著者
山形 拓 平澤 大 藤田 直孝 尾花 貴志 菅原 俊樹 大平 哲也 原田 善博 前田 有紀 小池 良樹 鈴木 憲次郎 山本 康央 日下 順 田中 恵 野田 裕
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.56, no.7, pp.2211-2219, 2014 (Released:2014-07-29)
参考文献数
20

【目的】Barrett腺癌は正常扁平上皮下へ側方進展することがあり,癌が表層に露出していないため内視鏡による範囲診断が困難となる.Barrett腺癌の扁平上皮下進展部の内視鏡的特徴を明らかとし,その範囲診断に酢酸撒布法が有用であるかを検証することを目的とした.【対象と方法】当センターで内視鏡切除したBarrett腺癌25例を対象とした.扁平上皮下進展の存在と進展範囲を病理学的に検討した.その後,Barrett腺癌の扁平上皮下進展部の内視鏡画像をReviewし,その同領域の内視鏡的特徴および出現頻度を検討した.【結果】Barrett腺癌25例中10例(40%)に扁平上皮下進展を認めた.扁平上皮下進展部の内視鏡所見は,白色光では淡い発赤,扁平隆起,NBIでは淡い茶褐色を呈していた.扁平上皮下進展部に1.5%酢酸を撒布すると,小孔,小白斑,溝状の構造が観察され,この所見をSmall White Signsと呼称した.上述の所見によるBarrett腺癌の扁平上皮下進展部の範囲診断正診率は白色光50%,NBI 43%,酢酸撒布法100%であった.【結語】Barrett腺癌の扁平上皮化進展部の内視鏡診断に酢酸撒布法は有用であった.
著者
磯邊 恵理子 山本 かおり
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.E1063, 2007

【目的】訪問リハビリテーションは、対象者の自宅に訪問することで生活状況や介護状況に直接関わるという個別性をもった対応が必要とされるサービスである。しかし、介護者と対象者の思いに大きな相違が生じその相違をどのように調整していけばよいか戸惑うことも多々経験する。今回、介護者の機能改善に対する思いが強く対象者への暴力も認められ、リハビリ支援に苦難した症例を経験したので、訪問リハビリの役割や今後の課題について検討する。<BR><BR>【症例紹介】60代 男性 脳梗塞(右片麻痺)、糖尿病、糖尿病網膜症(左眼失明)要介護度1 視力障害はあるがてすりや杖使用での歩行可能。家族構成は本人・妻・長男の三人暮らし キーパーソンは遠方在住の次女であり介護のために月の半分は帰省。症例性格:発症前は会社経営をしており自由自適に生活。利益を得ることや金銭欲が強く身勝手な行動や発言が多い。訪問リハビリ導入は家族の希望によるものであり、筋力強化、ADLの向上等機能改善希望。<BR><BR>【経過】H14.7訪問リハビリ週3回(別事業所からも週3回)導入となる。本人の行動:病識なくリハビリ意欲に欠ける。しかし外出意欲は高く次女不在時は一人で外出、暴飲暴食など血糖コントロール困難。次女の行動:症例の勝手な行動に対しストレスを感じ、神経質で生活スケジュールの細部までマネジメントを行う。また機能訓練に対しての意欲強く内容や量に関する訴え多い。訪問リハビリ実施の際にもスタッフ以上に動作手順の指示があり症例の行動に対して細かい指示をされ口調も激しく出来ないと怒り何度も修正を要求。経過中の出来事:訪問リハビリ導入当初から次女による厳しい介護状況が認められたが、介護ストレス蓄積によりスタッフの目前でも暴力的行為が目立つようになった。対策:虐待行為への対応としてサービス導入による介護負担の軽減、介護者の話の傾聴による精神的支援、虐待についての説明、虐待行為が生じた時点でサービス提供中止、という内容をケアマネと取り決め実施した。<BR><BR>【結果】虐待行為に対しスタッフ間での話し合いや関連職種との連携も頻回に行ったが大きな改善を認めることなくH18.3から痙攣発作により入院となり訪問リハビリ中止、現在は機能低下(臥床)した状態で在宅生活中。<BR>【考察】対象者の尊厳を守るために本人の意思の尊重をすべきであるが、高齢者虐待や介護虐待は発見しにくく介入も困難であるといわれている。今回改善させることが出来なかった背景には症例本人による否定、介護者の症例に対しての思いの強さ、家族の生活歴の存在等があげられる。対象者、介護者間のニーズの違いに対しては専門職として助言し調整していかなければならないが今回は介護者主体の関わりであった。今後は関係職種とさらに連携を図りながら在宅で生じる問題点に対し対応をしていかなければならない。
著者
和田 英喜 宇井 雄一 田中 佑佳 山本 英樹 丸山 仁実 林 哲也 尾嶋 良恵 木下 昌樹 新田 功児 西分 和也 石原 均
出版者
一般社団法人 日本体外循環技術医学会
雑誌
体外循環技術 = The journal of extra-corporeal technology (ISSN:09122664)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.56-58, 2002-03-01
被引用文献数
3

