著者
蔭山 正子 横山 恵子 坂本 拓 小林 鮎奈 平間 安喜子
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.131-143, 2021-02-15 (Released:2021-02-26)
参考文献数
18

目的 精神疾患のある親をもつ人を対象とし,小・中・高校時代の体験および学校での相談状況を把握することを目的とした。方法 精神疾患のある親をもつ人の会に参加したことのある240人を対象とし,ウェブ上のアンケート調査を実施した。小・中・高校時代の体験,学校での相談状況,子どもの頃に認識した教師の反応,学校以外での援助などを質問した。分析は単純集計を行い,学校内外の相談歴について回答者の年代で比較した。自由記載は内容の抽象度をあげて分類した。結果 120人から回答を得た。年齢は20歳代から50歳以上まで幅広く,女性が85.8%だった。精神疾患をもつ親は,母親のみが多く67.5%であり,親の精神疾患推定発症年齢は,回答者が小学校に入るまでが73.1%だった。 ヤングケアラーとしての役割は,小・中・高校時代で親の情緒的ケアが最も多く57.8~61.5%が経験し,手伝い以上の家事は29.7~32.1%が経験していた。小学生の頃は62.4%が大人同士の喧嘩を,51.4%が親からの攻撃を経験していた。周囲が問題に気づけると思うサインには,親が授業参観や保護者面談に来ない,いじめ,忘れ物が多い,遅刻欠席が多い,学業の停滞があった。しかし,サインは出していなかったとした人は小・中・高校時代で43.2~55.0%であった。回答者が認識した教師の反応では,精神疾患に関する偏見や差別的な言動,プライバシーへの配慮不足などで嫌な思いをしていた。家庭の事情や悩みを気にかけ,話を聞いて欲しかったという意見が多かった。 学校への相談歴のなかった人は小学生の頃91.7%,中学生の頃84.5%,高校生の頃で78.6%だった。相談しなかった理由としては,問題に気づかない,発信することに抵抗がある,相談する準備性がない,相談環境が不十分というものがあった。相談しやすかった人は,すべての時期で担任の先生が最も多かった。30歳代以下の人は,40歳代以上の人に比べて小学生や高校生の頃に学校への相談歴がある人が有意に多かった。結論 精神疾患のある親をもつ子どもは,支援が必要な状況にありながら,支援につながりにくい子どもたちであった。学校では,子ども自身が家庭の問題に気づけるような働きかけが必要である。教師はまず子どものことを気にかけ,話をよく聞くことが求められる。
著者
小林 しのぶ 金子 有紀子 柳 奈津子 小板橋 喜久代
出版者
日本看護技術学会
雑誌
日本看護技術学会誌 (ISSN:13495429)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.27-33, 2010-12-20 (Released:2016-08-25)
参考文献数
17

本研究の目的は,リラクセーション外来受診者の特性および外来でのリラクセーション技法実施の効果を明らかにすることである.A病院リラクセーション外来受診者113名 (49.0±13.5歳) を対象に主訴,受診理由,ストレス状態を調査した.また,受診者113名の延べ378回のリラクセーション技法実施前後に血圧,脈拍,リラックス尺度を測定した.その結果,精神的健康診断パターン検査 (MHP-1) から,受診者は高いストレス状態にあることが確認された.また,8割近い受診者が精神的訴えを抱え受診することが明らかになった.受診理由は「心身の安定を図りたい」が最も多く,受診者の7割以上があげた.リラクセーション技法実施前後の比較では,実施後に血圧と脈拍数が有意に低下し (p<0.001),主観的指標のリラックス尺度得点は実施後に有意な上昇が認められ (p<0.001),リラクセーション技法により,心身両面からリラックス反応が得られた可能性が示唆された.
著者
森野 杏子 小林 誠一 赤羽 武弘 玉渕 智昭 矢内 勝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.7, pp.1282-1286, 2016-07-10 (Released:2017-07-10)
参考文献数
9

