著者
堀田 饒
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.4, pp.1100-1104, 2002-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1
著者
東野 俊英 山崎 雄貴 千田 聡子 堀之薗 弘 三浦 義則
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.131, no.9, pp.2045-2049, 2021-08-20 (Released:2021-08-20)
参考文献数
8

遅発性大型局所反応(delayed large local reaction)はModerna社製新型コロナウイルスワクチンmRNA-1273の代表的な接種後副反応であり,紅斑,皮下硬結,圧痛などの症状が接種後およそ7日目から11日目まで継続する.今回我々は第1回目接種後に生じた遅発性大型局所反応の3例を経験した.症例間で皮疹の範囲や圧痛の程度に差があったが,いずれも無治療か対症療法で軽快した.この副反応は特徴的な臨床経過から容易に診断可能であり,2回目は1回目よりも軽い傾向にあるため,生じた場合にも第2回目の接種を制限する必要はない.
著者
石原 康成 堀江 翔太 立原 久義
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101316, 2013

【はじめに、目的】腱板断裂では,上肢挙上の際に,肩甲上腕関節における求心位保持能力の低下と,それに伴う肩甲胸郭関節,胸郭運動の異常が報告されている.したがって,腱板断裂患者に対して理学療法を行う際は,肩甲上腕関節のみならず,肩甲胸郭関節や胸郭にもアプローチする必要がある.しかし,腱板断裂における肩甲骨の位置異常と胸郭運動の特徴については明らかになっていないため,機能評価と効果的に肩甲胸郭関節や胸郭へアプローチする手技の確立を困難にしている.本研究の目的は,腱板断裂における肩甲骨の位置異常と胸郭運動の特徴を明らかにすることである.【方法】対象は,当院で腱板完全断裂と診断され鏡視下腱板修復術を施行された24 名(以下RCT群)(男性14 名,女性10 名,平均年齢69 歳,49 〜 86 歳)と,肩関節に既往のない40 〜60 代の健常者16 名(以下健常 群)(男性8 例,女性8 例,平均年齢51 歳,43 〜 64 歳)である.これら2 群の,上肢挙上に伴う肋骨・胸椎運動と下垂位での肩甲骨の位置を比較し腱板断裂における肩甲骨位置と胸郭運動の特徴を検討した.測定方法は,肩下垂位と130°挙上位の2 肢位で胸部3 次元CTを撮影し,骨格前後像と側面像にて肋骨・胸椎と肩甲骨の位置を評価した.肋骨の動きは,肋椎関節を基準として肋骨先端の上下方向への移動距離を測定した.胸椎の動きは,第7 胸椎を基準として胸椎伸展角度を測定した.肩甲骨の位置は,内外転方向の位置として,脊椎から肩甲骨内側縁の距離(Spine Scapula Distance,以下SSD),挙上下制方向の位置として,肩甲骨下角の高さを,回旋方向の位置として肩甲棘の傾斜を測定した.統計学的検討にはMann-Whitney's U 検定を使用した.【倫理的配慮、説明と同意】病院倫理委員会の承認を得た上で,本研究の目的とリスクについて被験者に十分に説明し,同意を得た.【結果】RCT群の下垂位から130°挙上位までの肋骨移動距離は,挙上方向へ平均5.8mmであった.最大は第7 肋骨の9.7mmであり,第7 肋骨から離れるに従い移動距離は小さかった.健常群では挙上方向へ平均5.2mmであった.最大は第5 肋骨の9.4mmであり,第5 肋骨から離れるに従い移動距離は小さかった.2 群を比較すると,第9,11 肋骨でRCT群の肋骨移動距離が有意に大きかった(p<0.05).すなわち,腱板断裂により肋骨運動の中心が尾側にシフトしていた. RCT群の下垂位から130°挙上位までの胸椎伸展角度は平均2.4°であった.健常群では平均3.8°であり差はなかった.RCT群における下垂位でのSSDは平均60.3mm,健常群では平均68.6mmであり,RCT群で有意にSSDが小さかった(p<0.01).下角の高さと,肩甲棘の傾斜には差がなかった.すなわち,腱板断裂により肩甲骨は内転位に変化していた.【考察】本研究より,上肢挙上に伴う肋骨運動は,健常者では第5 肋骨を中心に挙上するのに対し,腱板断裂患者では第7 肋骨中心に挙上することが明らかとなり,腱板断裂により肋骨の運動中心が尾側へシフトすることが明らかとなった.また,腱板断裂に伴い肩甲骨の位置は内転位に変化することが明らかとなった.従来の報告によると,腱板断裂に伴い肩甲骨他動運動と肋骨運動が制限される可能性が指摘されている.また,肩甲骨位置異常は,肩甲骨周囲筋のバランス異常の存在を示唆している.この事実は,肩甲骨周囲での胸郭運動が制限されていることを示しており,これを代償するために,胸郭運動の中心が尾側へ移動した可能性が考えられた.【理学療法学研究としての意義】腱板断裂が、肩甲骨の位置と肋骨運動パターンに影響を与えることが明らかとなった.肩甲上腕関節のみならず,肩甲骨位置や肋骨運動パターンを考慮することで,より有効な理学療法を提供できる可能性がある.
著者
堀内 弘司 佐々木 裕明 宮田 順之 吉村 幸浩 原田 壮平 立川 夏夫
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.324-327, 2021-05-20 (Released:2021-11-26)
参考文献数
7

