著者
三和 秀平 青山 拓実 解良 優基 山本 大貴
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.S46013, (Released:2022-12-14)
参考文献数
7

「どうして勉強しなきゃいけないの?」という勉強する理由についての哲学的な対話が学習動機づけに与える効果を検証した.研究1では大学生を対象に対話を行った結果,参加者の勉強に対する動機づけが向上する傾向がみられた.また,児童の動機づけを高めることができると思うか予想を求めたところ,概ね高めることができると考える傾向にあるものの,否定的な意見もみられた.そこで研究2では小学生を対象に対話を行った.その結果,日常生活における価値のみ向上がみられた.一方で,他の価値の側面や興味,努力の意図などの向上はみられなかった.
著者
松本 春信 山本 瑛介 神谷 千明 三浦 恵美 北岡 斎 山本 晃太 出口 順夫 佐藤 紀
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.261-265, 2012-08-25 (Released:2012-08-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

●要 約:ベーカー嚢腫の破裂は,下肢深部静脈血栓症の鑑別のひとつで,偽性血栓性静脈炎(pseudothrombophlebitis)と称される.日常の臨床において,実際にベーカー嚢腫の破裂に遭遇する機会は稀である.今回,当科におけるベーカー嚢腫破裂症例を検討したので報告する.過去5年間に,下肢腫脹を主訴に当科を受診された症例は424例で,深部静脈血栓症163例(38.1%),リンパ浮腫26例(6.1%),ベーカー嚢腫破裂5例(1.2%),その他230例であった.ベーカー嚢腫破裂は,男性2例,女性3例,平均年齢66.4歳(51~80歳)で,発症数日前に膝関節痛を自覚したものが2例,残り3例は以前から変形性膝関節症を指摘されていた.浮腫を2例,腓腹部把握痛を2例に認め,1例で足関節部の皮下出血を認めた.診断は,全例超音波検査で行った.静脈血栓症の合併は認めなかった.治療は,全例消炎鎮痛剤投与による保存的治療により症状は改善した.下肢深部静脈血栓症とベーカー嚢腫破裂の鑑別は臨床症状のみでは困難なことが多く,注意深い問診とエコー所見が診断上重要である.
著者
川平 敏文 合山 林太郎 高山 大毅 山本 嘉孝 天野 聡一 岩崎 義則 吉田 宰
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

「近世随筆」とは、17~19世紀の日本において、学者や文筆家が、事物の由来・人物の評判・市井の噂話など、種々雑多な内容を書き留めた書物群を指す。従来の「近世随筆」研究は、文学・思想史・歴史の研究者が、それぞれの分野的関心や研究ディシプリンに沿うかたちで行ってきた。しかし、本ジャンルのもつ内容的な広がりに着目するならば、それら三つの研究領域を横断的に貫く視点も重要ではなかろうか。このような考えのもと、本研究では、文学・思想史・歴史の研究者が一堂に会して、「近世随筆」の成立・展開・終焉などの諸問題について領域横断的に議論する。そして最終的には、その成果を資料翻刻と研究論集という形で、世に公表する。
著者
山本 敬子 沢村 貞昭 谷口 泉 小澤 敦 矢部 普正 矢部 みはる 加藤 俊一 小松田 光真
出版者
財団法人 日本ビフィズス菌センター
雑誌
ビフィズス (ISSN:09142509)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.29-35, 1989 (Released:2010-06-28)
参考文献数
16

1982年3月から, 1988年9月までの間に原疾患が白血病でHLA一致の同種骨髄移植を受けた23例について骨髄移植後の腸内菌叢の変動を患者の糞便培養を経時的に行って観察した.急性graft-versushostdisease (GVHD) の発症は15例にみられたが, 発症例と非発症例で腸内菌叢の変動を比較検討したところ, 急性GVHD非発症例は発症例と比べて腸内除菌開始後, 有意に早く便培養が陰性になることが確認された.また, 骨髄移植施行日までに便培養が陰性となっていた例は急性GVHD非発症例では7例中4例で, 発症例では15例中5例であった.腸内除菌中, グラム陰性桿菌は急性GVHD発症例のみに分離され, グラム陽性桿菌は急性GVHDの重症度の低い症例と非発症例において分離された.
著者
山本 忍 新妻 知行 伊藤 久雄
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.345-356, 1994-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
19

