著者
的野 晃整 小島 功
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.33-45, 2009-03-31

本稿では,分散環境における RDF 問合せ処理の効率化を目指し,ブルームフィルタを拡張して転送量を減少させる手法を提案する.RDF はメタデータ記述のための枠組みで,近年様々な応用分野に広く利用されており,各地でボトムアップに作成・管理されている.それらの分散した RDF データに対して,横断的・包括的な問合せを行いたいという要求が高まっている.これまで,分散 RDF データ検索に関する研究はいくつか提案されているが,それらの多くは,トップダウンに配置した RDF データに対する処理手法やトリプルパターンマッチングのような単純な検索に関する研究が主であった.我々が提案する手法のような,ボトムアップに作成された RDF データに対して,結合や和集合などの演算を含む高度な問合せ処理の効率化を目指した研究は,これまでほとんど行われていない.提案手法では RDF トリプルに対応した 3 次元のブルームフィルタを用い,問合せ処理時にブルームフィルタ間でビット演算を行うことで,リモート RDF データへアクセスする前に,そのデータが解に含まれているかどうかを判断することができるため,データ転送量を削減でき,処理時間の減少につながる.我々は,RDF 問合せ言語 SPARQL を処理するプロトタイプシステムを作成し,分散環境における RDF データ問合せ処理の効率が向上することを実験によって確認した.
著者
小島 望
出版者
川口短期大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は,森・川・海と人と暮らしのかかわりのなかで,地域で長く受け継がれてきた「伝統 知」の掘り起しを行ない,同時に,自然環境が開発等人為的影響によってどのように変化してきたかについて,①現地での聞き取りやアンケート調査,②文献検索によって明らかにすることが目的である.調査地はおもに,熊本県人吉市(球磨川流域),徳島県那賀町の2ヵ所を中心とするが, 隣接する周辺地域や,特徴的な伝統的農林水産業を営んでいる場所についてはこの2ヵ所に限らず調査を行なっている.①現場での聞き取りから,例えば球磨川流域では,かつての人々の暮らしが詳細にみえてきた.かつてこの地には「水害」という言 葉はなく,台風や集中豪雨の際には,川と上手くつき合ってきた歴史や知恵が集積されている.数々の「伝統知」を集めることができた.しかし,科学的な災害対策,特に河川工学的治水対策が中心となった特に戦後以降は,それら「伝統知」は通用しなくなり,姿を 消していった.球磨川に幾つものダムができて以来,同時に,地域住民と川との関係が変化していったのは当然であろう.このような 背景があったからこそ,川辺川ダム計画は中止されたといえる.那賀町(旧木頭村)においては,山や川と深く関りをもった伝統的な暮らしを探ることによって,戦後の経済成長政策が中山間地を犠牲に成り立っていたかを考察するための材料を得ることができた.また,拡大造林や下流域のダムの影響など近代化によって「伝統知」が失われつつあったが,ダム建設反対運動を通して,かつての人と自然のつき合い方が問われたという事実が見い出すことができた.②収集した様々な資料によって,日本各地での伝統的な川や山と人の暮らしの比較検証を行なうことで,今後の農林水産業のあり方 や,ダムを中心とする河川構築物が水産業へいかに大打撃を与えたのかについての様々な情報を得ることができた.
著者
小島 満
出版者
富山大学経済学部, 富山大学経営短期大学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.480-499, 1978-03

本稿で取り上げる多属性態度モデルは,主に社会心理学で構築された態度理論に依拠しながら,消費者行動に特有な情況を反映すると共に,消費者の選好を伝統的方法とは異なり,そこに顕在化する認知構造から直接説明し,予測しようとするため,叙上の対照的な接近方法を総合化する契機を内包するといえよう。しかし,このモデルが夥しい数の実証的研究を誘発させるにしたがって,それら研究のあいだに用語法,測定法,分析方法などの多様化をもたらしているため,このモデルは現状で、は未だ十分な説明力をもつに到っていないと考えられる。本稿の課題は多属性態度モデルとして総称される幾つかの主要なモデルを取り上げ,そこに伏在する問題点を行動諸科学の成果から再検討して,モデルと購買状況との対応に関する仮説を提示することにある。
著者
荒 勝俊 吉松 正 小島 みゆき 川合 修次 大久保 一良
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.377-387, 2002-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
38
被引用文献数
1 3

(1) 日本の伝統的発酵食品である醤油から豆乳発酵食品の呈味性改善効果の高い乳酸菌としてS85-4株を見出した. (2) 豆乳の呈味性改善効果の高いS85-4株の同定を行ったところ,Streptococcus thermophilus又はStr.mitis近縁の株である事が判ったが,糖の分解性が若干異なる事から新規の乳酸菌としてStr. sp. S85-4株と命名した. (3) 各種乳酸菌(標準菌)を用いて豆乳発酵を行ったところ,Str. cremoris, Str. lactis, Str. diace. tilactisに改善効果を見出した. (4) 各種乳酸菌を用いて乳酸発酵を行い,得られた発酵液のHPLCによる分析を行ったところ,豆乳発酵において呈味性改善効果の高かった分離乳酸菌Str. sp. S 85-4株及び標準菌のStr. cremoris, Str. lactis, Str. diacetilactis共に大豆の不快味成分であるダイジン及びゲニスチンといった大豆イソフラボン類に変化は認められなかった.また,呈味性が改善されなかったLactobaeillus caseiなどの発酵液では,ダイジン及びゲニスチンが分解されてアグリコンであるダイゼイン及びゲニスティンに変化する事を見出した. (5) 分離乳酸菌Str. sp. S85-4株で製造した豆乳発酵食品をTLCで解析したところ,新たな糖の生成が認あられた.また新たな糖を含む画分を豆乳に加える事で大豆特有の収斂味が低減し,呈味性が大幅に改善する事が明らかとなった.
著者
小島 穣
出版者
日経BP社 ; 1992-
雑誌
日経情報ストラテジー = Nikkei information strategy (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.24, no.12, pp.18-21, 2016-01

