著者
岡本 五十雄 堀口 信
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.447-451, 1987-06-10

はじめに 車の運転免許は20歳以上の成人の59.5%,40歳以上では52.7%が保有している1).当然,脳卒中患者の多くも発症前は車を運転していたと思われるが,実際には,重症例はもちろん,軽症例でも運転する例は非常に少ない.その理由として,患者自身の運転に対する不安,家族をはじめとする周囲の者が脳卒中になったというだけで車の運転そのものを危険視して患者に運転をさせないことや医師自身が患者の車の運転に無関心であることなどが考えられる.しかし,社会復帰に向けて,例えば仕事や通勤にぜひとも必要な場合があり,ときには積極的にすすめなければならないこともある. 著者らは,過去5年間で21名の脳卒中患者による車の運転を経験し,安全な運転の可能性について検討したので報告する.
著者
大塚 雄一郎 久満 美奈子 根本 俊光 松山 浩之 堀内 菜都子 福本 一郎 山崎 一樹 米倉 修二 花澤 豊行
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.124, no.6, pp.903-909, 2021-06-20 (Released:2021-07-01)
参考文献数
14

鼻口蓋管嚢胞は鼻口蓋管の胎生期の遺残上皮から発生する. 近年では低侵襲な内視鏡下の開窓術の報告が増えているが, 鼻口蓋神経や上歯槽神経を損傷するリスクがある. 開窓術による鼻口蓋神経の損傷が疑われた1例を経験した. 症例は55歳女性, 硬口蓋前方が膨隆し鼻中隔が前下方で左右に膨隆していた. CT・MRI で鼻腔内に進展する鼻口蓋管嚢胞を認めた. 全身麻酔下に鼻中隔粘膜を切開し嚢胞壁を切除して鼻口蓋管嚢胞を両側鼻腔内に開窓した. 術後に嚢胞は消失したが, 両側上顎の第1, 2, 3歯の違和感を訴え, 術後3年後も両側上顎第1歯の歯肉部の違和感がある. 開窓時の鼻口蓋神経の損傷が原因と考えた.
著者
渡邊 慎一 堀越 哲美
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.49-59, 2012 (Released:2012-08-10)
参考文献数
50
被引用文献数
3

屋外の温熱環境を評価する際,日射は極めて重要な要素である.多くの温熱指標は,その算出において平均放射温度を入力値として要求している.本報では,長波長および短波長放射を考慮した屋外における平均放射温度の算出方法を概説した.まず,屋外における平均放射温度の算出理論を記述した.そして,長短波放射計を用いた 6 方向および上下 2 方向の測定に基づいた算出方法を示した.さらに,より簡便な測定方法であるグローブ温度計を用いた算出方法を示した.実際に測定を行う際には,使用できる測定器および要求される精度から適切な算出法を決定する必要がある.

1 0 0 0 OA 法と宗教(五)

