著者
大塚 攻
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-12, 2006-08-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
53

Free-living copepods are regarded as one of the most ecologically important animal groups in aquatic ecosystems, but systematic and phylogenetic surveys of these crustaceans are still incomplete. In recent years my colleagues and I have newly established five families, 11 genera, three subgenera, and 59 species of copepods. Our success in finding previously unknown forms is partly a result of our focus on collections from hitherto poorly sampled hyperbenthic layers. The peculiar swarming behavior, distinct vertical migrations, and unknown life cycles of many species also make their collection difficult. We were the first to discover copepods of the order Platycopioida in the Indo-Pacific region; based on a circumtropical distribution and has thus come to be understood as a Tethyan relict. Another example of biogeographical significance is a new cavernicolous species of the calanoid copepod genus Ridgewayia that we described from Palau, which shows a closer relationship to the Atlantic-Mediterranean species group of this genus than to the Indo-West Pacific species group. This suggests dispersal by the westward circumtropical current that existed from the late Jurassic to the Miocene. We have also described three families, three genera and four species of parasitic copepods that infect fishes, sea urchins, bivalves and mysids. In addition to copepods, four tantulocaridans, one ascothoracidan, and three peracaridans were newly described as a result of collaboraive work with specialists on these groups. Copepods with a basic developmental pattern comprising six naupliar, and six copepodid stages, are a relatively easy group to tracehomologous features when compared to other crustaceans. This fact makes phylogenetic analyses of copepods feasible. Better understanding of the phylogeny of copepods not only leads to revisions of their classification system, but also allows us to make certain deductions concerning evolutionary patterns and processes that are related to, for example, their habitat exploitation, direction of dispersal, and switching of feeding mode or host. Our analyses have thus led us to infer that members of the calanoid superfamily Arietelloidea have exploited a wide range of habitats, both horizontally from coastal to oceanic regions and vertically from the surface to the deep hyperbenthic layers, with recolonization therefrom into the original, coastal benthic habitat. We have also been able to reconstruct a switch in feeding from suspension feeding to carnivory in the calanoid family Heterorhabdidae, a trend leading to carnivorous taxa that employ a venom-injecting system for capture of prey. This sophisticated feeding structure seems to have been constructed by modification of prototypes that were present in the suspension-feeding ancestor, resulting in a drastic functional change in feeding without much alternation of its form.
著者
小谷 章夫 朝井 宣美 中村 安久 大塚 正章 密山 幸男 尾上 孝雄
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.115(2004-HI-111), pp.63-70, 2004-11-12

近年、携帯電話などのモバイル端末が文字情報流通の主役となりつつあり、モバイル端末の小さな筐体に組込まれた低解像度表示デバイス上に限られたドット数で可読性の高い文字を表現することが求められている。そのためには個々の表示デバイスにあわせた専用フォントの開発が不可欠であるが、主観に頼らざるを得ないフォントの開発では,多大な工数がかかることが問題となっている。本研究では、フォントの読みやすさを決定する要因として最も重要な「文字重心」に注目し、文字輪郭を用いた重心位置評価手法を提案する。これにより、主観評価による文字重心位置を計算によって特定することができ、フォント開発工数の大幅な短縮が可能になる。
著者
松村 葵 建内 宏重 永井 宏達 中村 雅俊 大塚 直輝 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Aa0153, 2012