82歳,男性.I型呼吸不全を認め,当科入院となった.肝硬変,肝細胞癌の既往があることから,慢性肝疾患に伴う肺内シャントの存在を疑った.肺血流シンチグラフィー,100%酸素吸入法によるシャント率測定,コントラスト心エコーにより肺内シャントの存在が証明された.呼吸不全の原因を肝肺症候群と診断し,在宅酸素療法を導入した.慢性肝疾患患者における呼吸不全の原因として,肝肺症候群を念頭に置く必要がある.
著者
小林 裕幸
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.106-112, 2007-04-25 (Released:2011-02-17)
参考文献数
14

歴史的な写真印画法であるゴム印画法は芸術家や写真教育の場で広く用いられている. このシステムでは非常に危険な化合物, 重クロム酸塩が用いられている. また, 硬膜剤としてホルムアルデヒドが用いられることも多い. 本研究は, これらの危険な薬品を使わなくてすむ, ゼラチンあるいはアラビアゴムを用いたゴム印画法の代替法を紹介する. これらの方法は, クエン酸鉄 (III) アンモニウムを感光化剤としたフリーラジカル重合に基づく. ゼラチンを用いたプロセスは簡単で, 感光により生成したFe (II) と反応してフリーラジカルを発生させるのは現像液中に加えられた過酸化水素水である. 一方, アラビアゴムを用いたプロセスでは, フリーラジカル発生剤として感光層に過硫酸アンモニウムが加えられる.したがって, 後者のプロセスでは暗反応が問題となる. これらのプロセスは硬膜剤を用いなくてすむよう工夫されている.
著者
野木 才美 山崎 龍王 藤田 裕 小林 織恵 大田 昌治 小林 弥生子 梅澤 聡
出版者
公益社団法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.369-373, 2012 (Released:2012-12-10)
参考文献数
8

背景 : 今回われわれは, コルポスコピーおよび狙い組織診で異常所見を認めず, 子宮頸部擦過細胞診にて子宮頸部小細胞癌と診断しえた 1 例を経験したので報告する.症例 : 34 歳, 0 経妊 0 経産, 不正性器出血にて当院を受診した. 内診, 経腟超音波, コルポスコピー検査にても異常所見を認めず, 唯一, 子宮頸部細胞診で小細胞癌 ; (非常に小型で N/C 比の大きい, 核が濃染した異型細胞を認め小細胞癌を疑う所見) であったため, 狙い組織診を施行するも頸管腺の一部に扁平上皮化生を認めるのみで悪性所見を得なかった. 画像検査 (MRI) においても子宮頸部に明らかな腫瘤像を認めなかったために診断的円錐切除を施行したところ, 正常な扁平上皮組織下の間質部に, 浸潤性の小細胞癌を認めたため, 広汎子宮全摘+両側付属器切除+骨盤および傍大動脈リンパ節郭清術を施行したところ, 摘出子宮に癌の残存を認めないものの, 骨盤リンパ節に 1 個 (1/42) 転移を認めたため, 術後補助化学療法を施行した. 以後 1 年 6 ヵ月経過するも再発傾向を認めていない.結論 : 小細胞癌は予後不良であり, 今回のように摘出子宮に癌が残存していなくともリンパ節転移を認めることがあり, 安易な妊孕性温存意義は危険であると思われ, その診断に細胞診が有用であったために報告する.
著者
大村 英史 片上 大輔 湯浅 将英 小林 一樹 田中 貴紘
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第29回全国大会(2015)
巻号頁・発行日
pp.2K4OS14a4, 2015 (Released:2018-07-30)

