著者
川村 秀憲 角田 久雄 山本 雅人 高谷 敏彦 大内 東
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.203-211, 2005-04-15
被引用文献数
6

本稿では, 人の呼びかけに反応して様々な動作を行うエンタテインメントバルーンロボットの開発と基礎的な実験について報告する.バルーンロボットにはワイヤレスCCDカメラとワイヤレスマイクが搭載され, 人の拍手を感知して回転動作や上下移動を行う.人の呼びかけに対しては, 確率的状態遷移機械を利用することによって, 不確実な再現性をともなった動作系列の生成を実現した.バルーンは空調などの外乱に容易に影響を受けるので, 連続的に動作可能な状態を維持することは困難であるが, 地面に置かれたランドマークを利用したホバリング制御に基づいて制御することによって長時間安定してインタラクティブな飛行を可能とした.実験を通して, 人とインタラクションをとりながら長時間飛行が可能であることを確認した.
著者
山本 高司
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.18-24, 1979-03-01

空港貨物取扱業務に従事する某社の男子現業員12名(26.7±6.2才)を対象とし,作業前,作業半ば,および作業後における直立時の動揺(postural sway)を,荷重センサーと支持板からなる動揺測定装置を用いて記録した。測定は第1日目,2日目,3日目と連続して行なわれた。その結果,次の事柄が明らかとなった。第1日目においては,開眼の場合,作業前値を100とした時に,作業半ばおよび作業後では123,125であり,閉眼の場合は,順に,100,116,113であった。同様にして,第2日目の開眼の場合は,順に,100,121,138であり,閉眼の場合は100,130,153であった。第3日目の徹夜作業においては,開眼の場合,順に,100,125,147であり,閉眼では100,101,123であった。したがって,いずれの日においても直立時の動揺は,作業時間の経過と共に増加の傾向を示した。t検定の結果,これらの増加は5〜0.1%の危険率で有意であった。一般に,直立時動揺の変動をもたらす要因としては種々のものがあげられるが,本研究における動揺の増加の主要な原因としては,作業自体に伴う疲労によって姿勢調節能が一時的に減弱したことが考えられる。
著者
山本 逸郎 古川 由美子
出版者
弘前大学教育学部
雑誌
弘前大学教育学部紀要 (ISSN:04391713)
巻号頁・発行日
no.96, pp.27-40, 2006-09
被引用文献数
1

高校物理において等加速度直線運動を調べる実験の一つとして,斜面を転がる球の加速度を導出する実験が設定されている。また,斜面を転がる球の運動を利用した実験は,小学校および中学校における≡哩科実験にも現れる。本研究では,アルミレールとプラスチックレール,鉄球とプラスチック球を組み合わせて,料面を転がる球の加速度の角度依存性を測定した。球は始めすべらずに転がるが,ある角度を境に転がりながらすべりだす。得られた実験結果を詳しく解析し,斜面を転がる球の運動を考察した。
著者
井出 雄二 山本 茂弘
出版者
東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林
雑誌
東京大学農学部演習林報告 (ISSN:03716007)
巻号頁・発行日
no.85, pp.p27-42, 1991-07
被引用文献数
1