難治性気管支喘息患者14例に柴朴湯エキス剤7.5g/日を投与し投与前後52週の長期で比較検討した。喘息点数及び臨床症状より14例中8例 (57.1%) にやや有効以上の効果がみられステロイド節減効果は14例中6例 (42.9%) に認められた。また服用患者の尿中排泄物質を測定し厚朴の一成分マグノロールを検出。有効例では遊離型マグノロールが帯有意に増加を示しマグノロールの抱合化能の測定が臨床的に有用な指標となることが示唆された。また柴胡剤のステロイド節減効果の作用機序の1つと考えられているステロイド代謝酵素11β-hydroxy steroid dehydrogenase (11-HSD) の阻害作用を3つの柴胡剤について健常者を対象に検討。柴朴湯は11-HSD活性を低下させ, プレドニゾロン (PSL) の血中濃度を上昇させたが, 柴苓湯はPSLの体内動態に影響を及ぼさず, 小柴胡湯は逆に11-HSD活性を上昇させ, PSLの血中濃度を低下させ柴胡剤の中でも各々異なった結果を示した。
著者
塚田 晃三 藤田 道郎 山本 一郎 田村 恭一 宮前 二朗
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

がん罹患犬におけるDLA-88型別に提示されるがん関連抗原の一つSurvivinを標的としたがん特異的免疫療法(ペプチドワクチン)を実施することを目的に、これまでDLA-88型別に特異的に反応する抗原ペプチドの同定を行ってきた。本研究では、1)有効なワクチン用adjuvant成分を、がん拒絶に特化したスクリーニングで選別し、2)現行のDLA-88型タイピングに代わる簡便な適合型検査を確立させ、3)臨床研究の開始後、1-2年間の予後観察(CT/MRI検査)により、その効果を腫瘤の退縮期間、寛解率、及び生存期間で判定する。
著者
元廣 惇 久野 真矢 仲田 奈生 山本 真理子 藤井 寛幸
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.126-132, 2021-02-15 (Released:2021-02-15)
参考文献数
23

要旨:本報告は,多職種連携・地域課題解決型授業である「CBRプロジェクト」を紹介すると共に,授業に参加した学生の変化を予備的に検討することを目的とした.CBRプロジェクトに参加した作業療法,および理学療法学生22名を対象として,授業実施前後の課題価値,職業的アイデンティティ,自己効力感,チームプロセスを比較した.その結果,課題価値の総得点,および下位因子の興味獲得価値,私的獲得価値,職業的アイデンティティ下位因子の必要とされることへの自負,チームプロセス尺度の総得点,および下位因子の相互援助,相互調整,活動の分析といった項目で有意差を認めた.作業療法教育にてCBR概念を導入した学外実習を行うことの有効性が示唆された.
著者
夏木 茜 堀 雅之 松原 康策 太田 悠介 齋藤 良一 磯目 賢一 岩田 あや 池町 真実 竹川 啓史 山本 剛 大楠 美佐子 石和田 稔彦
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.96, no.6, pp.240-244, 2022-11-20 (Released:2022-11-21)
参考文献数
21

Moraxella catarrhalis is a common causative bacterium of otitis media and respiratory tract infection in children. Childhood-onset M. catarrhalis bacteremia is more common in children with underlying conditions, such as immunodeficiency, or those using a nasal device. In children without underlying conditions, the onset is usually at younger than 2 years of age.We encountered a case of M. catarrhalis bacteremia in a previously healthy 3-year-old boy. The patient was hospitalized with a 5-day history of fever. Physical examination on admission showed redness and swelling of the ear drums bilaterally. Blood culture and upper nasopharyngeal swab culture both grew M. catarrhalis, which led to the diagnosis of bacteremia and otitis media caused by this organism. The patient was treated with intravenous cefotaxime for 3 days and sulbactam/ampicillin for the subsequent 3 days, followed by oral clavulanate/amoxicillin for 8 days, with good response. Absence of abnormalities in immunological screening tests and absence of any significant past medical history suggested that the patient was not immunocompromised.
著者
宮 史卓 松嵜 美紀 山本 真由美 中井 栞里
出版者
日本脳死・脳蘇生学会
雑誌
脳死・脳蘇生 (ISSN:1348429X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.76-81, 2022 (Released:2022-08-26)
参考文献数
3

