著者
佐藤 忠夫 堀米 毅 上田 幹人
出版者
The Surface Finishing Society of Japan
雑誌
表面技術 = The Journal of the Surface Finishing Society of Japan (ISSN:09151869)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.640-645, 2000-06-01
被引用文献数
1

TiB<sub>2</sub> and TiN films were coated by chemical vapor deposition on SKD 61 steel to improve the corrosion resistivity of a diecasting machine in a melted aluminum alloy. The protectivity of the film in the melted aluminum alloy was examined by an immersion test at 900°C and a thermal cycle test between room temperature and 900°C. TiN film, which serves as a binder, greatly improves the adhesion of TiB<sub>2</sub> film on the steel substrate. The thermal cycle test indicated that the optimum thickness of TiB<sub>2</sub> and TiN layers is at 4 and 6μm, respectively. Compared to ion-nitrized steel, steel coated by TiB<sub>2</sub>/TiN exhibits significantly higher degree of corrosion resistivity.
著者
堀田 真紀子 玄 武岩 西村 龍一 田邉 鉄 宇佐見 森吉 川嵜 義和 坂巻 正美 富田 俊明 常田 益代 竹中 のぞみ 原田 真見 浜井 祐三子 石橋 道大
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、文化の持つエンパワメント機能に注目し、地元北海道を中心に、小規模農業従事者、障害者、少数民族といった社会的、経済的弱者を主体にしたり、対象にした文化発信を研究。全員がイニシアティブを担える脱中心的な構造を持つものほど、当該者のエンパワメントにつながること、また地域の立場と、海外の類似事例の担い手との交流や、実践者と研究家の交流が、とくに効果的に働くことを明らかにすることができた。
著者
堀木 信男
出版者
日本水産増殖学会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.117-124, 1981-09-25 (Released:2010-03-09)
参考文献数
15

1979年6月に紀伊水道およびその外域の18点で, MTDネットによる10~50m層までの多層曳によって採集された魚卵・稚仔魚を材料として, 垂直分布について検討した。1.15種類 (不明種が8種類以上) , 19, 808個の魚卵, 31種類 (不明種が数種類) , 24, 030尾の稚仔魚が採集された。2.各採集層における最優占種は, 魚卵が全層でトカゲエソ, 稚仔魚が50m層を除く各層でマルアジである。3.個々の魚卵・稚仔魚の垂直分布を次の4つのタイプに類型化した。A型: 中層に最も多く分布する型であり, ウルメイワシ, トカゲエソ, タチウオなどの卵, カタクチイワシ, エソ科, ハダカイワシ科, マルアジ, ネズッポ属などの稚仔魚が含まれる。A'型: 中層に集中して分布する型であり, コノシロ卵, ヒイラギ属, クモハゼ科などの稚仔魚が含まれる。B型: 中層から底層にかけて多く分布する型であり, カタクチイワシ卵, タチウオ, アカタチ, ワニギスなどの稚仔魚が含まれる。C型: 底層に多く分布する型であり, ワニギス卵, ウルメイワシ, サイウオなどの稚仔魚が含まれる。4.一般的に, 産出された魚卵は卵発生の中期に浮上し, そして, 後期 (ふ化直前) には沈降する傾向が認められる。5.稚仔魚はそれぞれ種独自の好適な環境を選択して移行 (浮上あるいは沈降) しているものと推察される。
著者
小方 孝 堀 浩一 大須賀 節雄
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.148-159, 1996-01-01
被引用文献数
30

