著者
小野 卓史 細道 純 渡 一平 誉田 栄一
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

口呼吸患者は、口腔内乾燥とともに味覚の異常をしばしば訴える。口呼吸による睡眠呼吸障害が神経系の発育障害および機能障害を惹起することが知られているが、これまで口呼吸に伴う味覚障害の機序について検討された報告はなく、口呼吸が味覚情報処理機構に及ぼす影響やその経路については未知である。本研究では、口呼吸の味覚障害への関与を明らかにすることを目的に、口呼吸患者を対象とした臨床調査および動物モデルを用いた基礎研究を実施する。臨床調査により、慢性口呼吸者における味覚閾値の上昇が生じ、片側鼻閉ラットでは、舌味覚受容体の退行性変化が認められた。したがって、呼吸障害が味覚機能に影響を与える可能性が示唆された。
著者
平 修 常山 幸一 川崎 安都紗 小野 鮎子 前川 昭 伊藤 崇志 宮崎 照雄 城本 淳 小林 春輝 大森 肇 片野 肇 村上 茂
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.27-29, 2017 (Released:2019-11-11)

イメージング質量分析(MS)により、マウス筋肉 組織中の「どこ」にタウリンが局在するのかを視覚 的に解析した。本報ではラット脚部より採取した、 ヒラメ筋、腓腹筋、足底筋の凍結切片を用いて、タ ウリンと分岐鎖アミノ酸である、バリン、ロイシン、 イソロイシン、リジンの局在を解析した。
著者
西条 寿夫 堀 悦郎 田積 徹 小野 武年
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.125, no.2, pp.68-70, 2005 (Released:2005-04-05)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

扁桃体は,自己の生存にとってそれぞれ有益および有害な刺激に対する快および不快情動の発現(生物学的価値評価)に関与する.一方,ヒトの扁桃体損傷例や自閉症患者の研究から,扁桃体は,これら情動発現だけでなく,表情認知など人間生活に必須な社会的認知機能(相手の情動や意図を理解する精神機能)に中心的な役割を果たしていることが示唆されている.さらに,われわれの神経生理学的研究によると,サル扁桃体には,価値評価に関与するニューロンおよび相手の表情に識別的に応答するニューロンが存在する.以上から,生物学的価値評価と社会的認知の2つのシステムが扁桃体に存在し,2つのシステムが並列的に機能している仮説的神経回路を提唱した.
著者
日和 裕介 下里 哲弘 加藤 祐介 小野 秀一 木村 雅昭 中野 麻衣子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A
巻号頁・発行日
vol.66, pp.388-399, 2020

<p>Bridge girder ends were the major weak points against corrosion. Therefore, it is necessary to develop the anticorrosion technique for them. In this study, we focused on Cold Spray technique, which can form a metallic film, as a corrosion protection film-forming method. In this study, we applied the mixed particles of zinc particles and alumina particles to the corroded steel bridge girder ends in the Cold Spray method to verify the corrosion protection performance and field applicability. Cold Spray Corrosion protection technology was applied to the corroded steel bridge girder ends, and corrosion monitoring was performed to verify the effectiveness in a corrosive environment.</p>

1 0 0 0 OA 世界のぞ記

著者
小野賢一郎 著
出版者
正報社
巻号頁・発行日
1919
著者
小野 展克
雑誌
嘉悦大学研究論集
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.1-17, 2014-10-24

本研究では、昭和金融恐慌を当時の新聞が、どのようなキーワード、キーセンテンスを使用して報じたのかを分析した。具体的には、片岡直温蔵相の失言に端を発した東京渡辺銀行の取り付け騒ぎを東京朝日新聞、読売新聞、中外商業新報がどのようなキーワードを使って記事化したのかを分析した。昭和金融恐慌は、この東京渡辺銀行の取り付け騒ぎ、鈴木商店の経営不振による台湾銀行の信用不安、台湾銀行の休業という3つの波があり、片岡直温蔵相の失言は、その幕開けとなった事件として注目される。また、先行研究として金解禁をめぐる新聞論調の変化を追った中村宗悦や経済報道のゆらぎ現象の増幅効果を指摘した駒橋恵子らの考察を踏まえ、報道が昭和初期の政策決定に与えた影響も考察した。
著者
小野 健一 藤原 大輔 川上 孝行 金山 祐里
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.210-216, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
18

