著者
堀野 雅子
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.801-804, 2005-09-20
参考文献数
8
被引用文献数
3 3

半夏厚朴湯は金櫃要略記載の気剤で「咽中炙臠」を目標に使用される事が多いが, 先人達は腹候, 特に中〓痞満の重要性を指摘している人も多い。そこで咽中炎臠と中〓痞満の関係を中心に検討してみた。半夏厚朴湯証と思われる患者18名 (男性2名女性16名) 全員中〓圧痛及び不快感のあった人について半夏厚朴湯エキス又は煎じ薬を投与して主訴, 自覚症状, 腹候特に中〓の状態, 服薬後の中〓の変化について検討した。咽中炎臠は66.7%, 冷えは55.6%, 腹力は中程度が77.8%, 心下に変化のあった人は38.9%, 振水音は11.1%であった。服薬後の中〓の状態は, 記載漏れを除く69.2%が圧痛又は不快感が消失または軽減していることが判明した。
著者
堀 信一 大川 元臣 三好 勝彦
出版者
京都大学医学部泌尿器科学教室
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.p545-549, 1980-05

Computed Tomography (CT) による膀胱癌の診断は,非侵襲的な診断法であり,膀胱周囲臓器との関係を観察できるのみならず,腫瘍の形態,膀胱の性状の変化などを知りうることから,これによる術前診断が期待されている。しかし, 膀胱造影剤として,従来用いられてきた空気,低濃度陽性造影剤では,必ずしも腫瘍形態を満足に描出することができず,また造影剤によるartifact により,診断が困難になることが多く,種々の研究努力がなされているが,いまだ解決に至っていない。今回,われわれは,滅菌オリーブ油を膀胱内造影剤として用いることにより,腫瘍の膀胱内部分の行態,正常膀胱壁,および腫瘍の壁外浸潤を正確にとらえることを,実験的に確め,臨床に応用した。実験には,膀胱ファントムを作製し,遺影剤として, 空気, オリーブ油, 生食,1%アンギオグラフィン, 2%アンギオグラフィンを用い,検討を行なったが, CT膀胱造影剤として,オリーブ油が最適であると結論した。臨床的には,検査前にバルーンカテーテルを挿入,排尿を完全に行ない,空気の混入を避けながらオリーブ油100から120ccを注入の後,カテーテルを抜去し,仰臥位にてスキャンを行った。つぎに腫瘍の位置により,患者の体位変換をおこない,再びスキャンをおこなって,腫瘍の正確な描出を試みた。現在までに65例に滅菌オリーブ油注入によるCT膀胱スキャンを行なったが,副作用は全く認めず,この方法は膀胱癌の術前診断として高く評価されると考える。
著者
西郡 亨 今井 祐子 堀本 ゆかり
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.53-58, 2021 (Released:2021-02-24)
参考文献数
23

〔目的〕本研究は,リハビリテーション専門職(リハ職)の認知する組織風土類型ごとに職務満足度と職業性ストレスを比較することを目的とした.〔対象と方法〕総合病院に勤務するリハ職102名を対象に,組織風土尺度と職業性ストレス調査票を用いて調査を実施し,組織風土の類型ごとに職務満足度や職業性ストレスを比較した.〔結果〕回答者は89名であった.職務満足度,環境ストレス,仕事裁量度,職業適性度,働きがい,上司サポート,同僚サポートの因子と組織風土類型間で有意な差を認め,イキイキ型の組織風土が他3類型と比べ職業性ストレスが低かった.〔結語〕組織風土は職務満足度と職業性ストレスに関連することが明らかとなった.職業性ストレスや職務満足度への対応は個人のみならず,組織風土を考慮する必要がある.
著者
畦地 啓太 堀 周太郎 錦澤 滋雄 村山 武彦
出版者
一般社団法人 エネルギー・資源学会
雑誌
エネルギー・資源学会論文誌 (ISSN:24330531)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.11-22, 2014 (Released:2019-02-15)
参考文献数
34
被引用文献数
2