【要旨】新たに開発された,アイシン社製IABP装置,CORART BP21(BP21)を使用する機会を得たので,当院で使用しているデータスコープ社製System97e(97e),System98(98)との比較も含め,シミュレーション回路による,応答性・不整脈への追従性の実験および臨床使用で総合的に評価した。BP21は98と同様に拡張・収縮に要する時間が短く,高心拍への追従性が良く,R波デフレーションを選択するのにも十分な性能を有していると考えられた。カテ先センサー付のP1バルーンを使用した際は,センサーオート機能で優れた不整脈への追従性を示した。また搬送時の移動性に優れ,新しく開発されたバックアップモードは臨床上の有効性も示唆された。
著者
山本 康貴 増田 清敬 稲永 直人
出版者
北海道大学大学院農学研究院
雑誌
北海道大学農經論叢 (ISSN:03855961)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.19-24, 2008-06-10

This study analyzed the emission trends of greenhouse gases and the measures against global warming in the New Zealand (NZ) agriculture sector. The NZ agriculture sector has the largest impact for greenhouse gas emission in NZ. Especially, methane emissions from enteric fermentation of sheep, dairy cattle, and non-dairy cattle are significant sources. In accordance with the Kyoto Protocol, NZ’s target is to reduce its greenhouse gas emissions to the level they were in 1990.Measures against global warming in the NZ agriculture sector include reduction in breeding numbers (short-term) and the cutting of greenhouse gas emission factors for livestock through research and development (long-term). However, it is believed that the short-term reduction measure will have a large impact on farmers, such as agricultural income reduction, and the long-term reduction measure will take considerable time to reduce the effects of greenhouse gases.
著者
地野 充時 辻 正徳 隅越 誠 小林 亨 山本 昇伯 寺澤 捷年
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.152-156, 2017 (Released:2017-10-20)
参考文献数
9

中建中湯は便秘に使用されることが多いと報告されている方剤である。今回,下痢,軟便に有効であった症例を経験した。有効5症例のうち,便秘を呈さなかった症例は4例であった。中建中湯は下痢・軟便症例にも有効であり,便秘に拘る必要はない。有効例においては,(1)腹鳴・腹満,(2)腹直筋攣急,(3)冷え,が多く認められ,これらの臨床症状が本方を処方する時の目標になりうると考えられた。
著者
石黒 洋 山本 明子 中莖 みゆき 衣 蘭娟 石黒 真理子 山口 誠 近藤 志保 持丸 由香 Ishiguro Hiroshi Yamamoto Akiko Nakakuki Miyuki Yi Lanjuan Ishiguro Mariko Yamaguchi Makoto Kondo Shiho Mochimaru Yuka
出版者
名古屋大学総合保健体育科学センター
雑誌
総合保健体育科学 (ISSN:02895412)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.9-15, 2012-03-30

Excretion of hypotonic sweat by eccrine sweat gland is achieved by re-absorption of NaCl by sweat duct which is an important function to prevent the salt loss and heat prostration. The Cl– transport by sweat duct is mediated by cystic fibrosis transmembrane conductance regulator (CFTR) anion channel. CFTR is the causative gene for cystic fibrosis, an autosomal recessive genetic disease. CFTR functions as a cAMP-dependent anion channel localized in the apical membrane of various epithelia. Loss of function due to severe mutations in both alleles causes typical cystic fibrosis characterized by dehydrated, thick, and viscous luminal fluid/mucus in the respiratory and gastrointestinal tract, pancreatic duct, and vas deferens. Cystic fibrosis is the most common genetic disease in Caucasians (1 per ~3,000 births) but it is rare in the Asian population including Japanese (1 per ~1.5 million). A compound heterozygote of mutations/polymorphisms (causing a mild dysfunction of CFTR) involves a risk of developing CFTR-related diseases (or atypical cystic fibrosis) such as chronic pancreatitis and male infertility due to congenital bilateral absence of the vas deferens (CBAVD). Recent studies suggest that CFTR mutations/polymorphisms are frequently found in Japanese patients with chronic pancreatitis, CBAVD and diffuse panbronchiolitis. Cl– concentration in the sweat is a useful measure of CFTR function in human. The sweat [Cl–] in healthy subjects is correlated with ages. High levels (>60 mM) of sweat [Cl–] suggest the dysfunction of CFTR.
著者
栗林 和彦 山本 成志 後藤 昌司
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.35-46, 1994

