著者
菅原 敬 堀井 雄治郎 久原 秦雅 平田 聡子
出版者
日本植物分類学会
雑誌
植物分類・地理 (ISSN:00016799)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.21-26, 1999-08-28

アオモリマンテマは本州北部の青森県然岳とその周辺地域(白神山地の一部),秋田県男鹿半島,和賀山塊の限られた地域に産するナデシコ科の多年草である。この植物は,垂直に切り立った岩壁に生育し,また生育地も互いに離れていることから集団間に何らかの分化が生じていることが予想され,実際野外調査で和賀山塊産の個体は一見して花が大きいように思われた。そこで青森県および秋田県の5集団を用いて,この種の花形態(特に花冠サイズに着目)ならびに核形態を調査した。その結果,秋田県の集団(男鹿,和賀山塊の3集団)は花弁の幅が確かに青森県の集団(然岳,暗門)より広い傾向にあるが,全体としては連続した変異であることがわかった。また,染色体数は2n=72で,集団間に核型においても違いは認められなかった。この染色体数はこれまで報告された日本産種のなかではもっとも多く,同属の染色体基本数x=12を考慮すると倍数性(6倍体)由来と推定された。形態比較や染色体のデータに基づいて近縁と考えられるタカネマンテマとの関係についても若干の考察を試みた。
著者
里村 多香美 橋本 靖 木下 晃彦 堀越 孝雄
出版者
Japanese Society for Root Research
雑誌
根の研究 = Root research (ISSN:09192182)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.155-159, 2006-12-29
参考文献数
23

生態系の炭素循環における菌類の役割の重要性が認識されているにも関わらず, 野外条件下で菌根菌に分配される炭素量の推定値は数えるほどしか報告されていない。生態系の炭素循環における菌類の役割について定量的な値を用いて議論するため, アカマツ林で外生菌根菌に分配される炭素量を概推した。直接得られなかった土壌中の外生菌根菌バイオマス, 細根 (菌根を含む) と外生菌根菌のターンオーバーの値は, 文献値を参照した。その結果, アカマツ林の外生菌根菌のバイオマスの総量はわずか10.0gm<sup>-2</sup>であると推定され, 細根のバイオマスが少ないことが大きく影響していると考えられた。この林分では菌根菌の生成と枯死サイクルによって年間に消費される炭素は117.0gCm<sup>-2</sup>year<sup>-1</sup>と推定され, 土壌からの炭素の放出の約24%に相当した。アカマツ林は細根のバイオマス, 細根中の菌類含有量, 外生菌根菌のバイオマスが共に文献値よりも非常に低いという特徴があった。森林タイプ間の外生菌根菌のバイオマスの違いに大きく影響を及ぼしているのは, 細根中の菌類含有量の差異よりも細根のバイオマスの差異であった。外生菌根菌のバイオマスが小さい森林においても, 菌根菌の生成・枯死サイクルによって消費される炭素量は無視できないことが改めて確認された。
著者
只隈 章浩 幸福 辰己 滝川 清 横手 敏弘 奥村 靖浩 小田 勝也 小堀 達
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_491-I_496, 2015

国土交通省九州地方整備局では,調査観測兼清掃船「海輝」「海煌」を用いて,有明海・八代海の海域環境特性の把握を目的として,水塊構造調査並びに底質・底生生物調査を実施している.2004-2013年度の10ヶ年分の調査結果を整理した結果,八代海では球磨川河口前面海域よりも湾奥の海域の方が表層-下層間の密度差が大きいことが確認された.また,八代海において,底質と底生生物群集のクラスター解析により,それぞれ4つのグループに分類されるが,さらに,これらの組み合わせにより9つのグループに細分類され,複雑な環境特性を持つ海域であることが明らかになった.
著者
小松 直哉 小堀 洋美 横田 樹広
出版者
日本景観生態学会
雑誌
景観生態学 (ISSN:18800092)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.49-60, 2015
被引用文献数
1

