著者
井上 栄一 寧 林 山本 俊哉 阮 樹安 松木 裕美 安西 弘行 原 弘道
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.475-480, 2008 (Released:2008-10-25)
参考文献数
18

ニホングリで開発された7対のSSRプライマーを用いて,朝鮮半島由来のクリ品種のSSR遺伝子型を解析し,チュウゴクグリ17品種,ニホングリ32品種,およびニホングリとチュウゴクグリの種間雑種1品種の遺伝子型と比較した.用いたニホングリのプライマーのうち,KT006a座のみチュウゴクグリ3品種において検出されなかったが,それ以外の遺伝子座では,用いた全品種のSSR対立遺伝子型を決定できた.その結果,チュウゴクグリにおいて合計26種類,ニホングリにおいて合計37種類の種特異的な対立遺伝子が得られた.一方,朝鮮半島由来のクリ7品種においても全7遺伝子座の遺伝子型を明らかにすることに成功し,座あたり2~9種類の対立遺伝子(平均5.14種類)が検出された.種特異的な対立遺伝子に着目して両者を比較した結果,‘兎山9’,‘兎山13’,‘兎山60’,‘仁興王栗’および‘韓6’はニホングリ,‘咸従3号’はチュウゴクグリ,そして‘大城’はチュウゴクグリとニホングリの種間雑種品種であると推察された.一方,‘韓6’と‘丹沢’および‘大城’と‘利平ぐり’の間で,それぞれ7遺伝子座のSSR対立遺伝子型がすべて一致したことから,これらはそれぞれ異名同一品種の関係にあるか,枝変わり品種とその原品種の関係にある可能性が示唆された.
著者
趙 丹寧 駒村 樹里 真崎 昌子 茶山 裕 山本 陽一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第85回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PS-006, 2021 (Released:2022-03-30)

本研究は女性の改姓時の気持ちおよび有職者の特徴,さらに改姓時の気持ちが現在の夫婦別姓賛成態度への影響を検討する。2015年7月から8月まで,結婚時に改姓した女性を対象に質問紙調査を行い,325名の有効回答を得た。改姓時の気持ち,平等的な性役割態度,現在の夫婦別姓賛成態度を尋ねた。因子分析により,改姓時の気持ちは「旧姓への未練と喪失感」,「新姓の自分らしくない感覚」,「新姓の一体感と喜び」の3因子からなることが確認された。有職者は,「旧姓への未練と喪失感」では無職者と有意差がなかったが,「新姓の自分らしくない感」は高く,「新姓の一体感と喜び」は低く,改姓により大きい負担を受けたことが推察される。ロジスティク回帰分析の結果,「旧姓への未練と喪失感」は影響を及ぼしていなかったが,「新姓の自分らしくない感」は現在の夫婦別姓賛成態度を高めており,改姓時の戸惑いが夫婦同姓への否定的な態度を形成する可能性が考えられる。一方,新姓の一体感と喜びは現在の夫婦別姓賛成態度を低めており,改姓時の喜びは夫婦同姓への肯定的態度を形成する可能性が考えられ,改姓伝統の維持要因になり得ることも考えられる。
著者
山本 円 西村 美咲 西岡 香穂 曽和 正憲 西森 敬司
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.399-403, 2022 (Released:2022-08-01)
参考文献数
12

今回われわれは,ペニシリン系抗菌薬により薬疹を発症したために,アセチルスピラマイシンで加療した妊娠梅毒の1例を経験したので報告する.症例は19歳,初産婦.自然妊娠成立し,当院を受診された.妊娠10週の妊娠初期検査でrapid plasma reagin test(RPR法)定性,treponema pallidum hemagglutination test(TPHA法)定性のいずれも陽性であった.妊娠12週の梅毒定量検査でRPR64倍,TPHA20,480倍と高値であり,症状はなく,潜伏梅毒と診断した.感染時期は不明であった.妊娠12週よりアモキシシリン1500 mg/日を処方したが,内服8日後に四肢に蕁麻疹を発症し,薬疹と診断し薬剤の変更を行った.妊娠15週よりアセチルスピラマイシン1200 mg/日を8週間投与した.内服後,RPR抗体価が治療前の1/4以下に低下したため治療効果ありと判定し,以降は経過観察を行った.妊娠41週0日に自然陣痛発来し,同日経腟分娩に至った.児は3644 gの男児,Apgar scoreは9/10点(1分値/5分値)であった.児の先天梅毒の感染は否定的であった.本症例ではアセチルスピラマイシンの投与により梅毒の母子感染を防ぐことができた.しかしアセチルスピラマイシン投与による妊娠梅毒の治療効果についてはエビデンスに乏しい.今後,ペニシリンアレルギー患者に対する妊娠梅毒の治療法確立のため,さらなる症例の蓄積と検討が必要であると考える.〔産婦の進歩74(3):399-403,2022(令和4年8月)〕
著者
前橋 健二 大戸 亜梨花 山本 達彦 浅利 妙峰 柏木 豊
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.6, pp.290-296, 2015-06-15 (Released:2015-07-31)
参考文献数
20
被引用文献数
5 2

