著者
半澤 晋二 小野田 昇 寺尾 一木 崎尾 秀彰
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.116-119, 1997-03-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
5

巨大卵巣嚢腫のため,仰臥位での睡眠が困難な症例の周術期管理を経験した.術前にあらかじめ約35lの嚢腫内容液を排除したところ,仰臥位での睡眠が可能となった.手術を全身麻酔下に開始したが,嚢腫内容液の吸引により血圧は低下し,昇圧薬と急速輸液で対処した.同時に低酸素血症を呈したため,一時的に高濃度酸素吸入を行なった.術前排液量を含めた摘出臓器重量は53kgであった.術後は集中治療部にて管理したが,入室8時間後に血圧低下をきたした以外,呼吸・循環系は安定しており,術後2日目に集中治療部を退室し,後日軽快退院した.
著者
重本 千尋 奥村 真帆 松田 直佳 小野 玲 海老名 葵 近藤 有希 斎藤 貴 村田 峻輔 伊佐 常紀 坪井 大和 鳥澤 幸太郎 福田 章真
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】妊娠中はホルモンの変化や体型変化により,多くの女性が腰痛骨盤痛(low back pain and pelvic pain;LBPP)に悩まされる。妊娠中に発症したLBPPは産後持続する事が多く,睡眠障害やうつ病,不安感などを引き起こし,本人の日常生活のみならず子供の発育に悪影響を与えることから解決すべき重要な課題である。妊娠中から産後にLBPPが持続する要因に関する調査は行われているが,一定した見解は得られていない。近年,腰痛の関連因子の一つとして女性ホルモンが着目されており,エストロゲンの低下は痛みの感受性を増加させることがわかってきており,閉経後女性における腰痛有病率の増加の一因になっていると考えられる。一方,産後女性は産後無月経の期間が存在し,この期間は閉経後女性と同様にエストロゲンなどの女性ホルモンの分泌が不十分と考えられる。しかし,産後女性において,女性ホルモンとLBPPの関連を明らかにした研究はない。本研究の目的は,妊娠中にLBPPを有していた女性において産後の無月経の期間と産後4ヶ月時のLBPPとの関連を調査することである。</p><p></p><p></p><p>【方法】対象者は,4ヶ月児健診において,同意が得られた産後女性のうち,妊娠中にLBPPを有していた女性99名で,産後4ヶ月に自記式質問紙に回答してもらった。一般情報に加え,妊娠中と産後4ヶ月時のLBPPの有無・強度,月経再開の有無・再開時期を聴取した。痛みの強度はNumerical Rating Scale(以下,NRS)を用いた。統計解析は産後4ヶ月時のLBPPの有無と,月経が再開してからの期間との関連を検討するためロジスティック回帰分析を用いた。他因子を考慮するために従属変数を産後4ヶ月時のLBPPの有無,独立変数を月経が再開してからの期間,交絡変数を先行研究より年齢,BMI,出産歴,妊娠前のLBPPの既往,妊娠中のNRSとして,強制投入法による多重ロジスティック回帰分析を行った。統計学的有意水準は5%未満とした。</p><p></p><p></p><p>【結果】妊娠中にLBPPのあった女性において産後にLBPPを有していたものは58名(58.6%)であった。月経再開時期が早いほど,産後4ヶ月時のLBPPの有病率が有意に低かった(オッズ比=0.57,95%信頼区間0.34-0.96)。多重ロジスティック回帰分析においても,産後4ヶ月時の月経が再開してからの期間は産後のLBPPと,他因子に独立して有意に関連していた(オッズ比=0.54,95%信頼区間0.30-0.97)。</p><p></p><p></p><p>【結論】本研究により,産後月経が再開してからの期間が短い,もしくは再開していない女性は月経が再開してからの期間が長い女性と比較して,LBPPの有病率が高いという結果が得られ,産後の無月経期間の長さは,産後のLBPPのリスクファクターとなる可能性が示唆された。</p>
著者
小野 達也
出版者
大阪府立大学
巻号頁・発行日
2014

学位記番号:論社第28号, 指導教員:児島 亜紀子
著者
三輪聡子 小野田亮介 秋田喜代美
出版者
日本教育心理学会
雑誌
日本教育心理学会第58回総会
巻号頁・発行日
2016-09-22

