著者
杉森 伸吉 安藤 寿康 安藤 典明 青柳 肇 黒沢 香 木島 伸彦 松岡 陽子 小堀 修
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.90-105, 2004-03-24
被引用文献数
1

心理学における研究者倫理への関心が高まる中,日本パーソナリティ心理学会では研究倫理ガイドライン検討特別小委員会を設け,性格心理学研究者倫理の問題を検討した.その中で,目本パーソナリティ心理学会員および他の関連諸学会員の合計262名と心理学専攻の学部生59名を対象に研究倫理観に関するアンケート調査を行った.研究倫理観は基本的に相対的なものであるという認識にもとづき,心理学研究者と学部学生を対象に52項目の倫理的問題に関する許容度判断を求め,その意見分布を示した.全体のうち半数近くの項目で研究者と学生の間に許容度判断の有意差が見られ,いずれも研究者のほうが寛容という傾向であった.また,主たる専門や研究法による倫理判断の相違,性差,研究年数による相違,ならびに基本的倫理観と個別の倫理判断の関連性分析,52の倫理問題に関する許容度判断の主成分分析と主成分ごとの許容度判断などについて検討した.基本的には,各人が研究を行う上で必要な事柄に関しては倫理的判断が寛容になり,研究を行う上で必要性が低い事柄については厳格になる傾向が見られた.本研究の結果は,日本パーソナリティ心理学会員をふくむ心理学者一般について,個別の倫理判断をする上でのひとつの判断基準を提供するものと考える.
著者
岩堀 修一 菅谷 純子 小塩 海平 坂本 知昭
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

マンゴー果実をエチレン吸着袋で貯蔵すると、貯蔵期間が延長され、袋内の果実は呼吸、エチレン発生ともに抑えられた。果実を20Cと13Cで貯蔵すると、ACC合成酵素、ACC酸化酵素ともにまず遺伝子の発現が上昇し、ついで、酵素活性が増加、その後にエチレン発生が増加した。8C貯蔵で低温障害が認められ、完熟果より緑熟果のほうが早く出現した。緑熟果ではACC合成酵素、ACC酸化酵素ともに遺伝子の発現が著しく高くなった。
著者
片桐 滋 渡辺 秀行 中村 篤 松田 繁樹 堀 貴明 渡部 晋治
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

最小分類誤り学習法のこれまでの性能限界を突破することを目指して,特に,平滑化分類誤り数損失の平滑性が持つ未知標本耐性向上の機構を解明し,その平滑度の自動的最適設定法を開発,さらにカーネル法を組み込んだカーネル型最小分類誤り学習法を開発することで,本学習法の一層の識別力向上を実現した.また,ラウンドロビンデュエル識別法を開発することで,大規模かつ複雑な分類器のための高効率な識別学習法を実現した.
著者
堀 哲夫
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究の目的は、高次の理科学力を育成するため教育方法であるOPPA(One Page Portfolio Assessment)の開発とその効果を検証することにある。主として、以下の三点から研究をすすめた。第一は、OPPAの依拠している学習論および評価論の学術的など動向を検討し、その理論書と実践書をまとめたことである。第二は、小・中学校および高校理科の授業実践を通して、OPPAはメタ認知の育成に効果的であることが明らかになった。第三は、その具体的内容として、OPPシートの作成、学習および授業の実施とOPPシートの活用、OPPシートを用いた授業改善の方法などについて考察した。
著者
堀 誠
出版者
早稻田大學中國文學會
雑誌
中國文學研究 (ISSN:03850919)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.63-76, 1980-12-01
著者
堀内 啓次 布田 裕一 境 隆一 金子 昌信 笠原 正雄
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.8, pp.1269-1277, 1999-08
被引用文献数
7

楕円暗号において, 楕円曲線の群の位数は重要なパラメータである. 特に, その位数が素数であることが望ましい. 楕円曲線の位数を計算する方法としてSchoofのアルゴリズム及びそれを改良したElkies, Atkinのアルゴリズムが知られている. 本論文ではSchoofの改良アルゴリズムを用いた素数位数を有する楕円曲線の効率的な構成法を示す. 更に, 楕円曲線の位数分布及び位数が素数である確率を導出した後, 素数位数を有する楕円曲線の構成に必要な計算量を評価する. また, 法pの条件による計算時間の違いについて考察する.
著者
古橋 忠晃 津田 均 小川 豊昭 鈴木 國文 北中 淳子 堀口 佐知子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本において、ひきこもりと呼ばれる状態にある青少年の数は1970年代から徐々に増加し、現在その数は日本中で80 万~140万人とも言われている。フランスでは青年のひきこもりが近年出現してきたと言われている。さらにフランスでは日本由来のオタク文化やインターネット文化の隆盛も顕著である。これらの日仏の「ひきこもり」について両国の研究者チームで学際的に研究をおこなった。日本の青年のひきこもりが15例、フランスの青年のひきこもりが7例集められた。それらの症例について、家族背景、経済状況、社会文化的背景、個々の精神病理、精神症状の有無について精神医学的、社会学的、人類学的、哲学的、心理学的な観点で検討した。また、事例を離れて、「ひきこもり」そのものの現象について、両国のそれぞれの観点で、社会学的、人類学的、精神医学的、哲学的観点で考察を行った。
著者
松崎 浩之 笹 公和 堀内 一穂 横山 祐典 柴田 康行 村松 康行 本山 秀明 川村 堅二 瀬川 高弘 宮原 ひろ子 戸崎 裕貴
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

