著者
DeyueDeng 大塚孝信 伊藤孝行
雑誌
研究報告知能システム(ICS)
巻号頁・発行日
vol.2013-ICS-171, no.2, pp.1-8, 2013-03-11

近年行われた情報フィルタリングの研究では,共起情報を導入し,フィルタリングの性能を上げるには,学習データが大規模となることで,膨大となる処理時間への対応が課題となっている.したがって,共起の単語数を増加させた場合,爆発的なデータ数となる共起を高速に処理する方法を考えることが必要である.ストレージの容量的問題もあるが,データの処理,プログラムとデータベース間協調の効率を向上することが重要となる.また,共起の増加に伴いノイズも増加するので,処理性能に支障をきたす可能性もある.本研究では既存手法では構築困難な大規模な共起データを本扱う手法を提案する.提案手法では,並列処理を用いて,実用的範囲で許容できる時間内学習過程や判定過程を実行できるフィルタリングを実装できる.
著者
渡辺 雅子 大塚 弘之 上月 康則 大田 直友 河井 崇 萬宮 竜典 岡田 直也 中野 晋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1233-I_1237, 2012 (Released:2012-09-18)
参考文献数
10
被引用文献数
5

希少種ルイスハンミョウの生息環境を代償する目的で,徳島県沖洲に人工海浜が造成された.ルイスハンミョウは海浜生態系の高次捕食者であるため,生息場所の物理的環境条件の模倣だけでなく,餌生物を含む海浜の食物連鎖の再現も目標とされた.人工海浜の概成後,2007-2010年におけるルイスハンミョウ出現数は年々増加しており,本ミチゲーション事業はその目的を達成したといえる.一方,希少種の保全と海浜の利活用を両立するためには,その主体となる地域住民とともに利活用のあり方を検討する必要がある.そこで,多様なステークホルダーによるワークショップが開催され,規制ルールが検討された.その結果,幼虫の生息環境保全のために人を対象とした侵入防止柵が設置され,また,環境維持におけるその有効性が検証された.このことから,協働による海浜の維持管理体制の構築の重要性が示唆された.
著者
大塚 達也
出版者
北海道教育大学
雑誌
語学文学 (ISSN:02868962)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.1-10, 2006-03
著者
大塚 尚実 其田 一 山崎 裕 北 飛鳥 宇留野 修一
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.7, pp.424-427, 2008-07-15
参考文献数
7

「氷上の格闘技」と呼ばれるアイスホッケーの試合中に,パックが頸部に衝突し,心肺停止で搬送された症例を経験したので報告する。症例は18歳の男性。アイスホッケーの試合中,相手のシュートで放たれた硬質ゴム製パック(重量約160g)が左耳後部に当たり,意識消失した。直後は自発呼吸があったがまもなく消失し,救急車内収容後に心静止となった。当院に搬入された際は心肺停止状態であり,瞳孔は散大し対光反射は消失していた。CPRを継続し,エピネフリン 1 mg投与後,自己心拍が再開した。左乳様突起尾側部に打撲痕が認められた。CT及びMRIを撮影したところ,くも膜下出血及び脳幹周囲血腫を認めた。自発呼吸,意識は回復しなかった。集中治療室に入室し,脳保護目的で低体温療法を行ったが,第 5 病日のCTでは低酸素脳症の所見であり,脳波・聴性脳幹反応ともに平坦であった。遠征中の事故であったため第 7 病日に地元病院に転院搬送となったが,搬送 7 日後に肺炎による呼吸不全を主とする多臓器不全により死亡した。アイスホッケーでは身体接触による外傷のほか,スケート,スティックやパックなどによる外傷も多数報告されている。そのため若年者ではより厳重に防具で身体保護を行っているが,シュートは成人で120-150 km/hにもなる。今回は防具の隙間に衝撃が加わり,脳幹周囲出血及びくも膜下出血を呈し,脳圧上昇によって脳幹が圧迫され,呼吸停止から心停止に至ったと推測される。同様の事故による複数の剖検例も報告されており,今後防具等の改善を検討する必要がある。
著者
大塚 浩一 江口 拓
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.40 Suppl. No.2 (第48回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.48101327, 2013 (Released:2013-06-20)

