著者
村田 希吉 大友 康裕 久志本 成樹 齋藤 大蔵 金子 直之 武田 宗和 白石 淳 遠藤 彰 早川 峰司 萩原 章嘉 佐々木 淳一 小倉 裕司 松岡 哲也 植嶋 利文 森村 尚登 石倉 宏恭 加藤 宏 横田 裕行 坂本 照夫 田中 裕 工藤 大介 金村 剛宗 渋沢 崇行 萩原 靖 古郡 慎太郎 仲村 佳彦 前川 邦彦 真山 剛 矢口 有乃 金 史英 高須 修 西山 和孝
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.341-347, 2016-07-20 (Released:2016-07-20)
参考文献数
26

【目的】重症外傷患者における病院前輸液と生命予後, 大量輸血および凝固異常との関連について明らかにする. 【対象と方法】Japanese Observational Study of Coagulation and Thrombolysis in Early Trauma (J–OCTET) で後方視的に収集したISS≧16の外傷796例について, 28日死亡, 大量輸血 (24時間Red Cell Concentrate : RCC10単位以上), 外傷性血液凝固障害 (Trauma–Associated Coagulopathy : TAC : PT–INR≥1.2と定義) の3つを評価項目として, 病院前輸液施行の有無の影響を検討するために多変量解析を行なった. さらに年齢 (65歳以上/未満), 性別, 重症頭部外傷合併の有無, 止血介入 (手術またはIVR) の有無により層別化解析した. 【結果】病院前輸液施行85例, 非施行711例であり, 両群間における年齢, 性別, 28日死亡, 大量輸血, 止血介入に有意差を認めなかった. 病院前輸液群ではISSが高く (中央値25 vs. 22, p=0.001), TACが高率であった (29.4% vs. 13.9%, p<0.001). 病院前輸液は28日死亡, 大量輸血の独立した規定因子ではなかった. TACの有無を従属変数とし, 年齢・性別・病院前輸液の有無・ISSを独立変数とするロジスティック回帰分析では, 病院前輸液 (オッズ比 (OR) 2.107, 95%CI 1.21–3.68, p=0.009) とISS (1点増加によるOR 1.08, 95%CI 1.06–1.10, p<0.001) は年齢とともに独立したリスク因子であった. 層別解析では, 65歳未満 (OR 3.24, 95%CI 1.60–6.55), 頭部外傷合併 (OR 3.04, 95%CI 1.44–6.42), 止血介入例 (OR 3.99, 95%CI 1.40–11.4) において, 病院前輸液は独立したTACのリスク因子であった. 【結語】ISS≧16の外傷患者に対する病院前輸液は, 28日死亡および大量輸血との関連は明らかではないが, TAC発症の独立したリスク因子である. 特に65歳未満, 頭部外傷合併, 止血介入を要する症例に対する病院前輸液は, TAC発症のリスクとなる可能性がある.

1 0 0 0 弛緩性麻痺

著者
大友 英一
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.6-7, 1977-01-01

運動麻痺は麻痺に伴う筋肉のトーヌスの異常状態から痙性麻痺spastic paralysisと弛緩性麻痺flaccid para—lysisに分けられる。痙性麻痺は筋トーヌスの亢進したもので上位運動neuronの障害が原因であり,必ず脳または脊髄の病変によるものであり,下位運動neuron障害または筋疾患ではみられない。弛緩性麻痺は筋トーヌスの減弱したもので下位運動neuron障害によることが多いが,上位運動neuronの障害時にも出現する。即ち,脳,脊髄の急激な病変による場合,初期は弛緩性麻痺を示すことが多い。この最もよい例は脳卒中による片麻痺の急性期の場合である。 弛緩性麻痺では筋肉のトーヌスは減弱し筋肉は柔く触れ,伸展性がより大となり,通常の運動範囲を越え,反対の方向にも動き得る様になる。
著者
大友 堅一郎
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業農村工学会誌 (ISSN:18822770)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.519-522,a1, 2008-06-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
2

岩出山大堰の位置する大崎耕土は, 宮城県北部に広がる県内有数の穀倉地帯 (約20,000ha) であり, 全国的に銘柄米として知られている「ササニシキ」「ひとめぼれ」の発祥の地でもある。本耕土の用水源の一つである北上川水系江合川は, 上流で荒雄川とも呼ばれ, その源は鳴子町 (現大崎市) 鬼首の中央にある荒雄岳であり, その麓にある鳴子ダムを経て大崎耕土を横断して北上川に合流している。大堰は, この江合川から取水し大崎耕土の一角 (約4,000ha) を灌漑するため, 約400年前に仙台藩祖伊達政宗公が岩出山の地に築造したものである。その大堰の役割や築造から改修・復旧の変遷等について紹介する。
著者
長谷川 眞紀 大友 守 水城 まさみ 秋山 一男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.112-118, 2009-02-28 (Released:2017-02-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1

