著者
小川 麻萌 岩越 景子 中嶋 順一 髙橋 夏生 坂牧 成恵 小林 千種
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.51-55, 2021-04-25 (Released:2021-04-22)
参考文献数
12

臭素化植物油(Brominated Vegetable Oil:以下BVOとする)の分析において,前処理として知られるメチル化について,その反応効率を算出する場合に有用と考えられた1H-NMRの適用性について検証した.検討の結果,BVOをメチル化した際,未反応物の構造に由来するメチン基と生成物の構造に特徴的なメチル基,およびおのおののプロトン数とそのシグナル積分比を用いて1H-NMRにより簡便にBVOのメチル化効率を算出することができた.また,1H-NMRのシグナルおよびGC上のピーク面積の経時変化から,計算により得られた結果とGCで定量した結果は相対的にほぼ一致していた.したがって,BVOのメチル化効率を算出する際に1H-NMRを適用することは有効であることが判明した.
著者
鈴木 富士夫 麻生 久 小林 弘行 大西 勉 石田 名香雄
出版者
公益社団法人 日本化学療法学会
雑誌
CHEMOTHERAPY (ISSN:00093165)
巻号頁・発行日
vol.34, no.6, pp.488-494, 1986-06-25 (Released:2011-08-04)
参考文献数
30

Carboxyethylgemanium sesquioxide (Ge-132) のウイルス感染症に対する影響をマウスのインフルエンザ感染モデルを用いて検討した。10LD50量のインフルエンザを感染させたマウスに100mg/kg量のGe-132を経口的に頻回投与すると, 生理食塩水投与の対照群に比べ, 1) 生存率の上昇, 2) 肺内ウイルスの増殖抑制, 3) 肺内コンソリデーションの出現抑制, 4) HAI抗体価の上昇抑制などが認められ, 本化合物の感染防御効果が明らかとなった。この有効性は予防的投与では発現されず, ウイルス感染前後および直後からの予防・治療的あるいは治療的投与で顕著であった。また100mg/kgのip, sc, およびimなどの投与で, あるいは33~300mg/kgの経口投与でGe-132の抗ウイルス効果が確認されたが, 経口的に100mg/kg量を頻回投与するのが最も有効であった。Ge-132はin vitroでウイルス粒子やその感染細胞に直接的な影響を及ぼさないので, in vivoにおけるこのような効果は, 宿主の防御機能を介して発現されるものと思われる。因みにGe-132がinterferon-γを誘起したり, natural killer細胞の活性を亢進させることはすでに確かめられている。
著者
佐川 元保 中山 富雄 芦澤 和人 負門 克典 小林 健 櫻田 晃 佐藤 雅美 澁谷 潔 祖父江 友孝 竹中 大祐 西井 研治 原田 眞雄 前田 寿美子 丸山 雄一郎 三浦 弘之 三友 英紀 村田 喜代史 室田 真希子
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.60, no.7, pp.929-935, 2020-12-20 (Released:2020-12-28)
参考文献数
2
被引用文献数
1

「肺がん検診の手引き」は2020年に大幅な改訂を行った.この稿では特に重要と思われる「胸部X線検診の読影医の条件」と「症例検討会の実施」に関して背景とねらいを解説する.2017年版の読影医の基準はわかりにくいという批判が多くの自治体職員から寄せられており,改訂が必要であった.2020年版では,「症例検討会等におおむね年に1回以上参加すること」を条件とするとともに,上級医には読影経験も条件とした.「症例検討会」を実施する場合の留意点に関しても併せて述べた.本稿が今後の肺がん検診の精度管理に役立つことを望みたい.
著者
赤羽 優夏 丸山 麻希 小林 修司 小松 俊雄 唐澤 忠宏 小松 修 矢澤 正信 井上 憲昭
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第57回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.310, 2008 (Released:2009-02-04)