(1)市販塩麹製品14点の成分の平均値は,水分50.2%,食塩11.0%,還元糖21.9%,ホルモール窒素0.07%であった.酵素活性は全く検出されないものも見られたが多くの製品にデンプン分解系酵素やタンパク質分解系酵素が検出された.(2)塩麹の製造条件として,還元糖およびホルモール窒素量の消長の点では60°Cで6時間以上の消化が必要であるが,残存酵素活性を考慮すると50°C∼60°Cで6時間程度の短時間消化による方が適当であると判断された.(3)麹抽出液での試験では,10%食塩の存在でα-アミラーゼ活性の熱安定性は低下しプロテアーゼの熱安定性は若干向上する傾向が見られた.また,10%グルコースの存在ではプロテアーゼ活性の熱安定性がさらに向上する傾向が見られた.
著者
石垣 文 山本 幸子 下倉 玲子 小林 文香 福田 由美子
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.84, no.756, pp.377-386, 2019 (Released:2019-02-28)
参考文献数
24

A current issue in Japan is building sustainable living environments in light of its shrinking and aging population. Depopulated regions in particular have seen significant declines in birthrates, and face the problem of the consolidation and closure of elementary schools. There are fears that the withdrawal of schools from an area may impoverish the region and make for less sustainable living. Meanwhile, the issue of school consolidation has triggered the development of resident-led efforts for regional preservation in various areas, and these efforts have been recognized as forming part of sustainable living support infrastructure. Accordingly, this study looked at elementary schools with a rural village student-family schooling system to sustain elementary schools and their surrounding regions for the purpose of clarifying the actual conditions of these schemes, and conducted a survey of three areas with a comparatively good record for such a scheme on a national level. The study produced the following findings. 1. The study clarified the processes and operating structures of village schooling schemes in the three areas, from inception to the present. One feature shared by all three areas is that the region's residents participated in the village schooling activities, and got involved with a sense of being interested parties to the scheme. Another characteristic is that the organizational structure is inherent in the three areas, and the members of the organization differs depending on the activity history. 2. As a feature of the content of the initiatives, each organization has a common point in interviewing, offering houses, life counselling and introducing work at the start of schooling. Next, at the stage of the start of schooling, matches such as entrance examination and interview of decision to join schooling system are made by the organization. Thirdly, there are two types of houses to be offered: " Houses for newcomers (vacant houses used)" and " Houses exclusively for mountain village schooling families (public housing)". In the latter, there are one that utilizes existing public housing and the other is newly constructed. 3. The schemes can be considered to have a certain effect towards sustaining schools, as the numbers of pupils at elementary schools were maintained through village schooling students. In addition, part of the improvement of regional power was caught, as the accumulation power of building resources has increased due to the continuation of schools and the utilization of vacant houses, and the formation organization of residents' organizations has improved due to the formation of three groups. However, further research is necessary as to whether the operation of the rural village schooling system will lead to the community sustainable.
著者
宇高 徹総 山本 澄治 中村 哲也 黒川 浩典 宮谷 克也
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.41, no.5, pp.738-742, 2016 (Released:2017-10-30)
参考文献数
9