【はじめに、目的】地域在住高齢者の身体活動量は外出形態に関連し,中でも自転車運転の活動量は在宅高齢者の余暇活動量や外出量との関連性が見られるとされる(角田.2007).自転車運転に関連する先行報告としては視覚性認知機能や片脚立位保持能力の関連性は指摘されているが,現在自転車運転動作においてこれといった評価法は存在しない.今回脊髄梗塞を発症し2年経過した症例を経験し,訪問リハビリテーション(以下訪問リハ)にて短期間の介入で実生活での自転車運転を獲得した症例について,考察を交えて報告する.【方法】対象は約3年前にTh8.9の範囲にて脊髄梗塞を発症した67歳女性.訪問リハは発症1年後に開始.理学所見としてMMT両下肢外転及び伸展4,体幹3レベル.両下肢の表在感覚及び深部感覚の鈍麻を認める.関節可動域は両膝関節屈曲120°と軽度制限有り.MMSE30点.身辺動作自立しており屋外歩行自立.発症前は自転車及び自動車での移動自立されていたが,発症後は非実施.訪問リハ時の聴取にて自転車走行の再獲得が希望として挙げられた.具体的な目標として「自転車を自走して買い物に行く」と定めて評価・介入を開始した.事前評価として行った片脚立位保持時間は左右共に10秒以上可能.Trail Making Test(以下TMT)はpartA32秒、partB1分12秒であった.そして自動車運転余裕評価の先行報告を参考に(自動車交通安全センター.2000),立位での足踏み運動に聴覚刺激による振り向き動作を組み合わせた二重課題を実施したが問題なく遂行可能であった.またスタンドをした状態でのペダル操作,片足での床面支持,外乱に対してのブレーキ維持といった自転車の前提動作(今井.2009)も問題なく実施可能であった.それらの評価を行った後に実際の運転練習に移った.【倫理的配慮、説明と同意】症例にはヘルシンキ宣言にのっとって発表に関する趣旨及びプライバシー保護について,また自転車運転のリスクについて十分な說明を行い,同意を得た.【結果】運転練習開始初期は、走り初めの低速時にハンドルの動揺が著明に観察され介助が必要な状態であった.そのためPTが後方で介助しながら乗り始めのハンドル・ペダル操作を反復して練習した.訪問リハの無い日には,片脚立位練習やスタンドをしてサドルに座り,片足支持やペダルに足を着く・離す動作の自主練習を指導した.訓練開始後15日目にて低速時の動揺が改善し,ペダルの踏み直しや状況に応じた停止・再発進も可能になり,直線50m以上の運転が自立して可能となった.その後指定場所における一時停止,駐車車両脇の通過をそれぞれ安全に実施できるかを確認した.訓練開始後28日目にて目標の買い物先までの運転動作を実際にPT同行のもとで2回実施した.いずれも安全に実施可能である事を確認した後に,症例の日中の買物時における自転車運転での移動自立とした.【考察】今回訪問リハにて脊髄梗塞患者に対し自転車運転自立を目指して介入を実施した結果,運転自立の獲得に至った症例を経験した.先行研究を元に事前評価を実施しその後実演項目を経て自立に至ったが,実演項目における自転車運転の運動技能の評価についてはこれといった評価法や先行報告は存在しない.運動技能の要因として外界の状況の把握能力,動きの速さ,動きの正確さ,持続性があるとされる.そしてその評価としては,動作場面での誤りの減少や自由度の増加,そして努力量の減少にてある程度の評価が可能である事が示唆されている(丸山.2002).今回本症例に対して行った事前評価では,視覚性注意機能や身体機能面そして二重課題において著明な問題を認めなかった.その後実際の実演項目による運動技能の経過観察にて,低速時のブレに対して予期を働かせて上肢や体幹による動きの正確性に改善が見られた.更に外界や身体の状況に応じて適切に運転を中断する,再開するといった状況把握能力や一定距離を運転し続ける持続性も身についていった.それらの経過から症例は自転車運転の技能向上を認め,自立に至る事が出来たものと考えた.【理学療法学研究としての意義】高齢者の自転車運転については,自動車の運転同様自転車運転の自信が年代とともに上がる現象が見られており、自分の運転能力を客観的に評価させることも必要であるとされる(元田.2001).高齢者にとって重要な移動形態の一つである自転車運転の実用性の評価に対して,今回実施した先行研究による身体機能面・認知機能面の評価更には運動技能の観点からの理学療法士による客観的な評価・介入は有用な可能性がある.今後は地域在住高齢者を対象により妥当性のある評価方法の検討を進めていきたい.
著者
大塚 宏司 田仲 勝一 入船 朱美 井上 里美 北山 哲也 吉田 健太郎 新田 竜司 河野 正晴 廣瀬 友彦
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.C3P1432-C3P1432, 2009

