著者
薩本 弥生 川端 博子 堀内 かおる 扇澤 美千子 斉藤 秀子 呑山 委佐子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, 2012

[目的] 現在の衣生活は、旧来の家庭で衣服を作る時代から、既製服を選んで購入する時代となった。日常着が洋装化し、既製服が普及した今日、きもの文化に触れる機会もめっきり減り、これらの技術や文化が若者に理解されにくくなりつつある。一方で、2006年に改正された教育基本法に「伝統や文化を尊重し、我が国と郷土を愛するとともに、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が新たな教育の目標として規定されたことを受けて、新指導要領が2008年に告示され、中学校の技術・家庭科の衣生活分野では「和服の基本的な着装を扱うこともできること」が盛り込まれたため、和服の着装の体験を含めた教育プログラムを模索することは必要不可欠である。そこで本研究では、和服の中でももっともカジュアルで取り組みやすいゆかたの着装を含む体験的学習を通し、きもの文化を次世代に継承する家庭科の教育プログラムを開発し、その学習効果の検証することを目標とし、特に浴衣の着装実習において大学教育学部で事前に浴衣の着装指導に関してトレーニングを積んだアシスタントティーチャーを活用して技能の理解・習得に力点を置いた授業実践を試行的に行い、技能の理解・習得を目標に着装体験することがきもの文化への興味・関心を喚起するかを明らかにすることを目的とする。 [方法]2011年6月から9月に、Y大学附属K中学校において、家庭分野担当教員の協力を得て教育実習の一環で大学の実習生が2年生4クラスを対象とした浴衣を教材とした3時間(50分×3)の授業を実施した。実習直後および夏休み明け(事後)に着装感や技能習得意識に関する項目(23項目)について5件法で調査を実施した。23項目の直後・事後調査のデータがそろっている4クラス分の男女生徒159部(90.9%)を対象として、分析結果から得られた内容をもとに、授業の成果と生徒の意識変容について考察する。 [結果と考察] (1)因子分析によって抽出された全5因子を相関分析した結果、「興味関心因子」と「理解習得因子」に高い相関があることがわかった。(2)共分散構造分析の結果、「理解習得因子」から「興味関心因子」へのパス係数が有意であった。このことから「技能の理解・習得を目標に着装体験することがきもの文化への興味・関心を喚起する」という仮説が成り立つことが立証された。さらに男女による差異、帯結び部分練習の有無による差異を検討した結果、有意に差が見られた。以上の結果から、男女でのゆかたの色柄の違いや着付けの難易度の違いがある中で男女ともに、きもの文化に対する興味関心や理解習得を肯定的にとらえるために授業のさらなる工夫の必要性が明らかになった。着付け技能の理解・習得をめざした授業作りのために部分練習をすると理解習得意識が高まり、それが興味関心喚起に結びつくことがわかった。授業時間数が縮小傾向の中での時間数の確保が課題である。[まとめ]これまでの実践を通して教師自身の「きもの」文化に関わる意識啓発と知識・技能の力量形成が重要であることが明らかとなってきたので、大学で着付けの技能を中心に「きもの」文化に対する意識啓発と技能習得のためのトレーニングを積んだ学生をATとして活用したのが本研究の特徴である。ATの活用により教員に余裕が生じ、生徒への示範や指導が行き届き、授業が円滑に進行し、着装技能の理解や習得意識が向上し、きもの文化に対する興味関心の喚起にも有効であることが明らかになった。附属学校という地域のリーダー的な実践校での実践であり、設備や教材などの学習環境、教師の実践力向上に向けての周りの支援、さらに生徒の質の高さ等々が整っているため出来た実践という面はある。しかし、一般校でも、地域か、保護者の協力を仰ぐ体制づくりを整えて行くことで可能となると思う。
著者
玉置 雅彦 吉松 敬祐 堀野 俊郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.677-681, 1995-12-05 (Released:2008-02-14)
参考文献数
11
被引用文献数
2 5

水稲有機農法(無化学肥料, 稲わら還元)実施後1年目から16年目までの米のアミログラム特性値と, 窒素およびミネラル含量を測定した. 米粉の最高粘度とブレークダウン値は, 有機農法実施年数の増加にともない増加した. 窒素およびミネラル含量は, 有機農法実施後1年目では慣行農法の結果と大差なかった. しかしながら, 実施年数の増加にともないN, P, K含量は減少しMg含量は微増した. これら成分含量の増減傾向は, 実施後5年目頃までの変化が大きかった. 食味指標としてふさわしいと考えられたMg/K比と最高粘度およびブレークダウン値との間には, 有意な相関が得られた. 以上のことから有機農法実施年数の増加にともない, 物性面ではデンプンの粘りの向上により, 成分面からみると, Mg含量の微増とK含量の減少とが関与するMg/K比の増加により, 食味は向上することが示唆された.
著者
上野 隆二 奥村 雅人 阪中 和紀 堀口 吉重 Ueno Ryuji Okumura Masato Sakanaka Kazuki Horiguchi Yoshishige
出版者
三重大学水産学部
雑誌
三重大学水産学部研究報告 (ISSN:02875772)
巻号頁・発行日
no.12, pp.p167-173, 1985-10
被引用文献数
1