Klebsiella pneumoniae independently causing necrotizing fasciitis in patients with Klebsiella pneumoniae bacteremia is known and has mainly been reported from East Asia, especially Taiwan and Korea. The clinical course of necrotizing fasciitis developing in association with K. pneumoniae bacteremia has not yet been clearly described. We report a case of lower leg K. pneumoniae necrotizing fasciitis in a patient with following K. pneumoniae bacteremia, which was unrecognized on day 1 of admission. The necrotizing fasciitis, which necessitated surgical treatment, became clinically evident only after the bacteremia diagnosis. A 65- year-old Korean woman who presented with a history of fever and malaise developed septic shock of unknown origin. Although effective antimicrobial therapy was initiated soon after she was admitted to us, purpura and pain in the left lower leg appeared on day 6 of admission, and necrotizing fasciitis was suspected. The patient recovered after surgical treatment and was discharged on day 25 of hospitalization. The isolated K. pneumoniae showed a positive string test, and genetic analysis identified it as the K1-ST23 strain, which is known to be a hypervirulent K. pneumoniae (hvKp) strain. It has been suggested that hvKp bacteremia can cause necrotizing fasciitis even during effective antimicrobial therapy, and because of the need for immediate surgical treatment, clinicians should be very attentive to the appearance of a new skin or soft tissue lesion in patients with K. pneumoniae bacteremia. The index of suspicion should be even higher in patients from East Asia and for K. pneumoniae strains that are string test-positive.
著者
堀江 興
出版者
新潟工科大学
雑誌
新潟工科大学研究紀要 (ISSN:1342792X)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.31-47, 2001-12

The world famous beautiful small town named Letchworth is located in the outskirts of Capital London. This town was formulated by the proposal of Ebenezer Howard in 1898. He hoped to create the new middle town near London. He had always an interest in urban problems in London. Because London had much public nuisance sity caused by the over population, many poor inhabitants, narrow streets, traffic congestion, low-level housing estates and various diseases under the Industrial Revolution. He worked in the samll village of Nebraska and Chicago in the US. He was moved by the environmental residential district of Chicago. After return to London, He published his own book titled Tomorrow : A Peaceful Path to Real Reform in 1898. He established "the Garden Association" in 1899, he re-published a book named "Garden City of Tomorrow" in 1902. He bought the rural village Letchworth, and he appointed two architects Barry Parker and Raymond Unwin. Many peoples co-operated the construction and establishment of new town Letchworth. This Letchworth "Garden City" was realished and is under the management of Letchworth Garden City Heritage Foundation. We can now see many small or middle new town developed under the idea of Garden City of Howard in England, Japan, France, United-States and another countries.
著者
久保 加織 尾川 由香里 團 愛 堀越 昌子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成16年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.45, 2004 (Released:2004-09-09)

【目的】福井県や滋賀県のさば街道筋に古くから伝わるへしこ(魚のぬか漬け)は、塩漬けした魚を米ぬかとともに数ヶ月から1年程度漬けることによって製造される。本研究では、数種類の市販へしこの成分を分析するとともに、官能評価を行い、各成分と官能評価との関連性について明らかにすることを目的とした。【方法】福井県および滋賀県で製造、販売されたさばへしこを試料とし、塩分、遊離アミノ酸、核酸関連物質などの分析を行った。さらに、SPMEファイバーに吸着させた揮発性成分をGCMSにより分析した。官能評価は、大学生30人をパネルとして行った。【結果】へしこの呈味に関わる成分として、塩分と遊離アミノ酸、有機酸が検出されたが、呈味性核酸関連物質はほとんど含まれていなかった。塩分は7.5%から15.5%と試料間の差が大きく、官能評価では塩分濃度の違いを多くのパネルが塩辛さとして感じていた。ヒスチジンを除くすべての遊離アミノ酸は生さばより多く含まれていた。アスパラギン酸やグルタミン酸含量の高いへしこで酸味を強く感じるパネルが多く、甘味や旨味と遊離アミノ酸量との間に関係はみられなかった。揮発性物質としてエタノールや酪酸、酢酸エチル、アセトアルデヒド、2‐エチルフランなど微量でも特徴的なにおいをもつ物質が検出され、これらがへしこのにおいの特徴を示すと考えられた。なれずしから検出される揮発性成分と比較した結果、へしこはなれずしより発酵臭が少なく生魚の臭いに近いと考えられた。試料間では、発酵臭や生ぐさ臭、エステル臭をもつ揮発性成分の検出のされ方に差が見られ、官能検査でも検出された揮発性成分から予想される臭いの特徴を認めることができた。
著者
小林 麻衣 堀毛 一也 北村 英哉
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.525-534, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
22
被引用文献数
3 1