【はじめに】2005年より、理学療法士(以下PT)として社会人サッカーチームに関わりトレーナー活動を行っている.本チームは現在、地域リーグに所属しているが、将来のJリーグ入りを目指して活動している.<BR>サッカー競技は非常に激しいコンタクトスポーツであり、ケガをするリスクも高い.ケガの予防に努めることはトレーナーとして非常に難しい責務でもある.競技スポーツの現場において、実際に起こったケガを調査・分析することで、サッカー選手におけるスポーツ傷害にどのような特徴があるのかを明らかにし、その予防策を示すことを目的とした.<BR><BR>【対象と方法】2005年~2007年の過去3年間に本チームに所属した選手92名の内、当院整形外科を受診した選手は32名で、件数はのべ49件であった.調査データーより(1)各年度の有疾患率(受診件数/各年度在籍選手数)を算出(2)外傷・障害の発生率(3)受傷機転(4)発生部位(5)発生時期(6)ポジション別発生状況(7)試合復帰状況を後方視的に調査した.<BR><BR>【結果】(1)各年度の有疾患率:05年27.5%・06年50.0%・07年85.1%であった.(2)外傷・障害の発生率:外傷が31件(63%)、障害が18件(37%)であった.(3)受傷機転:練習中26件(53%)、試合中23件(47%)に分類された.(4)発生部位:足関節・足部14件(28.5%)、膝関節10件(20.4%)、大腿部4件(8.1%)、下腿部3件(7.5%)であり、筋腱損傷では大腿部、靭帯損傷では膝関節・足関節が多かった.(5)発生時期:月別にみると4月が最も発生件数が多く、3月と5月と8月と続いた.(6)ポジション別発生状況:MFが20件(41%)で最も多く、ついでDFが16件(32.6%)、FWが10件(20.4%)、GKが3件(6%)であった.(7)試合復帰状況:重症度を1週間以内を軽症、1週間以上4週間未満を中等症、4週間以上を重症と分け、軽症:28件(57.1%)、05年5件・06年10件・07年13件、中等症:8件(16.4件)、05年0件・06年4件・07年4件、重症:13件(26.5%)、05年3件・06年4件・07年6件であった.<BR><BR>【考察】ケガの発生状況は下肢に集中しており、サッカーの競技特性と一致し、その6割がコンタクトプレイによる外傷が原因であった.各年度の有疾患率が増加したのは、チームドクターやPTが関わることでケガに対する意識が高まり初期症状のうちに受診してくる選手が増えたためと考えている.年度別にて重症例が増えていることに関しては、試合中におこるアクシデントにて長期離脱が余儀なくされたケースであった.
著者
大塚 一哉 木下 光 丸茂 弘幸
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.627, pp.1029-1036, 2008-05-30

This study aims to clarify the background of establishment and the development of policy about Hawker Centres in Singapore, and also the change of space of Hawker Centres. This study was analyzed on following 4 conclusions. (1) Hawker Centres were built to solve a problem of Hawkers who caused public health and a traffic problem. (2) Hawker Centres were designed building plan and section to maintain good hygiene environment. In addition, Hawker Centres are continued to improve the hygiene environment by "Hawker Centre Upgrade Programme" and various management policy. (3) Constructions of Hawker Centres were grounded on land-use planning. And Hawker Centres have various functions with different in location (Newtown or Industrial area or Inner City area). (4) Today, not only are Hawker Centres evaluated as a social welfare facility and a tourist facility, but also play important role as urban facilities.
著者
松本 洋俊 糸長 浩司 長坂 貞郎 大塚 肇
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.19(第19回環境研究発表会)
巻号頁・発行日
pp.331-334, 2005 (Released:2007-12-28)

