure should be introduced because of a large number actuators.To solve these problems, “combined control of central /autonomous decentralized algorithms” is proposed and evaluated by computer simulation and experiment.