This paper aimed to clarify factors influencing environmental conflict occurrence during the planning stage for wind farm projects in Japan. After studying conflict occurrence situations and the main conflict issues for 155 large-scale projects across Japan, we focused on both physical and social factors as explanatory variables and applied a quantitative method using binary logistic regression analysis. The main findings were: (1) environmental conflicts had occurred in 59 projects as of May 2012 and the main issues could be classified as noise/infrasound, sediment- related disaster/hydrology, landscape, nature destruction and birds (esp. raptors); (2) turbine number and size were influential factors as structural aspects, while there was no significant association between proximity to turbines and conflict occurrence; (3) sites located within natural parks, national protection forests, sediment-related disaster hazardous areas and wildlife protection areas designated by relevant acts and ordinances showed higher conflict occurrence, and proximity to such areas could be influential as well; (4) habitats for Golden Eagle, Mountain Hawk Eagle, White-tailed Eagle and Steller's Sea Eagle significantly encouraged conflict; (5) in terms of social aspects at both the national and prefectural level, conflict occurrence was strongly associated with the existence of past conflict experiences and complaints about noise and/or infrasound generated by operating wind farms.
著者
広瀬 保夫 畑 耕治郎 本多 拓 山崎 芳彦 堀 寧 大関 暢
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.125-129, 2001
被引用文献数
3

This report describes 7 victims of sodium azide poisoning caused by drinking poisoned water. Ten employees at the poisoning site developed symptoms immediately after ingesting coffee or tea made from hot water contained in a thermos bottle. Symptoms included altered consciousness, faintness, blackout, palpitation, nausea, and paresthesia of both hands and feet. Seven patients were transferred to our institution by ambulance. We assumed symptoms were caused by acute poisoning but the causative agent was unknown. We could not rule out cyanide poisoning because of the rapid emergence of symptoms suggesting circulatory failure, so we administered amyl nitrate, sodium nitrate, and sodium thiosulfate. Symptoms rapidly subsided. The causative agent was identified the next day as sodium azide. While the victims were being treated at the emergency room, 2 doctors, 3 nurses, and 1 pharmacist complained of faintness, headache, nausea, sensations of dyspnea and eye pain. These medical staff members had all either conducted gastric lavage or treated gastric contents. This strongly suggests that symptoms were caused by hydrazoic acid formed in a chemical reaction between sodium azide and gastric acid. Our experience underscores the potential hazard from hydrazoic acid faced by medical staff treating patients with oral sodium azide intoxication.
著者
堀井令以知著
出版者
名著出版
巻号頁・発行日
1988
著者
吉田 由起子 柳瀬 隆史 加藤 孝史 小柳 佑介 浅井 達哉 大堀 耕太郎
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2019年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.70-73, 2019-12-25 (Released:2019-12-23)

選挙候補者の当落を根拠付きで高精度に判定することを目指して、富士通研究所が開発したAI技術「Wide Learning」による選挙当落判定フレームワークを構築した。従来の選挙予測は分析者のスキルや情報源に強く依存する。一方、本研究では AIの入力データとして候補者の公認政党・趣味・主張、選挙区の特性等の公開情報と、有権者からの支持率等の一般的に用いられる調査データを使用することにより、一定の普遍性を有する選挙予測を可能としている。また、高精度の当落予測のみならず当落要因の知識発見も実現している。2016年参院選データで学習したモデルによる 2019年参院選選挙区の候補者の当落判定結果を評価しモデルの有用性について考察する。
著者
内藤 政人 茅野 真男 堀川 宗之 名越 秀樹 中村 芳郎 小野 泰志 宇田川 宏之
出版者
Japan Heart Foundation
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.7, no.10, pp.1159-1164, 1975

狭心症や発作性不整脈の診断には,発作中およびその前後の心電図記録が必要である.<br>Holterらの装置は長時間連続記録であり,しかも高価である.また発作と同時に患者にスイッチを押させて心電図を記録する装置もあるが,発作前からの連続記録がぜひ必要と思われる.<br>われわれはエンドレスカセットテープを用いて,発作と同時に患老に押させたスイッチによるトリッガー信号で発作前後の制御を行ない,発作中およびその前後の心電図記録が連続して得られる装置を開発した.<br>電源は乾電池を使用し,約12時間の連続使用が可能で発作前後3分間ずつ計6分間,2回の発作まで記録ができる.<br>この装置により,狭心症のある例では自覚症状発現前よりST-T部分の変化が始まっていることがわかり,また狭心症と思われた例が,単なる頻脈発作であることがわかるなど,非常に有用と思われたので,装置の概略と使用成績を報告する.
著者
手塚 和佳奈 佐藤 和紀 大久保 紀一朗 久保田 善彦 堀田 龍也 谷塚 光典
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会研究報告集 (ISSN:24363286)
巻号頁・発行日
vol.2021, no.3, pp.9-16, 2021-10-29 (Released:2021-10-29)