ウダイカンバ及びダケカンバ冬芽を供試体としての培養を行った。培養試験は,外植体として用いる冬芽の,採取時期及び枝上での位置の違いによる,シュートの伸長経過の違いを検討した。それぞれの樹種2個体について,10月下旬から3月下旬まで,ほぼ1ヵ月おきに6回にわたり,時期をかえて培養を行った。改変ANDERSON培地にBAP(6-benzylaminopurine)を1.6mg/l添加した培地に,鱗片を除いた冬芽を置床し培養した結果,両樹種についてつぎのことが明らかになった。1)培養開始時期が遅くなるにつれて,シュートの形成が悪くなる傾向が認められ,両種共1月以降の培養ではシュートは得られなかった。すなわち,発根培地に移殖可能なシュートを得るためには,北海道においては遅くとも11月下旬までに培養を開始する必要があり,効率的な増殖のためには,本試験の範囲では10月下旬の培養が適当である。これは,静岡での試験との関係でみると,冬芽形成後月平均気温が5℃を下回らない時期が適当であると示唆される。2)シュートの形成及び伸長は,枝の上部に位置する冬芽では旺盛であったが下部の冬芽からは少なかった。この結果,ウダイカンバでは一年生枝先端の仮頂芽及び2番目の冬芽を,ダケカンバでは仮頂芽のみを用いた場合に,良好なシュートの形成が期待される。なお,シュートの伸長は個体間差が大きく,新しい個体の培養に際しては,培地に添加するBAPの量などの培養条件について,個体毎に検討が必要である。3)両樹種とも,10mm以上に伸長したシュートを切り取って改変したANDERSON培地に,IBA(Indolebutylic acid)を0.5mg/l,NAA(α-naphtylacetic acid)を0.02mg/l添加した発根培地に移植することにより,発根個体を得ることが出来た。これにより,ミズメ,ウダイカンバに次いでダケカンバにおいても冬芽の培養による,植物体再生が可能であることが明らかになった。Effects of seasonal and positional difference of winter buds on shoot elongation were examined in vitro winter bud culture of Betula maximowicziana REGEL and B. ermanii CHAM. Two 30-year-old mature individuals growing in the university forest in Hokkaido were used as the source of explants for each species, respectively. Inoculations were carried out six times from October, 1989 to Mach, 1990 at an interval of about a month. Winter buds which scales had been removed were cultured on modified ANDERSON's medium with 1.6mg/l of BAP (6-benzylaminopurine). Shoot formation and elongation was reduced with the advance of inoculation season. It was concluded that winter bud culture of these two species should start at the end of November at latest. And the end of October was thought to be most favorite time for starting culture as far as this experiment concerned. Active shoot formation and elongation was expected from winter buds which were attached on the upper part of one-year-old twigs. Then upper two winter bud including pseudo-terminal bud for B. maximowicziana and only pseudo-terminal buds for B. ermanii supposed to be appropriate for the explandts. Shoot elongation varied seriously from indiviaual to individual in both species. There-for experiments for determination of appropriate culture conditions such as concentration of BAP would be necessay for the propagation of new individual. Shoots which elongated over 10mm were cut and placed on rooting medium which was modified ANDERSON's medium containing 0.5mg/l of IBA (indolebutylic acid) and 0.02mg/l of NAA (α-naphtylacetic acid) after 90 days of inoculation. Rooting were occurred in both species and regenerated plantlets in a few weeks. This is the first report of in vitro plantlet tegeneration of B. ermanii.
著者
倉田 美恵 奥山 清美 金田 すみれ 土屋 房江 筒井 由紀子 三谷 璋子 山本 百合子
出版者
福山市立大学
雑誌
福山市立女子短期大学研究教育公開センター年報 (ISSN:13485113)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.65-71, 2008

真鍋島に住む元気な高齢者(アクテイブシニア)の食生活,生活時間(起床・就寝,家事労働,食事時間),家事労働,衣生活,生き甲斐,今後の地域の希望と住まい方について聞き取り調査をした結果は次のとおりであった。1)調査対象者の年齢は72歳〜88歳で,平均年齢は78.4歳,男性3名,女性11名の合計14名であった。2)家族構成は一人暮らしが64.3%と最も多くその中で,女性の一人暮らしが多い。3)生活基盤は100%年金を頼りに生活をしていた。4)食生活に関しては,食事は3食(朝食,昼食,夕食)とも決まった時間に摂っており,食事内容も日頃,魚と手作り野菜を中心とした料理を作り食べていた。5)家事労働は食事の準備,後片付け,掃除・洗濯,食料品購入に至るまで「自分」が携わっていた。6)今後の地域の住まい方については,高齢者一人暮らしが多いうえ,無医村で病気になった時,災害(台風など)にあった時は不安であるが,島の人たちは親切,人情味があり気楽に生活できる環境である。
著者
黒木 修隆 廣瀬 裕二 鈴木 達也 片岡 充照 沼 昌宏 山本 啓輔
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.454-457, 2006-03-01
被引用文献数
9 1

We propose estimation technique of user preferences for TV programs based on channel operations. The user preferences are available for automatic recommendation of TV programs. For practical use, automatically learning the preferences of a user from a channel selection history is important. However, obtaining such information is difficult because most users change channels frequently and do not watch programs from beginning to end. For automatic learning under such situations, an appropriate hypothesis describing the relationship between viewing time and preference degree for a program is needed. We propose three hypotheses and compared their utility in our program recommendation system. Experimental results showed that the preference for a TV program is not proportional to the viewing time, but becomes either 1 (like) or 0 (dislike) about 30 minutes after channel selection.
著者
原 正則 柳原 俊雄 高田 恒郎 山本 格 川崎 克俊 木原 達
出版者
The Japanese Society for Pediatric Nephrology
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.71-77, 1996
被引用文献数
1 2