臓器提供の現場では,原疾患の悪化から回復不能と診断され法的脳死判定,臓器摘出と時間の経過が早く進むなかで,揺れ動く家族の心情をくみ取り支える体制整備が重要である。一方,臓器提供のみを行う施設の職員において移植医療に対する認識は低く体制整備に難渋する。伊勢赤十字病院では過去に脳死下臓器提供を希望された症例を通して反省点を踏まえて家族支援体制を整備してきた。代表例3例をあげて提供施設における家族支援体制について報告する。救急・急性期治療の現場では,懸命な治療を目指すがゆえに患者が回復不能の状態に陥っても終末期という概念が忘れ去られ生命維持治療が続けられる傾向にある。患者が回復不能に陥ったとき,医療者が考えている以上に臓器提供を考える家族は多い。脳死状態となった患者において人生最後の迎え方の意向をくみ取る体制を整えることが臓器提供における家族支援の第一歩である。また,臓器提供をスムーズに実施するためには家族の心情の変化を確実に把握することが重要である。家族の心情変化をとらえるためには,脳死・臓器提供・移植医療や院内体制についての知識をもった同一人物による家族支援が必要である。そして,臓器提供が始まってからではなく患者が回復不能と判断された時点から介入を開始することで,患者支援における一貫性が保たれ家族との信頼関係をより充実したものにできると考える。
著者
浦野 喜美子 山本 亜矢子 山田 幸世 杉木 由美子 小池 幹義 田仲 久人 大山 隆幸 浅見 隆康 高橋 篤
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.325-333, 2014-11-01 (Released:2015-01-07)
参考文献数
5

【背景と目的】 群馬県山間部の高齢過疎化が顕著な2次保健医療圏A地区は他の県内2次保健医療圏と比べて自殺率が高いため, A地区特有の自殺率上昇要因を検討する. 【対象と方法】 群馬県と県内2次保健医療圏で, 研究対象地区のA地区, 比較対象地区としてA地区と同様の人口構成や地勢的状況にあるB地区, 中核市に隣接しているが高齢過疎化の著しい山間部も含むC地区, 主に平野部に位置し中核市に隣接するD地区, 中核市のE地区を選定し, 平成21年 (一部20年) -24年における各地区自殺率・男女年代別自殺率・自殺原因・自殺者の職業と同居率を比較検討, A地区年代別の自殺者配偶関係の検討とA地区各市町村別の自殺率・男女年代別自殺率・自殺者の同居率と年齢の比較検討も行った. 【結 果】 (1) A地区は男女とも他地区と比べて自殺率が高く, 年代別検討では他地区と比べて男性自殺率が20歳代, 40歳代, 50歳代, 70歳代で高く, 女性自殺率が70歳代で高かった. (2) A地区男性自殺者の自殺理由は他地区と比べて経済・仕事・男女間の問題の占める割合が高く, 健康問題の占める割合が低く, 女性自殺者では家庭問題の占める割合が低かった. (3) A地区は他地区と比べて男性自殺者で自営業や勤務者の占める割合が高く, 女性自殺者で無職の占める割合が高かった. (4) A地区男性自殺者同居率は他地区と比べて比較的高く (79%), 女性自殺者は比較的低かった (71%). (5) A地区男性自殺者40-50歳代の離別・未婚率, 女性自殺者60歳以上の死別率は高く, 女性自殺者は男性より高齢であった. (6) A地区各市町村別の検討で, A地区辺縁に位置するe村では自殺率が特に男性で高かった. 村地域の自殺者は高齢者, 特に女性が多く, 女性自殺者同居率が高かった. 【結 論】 群馬県A地区は人口構成や地勢的状況が近似しているB地区やC地区と比べて自殺率が高く, その原因としてA地区特有の要因が考えられた. すなわち, (1)離別, 未婚, 仕事問題や経済的理由, あるいは男女間の問題を背景とした20歳代と40-50歳代男性における自殺率の上昇, (2)配偶者の死別や家庭内孤立などを契機にした70歳代女性の自殺率上昇が推測された. さらに, (3)A地区村部では高齢自殺者が特に女性で多く, 健康問題と共に前述の配偶者の死別による孤独, 家庭内孤立, あるいは鬱傾向等の村部特有の要因があることも推測された. A地区の自殺対策ではこれらの要因を踏まえた対応が必要と考える.
著者
江戸 優裕 柿崎 藤泰 山本 澄子 角本 貴彦 石田 行知
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.173-176, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
18
被引用文献数
2 3

