著者
大山 敬三 大須賀 智子
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.105-112, 2016-05-01 (Released:2016-05-01)
参考文献数
2
被引用文献数
1

情報学研究においては大規模データセットが不可欠となってきているが,実際には多くの課題がある。そこで国立情報学研究所では,民間企業などからデータセットを受け入れて研究者に提供する共同利用の取り組みとして情報学研究データリポジトリ(IDR)の活動を行っている。本稿では,最初にその背景にある大学や民間企業の状況を概観し,次に研究コミュニティーにおけるデータセットの位置付けの進展に沿ってその共同利用の意義を明らかにしている。また,IDRがデータセット提供のために民間企業や研究者に向けて行っている活動内容や,提供中のデータセットとそれらの利用状況について紹介し,最後に今後の展望を示している。
著者
時実 象一 井津井 豪 近藤 裕治 鶴貝 和樹 三上 修 野沢 孝一 堀内 和彦 大山 敬三 家入 千晶 小宮山 恒敏 稲田 隆 竹中 義朗 黒見 英利 亀井 賢二 楠 健一 中西 秀彦 林 和弘 佐藤 博
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.555-567, 2011 (Released:2011-12-01)
参考文献数
40
被引用文献数
2

現在海外では科学技術医学分野における主要学術雑誌の論文はほとんどPDFとともにHTMLでオンライン公開されている。これらは内部的には各種SGMLまたはXMLで編集されているが,外部に対しては,ほとんど米国医学図書館(National Library of Medicine: NLM)が策定したNLM DTD(NLM Journal Archiving and Interchange Tag Suite)にしたがったXMLで流通している。しかし日英混在の書誌・抄録・引用文献情報を持つわが国の多くの学術論文は,英語世界で生まれたNLM DTDで適切にXMLで表記することができなかった。筆者らはこのNLM DTDを,日本語を含む多言語に対応できるよう拡張するためのワーキング・グループSPJ(Scholarly Publishing Japan)を結成し,米国のNLM DTDワーキング・グループと連携しながら検討・提案を行った。その結果は2011年3月にNISO(National Information Standards Organization)のJATS(Journal Article Tag Suite)0.4(NLM DTD 3.1が移行)における多言語機能として公開された。本稿では,学術論文におけるSGML,XMLなどマークアップ言語の利用の歴史を振り返るとともに,SPJの活動の経緯,実現したJATS 0.4の概要について述べる。
著者
大山 敬三 時実 象一
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.544-553, 2011 (Released:2011-01-01)
参考文献数
18

科学技術情報流通技術基準(SIST)のうち1985年に制定された「SIST 07:学術雑誌の構成とその要素」および1986年に制定された「SIST 08:学術論文の構成とその要素」の改訂を行った。改訂の動機となった電子ジャーナルの普及や国際的基準の整備などの背景と,改訂の主要な内容について解説した。
著者
大山 敬
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.122, no.12, pp.842-845, 2002-12-01 (Released:2008-04-17)
参考文献数
5
著者
大須賀 智子 大山 敬三
雑誌
情報処理学会論文誌デジタルプラクティス(DP) (ISSN:24356484)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.47-56, 2021-04-15

データサイエンス研究の進展には,現実性のある十分な規模のデータを多くの研究者が共通に利用できることが不可欠であるが,多くの領域ではそのようなデータの確保に種々の課題がある.国立情報学研究所の情報学研究データリポジトリ(IDR)では,情報学および関連分野に資するため,産学界等と大学等の研究者とを媒介し,データセットの共同利用に取り組んでいる.本稿ではまず,データセット共同利用の意義について述べる.次に,IDRにおけるデータセットの取り扱いに関して,企業等からの受け入れ,研究者への提供,提供後の利用者の管理と利用状況の把握,およびデータDOIの付与について各処理内容を説明する.続いてデータセット提供実績および利用者による研究成果の状況,並びに研究者コミュニティに対する活動支援の取り組みについて示す.筆者らは本活動を通してデータセット共同利用の実現における課題を発掘し理解を深化させ,対応策を案出して実践しており,データセットの受け入れにおける調整事項や利用上の制限事項などはこれらの知見を反映させたものとなっている.
著者
大山 敬三 神門 典子 佐藤 真一 加藤 弘之 日高 宗一郎
出版者
国立情報学研究所
雑誌
学術情報センター紀要 (ISSN:09135022)
巻号頁・発行日
no.12, pp.111-120, 2000-03
被引用文献数
1

学術情報センターで開発中のオンラインジャーナル編集・出版システムは,学協会や大学が刊行する学術雑誌の執筆・編集・出版のすべての工程を電子化・オンライン化し,学術研究成果の流通を効率化するものである.学協会が運用して編集に利用するインハウスシステムは多様な編集部体制や文書形式に対応できる設計となっている.学術情報センターが運用してオンライン出版に用いるシステムは強力な検索能力を持ち,多数の購読者支援機能を提供する.本稿では,このシステムについて,著者,編集担当者,購読者などの視点からの機能や利用方法を説明し,学協会における活用方法を紹介している.
著者
大山敬三 神門 典子 佐藤真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告デジタルドキュメント(DD)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.57, pp.33-40, 1999-07-16
被引用文献数
1