雰囲気は環境から知覚される情報の総体であり,知覚される情報を定量的にコントロールすることは,任意の雰囲気のコントロールと同義であると私たちは考える.この考えから,エントロピーに基づいた確率分布により,人が知覚する情報量を操作するシステムを実現した.このシステムを音楽,表情,図形といった異なるメディアに実装したところ,定量的に人が知覚する情報を操作でき,さらに雰囲気の制御が可能であることを確認した.
著者
土井 智晴 生熊 嶺 西山 敦 小林 正志 井口 武 伊能 崇雄
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集 2010 (ISSN:24243124)
巻号頁・発行日
pp._1A1-C03_1-_1A1-C03_2, 2010 (Released:2017-06-19)

We develop termite prevention-of-the-breeding and extermination robots system. This robot system is applied technology of rescue robot system. The most important feature of this robot system is in collaboration with a worker to protect house from termites. Therefore, these robots are design according as safety guideline for service robots. The name of the robots system is named "mirubo". This research shows the method of evaluations for the mirubo III. The evaluations include main five examinations as mobility exam, velocity exam, illumination exam, injection exam and step-over-performance exam.
著者
森鼻 健史 金子 明寛 富田 文貞 諏訪 俊男 河野 喜郎 小林 寅哲
出版者
公益財団法人 日本感染症医薬品協会
雑誌
The Japanese Journal of Antibiotics (ISSN:03682781)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.973-982, 1989-04-25 (Released:2013-05-17)
参考文献数
15

新規マクロライド系抗生物質Clarithromycin (TE-031, A-56268) はラット顎下腺におけるミクロオートラジオゲラフィーによる分布状態の検討では腺房, 導管部共に良好な14C-TE-031の集積がみられた。健康成人男子ボランティア3名によるTE-031 300mg単回投与の血清中, 及び唾液中移行濃度は平均値でそれぞれCmax1.49μg/ml, 1.93μg/ml. Tmax2.91時間, 2.66時間, T1/2 6.31時間, 4.15時間, AUC18.58μg・hr/ml.17.70μg・hr/mlである。又, 同症例から得られた唾液中細菌叢は本剤の唾液中濃度の上昇に伴い, 総細菌数は減少したが12時問後には回復した。又, 経過中菌の耐性化はみられなかつた。以上本剤は個体差はあるものの, 血清中を上回る唾液中移行濃度を示し, 唾液によるTherapeutic drug monitoring (TDM) も可能な薬剤と考える。又, 本剤によると思われる一過性の唾液細菌叢の減少はみられるものの早期に回復し, 単回投与では耐性菌の出現もなく短期投与では口腔正常細菌叢への影響の少ない薬剤と考える。Clarithromycin (TE-031, A-56268) は大正製薬株式会社総合研究所でErythromycin (以下, EM) から合成された新規マクロライド系抗生物質であり, 良好な血中及び組織移行性を示すことが知られている。臨床的にも急性歯性感染症に対し, EMの1/4~1/3量である1日300~400mg投与で約80%の有効率が得られている1)。我々は, 本剤が唾液中への移行性が良いとされていることから1), 顎下腺組織への移行性について, ラットに14C-TE-031を投与後の移行分布をミクロオートラジオグラフィーにて検討し, 又, 3名の健康男子ボランティアに対し本剤300mgを食前投与し, 経時的に血清中及び唾液中濃度を測定すると共に, 唾液中細菌叢への影響を調べた。
著者
小林 正秀 衣浦 晴生 野崎 愛
出版者
日本森林学会
雑誌
日本林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.115, pp.I02, 2004