著者
堀 堅士
出版者
関西大学法学会
雑誌
關西大學法學論集 (ISSN:0437648X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.300-349, 1985-06-24
著者
中崎 秀徳 堀 和将 牛山 さほ子 美崎 定也 山口 英典 大島 理絵 手島 雅人 堀 拓朗 大坂 祐樹 高橋 泰彦 鈴木 晴子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】近年,予防医学の重要性が増しており,障害を未然に防ぐことは大切である。また,病院の中だけでなく,地域生活の中で予防することが重要である。当法人における「痛み予防教室」は,「通院しないまでも予防法を知りたい」,「気軽に参加できる教室は興味がある」といった地域住民のニーズにより企画され,地域住民の関節痛予防および改善,関節痛に対する適切な運動方法の提示・指導を目的に行っている。「痛み予防教室」は,当法人のグループ病院から選出された運動教室運営委員によって構成されている。運動教室では,主に膝関節,股関節をテーマにして,関節痛の原因と予防に関する講義,関節痛の予防体操,筋力測定を1時間程度行っている。当初は,病院を退院された患者や近隣住民に対して,グループ病院内で1ヶ月に1回行っていたが,平成25年11月より,都内のカルチャーセンターより委託され,無料で運動教室を開始した。また,今年度は,カルチャーセンターの秋季イベントでの開催依頼を受け,当法人監修による個別健康相談会を実施した。今回,カルチャーセンターと連携して運動教室を行った実績および個別健康相談会での結果について報告する。【方法】平成25年11月から平成26年11月までの期間において,運動教室に参加した者および秋季イベントの個別健康相談会に参加した者を対象とした。運動教室の調査項目は,1)開催数,2)延べ参加者数,3)講座内容とし,後方視的に抽出した。個別健康相談会の調査・測定項目は,1)参加者の属性(年齢,性別),2)等尺性膝伸展筋トルク(伸展筋トルク)とし,「膝が痛い」,「股関節が痛い」など個別に相談がある参加者に対してのみ,疼痛等に関する問診表,生活の広がり[Life-Space Assessment(LSA)]および転倒自己効力感尺度[Fall Efficacy Scale(FES)]に関する質問に回答させた。統計解析は調査項目の記述統計を行った。さらに,伸展筋トルクとLSA,FESの関連をみるため,相関分析を行った。【結果】運動教室の開催数は12か月間で22回であった。運動教室の延べ参加者数は367名(1開催の平均数:16.7名,範囲:4-27名)であった。講座内容は膝関節講座11回,股関節講座11回であり,それぞれの参加者数は膝関節講座180名(平均16.4名),股関節講座187名(平均17.0名)であった。今期の個別健康相談会は2回実施し,延べ参加者数は91名であった。本相談会の対象者の属性は,年齢[平均値±標準偏差(範囲)]61.9±11.1(38-88)歳,男性10名,女性81名であった。そのうち,膝や股関節に痛みなどがあり,個別相談を行った参加者は20名(男性2名,女性18名)であった。参加者からの主な相談内容は,「関節痛に関すること」,「予防法や運動方法を知りたい」などがあり,相談後の感想として,「わからないことを相談できてよかった」,「自宅でも運動してみる」,「現在の筋力がどのくらいなのかわかった」などの声が聞かれた。また,個別相談者の伸展筋トルクは1.25±0.31(0.63-1.88)Nm/kgであり,LSAは100.2±22.4(52-120)点,FESは34.6±4.7(27-40)点であった。LSAでは,20名中6名が満点(120点)となり,天井効果が認められた。相関分析の結果,伸展筋トルクとLSAに相関は認められなかったが,伸展筋トルクとFES(r=0.52)に相関が認められた。【考察】対象者の活動範囲は伸展筋トルクと関連していなかった。天井効果は,対象者の能力が指標の上限に達して測定できない場合であり,特定の対象を評価した場合に生じるといわれている。LSAに関する先行研究では,高齢者を対象としたものが多いが,本研究の対象者は平均年齢61.9歳であり,先行研究と比較して若い参加者が多かったため,対象者の活動範囲を十分に評価できなかった可能性が考えられる。一方,対象者の転倒自己効力感は伸展筋トルクと関連していた。これは先行研究を支持する結果であった。下肢筋力の低下は,転倒恐怖感を招くことが予想される。運動教室において膝伸展筋力を測定して,対象者にフィードバックすることは,自身の現状を知ることによる自己効力感の向上に寄与するものと考えられる。参加者に対して,アドバイスや運動指導を行ったことにより,参加者のニーズに対応でき,地域住民の関節痛予防に貢献できたと考える。今後は縦断的に調査を続け,運動教室の痛み予防効果を明らかにすることが課題である。【理学療法学研究としての意義】理学療法士が地域の予防活動に積極的に参加することにより,地域住民の関節痛予防に貢献することができる。また,地域活動に参加することにより,理学療法士の認知度が向上し,予防分野での職域拡大につながると考える。
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[172],
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[171],
著者
小堀 友子 上淵 寿
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.359-370, 2001-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
26
被引用文献数
1

本研究では, 情動のモニタリング操作による学習への影響を明らかにすることを目的とした。情動制御過程から「情動制御のスムーズさ」と「情動制御レパートリー」の2つの側面をとりあげ, 学習に集中できない子どもを対象に介入を行った。その結果, モニタリング操作を導入することで, 情動制御のスムーズさおよび情動制御レパートリー数に変化が見られた。また, 操作導入後の方が喚起された情動に伴う学習行動の予測やそれに対する評価が正確になった。最後に, 残された課題について考察を行った。
著者
小堀 修 丹野 義彦
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.34-43, 2004 (Released:2004-11-25)
参考文献数
33
被引用文献数
22 21

本研究は,完全主義の認知を「自己志向的完全主義がセルフ・スキーマとして活性化した結果,意識化された思考であり,できごとの解釈や注意に影響を与えるもの」と定義し,その認知を多次元で測定するための尺度(Multidimensional Perfectionism Cognition Inventory: MPCI)を作成した.研究1では,MPCIの因子構造が明らかとなり,高目標設置,ミスへのとらわれ,完全性の追求の下位次元が特定され,これらの下位次元は十分な信頼性を示した.研究2では,MPCIの構成概念妥当性と基準連関妥当性が明らかとなった.
著者
水野 英彰 竹内 弘久 土屋 雅人 堀合 真市 鈴木 裕 阿部 展次
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.817-819, 2015 (Released:2015-06-20)
参考文献数
11

