著者
小林 茂樹 矢田谷 健 高山 昭蔵
出版者
日本家畜管理学会
雑誌
日本家畜管理研究会誌 (ISSN:09166505)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.82-88, 1991-02-25

小型ピロプラズマ症 Japanese Theileriosis (JT症)は、蓄牛放牧時に多発し、放牧牛の発育を著しく遅滞させると同時に、その検査と治療に多大の労力と費用を要する。著者らは、本症発生率の高い公共乳用育成牛放牧場におけるその感染・発症検査、発症牛治療、ならびに放牧牛発育調査を行い、今後の同症の予防・治療対策の一助とした。対象牧場は湿潤冷涼地にあり、放牧密度は0.60〜0.62ha/頭であった。貧血牛(JT症発症牛)は、1987年に比べ夏季降水日数および降水量の多かった1988年に、入牧後早期に増加した。1988年におけるJT症の高い発生は、環境要因として降水日数および降水量の多かった気象条件に起因する草地管理不良(放牧残草の枯死・腐敗など)からダニなど媒介昆虫の繁殖が旺盛となったことが、主な原因と推察された。1988年放牧牛については、入牧後1ヶ月でTheileria sergenti感染率が61%に達した。本原虫感染に基づく発症は、パラインフルエンザ3型およびアデノウイルス7型ウイルス等の感染が間接的に関与したと考えられた。1988年入牧牛の入牧時月齢とJT症発症・治療牛割合との関係は、不明確であった。同じく入牧時体重と同症発症・治療牛割合との関係も認められなかった。発症牛の治療に殺原虫剤としてアミノキン・ナフトエートとジアゾアミノベンザミッドを、補液剤として栄養加リンゲルを用いた。治療開始時ヘマトクリット値(Ht値)は17.9±1.7%で、治療日数は8.1±5.2日であった。1988年春入牧牛の5ヶ月間の1日平均増体重は、発症・治療牛で306±199g、非発症・治療牛で530±234gであった。発症・治療牛では、放牧開始時月齢と無関係に増大量が小さかった。 日本家畜管理研究会誌、26(3) : 82-88.1991. 1990年9月3日受理
著者
小林 孝一郎 村上 真由美 富山 徹 加藤 真理子 中屋 泉美 武田 美和子 横山 雄子 平井 紀子 河上 浩康
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.371-375, 2013 (Released:2013-08-29)
参考文献数
5
被引用文献数
2

【目的・方法】在宅緩和ケアにおける多職種間の速やかな情報共有と緩和ケアチームによる苦痛緩和支援を目指して, ITクラウドを活用した地域医療支援システムEIRを導入した. 試用期間半年間に, 緩和ケアチームが関わって在宅緩和ケアに移行した5事例を対象として, 関わった医療者11名にアンケート調査を実施して, 有用性について検討した. 【結果】入力装置として全員がパソコンを使用, iPhone併用は4名, 現場で入力した経験があるのは2名であった. 入力時間は9名が5分以下で, 閲覧はさまざまな装置と場所で行われていた. 有用性は, 至急・重要メールは役立ちましたか: 3点6名, 2点3名, 1点1名, 0点1名, 情報量は適切でしたか: 3点9名, 2点2名, 連携はスムーズにできましたか: 3点9名, 2点2名, そして総合評価として在宅緩和ケアに活用できましたか: 3点9名, 2点2名であった. 【結論】在宅緩和ケアにおいて有用である可能性が示唆された.
著者
小林 美香子
出版者
日赤図書室協議会
雑誌
日赤図書館雑誌 = The Journal of the Japanese Red Cross Hospital Libraries (ISSN:1346762X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.9-14, 2010-10-01

当院では、2006年度より日本赤十字社事業局看護部の方針を受け、看護職キャリア開発ラダーを運用している。当図書室では、看護研究小委員会と協力し、看護職キャリア開発ラダーに連動した研究支援を実施している。看護職個人のキャリア開発を支援する際、病院図書室はアクセスが容易な知の拠点であることから、存在意義は大きい。2010年4月から開始となった新人看護職員卒後臨床研修の努力義務を受け、今後さらなる図書室環境の充実が求められている。
著者
白石 浩章 山田 竜平 石原 吉明 小林 直樹 鈴木 宏二郎 田中 智
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.283-288, 2012-09-25
参考文献数
15