南極ドームふじアイスコア中の過去72万年にわたる宇宙線生成核種記録を加速器質量分析で分析した。特徴的な宇宙線イベント(ラシャンプ、ブレーク、アイスランドベイズン)を詳細に解析したところ、宇宙線生成核種(特にベリリウム10)の記録が、グn一バルなイベントの記録となっていることが証明された。これにより、古環境研究における、より信頼性の高い年代指標を確立する道が拓けた。
著者
上之園 佳子 田中 由紀子 中村 幸子 堀 崇樹 アン スンヒ 鴨澤 小織 菅野 衣美
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

介護従事者の腰痛予防の調査(n=495)では、腰痛経験率は88.4%と高い。腰痛予防は,労働安全衛生での組織的取組みや介護機器の普及は低い割合であった。予防教育は、職場では有効だが、養成教育では充実が課題であった。養成機関の聞取り調査(n=11)では、健康教育や腰痛予防、介護機器教育の適切な教材がなく、内容が多岐の科目に分散した学習であった。そのため健康や腰痛予防の体系的教育プログラムにより、健康意識の向上、労働安全衛生の知識、主体的な職場環境の改善、介護機器活用のアセスメント技術の習得が重要である。それは介護人材の定着・確保だけでなく、利用者の安全で自立した支援の社会的介護の基本となる。
著者
堀江 佐知子 小玉 哲也 小野 栄夫 森 士朗
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、ナノバブルと超音波を用いた新しいワクチン接種法のためのドラッグデリバリーシステムを開発し、これまで治療が困難であった感染症などの予防や治療に貢献することである。これまで我々は、ナノバブルの体内分布の超音波画像でのモニタリングや生体細胞への遺伝子導入効率、さらには、超音波照射とナノバブル破砕時の組織障害の程度、それにともなう炎症性細胞浸潤の程度などを検討した。その結果、静脈注射によりナノバブルがリンパ節に流入し、リンパ節内の樹状細胞に抗原タンパクや遺伝子の導入が可能であること、ナノバブル破砕時の超音波の強さを調節することにより、照射部に適度な炎症性細胞の集簇を促し、ナノバブル破砕によるアジュバント効果が期待できること、ナノバブル表層への抗体の組み込みが可能なこと、バブル内への抗原タンパクや遺伝子、あるいはアジュバント分子の封入が可能であることなど、本研究を推進する上で極めて重要な知見を得ることができた。しかし、ナノバブルと超音波を用いた分子導入法においては、導入効率の低さが問題になる可能性が考えられた。そこで、1回のトランスフェクションで100日以上もタンパク発現が可能な長期発現プラスミドDNAをナノバブルと超音波を用いて導入するシステムを開発し、従来の分子導入法の導入効率の低さの問題を解決することが可能となった。しかしその一方で、生体内での持続的なウイルス抗原の産生は、高グロブリン血症や免疫複合体病等の誘発の可能性も考えられることから、今後は、タンパク発現量の増大のみならず発現タンパクの制御法の検討も必要かと思われる。
著者
堀 敦史 山本 啓二 大野 善之 今田 俊寛 亀山 豊久 石川 裕
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.6, pp.1-8, 2011-07-20

エクサスケールを視野に置いた、メモリや通信の遅延を隠蔽するための新しいマルチスレッドライブラリを提案する。そのためにはサブマイクロ秒でのスレッド制御を可能にする必要がある。本稿では、スレッドスケジューリングとして、プロセッサの Simultaneous Multi-Threading 機能を用い、ハードウェアによる高速なスレッドスケジューリングを用い、また、スレッド間の同期機構として Intel 製のプロセッサが提供する monitor/mwait 命令を用いた新しいスレッドライブラリ、Shadow Thread を提案する。高速な同期と低消費電力を両立させるため、同期フラグを spin-waitとmonitor/mwait 命令を組み合わせた 2-phase の同期機構が有効であることを示す。この方式を用いて開発された Shadow Thread は、メモリ領域のコピーにおいて、最大約 20% の高速化に成功した。Towards the Exa-scale computing, a new thread library is proposed to hide the latencies of memory and communication. For this purpose, thread management must be fast enough in the order of sub-micro seconds. In this paper, the thread library, named Shadow Thread, is developed so that it utilizes Simultaneous Multi-Threading mechanism which schedules threads by hardware in a very fast way and utilizes the monitor and mwait instructions supported by some Intel processors. It is shown that the two-phase synchronization technique combining the conventional spin-wait method and the pair of the monitor/mwait instructions can satisfy the requirement of speed and low-power consumption simultaneously. Evaluation shows that a memory copy function using the Shadow Thread library can exhibit better performance up to 20% compared with the normal memcpy function.