【はじめに、目的】 上肢拳上動作時の肩関節の機能的安定性のひとつに肩甲骨上方回旋における僧帽筋上部、下部線維と前鋸筋によるフォースカップル作用がある。これは僧帽筋上部、下部と前鋸筋がそれぞれ適切なタイミングでバランスよく作用することによって、スムーズな上方回旋を発生させて肩甲上腕関節の安定化を図る機能である。これらの筋が異常な順序で活動することによりフォースカップル作用が破綻し、肩甲骨の異常運動と肩関節の不安定性を高めることがこれまでに報告されている。しかし先行研究では主動作筋の筋活動の開始時点を基準として肩甲骨周囲筋の筋活動のタイミングを解析しており、実際の肩甲骨の上方回旋に対して肩甲骨周囲筋がどのようなタイミングで活動するかは明らかとなっていない。日常生活の場面では、さまざまな運動速度での上肢の拳上運動を行っている。先行研究において、拳上運動の肩甲骨運動は速度の影響を受けないと報告されている。しかし、運動速度が肩甲骨周囲筋の活動順序に与える影響については明らかになっておらず、これを明らかにすることは肩関節の運動を理解するうえで重要な情報となりうる。本研究の目的は、上肢拳上動作の運動速度の変化が肩甲骨上方回旋に対する肩甲骨周囲筋の活動順序に与える影響を検討することである。【方法】 対象は健常男性10名(平均年齢22.3±1.0歳)とした。表面筋電図測定装置(Telemyo2400, Noraxon社製)を用いて僧帽筋上部(UT)・中部(MT)・下部(LT)、前鋸筋(SA)、三角筋前部(AD)・三角筋中部(MD)の筋活動を導出した。また6自由度電磁センサー(Liberty, Polhemus社製)を肩峰と胸郭に貼付して三次元的に肩甲骨の運動学的データを測定した。動作課題は座位で両肩関節屈曲と外転を行った。測定側は利き腕側とした。運動速度は4秒で最大拳上し4秒で下制するslowと1秒で拳上し1秒で下制するfastの2条件とし、メトロノームによって規定した。各動作は5回ずつ行い、途中3回の拳上相を解析に用いた。表面筋電図と電磁センサーは同期させてデータ解析を行った。筋電図処理は50msの二乗平均平方根を求め、最大等尺性収縮時の筋活動を100%として正規化した。肩甲骨の上方回旋角度は胸郭に対する肩甲骨セグメントのオイラー角を算出することで求めた。肩甲骨上方回旋の運動開始時期は安静時の平均角度に標準偏差の3倍を加えた角度を連続して100ms以上超える時点とした。同様に筋活動開始時期は安静時平均筋活動に標準偏差の3倍を加えた値を連続して100ms以上超える時点とした。筋活動開始時期は雑音による影響を除外するために、筋電図データを確認しながら決定した。筋活動のタイミングは各筋の筋活動開始時期と肩甲骨上方回旋の運動開始時期の差を求めることで算出し、3回の平均値を解析に用いた。統計処理には各筋の筋活動開始時期と肩甲骨上方回旋の運動開始時期の差を従属変数とし、筋と運動速度を要因とする反復測定2元配置分散分析を用いた。事後検定として各筋についてのslowとfastの2条件をWilcoxon検定によって比較した。有意水準は0.05とした。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には研究の内容を十分に説明し同意を得た。なお本研究は本学倫理委員会の承認を得ている。【結果】 屈曲動作において、slow条件ではAD、UT、SAが肩甲骨上方回旋よりも早く活動を開始していた。一方でfast条件では全ての筋が上方回旋よりも早く活動を開始していた。分散分析の結果、筋と運動速度の間に有意な交互作用が得られ(p<0.01)、事後検定の結果、運動速度が速くなることでMTの筋活動は有意に早く開始していた。外転動作において、slowではMD、UT、MT、SAが肩甲骨上方回旋よりも早く活動を開始していた。一方でfastでは全ての筋が上方回旋よりも早く活動を開始していた。分散分析の結果、筋と運動速度の間に有意な交互作用が得られた(p<0.05)。事後検定の結果、運動速度が速くなることでMTとLTの筋活動が有意に早く開始していた。【考察】 本研究の結果、運動速度を速くすることで屈曲動作においてMTが、また外転動作においてはMTとLTの筋活動のタイミングが早くなることが明らかとなった。また運動速度を速くすると、肩甲骨の上方回旋の開始時期よりもすべての肩甲骨固定筋が早い時期に活動し始めていた。これは運動速度が肩甲骨固定筋の活動順序に影響を及ぼすことを示唆している。拳上動作の運動速度を増加させたことにより、速い上腕骨の運動に対応するためにより肩甲骨の固定性を増大させるような戦略をとることが考えられる。【理学療法学研究としての意義】 本研究の結果、運動速度に応じて肩甲骨固定筋に求められる筋活動が異なることが示唆され、速い速度での拳上動作では、肩甲骨の固定性を高めるために僧帽筋中部・下部の活動のタイミングに注目する必要があると考えられる。
著者
ローレンソン マシュウ 大塚 彰 二宮 正士
出版者
養賢堂
雑誌
農業気象 (ISSN:00218588)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.1-9, 2002-03-10
参考文献数
9
被引用文献数
1