多点ネットワークを構成して火星表層環境および内部構造を観測するペネトレータミッションを提案する.現在の火星内部で生じているダイナミクスを反映する地震活動度と熱的状態を調査するとともに,地球型惑星の分化過程を反映する地殻-上部マントル構造と固体内部から表層および大気層への物質輸送過程に関する知見を得ることを目的とする.ペネトレータモジュールは突入速度300m/secで火星表層下2〜3mに潜り込むプローブ本体に,耐熱シールドと空力減速機構の役割をする膜面展開型柔構造エアロシェルを統合することで小型軽量なシステムを構成する.周回衛星から分離された4機のペネトレータは,火成活動の可能性が指摘されるElysium地域に最大300km間隔のネットワークを構成して地震観測や熱流量観測を行う.一方,柔構造エアロシェルには圧力計,温度計,磁力計,カメラを搭載して大気突入時のモニタリングを行う.
著者
前田 直大 伊佐治 麻里子 直江 可奈子 四藤 理佳 尾崎 裕之 橋本 哲郎 入山 美知 松原 浩司 下沢 みづえ 小田 貴実子 作田 典夫 新岡 正法 小林 道也
出版者
一般社団法人日本医薬品情報学会
雑誌
医薬品情報学 (ISSN:13451464)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.179-183, 2013-02-28 (Released:2013-03-06)
参考文献数
11

Objective: Doping is strongly prohibited in sports.  Sports pharmacist was born in 2010 in Japan, and the anti-doping activity is expected.  On the other hand, doping by arising from a lack of knowledge about prohibited substances in athletes, so-called “unwilling doping” is developing into a social issue.  In this study, we investigated the percentage of prohibited substances in all drugs and prescriptions in a general hospital, to collect information to prevent an unwilling doping.Methods: We constructed system to extract the drugs corresponding to prohibited substances in the prescription order entry system in Otaru Municipal Hospital, and we analyzed 3,306 prescriptions of 10 to 59 years old patients, from July to September 2010.Results: Thirteen point five percent of our hospital drugs met definition of the prohibited substance.  The number of prescriptions including prohibited substance(s) was 350 (10.6%), and its category was different from each age-group and clinical department.Consideration: Because prohibited substances are included in approximately 10% of prescriptions, athletes are exposed to danger of becoming an unwilling doping.  Pharmacist should be well informed about prohibited substances to prevent athletes from unwilling doping.  And they should provide information promptly and adequately for athletes.
著者
中山 彰 細田 真道 小林 稔
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.256, pp.83-88, 2005-09-01
被引用文献数
3

われわれは, 豊かで充実した生活の基盤として, 積極的にコミュニケーションを仲介し, ユーザが話しやすい環境を作るメディアを志向している.そのようなメディア設計のためには, 円滑で心地よいコミュニケーションを阻害するさまざま要因を探る必要があると考えている.そういった要因を探るための第一歩として, 話が盛り上がる場であると考えられる「飲み会」「パーティ」の収録実験を行い, またその被験者の「性格テスト」「日本語能力テスト」を実施した.本稿では, その収録実験の概要, および予備的実験結果として, 各種テスト結果と各参加者の発話量の関連について報告する.
著者
椎橋 武史 小林 克弘
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.72, no.612, pp.169-175, 2007

The purpose of this paper is to make an analysis of Louis Sullivan's architectural thought focusing on his idea of 'mobile equilibrium.' We made clear that for him the idea is the law of all things in nature, and the principle which must be expressed in man's work of art. In the end, we explained how he expressed the idea of 'mobile equilibrium' in his work through analyzing his last work of architectural ornament.
著者
椎橋 武史 小林 克弘
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.72, no.619, pp.223-230, 2007