都市の生物多様性の持続的管理のためには,住宅地域も対象とした広域的な生態系管理を行なう必要がある.その実現のためには,地域に居住し,その周辺環境と身近に接している地域住民を対象とした市民科学の導入は有効な手法として挙げられる.市民科学とは,専門家ではない市民や学生がモニタリングやデータ収集だけでなく,主体的に科学的研究プロセスに関わる手法であるが,市民科学を用いた科学研究の成果を広域的な生態系管理に生かしている事例は少ない.そこで本研究では,横浜市都筑区牛久保西地区において,学生および市民が,1)チョウ・トンボを指標とした生物分布調査,2)個人住宅における庭の生物調査,3)大学保全林内のチョウのビオトープの創出と検証,といった生態系のモニタリングと管理を市民科学プログラムとして実践すること,その結果から住宅地域の生態系管理における市民科学の今後の可能性と課題を抽出することを目的とした.チョウ・トンボの生物分布調査では,住宅地域の生物分布を明らかにし,生物分布データベースとして意義のある調査結果を共有した.個人住宅における庭の生物調査では,庭に出現する身近な生物と庭の環境要因との関係性を学生と市民との協働により評価した.また,大学保全林を活用したチョウ誘致のためのビオトープ創生とモニタリングの実践により,ビオトープがチョウ類の生息拠点としての機能を有しているか検証した.これらの市民科学プログラムを活用することによって,住宅地域の生物相ポテンシャルや生物にとっての私有地の緑の重要性などを学生と市民が共有でき,また,住宅地域の生態系管理おける市民科学の有効性が示唆された.牛久保西地区の緑のまちづくり事業では,これらの市民科学プログラムの成果を活用した緑の管理は,官学民の連携により行っている.今後,市民が生態系管理の意義などを理解したうえで独立して調査や管理を行えるような教育プログラムなどの教育的側面を充実させることにより,大都市近郊の住宅地域における生態系管理へ展開していける可能性がある.
著者
桒原 京子 左 卉 堀 賢
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.127-130, 2017-05-25 (Released:2017-07-05)
参考文献数
9
被引用文献数
4

水道水の電気分解により得た次亜塩素酸水と水道水を使用し,温水洗浄便座の洗浄ノズルの除菌効果を比較検討した.約105~106 cfu/mLの大腸菌および緑膿菌を付着させた洗浄ノズルに対し水道水でリンスと吐水を5回繰り返すと,付着菌数は4桁減少した.塩素濃度1.5 ppm含有の次亜塩素酸水によるリンスでは,大腸菌および腸球菌においてリンス3回目から検出限界以下になり,洗浄ノズル表面の細菌も検出限界以下になった.洗浄ノズルの衛生保持には,水道水よりも次亜塩素酸が有効であることが示唆されたが,緑膿菌では次亜塩素酸水を使用しても完全に除菌できなかった.温水洗浄便座を使用する対象者と場所を考慮する必要があると考えられる.
著者
堀口 悦子
出版者
THE JAPAN ASSOCIATION OF LEGAL PHILOSOPHY
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.32-42,235, 2004

Sexual harassment has three types-Quid Pro Quo, hostile condition of work, and gender discrimination types.<br> Sexual harassment is defined as unwelcome sexual behavior toward partner or people.<br> Sexual harassment is abuse of human rights, and is sexual and gender discrimination. <br> Harm caused by sexual harassment is various from use of words to rape.<br> Places where sexual harassment can happen are also various.<br> First, office. Sexual harassment is recognized as happening at office. At Japanese offices, "gray zone" is a special problem. This gray zone is connected with the employment custom in Japanese companies.<br> This Japanese employment custom is that Japanese companies do not regard working women as equal partners. For example, male bosses and co-workers call a working woman "obasan", which means middle-aged woman, or "ojousan", which means miss or young lady. But working women have their own names. Working women must do odd jobs for example, "ochakumi" or making copies.<br> Second, university or college. Sexual harassment at universities and colleges is called "campus sexual harassment" in Japan.<br> Probably, the campus sexual harassment is connected with academic harassment in Japan. Academic harassment means harassment by professors. A professor criticizes a student for her or his academic record.<br> Third, school elementary school, junior high school, and high school. Sexual harassment at schools is called school sexual harassment in Japan. It is no exaggeration to say that school sexual harassment is a big issue in Japan. This issue features even on such magazines as are mostly read by men.<br> Fourth, sports. Sportswomen are threatened with sexual harassment by their coaches.<br> Fifth, hospital or medical institutions. In Japan, "power harassment" by doctors becomes a big issue. And sexual harassment by doctors becomes an issue, too.<br> Sixth, area-neighborhood. Sexual harassment is caused by neighbors.<br> Seventh, the power of the State jail or prison. In Japan, female prisoners had been raped by keepers in prison for a long time ago. Another problem is the treatment of women in death cells.
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[247],
著者
菅井 道子 堀田 龍也 和田 裕一
雑誌
情報処理学会論文誌教育とコンピュータ(TCE) (ISSN:21884234)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.43-56, 2018-02-20