問題と目的 学校における教育は,教師と児童・生徒間のみならず,子どもたちの家庭での姿を知る保護者と連携しながら進められる必要がある。その点で,教育は学校に閉じた場ではなく,学外にも開かれた場であるべきだといえるだろう。実際に,小学校学習指導要領(文部科学省,2008) の総則においても,「2(12)学校がその目的を達成するため,地域や学校の実態等に応じ,家庭や地域の人々の協力を得るなど家庭や地域社会との連携を深めること」と明記されており,保護者との連携の重要性が示されている。教師と保護者が有意義な連携をはかっていくには,教師・保護者間での教育観の共有が必要になる。そのため,日々の学校教育を通して,教師が保護者に自身の教育観を伝えることは,学校教育の質を高める上でもきわめて重要な活動となる。 そこで本研究では,教師の「教育指針」に焦点を当て,初任の小学校教師が自身の教育指針を保護者といかに共有していくかについて明らかにする。そのために,本研究では,教師が保護者宛てに発行する「学級通信」に着目した検討を行う。学級通信は保護者に向けた単なるお知らせではなく,児童の様子や教師の教育指針が含まれている(鈴木,2012)。学級通信に示される内容に着目することで,保護者に示される教師の教育指針の変化についてミクロに捉えることが可能となる。方 法対象 小学校1年生の学級(32名)を担任した20代の初任男性教員1名を対象とし,その1年間に発行された学級通信の内容(全72号)を分析対象とした。なお,本研究が焦点をあてた教師は,1ヶ月に平均6通の学級通信を作成していた。分析の枠組み 学級通信から,教師が自身の教育観や信念に言及している箇所を「教育指針の提示部分」として命題単位で抽出した。そして,それらの記述を(1)目指す児童・学級の在り方に関する「児童・学級に関する指針」,(2)保護者への願い・依頼である「保護者に関する指針」,(3)目指す教師自身のあり方に関する「教師に関する指針」の3カテゴリに分類した。結果と考察全体的特徴 カテゴリごとの提示数をTable 1に示す。全体的傾向としては,児童に関する提示数が最も多く,保護者や教師に関する指針の記述は少ない傾向が認められた。教育指針の提示傾向 月ごとの教育指針の提示数から(Figure 1),新学期が始まった翌月の5月と,夏休みが終了した翌月の9月に相対的にみた提示数の頻度が高くなっていることが確認された。すなわち,教師は児童が家庭から学級に移行・参入した時期を一定期間看取り,その翌月に児童・学級に関する教育指針(例:結果だけでなく過程を自分で褒められるようにしたい)を多く打ち出していることが示された。また,少数ではあるが5月と9月は保護者に関する指針(例:授業参観ではなく授業参加してほしい)も確認されることから,家庭から学級への移行に際して,教師は保護者に向けても教育指針を強調する学級通信を刊行していたことが示唆された。 一方,教師の指針に関しては,一年の終盤に提示が確認されるにとどまった。この点について,教師は「はじめから自分の想いは前面に出さなかったと思います。…もっと関係性ができてから出すようになりました。」と述べており,保護者との信頼関係を構築しながら,自身の教師としての在り方を明確化し,それを共有していたことが推察される。以上より,教師は保護者との関係性構築を通して,自身の専門性を深め,共有するようになっていたと考えられる。
著者
星川 典子 小野 恭司 塩田 寛子 鈴木 俊也 猪又 明子 守安 貴子
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.139, no.1, pp.135-140, 2019-01-01 (Released:2019-01-01)
参考文献数
14

Nail tips are nail art materials that can be attached to the nail with adhesives. Recently, nail/finger injuries related to nail tips have been reported and one of the causes is considered to be the adhesives used for attaching nail tips. The components of nail adhesives are mostly cyanoacrylate, which is also used as an industrial instant adhesive. During curing, cyanoacrylate adhesives release formaldehyde through hydrolysis. When it is marketed as a nail adhesive, there is no regulation regarding its formaldehyde amount nor obligation to indicate its ingredients in Japan. Additionally, a biological safety test is not required for nail adhesives. Thus, because the safety of nail adhesives is inadequately confirmed, it is necessary to investigate their biological safety. Therefore, we purchased 5 commercially available nail adhesives and 1 medical adhesive and examined their formaldehyde content and cytotoxicity. We examined the cytotoxicity of the adhesives in V79 cells by a colony forming assay. In this test, 5 nail adhesives showed higher toxicity than 1 medical adhesive. Formaldehyde concentrations in the extract of adhesives were as follows: 17.5 to 24.2 μg/mL for nail adhesives and 7.4 μg/mL for medical adhesives. Cyanoacetate did not elicit cytotoxicity at the final concentration up to 1000 μM. However, formaldehyde showed cytotoxicity, with an IC50 of 79 μM (2.4 μg/mL). Taken together, the cytotoxicity of nail adhesives could be due to the formaldehyde generated by the hydrolysis of cyanoacrylate. It seems important that nail adhesives will be regulated by obligation and enhanced safety in the future.
著者
遠山 泰美 小野 志郎 西原 誠一郎
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
日本造船学会論文集 (ISSN:05148499)
巻号頁・発行日
vol.1992, no.172, pp.383-391, 1992 (Released:2009-09-04)
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