ロジスティック・モデルのあてはめには,通常,最尤法が用いられるが,小標本での解析結果の信憑性が問われていた.この場合の代替法として正確推測法があり,最近のコンピュータならびに計算アルゴリズムの発展によって実行可能性の問題に解消の兆しが見えてきた.<BR>本稿では,多変量シフト・アルゴリズムに基づく正確推測法の手続きを明らかにして,そのプログラムを開発し,正確推測法の適用可能性を吟味した.その結果,正確推測法は,小標本で説明変数がカテゴリー個数の少ないカテゴリー変数(2値変数も含む)である場合の最尤法の対照あるいは代替として利用できることを明らかにした.
著者
山崎 篤 山本 岳彦 松尾 健太郎
出版者
[東北農業試験研究協議会]
雑誌
東北農業研究 (ISSN:03886727)
巻号頁・発行日
no.68, pp.123-124, 2015-12

食生活の変化により、野菜の中で加工・業務用途が急激に増大してきたなかで、水田を主体とする土地利用型農業の収益改善にも寄与するものとして、加工・業務用野菜を水田で作ろうという取り組みが活発になってきた。水田転作品目として、機械化一貫体系が構築されていて大規模でも取り組みやすいタマネギが選択される事例は多い。しかし、特に日本海沿岸の積雪地帯において10a当たり収量が2.0t以下と全国平均の半分以下となるなど、これまで慣行的に行われてきた秋まき栽培が非常に生産性が低いため、水田農業の比重が大きいにもかかわらず東北地域においては選択しづらい品目であった。そこで、生産性の低さの原因と推察される冬の寒さや積雪を回避できる栽培方法として、これら地域における春まき作型の開発に向けて研究を進めている。ところで、収穫までの間に展開するタマネギの葉は、主に形態的な特徴から、普通葉(+保護葉)、肥厚葉、貯蔵葉、萌芽葉に分けられる。これらの葉の構成は、早晩性や収量に大きく影響するものと考えられる。特に本圃での生育期間が短くなる春まき栽培ではこの点が重要となる。そこで、本研究では、2012~2014年の3か年におけるこれらの葉の構成に及ぼす播種時期(2/14、2/28、3/14)の影響およびその年次変動について、いくつかの品種を用いて調査した。
著者
小浜 靖郎 内田 昭博 茅野 浩一 山本 和義 大塚 正幸
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
トンネル工学研究発表会論文・報告集 (ISSN:18849091)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.331-336, 1995-11-13 (Released:2011-06-27)
参考文献数
3

Miharasi tunnel located near the port Yokohama, is one of the typical OLD URBAN tunnel that needed reconstruction because of it's change to out of date from the recent traffic. However, for the sake of the geological conditions, the situation was hard to maintain the traffics during construction works. After various comparative examinations, a twin (couple) tunnel plan was successfully adopted with complicated constructive sequences. The total data obtained by long term and careful examination with the twin tunnelling, as well as the whole planning, would brought useful suggestion for another similar following plan.
著者
池永 満生 吉川 勲 古城 台 加藤 由美子 綾木 歳一 梁 治子 石崎 寛治 加藤 友久 山本 華子 原 隆二郎 Ikenaga Mitsuo Yoshikawa Isao Kojo Moto Kato Yumiko Ayaki Toshikazu Ryo Haruko Ishizaki Kanji Kato Tomohisa Yamamoto Hanako Hara Ryujiro
出版者
宇宙開発事業団
雑誌
宇宙開発事業団技術報告 = NASDA Technical Memorandum (ISSN:13457888)
巻号頁・発行日
pp.306-338, 1994-10-20