本研究はエコロジカルな視点から、生物資源を効率的に活用したアクアポニックスシステムの開発を目的とし、まず養殖水中での栄養塩負荷の除去を図るため、各種濾材と植物を組合わせたシステムを構築し水質評価を行った。その結果、植物による一定の負荷除去効果を示した。また、コイ養殖とクウシンサイ水耕を組合わせたアクアポニックスモデルを構築し、養殖と水耕による栄養塩収支の評価を行った結果、栄養塩が若干増加傾向を示したが比較的養殖水質は栄養塩が低濃度で安定していた。バイオマス生産評価では、コイは飼育環境の季節による低温化に伴い良好な成長を図ることができなかったが、植物については濾材の違いによる成長特性について基礎的知見を得た。
著者
栗田 浩樹 大井川 秀聡 竹田 理々子 中島 弘之 吉川 信一郎 大塚 宗廣 岡田 大輔 鈴木 海馬 佐藤 大樹 柳川 太郎
出版者
The Japanese Congress of Neurological Surgeons
雑誌
脳神経外科ジャーナル = Japanese journal of neurosurgery (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.842-847, 2012-11-20
参考文献数
15
被引用文献数
1

Orbitozygomatic approachはpterional approachの応用で, より外側下方から頭蓋内高位を見上げる手法である. 本稿では, われわれが施行している基本手技 (1-piece method) について解説し, 脳血管外科領域における本法の臨床応用について検討したので報告する. 過去2年間に施行された脳血管外科手術290例 (脳動脈瘤直達術251, 脳動静脈奇形 [AVM] 摘出術39) のうち, 本法が適応されたのは7例 (2.4%) であった. 内訳はcoil塞栓術が困難と判断されたBA-tip AN 4例, 高位BA-SCA AN 2例と, 大型の左medial temporal AVM症例であり, 術後は全例で病変の消失が確認され, morbidityは1例にとどまった. Intravascular treatmentが普及した現在, 脳血管領域では使用頻度こそ少ないが, 広いsurgical corridorが得られる本法は, 高難易度病変に対して必要不可欠なapproachである.
著者
川西 利昌 大塚 文和
出版者
Architectural Institute of Japan
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.79, no.696, pp.201-207, 2014

Ultraviolet radiation may be cause the skin damage. In order to determine the shade to protect of the skin against ultraviolet radiation, it is necessary to know the radiance distribution of the sky ultraviolet radiation. Conventionally, the sensor of the sky radiance distribution has been generally swept using mechanical method. The mechanical sweeping method has the problems that sky conditions change during several minutes. Electronically sweep-type measurement equipment for sky erythema ultraviolet radiation equipped with 145 area of erythema ultraviolet sensors was developed, and it has become possible to measure the all sky in only three seconds. This research aims to measure the erythema ultraviolet radiance distribution for low latitude area using this measurement equipment. A regression equation of radiance distribution was made from measurement results. Architectural Sun Protection Factor of shade was calculated using the equation.
著者
橋本 好弘 森谷 きよし 大塚 吉則
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.109-119, 2008

消防活動は重装備の激しい活動であり,過労・ストレスによる隊員の死傷者が多い.本研究では,寒冷環境下における消防活動が隊員に及ぼす身体負担を経時的に分析し,休憩の必要性を検討した.北海道 S 市の消防隊員 71 名に対して 24 時間の拘束勤務中にホルター心電計を装着させ,消防活動中の心拍数変化を測定し,Wu <i>et al.</i>(2001)の maximum acceptable work duration(MAWD)でその負担を評価した.出動途上の平均最高心拍数は 145.5 拍/分であり,急激に心拍数が上昇していた.現場活動中の最大心拍数と活動時間には正の有意な(P<0.01)相関が認められた.小規模火災 2 件で MAWD を大きく超え,活動開始 5 分間の負担は平均で 92.6 並びに 93.6% heart rate reserve (HRR),活動全体の平均でも 72.3 と 70.2% HRR であった.災害現場での消防隊員の死傷事故減少には,寒冷環境下の小規模火災でも,火勢制圧後,隊員に休憩・交替を与え,過労・ストレスを軽減させる必要がある.<br>
著者
和智 妙子 渡邉 和美 横田 賀英子 大塚 祐輔 Lamb Michael E.
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.87.16002, (Released:2016-11-10)
参考文献数
19
被引用文献数
1