【目的】我々は胃瘻患者に対し、一定の高さより重力を利用し半固形短時間注入法と同等の時間で栄養剤を確実に投与する方法を自然落下法と提案し、有用性に関して検討を行った。【方法】2012年5月から2013年5月において、当院で胃瘻経腸栄養患者に対し、レントゲン透視検査による胃機能評価を施行。胃蠕動良好であり、自然落下法を施行した71例を対象とした。使用栄養剤は中粘度(約2000mPa・s)のとろみ調整栄養食品を使用した。検討項目は①投与時間の平均時間②排便回数③糞便スコア④合併症発生率の4項目とした。【結果】①投与時間は18.52±4.92分②排便回数は1.13±1.12回/日③糞便スコアは1.34±0.42点/回④胃食道逆流2例に認め、合併症発生率は2%で自然落下法継続率は98%であった。【結論】自然落下法は安全かつ簡便に投与可能で患者QOL改善に寄与する可能性があり、経腸栄養投与法として有用な手技となり得る可能性が考慮された。
著者
飯田 博之 磯田 豊 小林 直人 堀尾 一樹
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.155-174, 2018-07-15 (Released:2018-07-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1 3

2016 年夏季に宗谷暖流沖合域で実施したCTD ならびにXBT とADCP を用いた25 時間連続往復断面観測で得られた詳細な流れ場と水温場の時間変化データの解析によって,冷水帯を伴った日周期渦流が宗谷暖流沖合を横切る様子を初めて捉えた。観測された冷水帯下部は,ほぼ均一な高塩分水で占められており,その起源は日本海中層水であることが示された。数値モデル結果を使用したトレーサー実験によって,日本海中層水は,岸向きの移流と湧昇により宗谷海峡へ供給された後,卓越した日周潮流により励起された反時計回りの孤立渦流に取り込まれ,冷水帯下部の海水の大部分を構成するとともに,宗谷暖流沖合水となって移流されることが示唆された。
著者
宮下 敬宏 堀川 優紀子 萩田 紀博 K. Narayanan Vishnu 小泉 智史 亀井 剛次
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.1P2-D09, 2018

<p>Development for safety autonomous mobility navigation system that deal with low speed vehicles, such as wheel chair, guidance robot and transportation robot is introduced. Our R&D policy based on Ethical, Legal, Social and Economic issues for the mobility system is also introduced.</p>
著者
堀籠 悠河 窪田 亜矢 益邑 明伸
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.189-200, 2021-04-25 (Released:2021-04-25)
参考文献数
17
被引用文献数
1

本研究は、特定の区域における最寄り品アクセス環境の把握において、特定の距離圏を徒歩圏として想定する従来の手法に不足する視点を考慮することで、より精緻な把握が可能となることを示している。本研究で提案する「包含率線」は、個々人の移動能力を考慮に入れた任意の距離圏とこれに含まれる区域内人口割合の関係を図示したもので、居住者ごとの移動可能距離の差異を考慮に入れた分析が可能となる。区域内の最寄り品アクセス環境は、「包含率線」全体のふるまいで把握できるが、市街化区域・ DID ・立地適正化計画の誘導区域の三区域の差異もそれぞれの「包含率線」を比較により明らかにできる。また、同一地区における高齢者・非高齢者の「包含率線」は一致し、高齢化率の高い地区は偏在する一方で、全体的には高齢・非高齢者は同程度に包含されていた。そして、既存手法の有効性も一定程度確認された。
著者
堀 忠雄
出版者
日本生理心理学会
雑誌
生理心理学と精神生理学 (ISSN:02892405)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.45-52, 2012 (Released:2013-01-25)
参考文献数
34
被引用文献数
2 4

睡眠心理学の最近30 年のトピックスとして,三つの実験研究を取り上げた。 1. 夢理論の実験的検証 夢理論の中からHobson-McCarley(1977)の“ 活性化-合成仮説” とOkuma(1992)の“ 感覚映像-自由連想仮説”について,レム睡眠中の急速眼球運動の開始点と停止点で求めた事象関連電位を用いた検証作業が進められている。 2. 睡眠依存性の記憶向上現象の検証 新たに獲得された視覚・運動学習はその後の睡眠により成績が向上する。この記憶向上には睡眠紡錘波活動が緊密に関連していることが指摘されている。 3. 予防仮眠の開発 午後にはしばしば強い眠気が起こり,産業事故や交通事故を引き起こす原因となっている。これを防ぐ方法として20 分以下の短時間仮眠法が開発されている。
著者
堀川 明 小日向 英一 植村 朝一
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.428-446, 1976-05-18 (Released:2010-03-18)
参考文献数
3
著者
村上 晋 堀本 泰介
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.161-170, 2017-12-25 (Released:2018-10-24)
参考文献数
25

これまでインフルエンザウイルスには,人の季節性インフルエンザウイルスや鳥インフルエンザウイルスなどが含まれるA型からC型が知られていた.最近,これらとは性質が異なり,ウシをはじめとする家畜に感染するD型インフルエンザウイルスの存在が米国で報告された.これまでの疫学調査によって,D型インフルエンザウイルスは日本を含む世界中で流行し,特にウシの呼吸器病症候群を引き起こす原因ウイルスの一つであることが明らかとなってきた.本稿では,D型インフルエンザウイルス発見の経緯,流行状況,ウイルス性状について解説するとともに,日本におけるD型インフルエンザの流行状況について紹介する.