認知症の人とその家族介護者への支援は,両者の在宅生活を維持するために重要である.今回,訪問作業療法場面で,認知症高齢者と家族介護者2組に対し,共作業支援尺度を用いた共作業支援プログラムを実施した.共作業支援尺度から提案された改善したい共作業への作業療法介入を行った結果,認知症高齢者のBehavioral and Psychological Symptoms of Dementia(以下,BPSD)の重症度と,家族介護者のBPSDから生じる介護負担感,共作業継続意志得点の改善が,2組共に見られた.両者の行う共作業への介入により,家族介護者の共作業の遂行能力が改善し,結果として両者にとって,より満足のいく在宅生活につなげられる可能性が示唆された.
著者
小野沢 美明子
出版者
日本教材学会
雑誌
教材学研究 (ISSN:0915857X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.73-84, 2013 (Released:2020-03-20)
参考文献数
29

Currently the pursuit of children’s autonomous involvement and teacher’s initiative in the selection, decision, manner of utilization, and contents of educational materials are tend to be considered conflicting. However, questioning it from a view point of "autonomy" which can be interpreted from "Legitimate Peripheral Participation" theory by Jean Lave & Etienne Wenger, it is contemplated that they are not at all conflicting but children’s autonomous involvement in educational materials is better guaranteed by teachers properly exercising their initiative. Educational materials in this context are not entrenched, but are considered to be re- constructed and updated continuously. In this paper, I will discuss that educational materials are reconstructed and metamorphosed in a dynamic context in which teachers and children recognize their responsibilities in practice and autonomously participate in activities cooperating with each other.
著者
小野 里光 浅野 浩之 金沢 好一
出版者
群馬県林業試験場
巻号頁・発行日
no.14, pp.10-19, 2009 (Released:2011-07-26)

巻枯らし間伐を実施したヒノキ林において森林害虫発生調査を行ったところ、以下のことが明らかになった。1.巻枯らし間伐実施後から数年間は、二次的害虫であるマスダクロホシタマムシ、ヒメスギカミキリが発生した。2.立木に変色被害を引き起こすキバチ類の発生は、間伐実施から2夏後に発生数が増加する切り捨て間伐と同様の傾向を示したが、終息期間は切り捨て間伐よりも長期間にわたり発生する場合があることが確認された。3.キバチ類は、巻枯らし木を長期間にわたり繁殖源として利用する可能性があることが示唆された。
著者
小野 里光 浅野 浩之 金沢 好一
出版者
群馬県林業試験場
雑誌
研究報告 (ISSN:09186115)
巻号頁・発行日
no.14, pp.10-19, 2009-04

巻枯らし間伐を実施したヒノキ林において森林害虫発生調査を行ったところ、以下のことが明らかになった。1.巻枯らし間伐実施後から数年間は、二次的害虫であるマスダクロホシタマムシ、ヒメスギカミキリが発生した。2.立木に変色被害を引き起こすキバチ類の発生は、間伐実施から2夏後に発生数が増加する切り捨て間伐と同様の傾向を示したが、終息期間は切り捨て間伐よりも長期間にわたり発生する場合があることが確認された。3.キバチ類は、巻枯らし木を長期間にわたり繁殖源として利用する可能性があることが示唆された。
著者
小野 史典 岡 耕平 巖淵 守 中邑 賢龍 渡邊 克巳
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第9回大会
巻号頁・発行日
pp.119, 2011 (Released:2011-10-02)

我々の感じる時間の長さは様々な要因によって実際よりも長く、もしくは短く感じられる。これまでの研究で朝と夕方で主観的時間の長さが異なることが知られている。しかしこの結果はあくまで実験室で得られたデータであり、実際の生活リズムを反映しているとは言いがたい。そこで本研究では携帯電話で実験できるよう、実験プログラムを組み込んだ専用アプリを開発することで、普段の生活の中で感じる時間の長さを調べた。実験では1時間に1度、アプリが自動で立ち上がり、実験協力者はストップウォッチ課題(3秒経過したと感じたらボタンを押す)を行った。実験の結果、時間帯によって作成時間の長さ(ストップボタンを押すまでの時間)に変動が見られた。特に正午と夕方の時間帯で作成時間が有意に短くなっていた。この結果は実験室で得られた知見とは異なり、我々の感じる時間の長さが食事や仕事などの生活リズムによって変動することが明らかになった。
著者
長谷川 隆 西本 卓也 小野 順貴 嵯峨山 茂樹
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1204-1215, 2012-03-15