糸球体上皮細胞 (GEC) は非常に機能分化した細胞であるためにCytokinesisを伴う細胞増殖を起こしにくいとされている。また糸球体硬化につながる管外性病変の形成に重要な役割を演じていると考えられている。これらのことより我々は"尿中に剥離脱落したGECを算定すれば管外性病変や硬化性病変の進行を予測できる"という仮説を設定した。本研究ではこの仮説の妥当性を実験的半月体形成腎炎および小児期IgA腎症で検討した。ラットの腎不全に陥るような100%半月体形成腎炎では多数のGECが尿中に出現していた。経過中の全GEC数を算定すると60万個にもなり,これはラットの糸球体の総GEC数1,000万個の約6%に相当した。小児期IgA腎症患児では種々の程度に尿中にGECが出現していた。このうち2症例で経時的腎生検施行期間中の尿中GEC数を算定した。症例1では1,350万個のGECが脱落し,これは人の糸球体の総GEC数6億の約2%に相当した。さらにこの症例では管外性病変が進行しており,尿中GEC数より病変の進行を予測できた。一方,管外性病変の見られなかった症例2は尿中剥離数も少数であった。以上,小児期IgA腎症例,実験腎炎における尿中に剥離脱落したGECを算定し,管外性病変形成および進行についての我々の仮説の妥当性を検討した結果,経時的に尿中剥離GEC数を算定すれば糸球体硬化を予知できる可能性があるという結論に達した。
著者
久保 裕也 碓井 基樹 福永 健一 山本 成人 池上 敏巳
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.1406-1411, 2001-11-20
被引用文献数
1

The single shot fast spin echo single thick slice method(single slice method)is a technique that visualizes the water component alone using a heavy T_2. However, this method is considered to be markedly affected by changes in the viscosity of the material because a very long TE is used, and changes in the T_2 value, which are related to viscosity, directly affect imaging. In this study, we evaluated the relationship between the effects of TE and the T_2 value of bile in the single slice method and also examined the relationship between the signal intensity of bile on T_1- and T_2-weighted images and imaging by MR cholangiography(MRC). It was difficult to image bile with high viscosities at a usual effective TE level of 700-1, 500 ms. With regard to the relationship between the signal intensity of bile and MRC imaging, all T_2 values of the bile samples showing relatively high signal intensities on the T_1-weighted images suggested high viscosities, and MRC imaging of these bile samples was poor. In conclusion, MRC imaging of bile with high viscosities was poor with the single slice method. Imaging by the single slice method alone of bile showing a relatively high signal intensity on T_1-weighted images should be avoided, and combination with other MRC sequences should be used.
著者
西本 哲昭 塩崎 正雄 山本 肇 石塚 和裕
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.64, no.7, pp.257-265, 1982-07-25

1977〜1978年の有珠山噴火によって林地に堆積した噴出物と, それによって埋没した林地土壌が時間の経過とともにどのように変化していくかを, 5か所に固定調査地を設けて3年間にわたって調査した。1)一般に噴出物に含まれる水溶性成分は時間とともに減っていき, 埋没土壌では一度増加したあとで減少に向かう。すたわち, 上層から下層への流下が考えられる。その速さは陽イオンについてはNa>K・Mg>Caで, 陰イオンについてはCl>SO_4である。2)埋没土壌のECが一時的に増加したが, その値は1m mho/cmを越えることはなく, 森林への影響は考えられない。3)噴出物のpHは初め7〜8であったが, しだいに低下して4〜7になった。埋没土壌への影響は小さかった。4)噴出物のリン酸は, より難溶性へと変化した。5)噴出物層の細菌数は埋没土壌での値に近かったが, 放線菌と糸状菌数はきわめて少なかった。埋没土壌での微生物相の変化は初期にのみ認められた。6)噴出物の厚さに比例して土壌のガス拡散が抑制されており, 林木の根が呼吸障害を起こしている可能性がある。