1990年1月から2013年12月までに当院で切除した原発性虫垂癌13例について臨床病理学的特徴,術前・術中診断,術式,化学療法,転帰について検討した.男性6例,女性7例で,平均年齢は73.4歳(56~94歳)であった.術前診断で虫垂癌の確定診断が得られたのは1例のみで,術中にあらたに6例に診断ができ,残りの6例は術後の病理で診断できた.術式は結腸右半切除術5例,回盲部切除術6例,盲腸部分切除術1例,虫垂切除術1例であった.組織型は高分化型腺癌9例,中分化型腺癌3例,乳頭腺癌1例で,深達度はT2が1例.T3が5例,T4が7例,進行度はStage Ⅱが6例,Stage Ⅲaが4例,Stage Ⅲbが1例,Stage Ⅳが2例であった.術後観察期間中央値は43カ月(2~169カ月),転帰は無再発生存5例,無再発他病死3例,腹膜播種による原癌死3例,肝転移による原病死が1例,切除断端再発よる原病死が1例であった.累積5年生存率は51.9%であった.手術時にはすでに進行しており腹膜播種再発の頻度が高い傾向があるため,術後化学療法などの集学的治療が重要と思われた.
著者
山本 憲隆 戸田 祐輔
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集A編 (ISSN:18848338)
巻号頁・発行日
vol.79, no.800, pp.433-441, 2013 (Released:2013-04-25)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

Fibrils were isolated from rat tail tendons and tensile tests of the fibrils were performed in the air (dry) condition or in the physiological saline solution (wet) condition. After the fibrils were immersed in the physiological saline solution for 3 and 30 minutes, the fibrils were stretched to failure. There were no significant differences in the tensile properties between 3 and 30 minutes. These results indicate that the fibrils were sufficiently hydrated by the immersion of 3 minutes. The fibrils immersed for 3 minutes showed the tensile strength of 111±31 MPa (Mean±S.E.), strain at failure of 32.1±4.5 %, and tangent modulus of 350±53 MPa. Next, the fibrils were stretched to failure in the air. The dry fibrils showed the tensile strength of 702±137 MPa, strain at failure of 30.4±8.5 %, and tangent modulus of 2720±840 MPa. The tensile strength and tangent modulus of the dry fibrils were significantly larger than those of the wet fibrils. There were no significant differences in the strain at failure between the dry and wet fibrils. These results point to the great importance of water for the tensile properties of collagen fibrils.
著者
山本 篤 山口 和紀
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.1756-1765, 2003-07-15

正規表現は,パターンマッチングを行うためのツールとして広く利用されている.しかし,さまざまな応用で拡張されてきたのにともない,次のような問題が出てきている.1)標準的に使われている正則集合による意味づけでは,後方参照がうまく定義できていない,2)オートマトンを用いたパターンマッチングの実装において,状態数やバックトラックの回数が爆発することがある,3)正規表現の積や差を直接的に利用できない.本研究では,このような問題を解決するために,正規表現関数と呼ぶ関数を導入する.正規表現関数は,記号列集合を入出力とする関数であり,マッチする記号列を消費して出力するものである.たとえば,正規表現 a* が a の繰返しにマッチすることは,その正規表現関数が,a*({ab aa b}) = {ab b aa a ε} という入出力関係を持つことで表される.これを拡張し,変数を扱えるようにすることで,後方参照も含めた正規表現を定義することができる.また,正規表現関数を用いたパターンマッチングの実装が可能であり,後方参照のない場合には計算量の爆発を避けることができ,比較実験でも優位なケースを確認した.さらに,正規表現の積と差を導入し,これらが正規表現関数によって簡単に実装できることを示す.最後に,正規表現の積や差を用いる応用例としてHTMLなどへのパターンマッチングをあげる.
著者
池田 宥一郎 飯塚 博幸 山本 雅人
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

近年の情報科学の発展は,動物行動学の研究に大きく寄与している.我々は札幌市円山動物園において人工知能により動物を管理する負担の軽減を試みを行っている.我々の目標の1つは,健康管理と飼育環境の整備のためにチンパンジーのエソグラムを自動的に作成することである.エソグラムとはある特定の個体や種の全行動パターンの目録であり,動物の行動を研究するうえでもっとも基本的な記録である. エソグラムの作成には個体識別が必要があるため,本研究では画像認識分野で高い精度を出している畳み込みニューラルネットワークを用いて個々のチンパンジーを認識できるか検証した。 実験の結果,我々のシステムはチンパンジーの個体識別が可能であることを示した。
著者
山本 龍生
出版者
公益社団法人 日本口腔インプラント学会
雑誌
日本口腔インプラント学会誌 (ISSN:09146695)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.230-234, 2017-12-31 (Released:2018-02-15)
参考文献数
15