カシノナガキクイムシ(以下、カシナガ)が穿入したナラ類の生立木が枯死するのは、カシナガが樹体内に病原菌を持ち込むためと考えられている。海外でも生立木に穿入するナガキクイムシ類が知られており、カシナガと同様に病原菌のベクターになっていると疑われている種類もいる。しかし、ナガキクイムシ類は、一般に衰弱木や枯死木に穿入し、生立木に穿入しても樹液によって繁殖に成功することはほとんどない。カシナガでも、樹液が繁殖阻害要因になっていると推察されているが、樹液が繁殖に及ぼす影響を調査した事例はない。そこで、穿入孔からの樹液流出の有無とカシナガの羽化脱出数を同時に調査した。2.方 法 京都府和知町仏主の被害地(以下、和知調査地)と京北町米々谷の被害地(以下、京北調査地)で調査を行った。2003年6月17日、和知調査地のコナラ20本とミズナラ6本の穿入孔に、また6月21日、京北調査地のコナラ2本とミズナラ15本の穿入孔にチューブ式トラップ(図)を設置した。 トラップの設置は、調査木の地上高1mまでの樹幹部の穿入孔を調査し、穿入孔数が20孔以上の場合には20個のトラップを、20孔未満の場合には10個のトラップを設置した。ただし、和知調査地の調査木は、2002年6月上旬に、樹幹表面の穿入孔の有無によって穿入履歴の有無を確認し、穿入履歴がある調査木には、穿入孔数の多少にかかわらず、10個のトラップを設置した。 7月11日、フィルムケース内に入れたティッシュペーパーの変色の有無によって、穿入孔からの樹液流出の有無を確認した。また、7月11日_から_11月12日まで2週間ごとにトラップ内に脱出したカシナガ成虫を回収して雌雄別に数えた。3.結 果 穿入孔からの樹液流出とカシナガ脱出状況を表に示す。樹液を流出している穿入孔の割合は、穿入後に生存した樹木(以下、穿入生存木)の穿入孔のほうが穿入後に枯死した樹木(以下、穿入枯死木)の穿入孔よりも有意に高かった。 カシナガの脱出が確認された調査木の割合は、穿入枯死木(9本中7本)のほうが穿入生存木(34本中3本)よりも有意に高かった。また、脱出が確認された穿入孔の割合も、穿入枯死木の穿入孔のほうが穿入生存木の穿入孔よりも有意に高かった。脱出が確認された穿入孔あたりの脱出数は、穿入生存木(平均102.5頭)のほうが穿入枯死木(平均48.3頭)よりも有意に多かった。 脱出が確認された穿入孔の割合は、樹液を流出していない穿入孔(243孔中47孔)のほうが樹液を流出している穿入孔(387孔中14孔)よりも有意に高かった。しかし、脱出が確認された穿入孔あたりの脱出数は、樹液を流出している穿入孔(平均62.8頭)と流出してない穿入孔(平均69.3頭)との間に有意差がなかった。4.考 察 穿入生存木からのカシナガ脱出数は少ないとする報告が多く、今回も同様の傾向が認められた。樹液を流出している穿入孔では、脱出がなく繁殖に失敗している穿入孔の割合が高かったことから、樹液が繁殖阻害要因であり、穿入生存木からの脱出数が少ないのは、穿入生存木の樹液流出量が多いためと考えられる。 穿入孔あたりの脱出数は、平均2_から_20頭とされている。これに比較して、今回の穿入孔たりの脱出数は多く、最高337頭が脱出した。特に、穿入生存木の穿入孔からの脱出数が多かったが、これは、穿入生存木では樹液によって繁殖に失敗する穿入孔の割合が高いため、一旦繁殖に成功した穿入孔は種内競争の影響が少なく、広い繁殖容積が確保されたためと推察される。 ヤツバキクイイムシが青変菌と共生関係を結んで針葉樹生立木を衰弱または枯死させるのは、生立木に穿入しても樹脂などの防御物質による抵抗を受けて繁殖できないため、青変菌によって樹木を弱らせ、キクイムシ類が利用可能な状態にするためとされている。ナラ樹の樹液は、針葉樹の樹脂と同様の防御物質であり、R. quercivoraは青変菌と同様に、その防御を突破する役割を担っていると推察される。
著者
小林 三智子 岡田 幸雄 戸田 一雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.136, 2004