仲介ソフトウエア、メットブローカは仲介機構によって作物モデルなど農業モデルに様々な気象データベースへの接続を提供する。本論文ではメットブローカを利用するソフトウエア開発の3つの手法(Javaアプレット、データ橋渡しJavaアプリケーション、Javaサーブレット)について議論する。ソフトウエア開発の参考としてそれぞれの手法を使ったアプリケーションを紹介した。Javaサーブレット以外の手法はクライアントのコンピュータにJava2の実行環境が必要となる。アプレットはソフトウエアの更新が行いやすいことが特徴で、多くのメモリが必要で、かつ起動時間が長いのが欠点である。クライアントのコンピュータで実行されるJavaアプリケーションはメットブローカを利用して気象データを検索し、それをファイルに書き込むことができる。このデータの橋渡し機能によってFORTRANやBASICといったJava以外の言語で記述された農業モデルが気象データを利用することができるようになる。Javaサーブレットとして実装された農業モデルは入出力をHTTPプロトコルで受け渡す。このようなモデルはインターネット接続が可能な携帯電話など簡単なブラウザーで利用できる。JavaビーンズからActiveXコントロールを作成する手法は現在取り組んでいる4番目の手法である。このコントロールによってVisual BasicなどのJava以外のビジュアルな開発環境を使用している開発者がMetBrokerを利用できるようになるだろう。
著者
永井 賀子 小川 恭生 萩原 晃 大塚 康司 稲垣 太郎 河口 幸江 鈴木 衞 富山 俊一
出版者
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.58-65, 2015-04-30 (Released:2015-06-01)
参考文献数
23

Autoimmune inner ear disease (AIED) was reported by McCabe in 1979 and was characterized by episodic vertigo and fluctuating hearing loss. Some patients develop total deafness and severe disequilibrium which disturbs their activities of daily living (ADL). Steroids or immune suppressing agents are used to control symptoms, but they have to be given repeatedly, because the symptoms tend to recur. We analyzed 22 AIED patients diagnosed by the presence of a 68kDa protein. The patients with low grade hearing loss showed some recovery of their hearing, However, hearing recovery was not noted in any patient with severe hearing loss. It is important to diagnose AIED and start treatment as soon as possible.
著者
網岡 尚史 渡邊 敦之 大塚 寛昭 赤木 達 麻植 浩樹 中川 晃志 中村 一文 森田 宏 小谷 恭弘 新井 禎彦 笠原 真悟 佐野 俊二 伊藤 浩
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.49, no.SUPPL.1, pp.S1_110, 2017-08-28 (Released:2018-08-28)

症例は17歳男性.4年前より運動時に胸痛,失神を認め,症状は増悪傾向であった.他院にて電気生理学的検査まで含めた諸検査を施行するも原因不明であり当院に紹介,入院精査となった.入院時に施行したトレッドミル負荷試験にて心電図上,aVRにST上昇が出現,補充調律に移行,また著明な血圧低下,胸部絞扼感,前失神症状を呈した.冠動脈の器質的異常を疑い冠動脈CTおよびCAGを施行したところ左冠動脈は右冠尖起始であり,主幹部は大動脈と肺動脈に挟まれ圧迫,変形していた.失神の原因は左冠動脈圧排による虚血と診断し心臓血管外科に紹介,手術加療の方針となった.冠動脈起始異常は臨床上,しばしば認められる先天的異常であるが,若年者の突然死の原因ともなり得る.若年者における繰り返す失神の一因として冠動脈起始異常は考慮すべきと考えられ,啓蒙的に報告する.
著者
大塚 章正 永田 寅臣 中村 航輔
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp."3P1-L01(1)"-"3P1-L01(3)", 2014-05-24

In full mold casting, polystyrene is used as a master mold that is usually machined by a CNC machine tool. The CNC machine tool costs higher and does not move more flexibly than an articulated industrial robot. We have proposed a trajectory following controller system for a machining robot based on CL (cutter location) data. In this system, the discrete trajectories at each sampling time are generated from position and orientation information in CL data that are made by post processor in CAM system. We applied the controller system to foamed polystyrene machining while changing conditions, such as foaming rate of polystyrene, feed rate of end mill and processing number of times. In this paper, machining results of a simple model are shown and discussed. Finally, we consider the method to reduce the machining time while keeping machining accuracy and products quality.