日本では,高齢化の進展とともに認知症患者が増加しており,認知症の予防や早期発見が重要な課題となっている.近年の疫学研究などから,歯科口腔保健が認知症発症リスクに関わる可能性が明らかになってきた.要介護認定を受けていない65歳以上の4,425名を対象とし,歯数と義歯の使用状況を調査後,認知症を伴う要介護認定を4年間追跡調査した.その結果,年齢,所得や生活習慣などの影響を取り除いても,歯がほとんどなく義歯未使用の者は20歯以上の者と比較して,認知症発症リスクが1.85倍高くなった.また,歯がほとんどなくても義歯を使用している者は,20歯以上の者と比較して認知症発症リスクに有意差がみられなかったことから,歯がほとんどなくても義歯を使用することで認知症発症リスクを下げることができる可能性も示された.歯の喪失によって咀嚼能力が低下し,咀嚼による脳の認知領域への刺激が少なくなり,認知症になる可能性がある.また,咀嚼能力低下により,噛みづらい生野菜等を避け,ビタミン等の栄養が不足することで認知症発症リスクを高める可能性もある.歯周病は歯の喪失原因であるとともに長期の慢性炎症である.歯周組織の炎症から様々な物質が血液を介して全身の臓器に影響し,脳にも影響していることが考えられる.日本人の平均歯数は70歳以上では19以下である.認知症を防いで健康寿命を延ばすためにも,歯の喪失原因である歯周病やう蝕の予防が必要である.また,不幸にして歯を失っても,義歯やインプラント等で咬合を回復することで認知症予防や健康寿命延伸に寄与する可能性がある.
著者
山本 幸正 Yukimasa Yamamoto 湘北短期大学 Shohoku College
巻号頁・発行日
no.30, pp.143-154, 2009-03-31

1950 年に発表された「抹香町」以降、徐々に醸成されていった川崎長太郎のブームは、平野謙が「新事態」と呼んだように、マスメディアの時代における文学について再考を促すものだった。本稿は、『自選全集』にも収録されず読まれないままになっている川崎の作品が、先行作品のメタ言説となっていることを明らかにし、次いでその作品を享受した女性読者を分析することで、1950 年代における小説(家)と読者の関わりの一端をあきらかにすることを試みたものである。
著者
小俣 好作 望月 敬司 千野 正彦 井口 孝伯 飯田 龍一 渡辺 秀夫 山本 雅博 古家 正道 浅尾 武士 田中 昇
出版者
特定非営利活動法人 日本臨床細胞学会
雑誌
日本臨床細胞学会雑誌 (ISSN:03871193)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.680-685, 1985 (Released:2011-11-08)
参考文献数
20
被引用文献数
5 2

超音波検査による8,976名の甲状腺癌集団検診において, 496名の穿刺吸引細胞診が施行され, 男性14名 (0.22%), 女性19名 (0.69%) に甲状腺癌を発見した. 癌の最大径の平均は11.9±4.2mmであり, その半数以上が10mm以下の小型癌であった.
著者
山本 達郎 和田 久徳
出版者
東南アジア学会
雑誌
南方史研究 (ISSN:2185050X)
巻号頁・発行日
vol.1963, no.3, pp.A1-A4,1, 1963-08-15 (Released:2010-10-22)

For more than fifteen years the Society of Southern Asian Studies has been working on Chinese source materials concerning Southern Asian countries. During the years 1959 and 1960, the study group of the Southeast Asian history made a research into the section Chiao-chih (Viet-nam) in the part Fan-i _??__??_ (barbarians) of Sung-hui-yao chi-kao. This projest was supporeted by a study grant from the Ministry of Education.Present article is a collated text and translation of the first half of the section Chiao-chih section (up to A. D. 1067). The translation was done by members of the group and revised by Tatsurô YAMAMOTO and Hisanori WADA with the collaboration of Yoshio KANAYAMA.It consists of two parts: the first is the collated text of Sung-hui-yao with punctuations, the second is its Japanese translation followed by notes on events, proper names and official titles.
著者
山本 航
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.145-163, 2018 (Released:2021-08-28)
参考文献数
38