我が国の魚介類養殖の発展に従って、発生する種々の疾柄を防御、治療するため多様な水産用薬品が用いられている。その様な薬品が、食品としての魚介類の体内に蓄積した場合、人間におよぼす影響は食品の品質こおいては言うまでもな〈、栄養学上、食品衛生学上重要な問題と言わざるを得ない。本研究は、食品としての魚介類を対象とし、それらの微量汚染物質の体内残留について検討し、前報(上野ら1984)では養殖ウナギのホルマリン薬浴による体内残留について報告した。そこで、本研究では、アユ、ウナギのビブリオ菌感染症の治療薬として用いられるミロキサシンを、試験的に餐殖ブリに経口投与した場合の体内残留および残留期間について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて検討した。The present work was undertaken to investigate the residue of miloxacin,5,8-dihydro-5-methoxy-8-oxo-2H-1,3-dioxolo(4,5-g) quinoline-7- carboxylic acid, in the tissues of cultured yellowtail,Serioa quinqueradiata, by oral administration.The concentration of miloxacin and its metabolites,M-1,5,8-dihydro-8-oxo-2H-1,3-dioxolo(4,5-g) quinoline-7-carboxylic acid, and M-2,1,4-dihydro-7-hydroxy-1,6-dimethoxy-4-oxoquinoline-3-carboxylic acid, were determined by high performance liquid chromatography. The recovery of miloxacin was 87,83 and 84% from the muscle, liver and blood, respectively. The maximum levels in these tissues were reached within 3 hours after administration of miloxacin at 10 and 40 mg/kg,and no miloxacin could be detected within 3 days following administration.Only one of the metabolites,M-1, was found in these tissues and still remained in the liver for 7 days after administration of miloxacin at 10 and 40 mg/kg.
著者
堀川 一男
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鐵と鋼 : 日本鐡鋼協會々誌 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.35, no.10, pp.355-359, 1949-10-25

The purpose of this study was to save fuels, equipments and labours reguired for full annealing of low alloy steel thick forgings. In this first report, theory of isothermal annealing and fundamental studies carried out on small spacimens were given. The steel used was a medium C low Ni-Cr-Cu-Mo steel contg. 0.30∿0.35%C, 0.6∿1.0%Mn, 1.0∿1.8%Ni, 1.0∿1.3%Cr, 0.2∿0.4%Cu and 0.4%Mo. To determine the S-curve of this steel, thermal expansion was measured and microstructure and hardness of specimens quenched after isothermal heating were investigated. The results obtained were summarized as follows : (1) This steel can be full annealed within 5 hrs. if its supercooled austenitic state is kept and transformed at 660∿670℃, 6 hrs. at 650∿680℃ and 9 hrs. at 640℃ (2) The isothermally annealed steel is satisfactorily softened and its Brinnel hardness number is below 200. (3) The microstructure of the isothermally annealed steel is quite different from that of the ordinary annealing, but the time required for heating in the quenching operation those steels was not varied between these two different annealing structures. (4) That different annealing process has no influence on the mechanical properties of the steel after hardening and tempering.
著者
辰野 良秋 堀内 照夫
出版者
Japan Society of Erosion Control Engineering
雑誌
新砂防 (ISSN:02868385)
巻号頁・発行日
vol.1959, no.32, pp.21-26, 1959

(1) 霜柱は一般に土壤を混んじて上長し, これが土壤侵蝕, 斜面緑化不成功の原因になるが, 展圧された土壤面, 新しい盛土, 切土面から発生する霜柱は, 土壤中の水分を多量に析出するが, 扛起する土量は非常に少い。<br>(2) 発生する霜柱の量は, 土壤条件が一様であれば気温が零度以下にある間の積算温度に比例する。また積算温度は最低気温に比例する。<br>(3) 藁伏工は気温が低くない間は (-3°程度まで) 効果は著しいが, それ以下に低下すれば効果は半減する。しかしながら裸地に比較すると霜柱発生量は少く, 発生する霜柱も土壤表面から出るので, 侵蝕防止的にも, 斜面混播保護の面からも効果は期待出来るが, 藁の量, 伏せ方等には問題が残された。この場合3本並べが良いと考えられた。<br>(4) 霜柱, 凍上現象は斜面の方位によつて著しく趣を異にするが, 斜面の上, 下の部位によつても異る。<br>(5) 土壤改良剤の土質改良効果は粘質土に対する場合, アロンA-20pに顕著な効果が認められ, 霜柱の発生を防ぐことは出来たが, 受蝕性が却つて大となつた。
著者
石毛 大悟 堀内 靖雄 市川 熹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.16, pp.7-12, 2003-02-21