本研究では教育用SNSを利用した協調的問題解決の特徴を検討することを目的とした.高校2年生を2つのグループに分け,124人は教育用SNS,114人は対面での協調的問題解決にそれぞれ取り組ませた.議論を円滑に遂行するためのスキルに対しての自己評価や,議論の内容,および授業成果物を検討した結果,教育用SNSを利用した議論では,発話数が対面での議論より少ないにもかかわらず,授業成果物の質は対面でのそれとほぼ同程度となり,アイデアの独創性については対面での成績よりも高くなることが示唆された.加えて,議論を遂行するために多様なスキルを使って取り組むことが示唆された.教育用SNSを利用した協調的問題解決の有効性や演習時の要件などに関して考察した.
著者
堀内 孝次 池田 裕
出版者
岐阜大学
雑誌
岐阜大学農学部研究報告 (ISSN:00724513)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.19-25, 1984-12-15

集約栽培技術としての間作をとりあげ,組合せ作物の生育及び収量比較と,収穫物の熱量測定により,間作による耕地利用効率の評価を試みた。実験は1980年に本学農学部附属農場(各務原市,那加)においてヤマノイモ(イセイモ),トウモロコシ(ゴールデンクロスバンタム・グレートベル),インゲンマメ(ツルアリ尺五寸菜豆)を供試して行われた。結果は以下のとおりであった。ヤマノイモの草高は各区間(ヤマノイモ単作区-D区,ヤマノイモ・トウモロコシ間作区-ZD区,ヤマノイモ・トウモロコシ・インゲンマノ間作区-ZPD区)に有意差はなかったが,ZPD区>ZD区>D区の順に高い傾向がみられた。トウモロコシも区間(ZD区,ZPD区)で有意差はなかった。群落内相対照度は6月27日(トウモロコシ絹糸抽出期)段階では殆んど区間差はみられなかった。8月8日(トウモロコシ完熟期,インゲンマメ開花盛期)段階では草高1m以下の相対照度がD区に較べてZPD区とZD区で著しく低下した。この傾向は前者で著しかった。ヤマノイモの10a当たり収量はD区で最も高く,ZPD区で最も低かった。両区間で有意差がみられたが,D区とZD区の間には差はなかった。このことから,ZD区ではトウモロコシを栽培した分だけ土地生産性が高まったことになり,耕地利用効率が高まったといえる。トウモロコシ収量はZPD区でZD区より低い傾向がみられるものの,統計的な有意差はなかった。収穫物の熱量表示による面積当たり熱量生産比較でも間作区の方が単作区より大きかったが,ZD区とZPD区の間に差はなかった。なお,トウモロコシについては乾物1g当たり熱量と百粒重との間に正相関が認められたことから,小粒であるほど熱量は少ないといえる。
著者
宮崎 哲哉 松井 知之 東 善一 平本 真知子 瀬尾 和弥 森原 徹 堀井 基行 久保 俊一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1365, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに】体幹深層筋である腹横筋は,脊柱の安定性向上,腰痛予防や立位バランス向上などにおいて重要である。Richardson(2002)は,腹横筋による胸腰筋膜の緊張と腹腔内圧の増加が脊柱の安定性に寄与すると報告している。また,太田(2012)は慢性腰痛者に対する体幹深層筋トレーニングで疼痛が有意に軽減したとし,種本(2011)は体幹深層筋への運動介入で重心動揺が安定したと報告している。しかし,腹横筋のみを意識的に収縮させる選択的収縮の獲得は時間を要し,指導も困難である(村上2010)。今回,われわれはテーピングを腹横筋の走行に沿って貼付することで無意識的に腹横筋の収縮を誘導する方法を考案し,テーピングが腹筋群に及ぼす影響について検討した。【方法】対象は,健常男性20名(平均年齢:17.9±2.2歳,平均身長:175.49±6.48cm,平均体重:72.15±10.06kg)とした。超音波画像診断装置(日立メディコ:MyLab Five 10MHz)を使用し,外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の筋厚をテーピングなし,プラセボテーピング,腹部賦活テーピング(abdominal musculature activation taping:AMAT)の3条件において0.1mm単位で測定した。測定中は通常呼吸を行わせ,呼気終末の筋厚を測定した。テーピングはキネシオオロジーテープ50mm(ニチバン株式会社)を使用し,1.4倍の長さまで伸張し貼付した。測定部位は,過去の報告に従い左側前腋窩線上の第11肋骨と腸骨稜との中央部より下部で,筋厚が最も明瞭に描写できる位置とした(犬飼2013)。