〔目的〕体幹の回旋運動に伴って副次的に生じる胸郭の前後・左右への並進の運動特性を明らかにすることとした.〔対象と方法〕対象は健常若年者13名とした.光学式三次元動作解析システムを用いて立位での身体の回旋動作を計測し,骨盤に対する胸郭の回旋角度と前後・左右への偏位距離を分析した.〔結果〕体幹の回旋には前方および回旋と反対側への胸郭の並進が伴っていた.また,回旋に伴う前方並進が大きければ対側並進が小さく,前方並進が小さければ対側並進が大きかった.〔結語〕体幹の回旋に伴う胸郭の前方並進と回旋と反対側への並進は補完的な関係にあることが示唆された.
著者
山本 雄平 田中 成典 姜 文渊 中村 健二 田中 ちひろ 清尾 直輝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.1334-1350, 2018-05-15

我が国では,2020年の東京オリンピックに向けて,スポーツに関わる政策が積極的に推し進められている.その施策の1つである「スポーツ × ICT」では,スポーツ分野における計測機器の開発やデータ計測と可視化手法の高度化,そして新サービスの提案など,最新ICTの効果的な利活用が進められている.しかし,スポーツ分野にICTを適用する試みは始まったばかりの黎明期であり,教育現場や地域クラブの指導者のみならず,高度な専門知識を保有したスタッフにおいても,自在に操ることは難しい.そこで,本研究では,「スポーツ × ICT」に関わる既存研究を調査し,現状把握と効果的な活用方法を模索するとともに,アメリカンフットボールのプレーデータの可視化システムを開発する.そして,選手にセンシング機器を適用し,統計的手法と組み合わせてプレー分析を行い,カレッジフットボールの監督・コーチなどの指導者に新たな気づきを提供できるかの観点に基づき,実用の可能性を検証する.
著者
小久保 秀之 世一 秀雄 山本 幹男
出版者
International Society of Life Information Science
雑誌
国際生命情報科学会誌 (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.294-301, 2004-09-01 (Released:2019-05-03)
参考文献数
23

いわゆる遠当てと呼ばれる武道の技を研究した。遠当ては、離れた相手に対する非接触の攻撃技と言われている。1回の実験で、武道熟練者6ペア(日本の武道3ペア、中国の武術系気功3ペア)、対照として非訓練者6ペアを用いた。各ペアの被験者は別室に入り、通常の情報伝達経路を遮断した。そして、送信者が受信者に向かって信号伝達動作を行ったときの受信者の応答を測定した。受信者は静電遮蔽室に座り、2重盲験・無作為の条件下で、送信者は1試行80秒間に1回だけ送信動作を行った。送信者・受信者はそれぞれスイッチボタンを持ち、そのボタン動作の記録が生理データとともに記録された。実験の結果、送信時刻前後における受信者の左手労宮の皮膚表面温度の異常な変化は見られなかった。受信動作・送信動作の時間一致性について、有効データ797を解析した結果、全体としては顕著な時間一致性は見られなかった。中国の武術系気功ペア2組において、+11秒の時点に統計的有意なピークが見られた(p<0.05, one-tail)が、この遅延ピークが遠当てによるものであるなら、その理由は送信動作が比較的長めだったためと考えられた。