This two-part study aimed to examine the effects of temptation coping strategies on self-control when faced with a conflict between academic goals and temptations. The results of Study 1 indicated that the general use of temptation coping strategies promoted goal pursuits. Study 2 investigated whether differences in the difficulty of goal achievement had an effect on the effectiveness of temptation coping strategies. Goal Verification, Temptation Avoidance, and Goal Execution, which are subscales of the Scale of Temptation Coping Strategies in Academic Situations, were effective strategies to facilitate self-control regardless of the difficulty of goal achievement. However, Mood Changing, which is another subscale of the Scale of Temptation Coping Strategies in Academic Situations, was a strategy that did not affect self-control. These findings indicated that the temptation coping strategies were largely effective in academic situations. The implications of adaptive self-control are also discussed.
著者
堀内 恵
出版者
中央大学理工学部事務室
巻号頁・発行日
2021-03-24

【学位授与の要件】中央大学学位規則第4条第2項【論文審査委員主査】髙桑 宗右ヱ門(中央大学理工学部教授)【論文審査委員副査】鎌倉 稔成(中央大学理工学部教授)、趙 晋輝(中央大学理工学部教授)、遠山 暁(中央大学商学部教授)、由良 憲二(電気通信大学情報理工学研究科教授)
著者
城戸 竜太 桑野 亮一 日野 実 村山 敬祐 黒坂 成吾 小田 幸典 堀川 敬太郎 金谷 輝人
出版者
公益社団法人 日本金属学会
雑誌
日本金属学会誌 (ISSN:00214876)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.74-79, 2020-03-01 (Released:2020-02-25)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

In this study, the effect of anodization and electroless Ni-P plating on the fatigue strength of commercial A5052-H14 and A2017-T4 aluminum alloys was investigated. The coated aluminum alloys were tested using a rotary bending fatigue testing machine. Anodization led to a slight increase in the fatigue strength of the A2017-T4 alloy of approximately 10% because of the suppression of the generation of fatigue crack, and anodization with a 5-µm thickness for A5052-H14 also led to a slight increase in the fatigue strength. However, anodization with a 20-µm thickness for A5052-H14 led to reduced fatigue strength because of the pits that formed in the film. In addition, electroless Ni-P plating drastically improved the fatigue strength of the A5052-H14 alloy by suppressing the generation of fatigue crack.It also improved the fatigue strength of the A2017-T4 alloy in the high-stress region. However, the fatigue strength in the low-stress region was the same as that of the non-coated specimens.This fatigue strength should have originated from the hydrogen embrittlement by the hydrogen introduced into the specimen during the plating.
著者
西堀 すき江 小濱 絵美 加藤 治美 伊藤 正江 筒井 和美 野田 雅子 亥子 紗世 廣瀬 朋香 羽根 千佳 小出 あつみ 山内 知子 間宮 貴代子 松本 貴志子 森山 三千江 山本 淳子 近藤 みゆき 石井 貴子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.31, 2019

<p>【目的】昭和50年代までは『尾張の嫁入りは派手』といわれ,花嫁道具一式を積んだトラックに紅白幕をかけて嫁ぎ先へ運んだり,菓子撒きをしたり,豪華な料理や引き出物を用意した。このような,一世一代の行事は派手に祝うが,通常は倹約をし質素な生活をするのがこの地方の特徴であった。</p><p>【方法】愛知県を(1)名古屋市,(2)尾張水郷(海部),(3)尾張稲沢(尾張北部),(4)愛知海岸(知多,西三河・東三河の海岸,渥美),(5)西三河・安城,(6)東三河・豊橋,(7)愛知山間・奥三河の7地区に分け,聞き書き調査と料理の撮影を行った。聞き書き調査は,平成24・25年,料理の撮影は平成27年に行った。聞き書きは,各地区に長年暮らし,その地域の家庭料理を伝承されている方を調査対象者とした。撮影に当たっての料理作成は,聞き書き対象者や各地区で伝統的家庭料理の保存活動を行っている団体・個人などに依頼した。先の調査を収録した『日本の食生活全集23 聞き書 愛知食事』を参考にした。</p><p>【結果および考察】名古屋を含む尾張地区では稲作や野菜栽培が盛んで,副菜も地場でとれた野菜を生で食す以外に乾燥させたり,漬物にしたりして利用した。また,名古屋コーチンに代表される養鶏が盛んで,なんぞ事の時に鶏肉(かしわ)や卵が食された。海岸地区は伝統野菜の蕗をはじめ種々の野菜が栽培され,小魚や海藻の佃煮も多く利用されていた。三河の安城地域は,不毛の台地安祥(あんじょう)ヶ原と言われていたが,明治用水建設後は日本のデンマークと称されるようになり,農作物が豊富に栽培された。大豆・落花生も畦に作られていた。愛知山間部では山菜やきのこ,川魚などで佃煮を作り常備菜としていた。へぼなどの昆虫食も利用していた。</p>
著者
野地 大樹 堀田 昌英
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.38-50, 2019
被引用文献数
1