In this paper, we describe a basic framework of the narrative generation system for supporting human creative tasks. The narrative generation process by computer is divided into the conceptual representation level and the surface language generation level, and we deal with only the former level here. The conceptual representation is divided into three aspects; story, plot, and construction. While the story is an events sequence that was arranged according to a temporal order, the plot is an events sequence that was reorganized by an order which each event is introduced into a narrative. These three levels in a narrative are constructed as tree structures. Terminal nodes in the tree structures are events and all nodes other than them are relations that connect subordinate nodes. Narrative generation is performed by expanding or transforming a tree structure. In the story and construction generation, the system enlarges each tree by expanding events or partial trees using appropriate relations, and in the plot generation, a story tree is transformed into a plot tree through the connection relations among nodes in it are rearranged. We call narrative techniques the procedures to expand a tree through applying relations to nodes or to transform a tree using actors" viewpoints or plot patterns. On the other hand, we call narrative strategies the rules to decide a current executable narrative technique and the node to which it is applyed according to narrative parameters that define the features of a narrative to be generated through narrative generation process. The system generates a narrative by executing appropriate narrative techniques under the control of narrative strategies based on a set of events and narrative parameters were given by user. This narrative generation mechanism has some remarkable characteristics. First, the system can flexibly generate a variety of narratives from one input. Next, the system has an ability that integrates a variety of theories or knowledge representations and that extends the system itself. These advantages are relate to clear separation among narrative techniques, narrative strategies, and knowledge base. Lastly, by above reason, the system has potentiality that can use for various purposes. We can change or add each modules in it to apply to specific areas.
著者
吉田 精作 田口 修三 堀 伸二郎
出版者
室内環境学会
雑誌
室内環境学会誌 (ISSN:21864314)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.7-15, 2004 (Released:2012-10-29)
参考文献数
36

シロアリ防除家屋における有機リン系殺虫剤クロルピリホスと有機塩素系共力剤S-421のヒト曝露の程度についての研究を, 空気および貯蔵米中残留レベルを調査することにより行った。防除処理後5年間の調査結果は既に報告した。今回, 防除処理後5~7年間(家屋B)と5~9年間(家屋F)の空気および貯蔵精白米中クロルピリホスとS-421レベルを報告する。家屋Bリビング空気中のクロルピリホスとS-421濃度はそれぞれ0.005~0.09μg/m3, 0.15~1.03μg/m3の範囲であった。家屋F和室空気中のクロルピリホスとS-421濃度はそれぞれ0.05~0.11μg/m3, 0.01~0.02μg/m3の範囲であった。室内空気中防除剤濃度は季節変動し, 夏期に高く, 冬期に低かった。貯蔵精白米中防除剤濃度は空気中濃度を反映して変動した。家屋Bの室内空気中クロルピリホスとS-421濃度は夏期においては7年間減少せず, 家屋Fにおけるそれらの濃度は防除後9年間で若干の低下傾向を示した。

1 0 0 0 物部物語

著者
堀内末一著
出版者
[堀内末一]
巻号頁・発行日
1989
著者
三田地 (堀) 真実
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.435-442, 1996-10-20 (Released:2010-06-22)
参考文献数
15

人工呼吸器を装着しているために発声が困難で, かつ, 重度の四肢麻痺を呈している高位頸髄損傷患者に対して, (1) 患者の口唇の動きを読み取る, (2) 家族が考案した文字版, (3) 喉頭摘出患者用の電気喉頭, (4) 口唇・舌などを用いたサイン法, (5) 漢字Pワード, (6) ベンチ・ボイス, (7) 酸素を使用した方法, (8) 吸入器を使用した方法, (9) 人工呼吸器の呼気部を利用した方法の9種類のコミュニケーション方法を試みた.その結果, おのおのの方法にはそれぞれ利点・欠点があり, 最終的に患者は二っの方法を併用して使うに至った.つまり, ごく簡単な決まりきった内容であれば, (1) 口唇の動きを読み取る方法を, 多少複雑な内容であれば, (8) 吸入器を使用した方法を実用的に用いた.この経過から, 各コミュニケーション方法が実用的な使用に至る要因, その場合の患者の条件について検討した.
著者
堀本 泰介 前田 健 川口 寧 杉井 俊二 土屋 耕太郎 五藤 秀男 田島 朋子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