【背景・目的】化学物質過敏症は診断の決め手となるような客観的な検査所見が無く,病歴,QEESI点数,臨床検査(他疾患の除外)等から総合判断として診断している.診断のゴールド・スタンダードは負荷試験であるが,これも自覚症状の変化を判定の目安として使わざるを得ない.そういう制約はあるが,我々の施設ではこれまで化学物質負荷試験を,確定診断の目的で施行してきた.【方法】当院内の負荷ブースを用い,ホルムアルデヒド,あるいはトルエンを負荷した.負荷濃度は最高でも居住環境指針値とした.また負荷方法は従前はオープン試験によったが,最近はシングル・ブラインド試験を施行している.【結果】これまで51名の患者に延べ59回の負荷試験を行った.オープン試験を行った40名のうち,陽性例は18名,陰性例は22名であった.陰性判定理由は症状が誘発されなかった例が11名,実際の負荷が始まる前に(モニター上負荷物質濃度上昇が検出される前に)症状が出た例が11名であった.ブラインド試験は11名に施行し,陽性が4名,陰性が7名であった.【結語】化学物質負荷試験は現時点でもっとも有力な化学物質過敏症の診断法であり,共通のプロトコールを作成し行われるべきである.
著者
矢部 辰男 大友 忠男 原島 利光 重岡 弘 山口 健次郎
出版者
日本ペストロジー学会
雑誌
ペストロジー (ISSN:18803415)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.53-55, 2017

<p>横浜市中区の市街地で,2015~2017年の3年間(いずれも2月)に,屋外に生息するドブネズミについて,人獣共通感染症である広東住血線虫の寄生状況を調べた.広東住血線虫の検出可能な2カ月齢以上のドブネズミにおける寄生率は,2015年から2017年までの順に,2/41(4.9%),5/27(18.5%),6/21(28.6%)となり,2017年の値は2015年よりも有意に大きかった.</p>
著者
大友 令史
出版者
北日本病害虫研究会
雑誌
北日本病害虫研究会報 (ISSN:0368623X)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.65, pp.167-169, 2014-12-19 (Released:2018-01-30)
参考文献数
1

岩手県のワラビ栽培ほ場においてルイスコメツキモドキによるワラビへの被害を確認した.主な被害は成虫の食害痕により外観品質が著しく損なわれるというものである.現地における被害状況および被害茎における時期別の生育ステージを調査することによって岩手県のワラビほ場における発生生態の一部を推測した.また,同一ほ場でアシグロコメツキモドキの発生も認められたがワラビにおける加害については確認できなかった.
著者
村田 希吉 関谷 宏祐 大友 康裕 齋藤 大蔵
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.1023-1026, 2016-09-30 (Released:2017-01-18)
参考文献数
9

Damage Control Surgery(以下,DCS)の適応基準については多くの議論がある。今回,われわれは日本外傷データバンク(以下,JTDB)から開腹手術を受けた外傷患者4,447例を抽出し,DCSを受けた532例と通常の開腹手術を受けた3,915例を分析した。DCS群は来院時のバイタルサインが悪く,FAST陽性率,輸血率,死亡率いずれも高かった。ロジスティック回帰分析では脈拍,体温,意識レベル,受傷機転が独立したDCS予測因子であった。この予測因子をカテゴリー化し,重み付けをしてDamage Control Indication Detecting Score(DECIDE score)を作成したところ,死亡率との相関を認め,体温,意識レベル,受傷機転の3つの情報でDCSの適応判断が可能であった。Cut off値5点での死亡率は30.8%,感度64.8%,特異度70.0%であった。本スコアはプレホスピタルで判断可能であり,術前から外傷チーム内での意識共有が可能である。
著者
大友,久子
出版者
日本ロシア文学会
雑誌
ロシア語ロシア文学研究
巻号頁・発行日
no.28, 1996-10-01