プラセボテーピングは,臍部から3横指遠位を開始位置とし,腹直筋の走行に沿って剣状突起レベルの高さまで左右1枚ずつ貼付した。AMATは,臍部から3横指遠位を開始位置とし,第11肋骨下端を通り背側上方に押し上げるよう左右2枚ずつ半円状に貼付した。測定肢位は安静立位とし,貼付したテーピングに抵抗しないように指示した。なお,筋厚測定およびテーピング貼付は検者間誤差をなくすため,すべて同一検者で行った。統計は,各測定値の被験者内比較には繰り返しのある一元配置分散分析を行い,主効果が有意である場合にはTurkey-Kramer法の多重比較検定を行った。【結果】外腹斜筋の筋厚は,テーピングなし10.64±2.51mm,プラセボテーピング10.73±2.44mm,AMAT 12.36±2.36mmであり,3条件で一元配置分散分析を行った結果,有意な主効果を認めなかった。内腹斜筋の筋厚は,テーピングなし18.00±3.82mm,プラセボテーピング18.00±3.16mm,AMAT 17.70±4.07mmであり,有意な主効果を認めなかった。腹横筋の筋厚は,テーピングなし6.21±1.21mm,プラセボテーピング5.93±0.86mm,AMAT 8.02±1.53mmであり,有意な主効果を認め,テーピングなし,プラセボテーピングに比べAMATが有意に高値を示した(p<0.05)。【考察】有意な主効果を認めたのは腹横筋のみで,テーピングなし,プラセボテーピングと比較してAMATで筋厚が増加した。Urquhart(2005)は体幹深層筋トレーニングのドローインによる外腹斜筋,内腹斜筋,腹横筋の筋厚変化を検討し,腹横筋の筋厚のみ有意に増加すると報告した。腹横筋の収縮を得るためには,表層の腹筋群が活動しないことが重要であると考えた。今回,AMATでは貼付したテーピングに抵抗しないように指示したことで,無意識的にドローイン状態を維持し,腹横筋の選択的収縮を促すことが可能であると考える。体幹トレーニングを行う上で,初期段階は,腹横筋の選択的収縮(小泉2009,村上2010)を行わせ,最終段階では,無意識下での腹横筋収縮活動の獲得が重要である。AMATは腹横筋の選択的収縮が可能,かつ無意識下で収縮を獲得できる方法であり,体幹トレーニングにおいて有効な方法と考えた。【理学療法学研究としての意義】腹横筋は,脊柱の安定性向上,腰痛予防や立位バランス改善などにおいて重要である。体幹深層筋トレーニングとして代表的なドローインでは,意識的に腹横筋を収縮させるのに時間を要す。しかし,AMATは対象者にテーピングを貼付することで,無意識的な腹横筋の収縮が可能である。評価においては,理学療法士が短時間,かつ,意図的に腹横筋を収縮させることができるため,貼付前後の疼痛,動作機能の変化をとらえ,問題点の抽出に有用であると考える。治療においては,AMATを貼付した状態で日常生活が可能なため,腰痛や動作機能を改善できる可能性がある。また,持続的に腹横筋を収縮させることが可能であり,学習効果を得られると考える。
著者
井上 和久 堀 彰穂 友成 真一
出版者
日本国際観光学会
雑誌
日本国際観光学会論文集
巻号頁・発行日
no.21, pp.167-171, 2014-03

A promotion of tourism by utilizing contents has been activated. The film tourism is a typical example of this. Utilizing the animation has been actively carried out by now. By investigating the cases, such as Takayama, Gifu prefecture and Oarai town, Ibaraki prefecture, this study show a case of regional development by utilizing the contents in Kyoto. This study also shows that the animation forms the awareness of habitants to the contents and would have the effectiveness to the regional development utilizing environmental resources.
著者
堀井 洋 堀井 美里 上田 啓未 林 正治 高田 良宏 山地 一禎
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.357-361, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
7