ブタ用多価組み換えウイルス生ワクチンを開発するためには、まずベクターウイルスの選択を検討しなければならない。この目的に合うベクターウイルスとしては、(1)ブタに感染するが病原性の弱いもの、あるいは確実に弱毒化されているもの、(2)比較的サイズの大きな複数の外来性の遺伝子の挿入が可能なもの、(3)外来抗原を長期間発現可能な持続感染性のもの、が理想的であると考えられる。本研究では、この条件に合うものとしてブタサイトメガロウイルス(Porcine Cytomegalovirus : PCMV)のベクター化を考えた。その基礎知見の獲得のため、PCMVのゲノム構造および主要蛋白質の性状解析を実施し、以下の研究成果を得た。(1)PCMVゲノムDNAの制限酵素切断プロファイルを明かにし、切断断片のクローニングに成功した。(2)ヘルペスウイルスの主要遺伝子である主要ゲノムの転写複製に必須であるDNAポリメラーゼ遺伝子、粒子形成に必須であるカプシッド蛋白遺伝子、細胞レセプターへの結合に関与する糖蛋白質gB遺伝子、およびこれら周辺の遺伝子クラスターの同定、塩基配列を決定した。(3)これら主要遺伝子の分子系統解析の結果、PCMVはベータヘルペスウイルス亜科、特にヒトヘルペスウイルス6型および7型と非常に近縁なウイルスであることを発見した。(4)いくつかの必須遺伝子の発現実験により蛋白質の分子構造解析、あるいは免疫性状などについて検討した。(5)PCMV感染の有無を判定する高感度で特異性の高いMCP遺伝子配列に基づくPCR法を確立した。さらに、濾紙乾燥血液をこの方法に応用した。これらの成果は、細胞性・液性免疫の誘導や組み換えワクチン作製に関する基礎的な情報を提供するのみならず、今後、獣医畜産学および豚の臓器を利用した異種移植に関する臨床医学の発展に大きく貢献するものと考えられる。
著者
川口 寧 前田 健 堀本 泰介 見上 彪 田中 道子 遠矢 幸信 坂口 正士
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究の目的は'bacterial artificial chromosome (BAC) systcm"を用いてヘルペスウイルスの簡便な組み換え法を開発することによって、新しいワクチン開発、遺伝子治療ベクターの開発、基礎研究を著しくスピードアップすることにある。本研究課題によって得られた結果は以下の通りである。ヘルペスウイルスで最も研究が進んでいる単純ヘルペスウイルス(HSV)の組み換え法の確立をBAC systemを用いて試みた。外来遺伝子の挿入によって影響がでない部位であるUL3とUL4のジャンクション部位にLoxP配列で挟まれたBACmidが挿入されたHSV全ゲノムを大腸菌に保持させることに成功した。大腸菌よりHSVゲノムを抽出し培養細胞に導入したところ、感染性ウイルス(YK304)が産生された。また、YK304とCre recombinase発現アデノウイルスを共感染させることによって非常に高率にYK304 genomeよりbacmidが除去されたウイルス(YK311)が得られた。YK304およびYK311は培養細胞において野生株であるHSV-1(F)と同等な増殖能力を示した。さらに、マウス動物モデルを用いた解析によりYK304およびYK311がHSV-1(F)と同等の病原性を示すことが明らかになった。以上より、YEbac102は、(i)完全長のHSV-1 genomeを保持し、(ii)bacmidの除去が可能であり、(iii)野生株と同等な増殖能および病原性を保持する感染遺伝子クローンを有していることが明らかになった。大腸菌の中で、実際に任意の変異をウイルスゲノムに導入する系を確立した。RecAを発現する大腸菌RR1にHSV全ゲノムを保持させた(YEbac103)。YEbac103内で、RecA法に従って、ICP0遺伝子に3つのアミノ酸置換を導入することに成功した。また、RecAを発現するトランスファープラスミドを構築し、RR1を用いずに、RecA negativeの大腸菌YEbac102内で、ICP34.5部位に変異を導入することに成功した。YEbac102、YEbac103と確立した組み換え系は、HSVの基礎研究、ワクチン開発、ベクター開発に多目的に有用であると考えられる。またこれらの系は他のヘルペスウイルスにも応用可能である。
著者
石井 英子 青石 恵子 伊藤 守弘 大橋 裕子 渋谷 菜穂子 田島 織絵 城 憲秀 西尾 和子 丹羽 さゆり 林 公子 深谷 久子 堀井 直子 山田 知子
出版者
中部大学
雑誌
中部大学生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-9, 2008-03