2 0 0 0 OA 藩制一覧表

著者
大塚武松 編
出版者
日本史籍協会
巻号頁・発行日
vol.上巻, 1929
著者
林 淑美 大塚 博 内藤 由直 中川 成美 兵頭 かおり
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、中野重治の肉筆原稿、書簡、日記などの調査と研究である。加えて、最近困難な状況にある文学館との協力の社会的意義の追求も目的である。近代文学研究において肉筆原稿等第一次資料の調査はきわめて大切であるが、調査の対象となる原物は適切に整理・保存・収集されねばならず、そのための作業は研究者の重要な任務である。中野重治の第一次資料を所蔵しているのは石川近代文学館、神奈川近代文学館、中野重治文庫記念坂井市丸岡図書館、日本近代文学館である。これら文学館との協力によって、本研究の肉筆原稿・書簡の整理と調査、戦後日記の翻字とデータ化等が実現した。
著者
橘内 勇 大塚 吉則
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.104, pp.205-211, 2008-03-31

“猫背”と呼ばれる不良姿勢は,腰や背中にかけての鈍痛をもたらす腰痛症,頚・肩凝りを主訴とする頚肩腕痛の原因となり,小・中学生の若年者から高齢者まで幅広い年代を悩ませる要因となっている。とくに近年,運動不足や不良姿勢が原因とみられる子供の肩凝りの報告も多い。今回,学童期の影響も関連すると思われる大学生を対象に,不良姿勢を自覚する者の割合やそれに伴う有訴率,各自の対処法についてアンケートを実施した。なお,得られた結果を要約すると下記の通りである。 1.自分の姿勢が悪いと思う男子学生は54%・女子学生は67%であった。 2.腰背部痛を有する男子学生は39%・女子学生は46%であった。 3.頚・肩凝りを有する男子学生は31%・女子学生は40%であった。 これらの結果は,「平成16年国民生活基礎調査の概況」による同年代の有訴率より極めて高いものであった。この背景には,授業中は座位を取り続けなければならない学生の特殊な環境要因も大きいと考えられた。
著者
大塚 雄一郎 根本 俊光 國井 直樹 花澤 豊行 岡本 美孝
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.119, no.9, pp.1225-1230, 2016-09-20 (Released:2016-10-07)
参考文献数
15
被引用文献数
2

甲状腺吸引細胞診の最も一般的な合併症である頸部腫脹には2つの機序が知られている. 1つは穿刺部からの出血による血腫形成 (甲状腺内と甲状腺外), もう1つは穿刺刺激に反応した腺内血管の拡張によるびまん性甲状腺腫脹である. 後者は過去の報告で acute and frightening swelling of thyroid と表現される重要な合併症であるが, 適当な名称がないため本文では便宜上 dTSaFNA (diffuse thyroid swelling after fine needle aspiration) と称した. われわれは甲状腺の吸引細胞診後の血腫形成を1例と dTSaFNA を2例経験した.
著者
小倉 剛 大塚 愛 川島 由次 本郷 富士弥 上地 俊徳 織田 銑一
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.149-155, 2000 (Released:2018-05-05)
参考文献数
21
被引用文献数
1

ジャワマングースの肛門傍洞内容物を用いた効果的な捕獲方法を検討するために, 肛門傍洞の形態の観察と肛門傍洞内容物に含まれる揮発性脂肪酸の同定を行った。本種の肛門傍洞の導管は, 肛門管皮帯内側に開口していた。肛門傍洞の分泌物貯留部は, 肛門管の左右に位置し, 直径は5mm程度で, 貯留部の一側の重量は平均約10mg/100g BWであった。組織学的には, 脂腺と考えられる発達した房状全分泌腺と, 観察頻度は極めて低かったが管状のアポクリン腺が肛門傍洞の周囲に観察された。肛門傍洞の内容物からは, 酢酸, プロピオン酸, イソ酪酸, 酪酸, イソ吉草酸および吉草酸の6種類の揮発性脂肪酸が同定された。また, 数種類の同定できなかったピークが存在した。雄の6種類の揮発性脂肪酸の構成比には一定の傾向が認められなかったが, 雌では酢酸が高い構成比を示し, イソ酪酸と吉草酸は低い構成比を示した。これらの傾向は, フィジーに移入された同種と類似していた。他の食肉目と比較した場合, 種特異的な揮発性脂肪酸は同定できなかった。今後, ジャワマングースの捕獲にこれらの成分を応用するためには, 未同定揮発性脂肪酸の同定と主要揮発性脂肪酸の季節や個体成長に伴う消長を把握する必要がある。