科学実験機器資料など学術資料に対しては,組織・機関を越えた横断的な情報共有と,広く社会に向けた公開および活用が求められている.著者らは,これまで明治・大正期の科学実験機器資料や教育掛図資料に関する資料情報についてサブジェクトリポジトリを構築し,大学や自治体博物館に所蔵されている約800 点の資料情報を公開している.さらに,それらに対してデジタルオブジェクト識別子(DOI: Digital Object Identifier)を付与する試みを実施してきた.本発表では,“科学実験機器サブジェクトリポジトリ”の概要について報告するとともに,広く社会おいて資料情報を公開・活用する試みとして,SNS への資料情報の掲載や博物グッズとの連携などについて紹介する.
著者
根本 しおみ 高田 良宏 堀井 洋 堀井 美里 飯野 孝浩 林 正治
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.347-352, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
2

天文学研究資料は機器や乾板,設計図等多岐にわたっており,我が国の天文学や自然科学の発展を記録した重要な資料である.また,これら資料群は国内の大学や研究機関に広く保管・収蔵されている.資料の種類や機関を横断した資料情報の整理の手法として,我々はデジタルオブジェクト識別子(DOI)を用いた「サブジェクトリポジトリ」の構築を目指している.その嚆矢として,国立天文台岡山天体物理観測所の資料群を対象にサブジェクトリポジトリの構築を試みた.天文学分野では,常に最新の科学技術が研究・観測に適用され,かつ観測プロジェクト単位で観測機器を独自に製作・運用する,いわゆる一品物の観測機器等が多いことから,観測データを再利用するには併せて観測機器やその図面,マニュアル等の関連資料についてもリポジトリ化・オープン化することが求められる.本稿では天文学研究資料の分類,サブジェクトリポジトリの構築,および,DOI による観測機器を中心とした資料間の関連付けの検討について報告する.
著者
堀井 洋
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.305-308, 2017-12-02 (Released:2018-02-09)
参考文献数
3

地域に現存する博物資料に関する情報のオープン化は,大学・自体における情報公開の流れの中で 急速に進んでいる.今後,インバウンド観光の推進や地域学習の普及などによって,さらにこの動きは発展することが予想されるが,古文書や標本・考古遺物など多様な地域の資料をオープン化するためには,資料の存在肯定から整理・保管・デジタル化までを一体的に考える必要がある.本発表では,事例を通して現状や課題を整理・考察する.
著者
磯野 誠 堀口 明男 田崎 新資 黒田 健司 佐藤 全伯 朝隈 純一 瀬口 健至 伊藤 敬一 早川 正道 淺野 友彦
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.691-696, 2012-11-20 (Released:2013-12-03)
参考文献数
13

(目的) 尿道狭窄症に対する内尿道切開術の有効性について検討した. (対象と方法) 当院で内尿道切開を行った尿道狭窄症19例を対象とした.狭窄部位は球部尿道17例,膜様部尿道1例,振子部尿道1例であった.狭窄長は1 cm未満13例,1~2 cmが2例,2 cm以上が4例で,狭窄原因は騎乗型損傷7例,経尿道的手術後7例,骨盤骨折1例,不明4例であった.全例とも手術はガイドワイヤーを併用した,cold knifeによる切開で行った.術後尿道カテーテルの留置期間は5~35日(平均12.8日)であった.術後観察期間は1カ月から139カ月で,術後再狭窄の定義は画像上の再狭窄,もしくは自覚症状の悪化とした. (結果) 術後19例中13例に再狭窄を認めた.術後3カ月,6カ月,5年時点での無再狭窄率はそれぞれ44.4%,38.1%,20.3%であった.再狭窄例のうち7例に2回目の内尿道切開術を行ったが,6例に再々狭窄を認めた.再々狭窄を認めた6例のうち2例に3回目の内尿道切開術を行ったが,2例とも尿道カテーテル抜去直後から再狭窄により尿閉となった.統計学的有意差は認めなかったが,1 cm以上の狭窄例は1 cm未満の例に比べて再狭窄率が高い傾向にあった. (結論) 内尿道切開術の有効性は低く,過剰に適応されている可能性がある.内尿道切開術は長い狭窄や術後再狭窄例に対しては適応すべきではない.
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[21],