The first commercial ACV service started with Vickers VA-3 in Britain in 1962. Since 1964 Mitsui (MES) has been making R and D efforts in ACV production and constructed 29 hovercraft of MV-PP series.Recent MV-PP10, a diesel powered 105 passenger hovercraft has achieved high performance and remarkable running cost efficiency. The weight penalty due to the adoption of diesel engines and welded aluminium structures resulted in water drag increase particularly in low speed region. In order to overcome the water scoop, model tests and FEM numerical analyses together with full scale sea trials have been conducted. Full scale measurements with conventional rear skirt systems revealed that the rear skirts would scoop the sea water at about 8 knots.Through the research and development works new rear skirts were conceived and designed for actual use considering geometric instability of the inflated membrane. There were great improvements in the reduction of the drag compared with the conventional systems.Two MV-PP10 hovercraft equipped with the improved rear skirts are now in commercial service for access to Oita airport by Oita Hoverferry Co, Ltd.
著者
秦 正樹 宮前 真 塩入 重彰 村上 和裕 中林 晋也 大山 哲生 原口 美穂子 服部 麻里子 中島 純子 皆木 祥伴 藤原 茂弘 小野 高裕
出版者
一般社団法人 日本顎顔面補綴学会
雑誌
顎顔面補綴 (ISSN:03894045)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.33-38, 2019 (Released:2020-03-12)
参考文献数
31

Background: The aim of this review was to elucidate the effectiveness of prostheses with implant therapy for patients with mandibular defects.Methods: A systematic literature survey was conducted by the Japan Medical Library Association based on keywords for PubMed and Ichushi-web presented by the Clinical Practice Guideline Committee of Japanese Academy of Maxillofacial Prosthetics. After the secondary screening, related articles were extracted and their structured abstracts were described for discussion.Results: Although randomized controlled trials and meta-analyses were not found, 28 papers were extracted after screening. Overall, objective and subjective measures (e.g. occlusal force, masticatory efficiency and food acceptability questionnaires) were significantly increased with implant-supported mandibular prostheses. However, speech and swallowing function were not improved in cases with tongue or oral floor resection. Success and survival rates of implant therapy were ninety percent or more on mandibular reconstruction with autogenous bone grafts.Conclusions: These results suggest that implant-supported mandibular prostheses that can secure the stability of the upper fixed/removable structure are more effective for recovering masticatory function compared with conventional mandibular prostheses.
著者
田中 博之 小野 達也 西﨑 香苗 池上 仁志
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第38回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.O-059, 2020 (Released:2020-01-01)