【目的】味覚感受性の測定にはその目的によって種々の方法が用いられるが、臨床の場では電気味覚計を用いた検査と、ろ紙ディスク法の検査が多く使用される。本報告では、両者の測定法を用い、若年女性の味覚感受性を測定することを目的とした。<br>【方法】健康な19歳から21歳の女子学生を対象とし、口腔内には口内炎やう歯による痛みのないこと、食後1時間以上経過していること、非喫煙者であることを確認した。電気味覚検査は電気味覚計(TR-06)を用い、刺激部位は、舌尖より2cmの茸状乳頭領域の左右舌縁(茸状左・茸状右)、舌縁後方葉状乳頭領域の舌根に近い左右(葉状左・葉状右)の部位の計4箇所とした。ろ紙ディスク法検査には直径6mmの円形ろ紙を用い、試料溶液はスクロース、塩化ナトリウム、DL-酒石酸、硫酸キニーネ及びグルタミン酸ナトリウムの五味とした。刺激部位は、舌尖より2cmの左舌縁とした。<br>【結果】電気味覚検査の結果は、茸状左-1.38dBおよび茸状右-1.59dB、葉状左0.4dB、葉状右0.2dBであった。葉状乳頭と茸状乳頭のそれぞれ同じ部位において、左右の差は認められなかった。しかし、部位が異なると、茸状乳頭と葉状乳頭の左右ともに、舌尖部の茸状乳頭のほうが有意に低い値を示し、味覚感受性が高いことが示された。一方、ろ紙ディスク法により求めた五味の閾値はそれぞれ、甘味(スクロース)160mM、塩味(塩化ナトリウム)320mM、酸味(DL-酒石酸)40mM、苦味(硫酸キニーネ)0.625mM及びうま味(グルタミン酸ナトリウム)160mMであった。
著者
小松 靖朋 中上 貴裕 柚本 真介 小林 茂 松本 崇志 山口 隆司
出版者
社団法人 日本鋼構造協会
雑誌
鋼構造論文集 (ISSN:18809928)
巻号頁・発行日
vol.22, no.85, pp.85_1-85_14, 2015-03-25 (Released:2016-05-18)
参考文献数
12

In order to repair and retrofit the aged metal bridge, it is important to undestand the mechanical behavior of aged steel and replacement of rivet to H.T.B. In this study, firstly, tensile loading tests, chemical tests of aged steel are conducted to understand the basic property of aged steel. Secondly, tensile loading tests for multi-bolted joint are conducted to clarify replacement of rivet to H.T.B. In this study, three specimens are fabricated and tested; all riveted joint, partially H.T.B replaced, and, fully H.T.B replaced. Based on the test results, it is found that load carrying capacity and deformability of partially and fully replaced to H.T.B can be improved due to adding frictional resistance comparing with riveted joints only.
著者
伴 琢也 小林 伸雄 本谷 宏志 門脇 正行 松本 真悟
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.413-417, 2009 (Released:2009-10-25)
参考文献数
14
被引用文献数
4 6

現在我々は新しい地域特産物としてのハマダイコンの栽培化と育種を進めており,本報では選抜育種の経過と根部の成分や食味に関する調査結果を報告する.島根県の宍道湖畔および島根半島の海岸部のハマダイコン自生集団より根部の肥大形状と晩抽性に注目して個体を採取し,以降,選抜育種を継続した.2006年産の個体では根部の形状と重量が安定した.根部の成分については‘耐病総太り’と比較して還元型アスコルビン酸,イソチオシアネート,ポリフェノールおよび可溶性固形物含量が高く,その値は代表的な辛味ダイコンである‘辛丸’と同等であった.根部にはフルクトース,グルコースおよびスクロースの存在が確認でき,その構成比率は‘辛丸’と類似していた.さらに根部の成分は収穫時期により変化することが明らかになった.以上の結果は,ハマダイコン選抜系統を新たな辛味ダイコンとして位置付けるものである.
著者
小林 孝雄
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.43-53, 2018-03-30