The purpose of this paper is to make clear how the "mobile equilibrium", which is essential concept in Louis Sullivan's architectural thought, is expressed in his building design. We analyzed his facades focusing on the vertical elements (pier, mullion, etc.) which have the most primitive meaning for Sullivan, from two points of view; the composition method of facade, and the ornamental motifs. As to the former, he gradually made the composition synthesized to visualize the "mobile equilibrium" of moving force in structure. As to the latter, he used botanical ornament accompanied with the vertical elements, to represent whole facade as one growing organism.
著者
椎橋 武史 小林 克弘
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.628, pp.1387-1393, 2008-06-30

The purpose of this paper is to study how the idea of "mobile equilibrium" is expressed in building design of Louis Sullivan, following our former papers. In this paper, we analyzed the relationship between the idea and the contrasting composition on the facade of his buildings. In many of his facades, "the mass" which is static rigid and massive and "the detail" which is dynamic, organic and delicate are clearly contrasted. By this contrasting composition, Sullivan expressed in his facade the idea of "mobile equilibrium", both "emotional and intellectual", both "subjective and objective".
著者
小林哲二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.453-455, 2011-03-02

選挙のための電子投票については,投票所の電子投票機による電子化が一部の自治体で行われているが,「ネットワークを利用する電子投票」は日本ではまだ利用されていない.この発表では,その意義を考察し,それに関連して今後にシステム化の可能性のある事項を列挙して,問題点を考察する.次に,その内で比較的実現が容易と考えられる投票所入場券の電子化などを検討した結果を述べる.投票所入場券(投票所整理券)は,現在,郵送で行われているが,これを電子メールで実現することを提案し,暗号・認証技術で安全性を確保する場合の試作を行って,効果とリスク等を評価する.
著者
菅野 伸 斉藤 良訓 富永 哲欣 小林 隆一 多田 康彦 山根 宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.81, pp.29-33, 2005-05-19
参考文献数
6
被引用文献数
7

従来の蛍光灯器具は、グローランプ等方式による点灯方式であって、発生する電磁妨害波も小さかった。最近はインバータ方式蛍光灯が主流になりつつあり、ここでは、これらの方式による妨害波特性を評価した結果についてもインバータ方式では、定常状態の放射妨害波レベルが従来方式より30dB程度、また, 定常状態の伝導妨害波レベルも20dB程度、さらに、スイッチ操作により発生する過渡妨害波電流についても40dB程度大きいことが分かった。また、通常、複数台で同時に使用される機器であることから、動作台数の増加による妨害波レベルの変化について測定結果例を示す。

2 0 0 0 OA 新しき修養

著者
小林鶯里 著
出版者
東京出版通信社
巻号頁・発行日
1938
著者
小林 功
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1997-03-24

本文データは平成22年度国立国会図書館の学位論文(博士)のデジタル化実施により作成された画像ファイルを基にpdf変換したものである
著者
小林 稔 石井 裕
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.34, pp.43-50, 1993-04-28
被引用文献数
4

ClearBoardは、従来マルチウィンドウ等によって別々に提供されていた協同作業空間と会話空間を連続的に統合した新しいコラボレーションメディアである。本稿では最初に、「透明なガラス板」を通して会話しガラス板の上に両側から描画するメタファーに基づくClearBoardの基本コンセプトを示す。続いてビデオ協同描画によるプロトタイプClearBoard?1から、コンピュータ協同描画によるClearBoard?2に至るデザインの過程を示す。また、ClearBoard?2のコンピュータ協同描画を実現するグループウェアTeamPaintのデザインも示す。最後にプロトタイプを使用して得られた知見を報告する。ClearBoard is a new collaboration medium that seamlessly integrates the shared workspace and interpersonal space which have been provided separately with arbitrary multi-window or multi-screen interfaces in existing multi-media teleconference systems. We present the key concept of ClearBoard that is based on the metaphor of "talking through and drawing on a transparent glass window." Then, we describe the design evolution from video based prototype ClearBoard-1 to computer based prototype ClearBoard-2. The design of TeamPaint, a shared painting editor used in ClearBoard-2, is also described. Finally, some initial findings from the experimental use of the prototype systems are reported.