著者
小柳 諒輔 小島 昇 夏目 季代久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.69, pp.21-25, 2013-05-27

私たちの日常の行動は主観的な嗜好性よって左右されている。最近、嗜好性に関連する脳波研究が行われ初めて来た。研究のほとんどは、どちらの顔が好きか、等視覚的な嗜好性の研究である。その研究では、前頭部θ波と、後頭部γ波が嗜好性に関与していると報告された。一方で、音楽は私たちにリラックス効果があり、ストレスを軽減してくれる。音楽療法は記憶障害患者、障害者に使用される。その効果は、好きな音楽を聴いた時、最大となる。従って、個々人の音楽嗜好性調べる事は脳波を用いる音楽療法にとって重要である。5名の健常男性(23.5±0.5歳(平均±標準偏差))に実験に参加して貰った。彼らは、30-35秒音楽を聴き、10秒間好き嫌いを判断した。その間、脳波測定を行った。音楽は、5-8ジャンルの20曲を聞いて貰った。脳波は高速フーリエ変換した後、4-8Hzのθ波、8-12Hzのα波,12-30Hzのβ波,30-50Hzのγ波の各周波数パワー値を計算した。さらに、パワー値をフィーチャーに1次元の交差判定を線形判別分析(LDA)を用いて行った。その結果、嗜好判断時、前頭部θ波パワー値は、好き判断時、嫌い判断時に比べて有意に高かった。一方、音楽聴取時及び嗜好判断時、後頭γ波のパワーは好き判断時より嫌い判断時の方が有意に高かった。交差判定の結果から、後頭γ波、前頭α波、γ波をフィーチャーにした場合、判別正解率が高かった。以上のことより、後頭γ波が嗜好判断に関わる脳波かもしれない。
著者
小島 弥生 Yayoi KOJIMA
出版者
埼玉学園大学
雑誌
埼玉学園大学紀要. 人間学部篇 = Bulletin of Saitama Gakuen University. Faculty of Humanities (ISSN:13470515)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-74, 2011-12-01

賞賛獲得欲求と拒否回避欲求という2つの異なる承認欲求について、先行研究においては個々の欲求が人の認知や行動に与える影響力や認知・行動との関連の検討は行われてきたが、2つの承認欲求がともに強い人の特徴は明らかにされていない。本研究では認知的方略としての防衛的悲観性が、2つの承認欲求がともに強い人にみられる認知的方略であることを明らかにすることを試みた。大学生を対象とした調査研究から尺度得点の比較を行い、賞賛獲得欲求と拒否回避欲求のともに強い人が防衛的悲観性を有している可能性が示唆された。
著者
小島 真奈美 藤田 郁代
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.222-230, 2011-06-30 (Released:2012-07-01)
参考文献数
16

アラビア数字の書取に誤りを呈した伝導失語 1 例と Broca 失語 1 例について,個々の数字部分の処理と桁の処理という観点から,誤りの特徴と誤りが生じたレベルを検討した。方法として,0 を含む数と含まない数の「数の書取テスト」と,数字と桁の処理を個別にみる「数字テスト・桁テスト」を作成し実施した。その結果,伝導失語例には数字の誤りを多く認め,Broca 失語例には数字の誤りに加えて桁の誤りを認めた。誤りが生じたレベルについては,両例の数字の誤りはアラビア数字を書く前の復唱のレベルで生じ,Broca 失語例の桁の誤りは,復唱後にアラビア数字を書字するレベルで生じた。以上から,両例の数字の誤りは,Dehaene ら (1995) のトリプルコードモデルの言語フレームにおける数字の処理の誤りであり,Broca 失語例の桁の誤りは,視覚アラビア数字形式における桁の処理の誤りと考えられた。
著者
加藤 直志 小島 千枝子 小野 高裕 近藤 重悟
雑誌
リハビリテーション科学ジャーナル = Journal of Rehabilitation Sciences
巻号頁・発行日
no.9, pp.27-38, 2014-03-31