<p> わが国の水道事業は管路等の施設が今後一斉に更新期を迎える一方,人口減少による収入の減少が予測され,事業の持続可能性に多くの問題を抱えている.その解決策として官民連携手法,とりわけコンセッション方式への注目が高まっているが,現状では水道施設の大部分を占める管路の維持管理・更新が民間事業者の事業範囲から除外される事例に占められており,その効果は限定的である.本研究ではコンセッション方式において,民間事業者へのインセンティブ付与のために事業実績に応じて契約延長及び追加的報酬の効果を定式化し,千葉県柏市水道事業の実際のデータを用いて分析を行った.その結果,管路の維持管理・更新まで含めたコンセッション契約を行う場合,事業実績に応じて契約延長を行う方法が適当であることを示した.</p>
著者
河野 光久 土井 啓行 堀 成夫
出版者
山口県水産研究センター
雑誌
山口県水産研究センター研究報告 (ISSN:13472003)
巻号頁・発行日
no.9, pp.65-94, 2011-12

日本海はユーラシア大陸の東部外縁に位置する縁海で,隣接する海洋とは対馬,津軽,宗谷および間宮の4つの浅い海峡で接続している。本海域の魚類目録は沿岸のほとんどの道府県で部分的な海域ごとに作成されているものの,日本海産魚類目録として日本海の全範囲を網羅した魚類目録はわずかしかない。日本海産魚類目録として最初に報告したのは加藤で,佐渡周辺,富山湾および山陰隠岐の海域ごとの出現種,合計636種を報告している。その後,津田は原色日本海魚類図鑑を作成し,日本海産魚類として774種を記載している。最近,著者らは山口県日本海産魚類目録を作成し,山口県日本海域だけで加藤および津田の報告を上回る870種が出現したこと,および水温上昇に伴い1990年代から2000年代に熱帯・亜熱帯性魚類の出現種数が大幅に増加したことを報告している。このように日本海における魚類の出現種は津田の報告以降,水温の上昇に伴い確実に増加していることから,できるだけ最新の情報を含めて現時点での日本海の魚類相を明らかにしておくことは,今後の水温変動が日本海の魚類の分布や回遊に及ぼす影響を評価あるいは予測する上で重要であると考えられる。本研究では日本海の沿岸および各海域の主要な魚類目録および魚類相に関する資料に,著者らが作成した山口県日本海産魚類目録のを加え,日本海沿岸の全道府県を網羅する魚類目録を作成すると共に,日本海の魚類相の特徴について検討した。
著者
白岩 加代子 村田 伸 堀江 淳 大田尾 浩 村田 潤 宮崎 純弥
出版者
日本ヘルスプロモーション理学療法学会
雑誌
ヘルスプロモーション理学療法研究 (ISSN:21863741)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.103-107, 2013-10-01 (Released:2014-03-18)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

睡眠は,脳や身体機能を健常に保つために必要不可欠であり,生活の質(QOL)を向上させるための基本的役割を担っている。本研究では,地域在住高齢者256名の睡眠状況(睡眠時間と主観的睡眠感)を調査し,QOL に及ぼす影響について検討した。その結果,睡眠時間良好群(7~8時間)142名と睡眠時間不良群(7時間未満や8時間以上)114名の主観的健康感,生活満足度,生きがい感,人間関係に対する満足度,活動能力には有意差は認められなかった。一方,主観的睡眠感良好群161名と主観的睡眠感不良群95名のQOL を比較すると,活動能力には有意差は認められなかったが,それ以外の4項目には有意差が認められ,主観的睡眠感良好群の方が良好な値を示した。これらの知見から,高齢者の睡眠状況は睡眠時間という量的な因子よりも質的な因子である主観的睡眠感の方がQOL への関与は大きい可能性が示唆された。