【はじめに】健常者の立ち上がり動作には股関節が100° 以上屈曲することが報告されており、THA等により股屈曲制限が生じている患者では、健常と異なるパターンで立ち上がることが推察される。本研究では、股屈曲制限下での立ち上がり動作の筋電図学的特徴を明らかにすることを目的とした。【対象と方法】対象は健常男性10名(平均年齢26.8±4.1歳)とした。運動課題は、下腿長と同じ高さの座面からの立ち上がり動作とし、股関節装具による股屈曲90°制限下での立ち上がり(以下制限あり群)・装具なしの立ち上がり(以下制限なし群)を各3回施行した。左前脛骨筋、中殿筋、大殿筋、腹直筋等に電極を貼付し、課題遂行時の筋活動および徒手筋力測定に準拠した最大随意収縮(以下:MVC)を表面筋電図計で記録した。立ち上がり動作を3相に分け、MVCより各相の%MVCを算出した。 統計は対応のあるt検定を用いた(p<0.05)。【結果】第1相中殿筋は制限あり群2.8±1.6%制限なし群 1.84±1.0%(p=0.002),大殿筋は制限あり群2.6±1.8%制限なし群2.1±1.3%(p=0.04)であり、他筋に有意差はなかった。第2相は中殿筋が制限あり群1.8±1.0%制限なし群1.3±0.8%(p=0.03),前脛骨筋は制限あり群6.4± 4.3%制限なし群4.1±2.1%(p=0.02)であった。第3相に有意差はなかった。【考察】本検討より、股屈曲制限は、立ち上がり第1 〜2 相に影響することが明らかとなった。立ち上がり動作の初期相で生じる体幹前傾は下肢関節モーメントに影響するため立ち上がり動作において重要な要素であることが知られている。股屈曲制限下での立ち上がりは体幹前傾が減じるため、第1相では大殿筋、中殿筋による股関節外旋、第2相では前脛骨筋による下腿前傾を増大させて身体重心の前方移動を行ったと推察された。
著者
浮田 徳樹 小野 大輔 工藤 結希菜 鳥越 夕妃 阿部 正之
出版者
公益社団法人 北海道作業療法士会
雑誌
作業療法の実践と科学 (ISSN:24345806)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.16-22, 2020 (Released:2020-02-28)
参考文献数
6

今回,当センター回復期リハビリテーション病棟に入院した脳血管疾患症例に対し,心身ともに落ち着きが見られ始めた発症後3ヵ月目より,生活行為向上マネジメント(Management Tool for Daily Life Performance,以下,MTDLP)を活用し自宅退院後の生活課題を抽出した.転帰先での銭湯利用を想定した段階的な外出訓練を中軸とした介入によって,不安を抱きがちな退院直後の生活像を症例本人が実際に認識・経験したことで,目的とした生活行為に対する課題解決や不安発言の解消に繋がったため,ここに報告する.
著者
小野清 著
出版者
小野清
巻号頁・発行日
vol.下, 1899
著者
小野 雄大 森勢 将雅
雑誌
研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:21888663)
巻号頁・発行日
vol.2019-SLP-127, no.15, pp.1-6, 2019-06-15

VOCALOID などの歌詞と譜面の情報から歌声を合成する歌声合成ソフトウェアを皮切りに,歌声合成技術は発展し続け,歌声に多様な表現を付与することが可能となった.多様な表現が可能となったからこそ,ユーザが所望する歌声をデザインすることを支援する研究も行われている.本研究では,歌唱表現の中でもビブラートに着目し,そのデザインを支援するインタフェースを検討する.本稿では,歌声を聴きながらビブラートデザインを行う手法を提案し,提案手法をインタフェースとして試作した.本インタフェースを構成する機能として,リアルタイムビブラートデザイン機能やデザイン対象音声のピアノロール表示機能,音声ファイルの読み込み,書き込み機能などについて説明する.最後に,提案手法のビブラートデザインの有効性について考察し,今後の展望について述べる.
著者
坂本 真樹 小野 正理 清水 祐一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第26回全国大会(2012)
巻号頁・発行日
pp.2N1OS8c2, 2012 (Released:2018-07-30)

病気の症状はしばしば「ずきずき」といったオノマトペで直感的に表現される.痛みの強さに比べ,痛みの質は定量化が難しいとされてきた.痛みの量と質の両者を表現できるオノマトペは,電子化されてきた医療への導入が期待される.本研究では,オノマトペの音韻特性と医療用尺度の印象評価値の関係を特定する被験者実験によりデータベースを作成し,オノマトペによって表される症状を定量的に推定し出力するシステムを作成した.
著者
渡辺 圭介 垂水 千早 小野 雅史 幸田 衞 植木 宏明
出版者
医学書院
雑誌
臨床皮膚科 (ISSN:00214973)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.254-256, 1998-03-01

43歳,女性.13年前に粘血水様便を初発とする大腸クローン病と診断され,サラゾピリンで加療されていた.寛解増悪を繰り返すうち8年後に蝶形紅斑を初発とする全身性エリテマトーデス(以下SLE)を発症した1例を経験した.SLEは典型的で溶血性貧血,腎症および抗リン脂質抗体陽性を伴い重症と考えられた.クローン病とSLEの合併例としての報告は稀であるが,両者ともに多彩な免疫異常を示し,また全身症状を伴うクローン病にSLEの診断基準をいくつか満たしている報告も散見される.両疾患の関連について若干の文献的考察を行った.