本研究では,"綿チップ押しつぶし" 課題の有用性について検討した.第1実験では,嚥下障害者を含む102 名を対象に"綿チップ押しつぶし" 課題後の綿球のつぶれ具合とJMS 舌圧測定器の最大舌圧の相関分析,回帰分析を行い,綿球のつぶれ具合で舌圧を推測できるかを調べた.第2実験では,健常若年者20 名を対象に,綿チップ押しつぶしを教示に用いた嚥下(MS),Effortful swallow(ES),普通嚥下の舌圧発現様相を比較し,嚥下課題の教示に用いることの有効性を調べた.その結果,第1実験では,舌圧=12.117 + 67.961 ×綿球水分変化量の回帰式が得られ(R2 =0.568),第2実験では,MS はES とほぼ同等に舌圧持続時間と舌圧最大値が高値を示し,さらに,MS では綿チップの押しつぶし課題でターゲットとした部位の舌前方部(Ch1)の舌圧発現が他測定点より有意に早く,Ch1の舌圧持続時間はES より有意に延長した.以上のことから,"綿チップ押しつぶし" 課題は,嚥下訓練において多彩な訓練ツールとして用いることができることが示された.
著者
塩見 雄佑 杉 正夫 太田 順 大久保 強志 山本 政 小島 浩 井上 和佳
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2007年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.973-974, 2007 (Released:2007-09-01)

板取問題は加工業において,利益を左右する重要な問題である.板取問題に関する研究は幅広く行われているものの,実際の製造において重視される制約を十分に反映しておらず,研究成果を適用できる現場が限られてしまう.本研究では,実際の加工業への適用を想定し,カッティング方法やコストなどの現実的な制約を考慮した板取問題を扱う.
著者
チェン ドミニク 小島 大樹 岡 瑞起 池上 高志
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.2D2OS21a04, 2018 (Released:2018-07-30)

オンライン空間での静的なテキストによるコミュニケーションには実世界の対面型コミュニケーションにおける身体化された情報に欠けている.本研究では,タイプトレースという執筆プロセスの記録と再生を可能し,そのプロセスの中の時間的なゆらぎを可視化するウェブソフトウェアを用いることで,デジタルな文章のコミュニケーションに生命性を実装しようとするものである.本稿では予備実験の設計と結果について説明し,今後の展望について議論する.
著者
吉益 光一 藤枝 恵 原田 小夜 井上 眞人 池田 和功 嘉数 直樹 小島 光洋 山田 全啓 窪山 泉
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.66, no.9, pp.547-559, 2019-09-15 (Released:2019-10-04)
参考文献数
55

目的 精神科救急医療体制の構築と関連する法律の整備に関して,現代の日本における課題を明らかにし,解決策を探ること。方法 日本公衆衛生学会モニタリング・レポート委員会精神保健福祉分野のグループ活動として,2014年度から2017年度にかけて精神科救急および措置入院に関する情報収集を行った。各年次総会に提出した報告書を基に,必要に応じて文献を追加した。結果 地域における精神科医療資源の偏在や,歴史的な精神疾患に関する認識の問題なども絡んでいるため,全国均一的な救急医療システムの構築のためには越えなければならないハードルは高い。また,強制入院の中で最も法的な強制力が強い措置入院制度に関しては,その実際的な運用を巡って全国でも地域差が大きいために,精神保健福祉法に,より具体的な記載が盛り込まれるとともに,厚生労働省から一定のガイドラインが提示されている。とくに近年は凶悪犯罪事件との関連を巡って,社会的にも関心が高まっており,一部では措置入院の保安処分化を懸念する声が上がっている。精神疾患は今や五大疾病の一つに位置づけられているが,その性質上,生活習慣病などに比べて,疫学的エビデンスが圧倒的に不足しており,これが臨床や行政の現場での対応に足並みが揃わない主要因であると考えられる。結論 日本公衆衛生学会は,医療・福祉・行政などに携わる多職種から構成される学際的な組織である強みを活かして,多施設共同の疫学研究を主導し,措置入院解除および退院後の予後に関する,すべての関係自治体が共有しうるデータベースとしての疫学的エビデンスの構築を推進する役割を担っている。
著者
小島 紀徳 堀内 都雄
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.43-50, 1997 (Released:2013-02-19)
参考文献数
11