本論文では、独奏に休符がある場合の人間の合奏制御のふるまいについて述べる。まず、休符がある分析用の楽譜を作成し、計算機の独奏と人間の伴奏者が合奏を行うデータを収録した。独奏に休符がある場合の伴奏者の合奏制御についていくつかの仮説を立て、重回帰分析によりモデル式を作成し、人間の演奏データとの誤差により評価を行い合奏制御の推定を行った。結果、ある時点において、その直前の独奏者との「ずれ」など差の情報を用いることができる部分では、その差の情報を利用しているが、相手が休符で差の情報を使うことができない部分では、1小節程度過去の演奏情報に従い演奏を行っていることが示唆された。This paper describes behavior human performance when there is some rests in his/her partner's score. 96 ensembles by acoputer and a human performance were recorded. Some hypotheses were formed sbout a model of human performance for synchronicity when a rest exisits in his/her pertner's part and multiple regression analysis is applied the recorded data. It is suggested that when the difference between two performance can be used, a human performer plays using the information for good synchronicity, but when the difference between two performers cannot be used of a rest, a human performer plays based on the information at about one bar line past.
著者
堀家 由妃代
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.337-348, 2003-03-10

This is an ethnographic study on the interaction processes among various people such as teacher, students and a boy with physical disabilities called Kenji in the main streaming classroom. In this study, the author focuses on analyzing their interaction and activities as strategy which are ways of achieving their goals, including their survival. Kenji's teacher's goal is an enhancement of performance of her students. She has two strategies which are "visualization" and "avoidance". The first strategy aims to present children's performance, and the second strategy aims to avoid the communication between Kenji and her. Although the teacher usually uses "visualization" to the children, she uses "avoidance" to Kenji. In this case, Kenji developed two of his unique strategies. To resist "visualization", he pretended to be a "participant" though he cannot do such an activity, and an "incompetent" though he can do it really. As for the "avoidance", "he becomes" indifference "to escape the interaction in the classroom. As Kenji's assistant, the author intervenes in the interaction between teacher and Kenji, other children and him to mediate the communication between Kenji and other people and avoid the conflict among them. In the prior research on the special education, the social handicap of the child with disabilities is derived from the physical impairment and the disability. But this study suggests that it depends upon the social setting whether the child with disabilities suffers from the handicap or not. Both the impairment of the child with disabilities and the interaction among various people around the child constitute the handicap inside of the classroom.
著者
堀内かほり
出版者
日経BP社
雑誌
日経バイト (ISSN:02896508)
巻号頁・発行日
no.263, pp.60-67, 2005-04
被引用文献数
9

生体の特徴を使って個人を認証するバイオメトリクス。そのなかでも指紋認証は古くから研究開発が進んでいる。他の方式を用いた装置よりも小型で安価,かつ一般的だ。センサーに指を押し当てるだけで認証されるのは便利である。しかし生体情報ゆえの不安もある。指が汚れたり濡れていても,認証できるのだろうか。
著者
嵯峨山 茂樹 小野 順貴 西本 卓也 齋藤 大輔 堀 玄 中村 和幸 金子 仁美
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

統計的信号処理と音楽理論の数理モデルを融合して、音楽(および音響・音声)の信号処理と情報処理に多面的に取り組んだ。音声認識分野では音響処理と言語処理の融合がキー技術であったように、音楽においては信号処理と音楽理論の融合が必須である。具体的には、A: 数理モデルと統計学習を軸にした音楽信号の解析・変換・加工・分離・検出、B: 音楽理論の数理的定式化を軸にした音楽信号の和音認識・リズム解析・セグメンテーション・構造解析・ジャンル認識、C: 機械学習と最適化を軸にした自動演奏・自動作曲・自動伴奏・自動編曲などを研究・開発した。
著者
篠原 雅尚 村井 芳夫 藤本 博己 日野 亮太 佐藤 利典 平田 直 小原 一成 塩原 肇 飯尾 能久 植平 賢司 宮町 宏樹 金田 義行 小平 秀一 松澤 暢 岡田 知己 八木 勇治 纐纈 一起 山中 佳子 平原 和朗 谷岡 勇市郎 今村 文彦 佐竹 健治 田中 淳 高橋 智幸 岡村 眞 安田 進 壁谷澤 寿海 堀 宗朗 平田 賢治 都司 嘉宣 高橋 良和 後藤 浩之 盛川 仁
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2010

2011年3月11日、東北地方太平洋沖でM9.0の巨大地震が発生し、地震動・津波被害をもたらした。この地震の詳細を明らかにするために、各種観測研究を行った。海底地震観測と陸域地震観測により、余震活動の時空間変化を明らかにした。海底地殻変動観測及び地震波反射法構造調査から、震源断層の位置・形状を求めた。さらに、各種データを用いて、断層面滑り分布を明らかにした。現地調査により、津波の実態を明らかにし、津波発生様式を解明した。構造物被害や地盤災害の状況を明らかにするとともに、防災対策に資するデータを収集した。
著者
堀 誠
出版者
早稻田大學中國文學會
雑誌
中国文学研究 (ISSN:03850919)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.151-163, 2001-12