本研究は,メディアや情報に対して大学生がもつステレオタイプやバイアスに関する実態調査を実施した.質問紙は,【メディアへの接触頻度】,【画像情報のステレオタイプ的解釈】,【メディアを介した情報の流通が人々の行動に与える影響】,【バイアスとメディアの関係が人々の行動に与える影響】に関する質問で構成した.大学生51名からの回答を分析した結果,①背景情報を手がかりに画像情報をステレオタイプ的に解釈する人は1割程度,②メディアを介した情報の流通が人々の行動に与える影響に言及できる人は3割程度,③バイアスとメディアの関係が人々の行動に与える影響に言及できる人は1割程度であった.
著者
高木 陽子 成実 弘至 西谷 真理子 堀 元彰
出版者
文化学園大学
雑誌
文化女子大学紀要. 服装学・造形学研究 (ISSN:13461869)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.35-46, 2010-01

服飾文化共同研究拠点「現代日本ファッション・デザインの研究」グループは,研究方法の一つとして,ファッション・システムを変貌させた新興地域,東京とアントワープを比較した。「6+ アントワープ・ファッション」(東京オペラシティアートギャラリー,2009年4月11日-6月28日)の図録を制作するとともに,オープニング・トーク「アントワープを語る」を4月11日に開催した。ゲストに,「アントワープの6人」のプロモーターであったヒェールト・ブリュロート,アントワープ王立美術アカデミーで学んだ日本人デザイナー坂部三樹郎,中章,中里唯馬,ジャーナリスト平山景子,バイヤー栗野宏文を招き,アントワープ・ファッションを日本から検証するシンポジウムとなった。(当日の記録は,http://www.operacity.jp/ag/exh105/j/talk.html)結果,デビュー前の「アントワープの6人」とマルタン・マルジェラが,日本訪問によってクリエイションとビジネス両面のインパクトを受けていた事実,日本人学生が体験した王立美術アカデミーの教育の実態,そして日本におけるアントワープ・ファッションの受容の詳細が明らかになった。
著者
伊東 英彦 増田 一 大堀 隆文 渡辺 一央
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.16, no.11, pp.37-42, 1992

This paper clarifies that a Multi-Tandem Perceptron (MTP) outputs the dominant K-L transform components of each sample of arbitrary input samples set. A R-stages MTP consists of R Unit-Perceptrons (UPs). Each UP is a 3-layerred linear perceptron with a hidden unit for identity mapping and transmits the mapping error vector to the following one. The hidden unit of the r-th UP outputs the r-th dominant component. This paper also discribes a rapidly learning method. The simulation results indicate that the method performs more than 100 times as rapidly as the conventional back propagation.
著者
夏堀 摂
出版者
一般社団法人 日本社会福祉学会
雑誌
社会福祉学 (ISSN:09110232)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.23-33, 2003-07-31 (Released:2018-07-20)
被引用文献数
5

本稿では,障害児の親がになわされてきた「親役割」を明らかにし,見直すための作業の端緒として,「親の障害受容」を1つの鍵概念とし,現代日本における「障害受容」論の2つの主要な流れである「共同療育者」論と「認識変容」論について検討した.前者は親が「共同療育者」としての役割を果たすために,後者は障害児の「代弁者」となるための「認識変容」として,「受容」を位置づけるものである.これらの検討を通じて,それぞれの研究のなかに埋め込まれた「望ましい」とされる親像が専門家や研究者によって描かれ,メッセージとして発信されてきたことが明らかになった.
著者
堀内 由樹子 田島 祥 鈴木 佳苗 渋谷 明子 坂元 章
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.13-24, 2016

本研究では、中学生を対象とした 2 時点の縦断調査を実施し、レーティング区分ごとのゲーム ソフト利用による攻撃性および暴力に対する規範意識への影響を検討した。調査は、2008年度末と2009 年度末に実施し、東京、千葉、埼玉の公立中学校12校、1218名の中学生が分析対象となった。分析の結 果、男子学生では、C区分の暴力的ゲームソフト利用によって、1 年後の暴力に対する規範意識が低下 することが示された。B区分の暴力的ゲームソフトや非暴力的ゲームソフト利用ではこのような影響は 見られず、レーティング区分によって影響が異なることが一部で示唆された。
著者
堀場 充哉
出版者
名古屋市立大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

脳卒中後の運動機能や高次脳機能障害に関連する脳領域を評価するとともに、これら関連領域に対して、非侵襲的刺激法の一つである経頭蓋交流電気刺激法(皮膚上から微弱な交流電気刺激を行う方法)を用いたリハビリテーションを実施する。脳卒中の一般的な機能評価およびMRIを用いた脳内のネットワークの変化を収集、解析し、経頭蓋交流電気刺激法を用いたリハビリテーションの効果、回復に寄与する神経基盤について検討する。