目的 内蔵脂肪生活習慣Checkの有効的活用に向け、企業関係者や中部大学教職員の概況把握である。方法 本調査でのチェック項目(数、内容)と身体・生理学的データとの関連を分析した。個人データは匿名性を記し、すべて統計的処理を行い、統計ソフトはSPSS12.0 J Windowsを用い、有意水準を5%とした。調査期間は平成19年9月17日。結果 受診者172人のうち、男性64.5%、女性35.5%。メタボリックシンドロームの目安となる体重と筋肉スコアによる体型判定では、男性は肥満型68.5%、女性の肥満型80.3%、ウエスト周囲径の内臓脂肪型肥満者は男性44人(39.6%)、女性36人(4.9%)で男性に有意な内臓肥満者が多かった。内蔵脂肪症候群生活習慣Checkの予備群の出現割合の男女比較では、「おやつは毎日食べる」、「階段よりエレベーター・エスカレーターを使う」で女性の割合が多かった。肥満状況を、生活習慣Checkにあてはまる数が5つ以上、または、それ未満の者とで比較したところ、男性でのみ、チェック数が多い者の肥満傾向が高くなった。このことから、男性、とくに中年男性の生活習慣指導が必要であることが示唆された。
著者
村松 常司 高岡 泰子 金子 修己 村松 成司 村松 園江 秋田 武 堀安 高綾
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告 芸術・保健体育・家政・技術科学 (ISSN:03887367)
巻号頁・発行日
no.43, pp.p95-108, 1994-02

成人病を予防するために子供の頃からの適正なライフスタイルの形成が必要である。そこで,愛知県N市における小・中学生の日常生活習慣を明らかにし,問題点を把握するため,平成2年10月にN市内の全小・中学生から小学生1,248名,中学生1,079名を無作為に抽出し,JKYB調査票を用いて調査を行い,以下に示す結果を得た。1)小学生の喫煙すると体のどこに悪いかの回答で,肺,心臓と回答した者はそれぞれ94.7%, 45.0%であり,心臓と回答した者は少なかった。中学生のタバコの有害成分の正答率は男子50.8%,女子56.3%であり,いずれも学年を経るにつれて正答率は増加した。2)将来喫煙を望む者は小学生では男子10.9%,女子1.0%,中学生では男子19.0%,女子3.2%であり,ともに男子の方が多い。喫煙経験者と喫煙非経験者で将来の喫煙願望を比較すると,小学生では15.2%, 4.5%,中学生では29.0%, 5.6%であり,ともに喫煙経験者の方が将来の喫煙を望む者が多かった。3)喫煙経験率は小学生男子20.7%,女子9.0%,中学生男子33.5%,女子17.5%であり,小・中学生ともに男子の方が高かった。4)飲酒経験率は小学生男子73.7%,女子61.8%,中学生男子8,女子85.5%であり,小・中学生ともに男子の方が高かった。5)塩分,糖分,脂肪を含む食品の判別については小・中学生ともに高い正答率であった。コレステロールを含む食品判別については小学生22.1%,中学生55.0%であり,ともに正答率は低かった。食品と疾病との関連についての正答率は小・中学生ともに低かった。また,小・中学生ともに塩分と高血圧の関連(小学生43.3%,中学生76.3%)よりも,コレステロールと心臓病の関連(小学生23.9%,中学生47.7%)の方が正答率は低かった。 6)中学生の健康的な食生活をしているとした者は男女とも多かった(男子89.8%, 女子96.0%)。 7)朝食を毎日食べるとした者は小学生75.2%(男子74.0%,女子76.3%),中学生74.0% (男子75.0%,女子72.9%)であった。8)中学生の肥満の弊害についての正答率は男女とも低く,約30%であった。 9)小学生で有酸素運動としてサイクリングを選んだ者は70.7%であった。また,中学生で有酸素運動として間違っているものとして,バーベル挙げを選んだ者は61.3%であった。有酸素運動の効果については中学生の64.0%が正答の心臓や肺が鍛えられるを選んだ。10)運動の効果として中学生の正答率は男子58.6%,女子65.8%であった。11)今回の調査から小・中学生の日常生活習慣には種々の問題点が浮び上がってきた。例えば,小・中学生ともに約4分の1の者が朝食を「時々食べる十ほとんど食べない」としている。その原因には夜更かしなどして朝起きられないという子供の生活習慣の問題なのか,家庭の問題なのかが考えられる。また,食品と疾病との関連については小・中学生とも正答率が低い。朝食をはじめ多くの日常生活習慣は互いに関連していることが予想され,今後追跡調査を行うとともに,家庭の協力特に母親の協力のもとに児童生徒たちの実態に即した適切な指導を行うことが必要である。
著者
堀沢 伸吾 昌山 一成 小菅 昌克 蓮池 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.21, pp.43-48, 2002-04-11
被引用文献数
6