<はじめに> 亜鉛は必須微量金属のひとつであり、その欠乏症として味覚・臭覚障害が広く知られているが、この他に褥瘡等の皮膚障害、成長発育障害などにも関与している。これまでの測定方法は原子吸光法が主流であり、その特殊性から、入院患者の一般検査項目に入れられることは少なかった。しかし自動分析用試薬が開発され、当院内においても簡便に測定することが可能となった。今回、入院患者の褥瘡発生と亜鉛濃度との関連性について検討したので報告する。 <対象> 当院に入院中の寝たきり患者33名を対象とした。このうち、褥瘡のある患者(以下、褥瘡(+))は18名(年齢47~109歳 平均83.5歳 男10名 女8名)、褥瘡のない患者(以下、褥瘡(-))は15名(年齢57~102歳 平均86.7歳 男4名 女11名)であった。比較対照として、非寝たきり患者16名(年齢60~89歳 平均79.1歳 男9名 女7名)についても調査した。 <方法> 1.栄養摂取状況の調査 2.血清中亜鉛、総蛋白、アルブミンの測定 測定機器:日立7170S形自動分析装置 使用試薬:アキュラスオートZn(シノテスト社) 自動分析用試薬「生研」 TP (Biuret法) (デンカ生研) エクディアXL‘栄研’ALB-BCG (栄研化学) <結果> 血清亜鉛平均値は褥瘡(+)患者47.0μg/dl、褥瘡(-)患者55.8μg/dlで、褥瘡(+)と褥瘡(-)の患者間に有意差(t検定)を認めた。総蛋白平均値は褥瘡(+)患者6.21g/dl、褥瘡(-)患者5.97g/dlで、有意差は認めなかった。アルブミン平均値は褥瘡(+)患者2.99g/dl、褥瘡(-)患者平均3.22g/dlで、有意差は認めなかった。なお非寝たきり患者の平均値は、亜鉛61.0μg/dl、総蛋白6.89g/dl、アルブミン3.78g/dlであった。 <考察> 今回、血清亜鉛、総蛋白、アルブミンのうち、褥瘡(+)と褥瘡(-)の患者間において有意差が観察されたのは、血清亜鉛のみであった。また、褥瘡(+)患者の亜鉛平均値は基準値(65~110μg/dl)を大きく下回っていた。以上のことから、寝たきり患者においては、血清亜鉛濃度を測定することにより褥瘡発生を予測できる可能性があると考えられた。 褥瘡の予防において栄養状態の良否は大きく影響する。通常、栄養状態を評価する検査項目として総蛋白、アルブミン値が利用されているが、本研究結果によれば両者の値から褥瘡の発生を予測することは困難であると考えられた。 亜鉛濃度が院内で簡便・迅速に測定できるようになったことで、亜鉛の褥瘡マーカーとしての有用性が今後高まっていくであろうと思われる。
著者
三冨 敬太 小林 延至 赤木 真由 高野 研一
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.59-78, 2021 (Released:2021-04-15)

現状、アイデアの創造から市場投入までの開発プロセスにおいて、プロトタイピングが開発プロセスの進行に与える効果については先行研究も少なく、実際に実施したプロジェクトで調査したものも少ない。したがって、本研究の目的は、プロトタイピングが開発プロセスの進行に対してどのような効果を果たしているのかを、24回のプロトタイピングを実施した製品「Your Pleasure」の開発において、「開発プロセス」と「実施プロトタイピング」をマッピングし考察を行い、開発プロセスの進行を促す効果を提示することである。結果、「プロトタイピングは調整が必要な領域を理解させ、開発プロセスを進行させる」、「プロトタイピングは開発プロセスの停滞から抜け出させ、進行させる」具体的効果が認められた。この2点の効果については、これまでの先行研究で述べられていないことから、新規性があると考えられる。
著者
太田 勝巳 森下 進也 須田 浩平 小林 伸雄 細木 高志
出版者
園藝學會
雑誌
園藝學會雜誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.66-68, 2004-01-15
参考文献数
10
被引用文献数
1 34

8種の花卉(トレニア,エキザカム,ベゴニア,グロキシニア,ロベリア,ミムラス,カルセオラリアおよびカンパニュラ)において1.0%キトサンの土壌混和処理および水溶性無機肥料(1.0%キトサンと同量の窒素量となるよう施用)の施与を行い,栽培試験により成長量と開花について調査した.その結果,定植時(種により播種6週間後から13週間後)において,いずれの花卉においても1.0%キトサン土壌混和処理は対照区(肥料,キトサンとも無施与)および無機肥料区に比べて有意に高い成長量を示した.また,1番花開花日については,トレニア,エキザカム,ベゴニア,グロキシニア,ロベリアおよびミムラスにおいて,1.0%キトサン土壌混和処理は他の処理区に比べ,1番花の開花が有意に促進されたことが認められたが,カルセオラリアおよびカンパニュラにおいては促進効果はみられなかった.これはキトサンによるエリシター効果,土壌中微生物相の変化あるいは有機物として直接植物に吸収利用されることによると推察される.
著者
清水 貴夫 中尾 世治 伊東 未来 小林 広英 亀井 哲也
出版者
日本アフリカ学会
雑誌
アフリカ研究 (ISSN:00654140)
巻号頁・発行日
vol.2016, no.90, pp.97-107, 2016-12-31 (Released:2017-12-31)
参考文献数
21

報告1 フォーラムの趣旨とカッセーナの屋敷地の構造 清水貴夫/報告2 村長の屋敷の不均衡な変容 中尾世治/報告3 家屋の装飾と住まいかたの変遷 伊東未来/報告4 伝統住居の在来建築技術とその継承 小林広英/コメント 亀井哲也
著者
小林 卓也 川村 英之 印 貞治 島 茂樹
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.965, 2010

海洋中における放射性物質等の移行過程を詳細にモデル化するため、海水中放射性核種移行予測コードに排水拡散過程を追加し、青森県六ヶ所村沖における流動場の再解析値と、再処理施設からの放出情報を用いて適用計算を実施した。
著者
小林 美恵子
出版者
現代日本語研究会
雑誌
ことば (ISSN:03894878)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.3-20, 2020-12-31 (Released:2020-12-31)
参考文献数
16

映画『何者』などにみられた若い女性のことばの中性化の傾向が、自然談話ではどのように現れているのかを比較検討した。その結果、若い世代のことばの中性化は『何者』ほど極端ではないものの同様に進んでいること、高年代では女性形式、中性形式、男性形式にまたがる多様な形式を使用する話者がいることが分かった。高年代の多様化については、「女性語」話者の高齢化、役割語としての「おばあさん」語の影響などが考えられる。