近年,自治体間の財政競争・相互依存関係に関する研究がわが国においても注目を集めてきた。自治体間の財政競争・相互依存関係には,大別して,①便益のスピルオーバー,②資本や住民の移動,③情報のスピルオーバーによる模倣という理論的背景が考えられるが,これら理論間では政策的含意が必ずしも一致しないため,実証結果を解釈する際は理論的背景への意識が不可欠となる。この点に関し,Hayashi and Yamamoto(2017)は推定において類似団体区分制度を活用することで,自治体の1人当たり総歳出についてヤードスティック競争が適合するとの結論を得ている。しかし,1人当たり総歳出に関する「平均的」な記述としてヤードスティック競争を用いるのが適当であるという結論を得ることができたとしても,その結果が個別の歳出項目についても当てはまる保証はない。そこで本稿では同論文を拡張し,個別の歳出項目を分析対象とした場合にも同論文の結論が成立するのかを実証的に検証する。
著者
原口 鈴恵 小竹 潤一郎 陳 偉中 Dmitri V. PARKHOMTCHOUK 張 トウ 山本 幹男
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.373-380, 2001-09-01 (Released:2019-04-30)
参考文献数
7
被引用文献数
4

バイオフォトンは、生体や物質から自発的に放射される極めて微弱な発光である。本研究では、バイオフォトン・イメージング・システムを用いて、意識集中による指先のバイオフォトン変化の測定を試みた。測定は健康な一般人7人について1試行10分間の意識集中とコントロールとして1から100まで数えるという軽作業とを3回ずつ行った。その結果、意識集中により指先のバイオフォトン強度が確認され、意識集中による変化は被験者によって上昇する者と下降する者の2種類に分類された。
著者
小林 北斗 山本 晴彦 原田 陽子
出版者
日本時間学会
雑誌
時間学研究 (ISSN:18820093)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.27-36, 2015 (Released:2017-02-28)

現在、小売業や商店街の店舗数は大型スーパーマーケットの存在や後継者不足等の要因で衰退の一途をたどっている。それらに加えて洪水による被害も衰退加速の要因となる場合があり、結果的に多くの店舗で廃業せざるを得ない状況に陥ってしまうこともある。特に、商店街における高齢化は深刻な問題である。そのため、自然災害の被害を受けた店舗への実態を把握し、様々な方面から支援を行うことが大事である。本内容では、現在の商店街における状況把握や今後の防災対策、避難行動へと還元することを目的に、自然災害、特に豪雨によって被害を受けた二つの商店街(2009年台風9号によって8月9日に兵庫県で発生した豪雨の被害を受けた佐用郡佐用町の佐用商店街と、2010年梅雨前線によって7月15日に山口県で発生した豪雨の被害を受けた山陽小野田市厚狭地区の厚狭商店街)についてアンケート調査を実施した。その結果、両商店街において回答の違いが見られ、浸水深の違いが影響していると推察される。また、住民と行政間でコミュニケーションを取り合うことが重要であり、高齢化の進む商店街への対策も併せて考える必要がある。
著者
山本 欧
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.15-24, 2009 (Released:2009-06-02)
参考文献数
18
被引用文献数
2 2

ボリュームディスプレイは,立体を3次元空間内に直接描画し表示するディスプレイであり,実体感のある立体表示が可能である.このため,科学だけでなくアートの分野においてもボリュームディスプレイの利用が期待される.しかし,従来のものは装置が複雑・高価格であり,アート分野での利用は進んでいない.本論文では,光学系の不要な単純な構造を持ち,市販部品から容易に構成可能なボリュームディスプレイ,およびそのための表示データ生成ツールの提案と実装について述べる.本ディスプレイは,往復運動する蛍光表示管(VFD)上に立体の断面を位置に応じて表示し,残像効果により立体表示を行う.これにより,単色で表示画像は小さいものの,鮮明な立体静止画像および動画像が表示できる.また,表示データ生成ツールは,表示エリアを立体的に指定するフレームにより,本ディスプレイのための表示データを一般の3Dモデリングソフトウェアを用いて容易に作成可能とするものである.