近年,無線アドホックネッ.トワークの研究が盛んであり,その中でもルーティング方式の検討が進んでいる.本報告ではそのようなルーティング方式に対し無線機器から取得した電波環境情報を適用することによる効果とその方法について検討を行った.また,実機における電波環境情報の取得を行い,メトリックの換算方法について検討を行った.
著者
山名 哲郎 大堀 晃裕
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.819-825, 2010 (Released:2010-10-15)
参考文献数
47
被引用文献数
2 2

痔核の疫学に関する報告は少ないが,アメリカ国内のアンケート調査では痔核の有病率は4.4%と推定され,年齢層は男女とも45歳から65歳が最も多い.病院受診者のデータベースでは痔核による受診者は年々減少傾向にある.痔核の成因については歴史的にみると18世紀から19世紀にかけて静脈組織の異常な拡張による静脈瘤説や,海綿状血管組織の過形成説などの血管系に関する諸説が唱えられてきた.しかし1970年代以降はこれらの血管を起源とする説の病理学的根拠が乏しいことが報告され,かわりに結合組織や筋組織などの支持組織減弱による肛門上皮滑脱説が有力視されるようになった.痔核の病因はその病態の多様性と複雑性から現在でもいまだに解明されてはいないが,静脈還流障害に起因するうっ血や出血症状や,支持組織の減弱化に起因する脱出症状という病態からみて,血管組織と結合組織のいずれの因子も痔核の病因に関わっていると考えるのが妥当であると思われる.
著者
内山 明博 浅野 正二 塩原 匡貴 深堀 正志
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.513-532, 1999-04-25
被引用文献数
1

気象庁気象研究所では、上層の氷雲の微物理特性と放射特性同時観測のために地上からの観測システムを開発した。観測システムは、雲粒子ゾンデ(HYVIS)、ライダーと各種放射計からなっている。本論文では、観測システムの概要と1989年6月22日, 30日に観測された梅雨前線に伴う巻層雲の構造と放射特性について述べた。HYVISによって観測された氷晶の粒径分布は、べき乗関数で近似でき、その指数は全層平均で3.2であった。粒径分布の顕著な温度依存は、見られなかった。全天日射量の透過率は、同時に測定したサンフォトメーターから推定した可視の光学的厚さに関係づけ、理論値と比較した。その比較は、氷晶粒子に対する非等方因子(asymmetry hctor)は球形の粒子に対するものより小さいことを示している。放射温度計の測定値から波長10.5μmでの有効射出率を推定した。さらに、フーリエ変換型赤外分光光度計のデータから波数800から1200cm^<-1>の間の有効射出率の波数分布も推定した。観測した巻層雲は可視の光学的厚さが1.0以上で有効射出率は0.4以上あり光学的に厚かった。