植物プランクトンによる窒素の取り込み速度と施肥された肥料の海洋表層の水平方向の拡散を考慮した海洋表層の拡散モデルを用いて, 施肥により有効に利用される肥料 (窒素) 分を計算し, さらに船舶による窒素, リン肥料の輸送のエネルギー的評価を行い, 散布方法を検討した. その結果, 船舶からの散布された肥料は施肥1日後には表層中を1km以上まで均一に拡散し, その後徐々に植物プラントンに取り込まれることがわかった.半径10km程度の海域に, 大気に残留する二酸化炭素の約1/500を全量吸収することができる量の溶存無機態窒索を均一に散布した場合には, 散布後1年の間に表層中の溶存無機態窒素はほぼ全量が有機物として取り込まれた. 有機物は半径100kmから200kmのオーダーまで拡散した. その間一部は有機物となる前に溶存無機態窒素として深海に移動するが, その量は1/104以下と非常に小さいことがわかった. このことから, 施肥された肥料は表層の水平方向の混合によりすばやく拡散しながら植物プランクトンにより取り込まれるため, 散布された肥料のほぼ全量が大気中の二酸化炭素の海洋への吸収に寄与することがわかった.また船舶運行に必要なエネルギーから放出される二酸化炭素量は散布範囲を広げても, 施肥による大気中二酸化炭素の固定量の約0.23%であり, 肥料製造に必要なエネルギーから放出される二酸化炭素量と比べると1/50以下程度で無視できるほど少ないことがわかった.以上, 本研究では, 光合成速度, 散布法を仮定し, 光合成による二酸化炭素の取り込みの遅れ, あるいは水平方向に広く散布するための船舶運行のためのエネルギーを算出したところ, いずれも無視できるほど小さく, 多少の光合成速度, あるいは散布条件の違いでは, 既報で得た結論には大きな変更をもたらさないことを明らかにした. 本報では表層中の有機物濃度上昇の環境影響についての評価は行ってはいないが, この点についての危惧を考えると, 本報で仮定したよりもさらに広範囲に均一に散布することが望ましいとの結論にいたるものと考えられる.
著者
山田 政寛 岡本 剛 島田 敬士 木村 拓也 大久保 文哉 小島 健太郎 緒方 広明
出版者
九州大学基幹教育院
雑誌
基幹教育紀要 = Bulletin of kikan education (ISSN:21892571)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.61-72, 2016

Higher educational organizations are required to improve educational quality recently in order to faster active life-long learners, and take several educational methods for that purpose such as the establishment of learning support out of class settings for active learning. Portfolio, in particular, e-portfolio is one of the helpful tools to promote the reflecting and planning of learner's learning outcome, which play an important role in the promotion of active learning. £-portfolio allows learner to store, manage, access, and maintain their learning outcome using electric devices, on the other hand, it has the functional limitations such as handwriting and annotations. However, the difference of learner's perceived effects on their learning is under the discussion, due to the lack of the findings about comparative research between e-portfolio types. This research aims to investigate the differences of the learner's perceived effects on their learning with between paper-based and e-portfolios. The findings reveal that paper-based portfolio was more effective than e-portfolio, in terms of the instructor's presence and the perceived ease of the access to the feedback from instructors. The perceived effects of e-portfolio in terms of the management and access ware superior to that of paper-based portfolio.
著者
小島 千裕 小島 千裕
出版者
北海道大学大学院教育学研究院
雑誌
北海道大学大学院教育学研究院紀要 (ISSN:18821669)
巻号頁・発行日
vol.126, pp.19-41, 2016-06-30

This study clarifies the status of dialect correction in elementary school education and examines the formation of the “national language,” focusing on Iwate Prefecture in the Meiji 30’s. The educational magazine titled “Iwate Gakuji Iho” and writings produced by Iwate Prefecture Normal School were used to collect historical data for this analysis. Iwate Prefecture Normal School established a guideline for the use of standard language instead of dialect, and considered that the dialect should be corrected timely through the whole curriculum based upon Japanese language education. In fact, some of the elementary schools, under the guidance of an enthusiastic county school inspector, worked on the task of the dialect correction. They viewed the fact that the language spoken by children was quite different from the language used in readers as a point of controversy. And, in some cases, they worked on such correction as a part of teaching of manners. However, there were many difficult issues to be addressed such as their tendency to be eager to teach characters in Japanese language education, continuation of thorough correction, and methods to take steps on correction. Therefore, they made few approaches to the correction during this period. However, it may be concluded that the common practice of pursing the language capacity to be taught and acquired in school led to the dialect correction and the formation of the “national language.”