本論文では,音楽から受ける「作曲家らしさ」の印象を説明し定量的に測定できる工学的手法を目指して,音楽学における様式分析手法の1つであるラルーらの綜合的様式分析において論じられている様々な定性的特徴に対応する特徴量を提案する.対象データはMIDIデータとし,音の厚み等の音楽的な表現語の意味を解釈し,楽譜情報から計算可能な量を検討する.正準判別分析の作曲家推測精度を求めることにより,提案した特徴量群による特徴空間上で同作曲家の楽曲が近接して配置されていることが,判別分析結果の階層クラスタ分析により,時代・文化が類似していて類似した印象を受けると考えられる作曲家の特徴重心が近接して配置されていることが示された.以上から,提案した特徴群は「作曲家らしさ」の尺度として妥当性を持つと考えられる.The purpose of this paper is to establish technique to explain and measure "composer-characteristic" impression extracted from music. For that purpose, musical features are proposed by quantifying various qualities stated in Style Analysis by LaRue et al., one of musicological analysis methods. Input is assumed to be MIDI data, and measurable features from sheet music information are investigated by elucidating musicological descriptors such as "sound thickness". Composer discrimination accuracy evaluated with canonical discriminant analysis showed points of music by the same composer in the feature space of proposed features are placed nearby. In addition, the result of hierarchical cluster analysis showed centroids of similar composers with homogenous chronological and cultural backgrounds are also placed nearby. Therefore, the proposed features are presumed to be feasible for measuring "composer-characteristic" impression.
著者
小野寺 淳 増子 和男 上杉 和央 野積 正吉 千葉 真由美 石井 智子 岩間 絹世 永山 未沙希
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100103, 2015 (Released:2015-10-05)

長久保赤水(1717-1801)は,安永8年(1779)に「改正日本輿地路程全図」 天明5年(1785)に「地球萬国山海輿地全図説」,に「大清広輿図」などを刊行した地図製作者である。長久保赤水が編集した地図は「赤水図」と呼ばれ,江戸時代中期における最もポピュラーな地図として版を重ねた。編集図は,様々な文献や地図をもとに編集して地図を作製したと想定されているが,いかなる文献,いかなる地図を参考にしたかなど,具体的な地図作製過程については不分明な点が多い。そこで,本科学研究費(基盤研究(C)「長久保赤水の地図作製過程に関する研究」代表者:小野寺淳)は,江戸時代中期の最も著名な地図製作者であった長久保赤水の地図作製過程を明らかにすることを目的としている。  このうち,本報告では,1年間の調査をもとに明らかになった点を公表する。赤水は常陸国赤浜村(現,高萩市赤浜)の庄屋に生まれ,1767年藩命により漂流者を引き取りに長崎へ赴く(『長崎行役日記』),翌年水戸藩郷士格,大日本史地理志の編纂に従事した。50歳代から地図製作に携わり,地図を刊行した。これらの地図作製には多くの文献を渉猟したと考えられ,本報告では中国図を対象に,漢籍などから明らかになった作製過程の一部を示す。  長久保赤水からの分家は6家あり,そのうち4家に史料が伝えられている。4家のうち1家の史料は古書店経由で現在,長久保赤水顕彰会と明治大学図書館に所蔵されており,前者には書き込みの見られる漢籍が176点ある。研究初年度の昨年は,すでに現存資料が明らかになっている1家を除く3家について土蔵などの悉皆調査を行った。なかでも長久保甫家では,赤水の手書きによる写図10点,ならびに書き込みの見られる漢籍50点,書簡や村方文書などが新たに見つかった。新出の村方文書は現在整理中である。既存の史料を合わせ,これらの分析が今後の課題となる。 漢籍に記された赤水の書き込みについて,赤水が作製した「大清廣輿図」および「唐土歴代州郡沿革地図」の中国図との関係の検討を始めたところである。ここでは各中国図の原本調査を通した見解を述べておきたい。「大清廣輿図」は,省ごとに板木を作成しており,省内でも板木を分けているため,全体で23の板木を使用していることが判明した。また,省ごとに紙継ぎをするため,料紙裏に「東北淅福建界」といった目印を板木で刷っており,これは16箇所見られた。「唐土歴代州郡沿革地図」では,長久保甫家所蔵資料内に中国図作製過程の「疑問」を書いた史料が見られる。このことから,漢籍からの情報を考証し,疑問を整理しながら地図作製を行っていたと考えられる。