- 著者
-
小林 浩
- 出版者
- 社団法人日本産科婦人科学会
- 雑誌
- 日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
- 巻号頁・発行日
- vol.63, no.5, pp.1263-1267, 2011-05-01
子宮頸がんは本邦では年間15,000人が発症し3,500人が死亡する疾患であり,女性特有のがんの第2位を占める.発がん性のヒトパピローマウイルス(HPV 16型・18型)というウイルスの持続的な感染が原因となって発症する.このウイルスに感染すること自体は決してまれではなく,性交経験がある女性であればだれでも感染する可能性がある.最近10年間で特に20歳代や30歳代の若年層で罹患率が増加している.HPVに感染してもほとんどの場合,ウイルスは自然に排除されるが,排除されずに長期間感染が持続する場合があり,ごく一部の症例で数年〜十年かけて前がん病変の状態を経て子宮頸がんを発症する.この間に子宮頸がん検診を行えば前がん病変を早期発見し,治療することができる.女子中学生などへの子宮頸がん予防ワクチン,乳幼児へのヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチン接種については,平成22年度の国の補正予算でその公費助成費用が措置された(子宮頸がん等ワクチン接種緊急促進事業)ことから,市町村では実施準備が整い次第,当該ワクチン接種の公費助成を開始している(一部市町村では既に公費助成を開始している).子宮頸がん予防ワクチンの公費負担が開始されたが,各市町村により接種対象者が異なるので十分把握する必要がある.ワクチン接種に関するガイドラインとその実務的な内容を記載した.