ロジャーズによる「治療的人格変化の必要十分条件」論文は、ロジャーズ理論における最重要論文とみなされている。しかしながら、この論文は、自然科学的心理学の枠組みで記述することを要請されたもので、必ずしもロジャーズの意図に沿ったものではない。とはいえ、自然科学的心理学で認められることもロジャーズが望んだことでもあった。この論文は、記述されることになった経緯があるのであり、この論文単独では、ロジャーズ理論を正しく理解することはできない。本論考では、この論文の成立経緯と、前後のロジャーズ理論の展開について、主に「共感的理解」に注目し、ロジャーズ理論の正しい理解のために必要な論点を整理する。
著者
韓 海 渡来 仁 小林 和子 保田 立二
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.59, no.12, pp.1109-1114, 1997-12-25
参考文献数
29
被引用文献数
2

リポソームを経口ワクチンへ応用するために, pH2.0, 膵液ならびに胆汁存在下でも安定なリポソームの脂質組成を検討し, 経口投与後のIgA抗体産生能について調べた. 経口投与リポソームは, dipalmitoylphosphatidylcholine (DPPC) とcholesterol (Chol) からなるもの, DPPC, dipalmitoylphosphatidylserine (DPPS), Cholからなるもの, distearoylphosphatidylcholine (DSPC) とCholからなるもの, DSPC, DPPS, Cholからなるものを作製し, Tris-HCl buffer (pH2.0), 10%bovine bileならびに2.8%pancreatin液中での安定性を調べた. その結果, DPPC, DPPS, Chol (モル比1:1:2) の脂質組成から作製されたリポソーム, DSPCとChol (モル比7:2) の脂質組成から作製されたリポソームならびにDSPC, DPPS, Chol (モル比7:3:2あるいは1:1:2) の脂質組成から作製されたリポソームは, pH2.0, 10%bile液ならびに2.8%pancreatin液中でも安定であったが, DPPCとChol (モル比7:2) の脂質組成から作製されたリポソームとDPPC, DPPS, Chol (モル比7:3:2) の脂質組成から作製されたリポソームは, pH2.0ならびに10%bile液中で不安定であった. 安定なリポソームのうち, DPPC, DPPS, Chol (モル比1:1:2) の脂質組成からなるリポソームにganglioside GM1を組み込み経口投与し, 血清中のganglioside GM1に対するIgA抗体の産生について調べた. その結果, ganglioside GM1に対する抗体はIgA型抗体のみ産生され, IgG型ならびにIgM型抗体は産生されなかった. さらに, アジュバントとしてmomophosphoryl lipid Aをリポソームに組み込み経口投与した場合, IgA抗体の産生がさらに増強された. 一方, 不安定なリポソームにganglioside GM1を組み込み経口投与した場合には, IgA抗体の産生は誘導されなかった. これらの結果から, 酸性溶液中 (pH2.0), 胆汁中ならびに膵液中で安定なリポソームは, 経口投与によりIgA抗体を効果的に誘導できることが明らかとなり, リポソームを応用した経口ワクチンの開発の可能性が示された.
著者
小林 忠雄
出版者
日本地図学会
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.24-27, 1981
著者
鈴木 拓弥 小林 真 長嶋 祐二
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J101-D, no.3, pp.560-568, 2018-03-01

聴覚障害学生を対象とした授業では,聴覚の代行として視覚情報による支援が中心となる.しかし,実技演習時の細かな操作を教示する場合やタイミングが重要とされる場面では,視覚情報を中心とした手法では不十分な教示状態があることが分かってきた.本論文では,視覚によって提示される情報保障の一部を触覚によって伝達する手法を考案し,教員の実演内容を触覚情報によって提示する教示支援システムSZCAT (SynchroniZed Click Action Transmitter)を開発した.そして,開発したシステムの効果に関する基礎的研究として,従来からの手法と,触覚情報を追加した手法とを比較し,触覚情報提示の有効性を検証した.その結果,触覚情報を追加したことによる視線移動の減少効果や,教示内容の見逃しや誤認識を軽減させる効果について確認できた.