—セブン&アイ・ホールディングスが「omni7」をオープンさせるなど、流通業のオムニチャネル対応が本格化しています。エービーシー・マートが2012年11月に導入した「iChock(アイ・チョック)」はそれを先取りしたサービスではないでしょうか。小島 お客様が買い…
著者
小島 一範 山本 亜希江 鎌井 大輔 槌谷 祐二 尾嶋 紗季 仕田中 美穂 渡邉 進
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.315-319, 2016 (Released:2016-04-29)
参考文献数
19
被引用文献数
1

〔目的〕訪問リハビリテーション利用者における,足趾把持力のバランス能力に対する重要性を検討するためにこれらの間の関係を調べることとした.〔対象〕立位姿勢を30秒以上とれる訪問リハビリテーションのサービスを利用している者33名とした.〔方法〕足趾把持力と開眼での片脚立位時間を左右ともに3回測定しその中での最大値を採用した.足趾把持力と片脚立位時間との関係をSpearmanの順位相関係数により解析した.〔結果〕足趾把持力と片脚立位時間との相関係数はr=0.776と正の高い値を示した.〔結語〕今回明確化された足趾把持力と片脚立位時間との高い相関は,足趾把持力のバランス能力における重要性を示す.
著者
伊藤 慎吾 市川 亮介 本庄 薫平 河合 雅也 田代 良彦 丹羽 浩一郎 石山 隼 杉本 起一 神山 博彦 高橋 玄 柳沼 行宏 小島 豊 田中 真伸 五藤 倫敏 冨木 裕一 坂本 一博
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
雑誌
Progress of Digestive Endoscopy (ISSN:13489844)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.142-143, 2014-06-14 (Released:2014-06-21)
参考文献数
5
被引用文献数
1

A 68-year-old woman was admitted to the hospital with lower abdominal pain. Abdominal CT revealed a long linear high-density foreign object measuring about 3 cm long, which had penetrated the wall of the sigmoid colon. Emergency endoscopy was performed, because the patient was diagnosed as having possible penetration of the sigmoid colon by a fish bone. The emergency endoscopic examination revealed a fish bone penetrating the sigmoid colon, which was removed with grasping forceps. The removed bone measured 3 cm in length and was believed to belong to a sea bream. The patient was treated conservatively without any complications. For intestinal perforation and penetration caused by a fish bone, such as in our case, endoscopic treatment may be considered as the treatment procedure of first choice.
著者
小島 隆司
出版者
日本眼光学学会
雑誌
視覚の科学 (ISSN:09168273)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1-6, 2016 (Released:2016-05-03)
参考文献数
10

円錐角膜の診断, 治療は近年著しく進歩している。診断面では角膜前後面を測定できる器機が開発され, より初期から診断が可能になっている。収差の解析では角膜, 眼内と分離して把握が可能になっている。これらの診断器機開発により治療面でも大きな変化が起きている。進行予防の角膜クロスリンキング治療や角膜リング, コンタクトレンズ治療, 角膜移植なども光学的な変化を考慮して論じられるようになってきている。
著者
小島 龍平
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第28回日本霊長類学会大会
巻号頁・発行日
pp.74, 2012 (Released:2013-11-01)

ニホンザル広背筋の筋線維タイプ構成を検索した.骨格筋試料は10%ホルマリンによる注入固定を施され,同液中に約14年間保存された標本から採取した.筋線維タイプの判別は免疫組織化学手的手法を用いて行った.筋の起始と停止の中央付近で筋腹の全横断面をカバーするように切片を作成した.一次抗体として市販のモノクローナル抗体(抗速筋型MHC抗体としてclone MY-32,Sigma,抗遅筋型MHC抗体としてclone NOQ7.5.4D,Sigma)を用いて間接蛍光抗体法により染色した.筋線維タイプ構成をあらわすパラメータとして遅筋線維の数比(%ST)を求めた.広背筋の%STは35~40%程度の値を示した.背側部の筋束に比べ腹側部の筋束の方が速筋線維の比率がやや高いようにも思われたが,その違いは大きなものではなかった.すでに検索した同一個体の他の骨格筋の%STは,腓腹筋外側頭:21%,ヒラメ筋:96%,僧帽筋頭側部:56%,同尾側部:34%,板状筋内側部:58%,同外側部42%,腹直筋:25~30%,外腹斜筋:24~39%,内腹斜筋:25~32%,腹横筋:25~33%であった.広背筋の筋線維タイプ構成は,腓腹筋外側頭に比べればやや遅筋線維の数が多いが,比較的速筋線維優位の構成を示した.広背筋は上腕骨近位部に停止し,肩関節を伸展する(上腕骨を尾方に引く)大きな筋である.速筋線維優位の筋線維タイプ構成を示すことは,四足移動時の駆動力として,あるいは樹上活動時に短時間に大きな力を発揮するような働きが優位であることを示唆する.また,広背筋は広い範囲にわたって起始する.今回の検索では,背腹方向で部位により筋線維タイプ構成に大きな違いはみられなかったが,さらに部位間の機能的な特性の違いについてより詳細に検討する必要があると考える.また体幹と肩帯や上腕骨とを連結する筋群の中での広背筋の特性について検討する必要があると考える.