Можно сказатъ, что Андрей Платонов - писателъ, рожденный революцией. Однако его роман <<Чевенгур>> (1926-29) наполнен религиозной атмосферой. В ней перекликается своеобразное понимание коммунизма героями с мировоззрением верующих, притесняемых церковной властъю. Если назватъ утопией мечту установитъ новый, идеалъный мир, то все антиправославные действия, направленные на разрушение старого, действующего церковного порядка, - не что иное, как воплощение утопических идей русского народа. Кажется, поэтому в <<Чевенгуре>> немало встречается мотивов народной утопии. Что касается исторического и географического факторов, необходимо отметитъ, что родина Платонова - Черноземъе - являласъ самым старым центром сектантства, традиции которого сохранялисъ там даже после революоции. В каких же деталях и эпизодах <<Чевенгура>> отразился жизненный опыт Платонова? Приведем некоторые примеры: 1. Переименование жителей Ханских Двориков в романе можно сравнитъ с <<новым крещением>>, производимым в баптистской секте. Согласно учению баптизма, который не признает крещение младенцев, верующие принимают крещение в сознателъном возрасте. Идеи баптизма быстро распространялисъ по всей России с конца 19 века, и даже после 1917 г. - несмотря на притеснения со стороны советской власти. 2. У героев романа своеобразное восприятие коммунизма: коммунизмв для них - совершенная форма несовершенного христианства, которому недоставало <<сплошного>> товарищества и братства. В Чевенгуре они материализовали свою мечту, отменив института брака. Но введением жен в город они сами же разрушили свою утопию. Если проводитъ аналогию этого эпизода с традицией сектантства, то, например, у хлыстов браки были запрещены. Обычно тему <<разрушение утопии в резулътате введения института брака>> относят к идеям Н. Федорова, но ее можно отнести и к учению сектантства. 3. Чепурный, один из главных героев романа, часто употребляет слова <<чувствоватъ>> <<предчувствоватъ>>,<<чувство>> с особым оттенком. Эти слова отражают его веру в таинство непосредственного общения с коммунизмом. Вполне возможно предположитъ, что его идея происходит от веры хлыстов в Дух Святой. Конечно, нелъзя утверждатъ, что Платонов был выразителем ид
著者
畑中 千秋 原口 俊秀 井手 俊輔 後藤 宗治 後藤 雅宏 中塩 文行 大友 直也
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.930-934, 1996-07-10 (Released:2009-11-12)
参考文献数
10
被引用文献数
3 3

Enzymatic esterification reaction of erythritol and oleic acid was carried out in the reaction system of controlled water content. A higher conversion was obtained when the water content in the system was adjusted ranging from 1, 000 to 4, 000 ppm. It was shown that the water in such systems was bound to the enzyme protein and needed for appearance of the enzyme activity. The process of crystallization of erythritol appeared to be effective for the acceleration of lipase-catalyzed synthesis.
著者
前田 和樹 大友 志伸 林 智弘 志村 敏史 上地 幸平 江後 京子
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.727-733, 2018

<p>近年,基質特異性拡張型βラクタマーゼ(Extended-spectrum β-lactamases; ESBLs)産生菌の検出頻度は増加傾向であり,それに伴って迅速検出法が多く考案されている。Nordmannによって報告されたESBL NDP(Nordmann/Dortet/Poirel)testは,迅速かつ正確にESBLs産生菌の検出が可能である。しかし,蛋白抽出試薬として20 mmol/L-トリス-塩酸緩衝液(BPERII Bacterial Protein Extraction Reagent, Thermo Scientific)を用いるため酵素抽出の過程に30分間の時間を要する。そこで,我々はガラスビーズを用いて菌体から酵素を粉砕抽出することでESBLs産生菌を簡便で,迅速かつ安価に検出できるガラスビーズ試験(Glass beads test; GB test)について考案した。今回,GB testの基本性能をNDP testと比較することでESBLs産生菌のスクリーニング検査としての有用性について評価を行った。対象にはESBLsの表現型試験陽性となり,遺伝子型が決定した111株と第3世代セファロスポリン系薬に感受性を示しESBL非産生菌と判定した109株を用いた。GB testとNDP testの判定一致率は100%であった。両検査法の感度,特異度は94.6%,100%であった。さらに,GB testでは酵素抽出時間を30秒に短縮できたことでNDP testと比較して陽性までの検査所要時間が有意に短縮した(<i>p</i> < 0.01)。GB testはESBLs産生菌のスクリーニング法としてNDP testよりも安価でさらに迅速性,簡便性に優れていた。</p>
著者
鹿住 祐子 大友 幸二 高橋 光良 御手洗 聡 菅原 勇 和泉 純子 安藤 昭子 長谷川 秀浩
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.437-441, 2004-07-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
12
被引用文献数
2

[目的] 同定困難であったMycobacterium skinskuenseの細菌学的解析を行った。 [対象と方法] 37歳女性, 右下肢皮膚潰瘍より分離された抗酸菌 (被検株753) とM.marinum (ATCC927), M.ulcmns (ATCC19423), M.skinskuense (ATCC33728) をDDH, 16SrRNA法, rpoB法, 薬剤感受性試験, 生化学的・生物学的検査を用いて比較した。 [結果] DDH法によって上記の4株はM.marinumとして判定されたが, 遺伝子配列の検索方法 (16SrRNA法・rpoB法) ではこの被検株 (753) が3菌種のうち, いずれであるかを決定できなかった。しかし, 16S rRNA法の中のPortaelsらの方法によってこの3菌種を分類することが可能であった。この方法によって被検株 (753) はM.skinskuenseと同定された。薬剤感受性試験と生化学的・生物学的性状検査においても被検株はM.skinskuenseと同定された。 [考察] DDHにてM.msrinumと同定された抗酸菌で, 発育条件が28℃ 培養で2週間かかり, 暗所培養にて黄色のコロニーを形成するScotochromogenであった場合, 塩基配列レベルの検査と従来法の実施が必要である。