This study examined the relationships between the reasons for confessions and interviewing styles by administering a self-reported questionnaire to new male adult prison inmates across Japan. The three factors proposed by Gudjonsson and his colleagues (1991, 1992, 1994, 1999), namely, perception of proof, internal pressure, and external pressure, were investigated. When participants had decided to confess prior to interviews, they were more likely to confess due to perception of proof and internal pressure compared to their counterparts. Furthermore, participants who experienced a relationship-focused interviewing style, which stressed active listening and rapport-building while talking about the criminal incidents directly, were more likely to confess due to internal pressure and less likely to confess due to external pressure.
著者
岡本 雅雄 大塚 尚 西本 昌義 天野 信行 守 克則 羽山 祥生
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.107-112, 2014

鈍的外力による四肢主幹動脈の内膜損傷は,放置すると遅発性の血栓閉塞や仮性動脈瘤の形成などが危惧される。しかし内膜損傷の自然経過は十分に解明されていないため,非閉塞性動脈の内膜損傷に対する治療方針には議論の余地がある。今回,鈍的外傷による下肢動脈の非閉塞性内膜損傷2例に対し保存療法を行い,良好な経過を示したので報告する。症例1:21歳の男性。injury severity score 29,墜落外傷例であった。近医で出血性ショックに対する集中治療を受けた際,偶然に左総大腿動脈内膜損傷を発見され,動脈再建目的で転送された。搬入時の末梢循環は問題なく,造影CTではintimal flapを伴った広範囲の壁不整像を認めたが開存していた。ショック離脱直後の状態であり緊急性もないことから保存療法を行った。受傷後5.3年,造影CTでは動脈は狭窄なく開存しているが,壁不整像が僅かに残存している。症例2:41歳の男性。喧嘩の仲裁に入った際,右膝を過伸展し受傷した。近医へ搬送され阻血徴候を認め,造影CTでは膝窩動脈の造影効果の欠如を認めたため血行再建目的で転送された。しかし搬入時には末梢循環は保たれ,再検査では内膜損傷を認めたが開存しており保存療法を行った。受傷後2.2年,造影CTでは動脈は開存しているが,僅かな壁不整像を残している。自験例2例は,下肢主幹動脈の阻血症状を呈さない非閉塞性内膜損傷であり,遅発性血栓閉塞に備え血行再建を即座に行える体制下で保存療法を行った。最終観察時に僅かな動脈壁不整像を残し,今後も経過観察を要するが,臨床的には良好な経過と考えられる。近年,画像機器が発達し四肢主幹動脈損傷の診断が簡便かつ詳細に行えるようになったが,これに伴い非閉塞性内膜損傷に遭遇する機会も増えると推察される。今後は,詳細な画像分析と長期成績に基づいた非閉塞性内膜損傷に対する治療指針の確立が望まれる。
著者
大塚 玲 宮坂 由喜子 神園 幸郎
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.13-22, 1991-06-30

優れた暦計算能力をもつ自閉症者4症例に対して、その暦計算の処理機構について検討した。その結果、次のような知見を得た。1.本研究で対象とした4症例すべてにおいて、優れた記憶機能が介在していた。したがって、暦計算能力の出現の背景には優れた記憶能力の存在が想定された。2.暦計算能力の差異性を規定しているのは、暦の記憶範囲における違いもさることながら、暦の規則に関する知識量および暦の規則を利用した演算アルゴリズムの洗練度合に負うところが大きい。3.上記の観点から暦計算者の方略は、全面的な記憶依存による記憶依存型、簡単な暦の規則の適用によって記憶範囲外の年代を補う規則利用型、暦の構造から独自の演算方略を編み出し、利用するアルゴリズム主導型の3タイプに類型化された。
著者
土井 滋貴 大塚 智仁 高橋 晴雄
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.117, no.4, pp.409-415, 1997-03-20 (Released:2008-12-19)
参考文献数
24
被引用文献数
1

In this paper, an illuminating method with the 1/f-fluctuation is proposed to produce the peaceful lighting stage, because it is said that the 1/f-fluctuation will make a relaxed mental state.The light intensity from the normal light bulb is changed by the phase control in the A. C. power source with the 1/f-fluctuation signals generated by performing the First Fourier Transformation (FFT) on the normal random numbers and by passing through the 1/f-filter. The light power spectrum is measured by calculating the picture image from the CCD camera to check the tendency of 1/f-fluctuation in the illumination from the bulb, and also in the flame light from the candle. Physiological impression for the 1/f-fluctuating illumination is compared with the change of the heart rate in other lighting conditions: the normal lighting, and the flashing lighting using the random numbers. From the result of physiological measurements, the decrease in the heart rate for the proposed 1/f-fluctuating illumination is observed.