HZE(高エネルギー重荷電粒子)および宇宙放射線の遺伝的影響を調べるため、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の成虫雄と幼虫をスペースシャトル/エンデバー号(STS-47)に搭載し、雄の生殖細胞(精子やその元となる精原細胞など)に起こる伴性劣性致死突然変異と、幼虫の翅原基体細胞に起こる染色体のつなぎかえによる突然変異を調べた。用いた系統は、標準的な野生株(Canton-S)と放射線高感受性株(mei-41)である。各系統で、成虫雄は200匹ずつ、幼虫は約6000匹ずつを搭載し宇宙環境に曝すとともに、ほぼ同数を地上対照群として、宇宙飛行群と同じ環境条件(温度と湿度)で飼育した。宇宙飛行は約8日間であった。帰還した雄のハエは、伴性劣性致死突然変異を調べるため、検出用系統の処女雌に交配し、次々世代で致死遺伝子を保有しているX染色体を検出した。宇宙飛行群の致死遺伝子をもった染色体頻度は、地上対照群の頻度に比べて、野生株では2倍、放射線高感受性株では3倍高かった。幼虫は、帰還時にほとんどが蛹になっており、翌日より徐々に羽化が始まった。羽化した成虫は、順次70%アルコールで貯蔵し、後に翅標本を作成して、染色体突然変異由来の翅毛変異スポットを調べた。野生株では、宇宙飛行群と地上対照群の頻度は、ほぼ同じであった。放射線高感受性株から分離してくるMuller-5個体における頻度は、地上対照群に比べて宇宙飛行群では、1.5倍高かった。しかし、放射線高感受性個体における宇宙飛行群の頻度は、地上対照群に比べて有意に低い頻度を示した。地上対照群に比べて、宇宙飛行群の劣性致死突然変異の高頻度は、生殖細胞において、放射線と微小重力の突然変異誘発作用への相乗効果を示唆している。しかし、この相乗効果は、体細胞の染色体突然変異誘発作用に対しては観察されなかった。
著者
奥村 健児 山本 裕俊
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.33-39, 2018-02-20 (Released:2018-02-20)
参考文献数
23

【目的】無脾症候群および多脾症候群(以下本疾患群)は,多様な心血管系の奇形を合併することが多く重症度が高い疾患である.腹腔内臓器の奇形など小児外科疾患を合併することも多い.今回我々は当院で経験した本疾患群における小児外科疾患の治療戦略について検討した.【方法】2000年から2015年に当院で経験した44例(無脾症候群32例,多脾症候群12例)について,在胎週数,出生体重,合併心疾患,小児外科疾患と予後について後方視的に検討した.【結果】無脾症候群は全例心奇形を合併しており,単心室が28例(87.5%)で最多であった.小児外科疾患は14例(43.8%)に合併しており,腸回転異常症2例,胃軸捻転3例(1例に腸回転異常症合併),壊死性腸炎1例,先天性十二指腸閉鎖症1例,腸回転異常症を伴う食道裂孔ヘルニア1例の計8例に手術を施行した.多脾症候群も全例に心奇形を合併しており,下大静脈欠損が6例(50%)で最多であった.小児外科疾患は1例(8.3%)に腸回転異常症と先天性十二指腸閉鎖症を合併しており,手術を施行した.最終的な予後は無脾症候群が生存率46.9%,多脾症候群が75%であった.小児外科疾患が予後に関連したと考えられる症例は中腸軸捻転症合併の1例のみであった.【結論】本疾患群は重症心奇形を合併することが多く予後の悪い疾患グループである.合併する小児外科疾患に関しては消化管検査が望ましい.予定手術の際の手術時期は,個々の心疾患の重症度および進行度に応じて慎重に検討する必要がある.
著者
山本 遼平 奈良間 千之 福井 幸太郎
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100275, 2016 (Released:2016-04-08)

北アルプスの北部に位置する立山連峰は日本で唯一の氷河が存在する地域であるが,氷河の年間質量収支や形態,環境条件などは明らかにされておらず,例えば北アルプスの局所的に氷河が維持されている要因なども不明である.そこで本研究では,立山連峰における氷河の年間質量収支および,局所的に氷河と越年性雪渓が発達する環境条件を明らかにすることを目的として,現地調査や解析をおこなった.以下に研究方法と結果を示す. 1),立山三山に存在する御前沢氷河に対し,融雪期末期の氷河上および氷河周辺の位置情報を高精度GNSS測量により取得した.また,冠雪の2日前の2015年10月9日に北アルプス北部で小型セスナ機からの空撮を実施した.現地調査により得たGNSS測量データと空撮画像からSfMで氷河表面の25cm解像度のDEMを作成した.作成したDEMから算出した融雪期末期の御前沢氷河の平均表面高度は2637.7m,末端高度は2502.0mであり,面積は0.112km2であった.また,作成したDEMの精度検証のために現地のキネマティックGNSS測量データと比較をした結果,氷河全体の平均鉛直誤差が0.55mであった. 2),衛星画像と国土地理院の解像度10mDEMを用いて,北アルプス全域において主稜線から一定の距離にある点を流出点とする集水域を作成し,雪の涵養・消耗に関連する地形的要素を集水域ごとに比較した.解析の結果,北アルプスに現存する氷河はその周辺の谷地形よりも涵養に関わる要素の値が大きい結果が得られた.