学協会や大学などの学術機関から刊行されている学術雑誌のオンラインジャーナル化を支援するためには,多様な編集の体制や工程,投稿方式,文書ファイル形式,計算機環境などに対応できる柔軟な編集システムを構築する必要がある。著者らは,管理業務に関わる編集管理システムと,原稿自体を扱う文書処理システムをサブシステムとして構成する方式を提案して実現した。この文書処理システムでは,個別の文書ファイル形式,工程ごとの文書処理ツール,文書のバージョン,ファイル実体などの管理,および文書処理ツールの起動・監視などの機能をカプセル化し,異なる文書ファイル形式の混在や新しい文書処理ツールの導入などが容易にできるようになっている。In order to support academic institutions (e. g. academic societies and universities) to publish their scholarly journals on-line, it is necessary to develop a flexible editing system that can adapt to variety of editing organizations and flows, submission methods, document formats, and computer environments. The authors proposed and implemented a system configuration consisting of two independent subsystems, an editing management subsystem and a document processing subsystem. The document processing subsystem encapsulates the management of document file formats, processing tools, document version control, and physical location of document files. It enables editing of heterogencous documents and easy introduction of new tools.
著者
柿沼 澄男 孫 媛 西澤 正己 大山 敬三 根岸 正光
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.174-178, 2009-05-16 (Released:2009-06-27)
被引用文献数
3

産学連携の状況は,これまで共著論文,特許引用,産学連携統計により示されてきた.筆者らは,これらの指標とは別に,大学のWeb サイトに現れた情報により,産学連携の状況を分析・計量化することに取り組んでいる.本報告においては,7大学(北海道大学,東北大学,東京大学,名古屋大学,京都大学,大阪大学,九州大学)のWeb サイトに現れた産学連携に関する情報を整理分析した結果,明らかになった特徴を示す.
著者
矢代 寿寛 大山敬三
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.34, pp.53-60, 2008-03-28

デジタルアーカイブの増加や書籍のデジタル化に伴い、文化情報資源のメタデータと資源形態が多様化したため、エンドユーザだけでなく管理者側も網羅的にアクセスパスを把握することが困難となっている。本稿では、貴重書をはじめとする文化情報資源にもたらされたアクセスの問題を解決するため、文化情報資源のアクセス可能性を通覧的に提示する手法を提案する。既存メタデータに基づくアクセス可能性を通覧的に提示することで、エンドユーザのアクセス支援と管理者側のコレクションマネジメントとリソースマネジメント支援を可能にする。手法の持続可能な実装のあり方として、今後検討していく二通りのシステム設計モデルについて述べる。With the increase of digital archives and digitize books projects, digital objects providers also need to comprehend access paths as well as end-users. This paper describes a presentation of accessible culture resources take rare book an example. We discuss a method of overview presentation of accessible cultural resources by multiple existing metadata. In addition, we argue that the method is useful for end-users and digital objects providers. The last part of this paper will focus on an implementation of system models.
著者
中渡瀬 秀一 大山 敬三
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.25, 2011

本発表では、大規模検索ログに含まれるキーワード構造の解析を用いて検索対象となる情報の主要なタイプを抽出する手法を提案する。事前調査によりクエリには特有の形式があることが判明しており、本手法ではこれを利用した。実験の結果、多くの専門サイトで扱われている情報タイプが抽出できることを確認した。
著者
孫 媛 根岸 正光 宮澤 彰 大山 敬三 西澤 正己
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

産官学の研究連携に関して,企業が先導役を果たすNational Systems of Innovation(NSI)モデルに代わり,Triple Helix(三重螺旋)モデルが国際的に注目されるようになっている。本研究は,産官学問の連携活動を反映すると考えられる産官学の共著論文データに注目し,その分析を通してTriple Helix的連携の浸透の実態を実証的に明らかにすることを目的とする。まず,日本の学会誌論文を対象とした「引用文献索引データベース」(CJP)を用いて,名寄せ,所属機関の同定およびセクター分類方法の検討等を行った上で,日本の研究ネットワークの実態分析を試みた。とくに,産学連携関係からみた各大学の特徴・類似度,大学に対する企業の研究依存度,産学連携が盛んな上位大学および企業の個別性を重点的に分析した。和文論文の共著分析として初めての研究であり,今後の研究可能性を示す役割も果たしたと考える。つぎに,米国の引用索引データベース(NCRJ)を用いて,国際・国内雑誌への投稿論文に基づく比較・分析を行った。その結果,企業と大学の協力関係は対等とはいえず,大学側から見たときの企業の役割の重要さは,企業側から大学を見るときのそれに及ばないことが判明した。1995年前後を境として大学が企業との共同研究から離れる様相も明らかになった。また,企業の基礎研究離れ,企業にとっての国内学会誌の役割の大きさ,産学連携の取り組みにおける大きな分野差・地域差,産学連携が特定の地域に集中する趨勢が近年一層強まっていることなども明らかになった。これらの成果は国際・国内学会で発表したほか,国際・国内学術雑誌にも投稿し,内外の研究者との意見交換・情報発信を積極的に行った。わが国の科学技術政策を論じるために,本研究のような統計的分析,計量的評価を地道に展開する必要があると考え,これまでの成果を踏まえて,今後さらにさまざまな観点からの研究を継続する予定である。