著者
山田 壮志郎 Soshiro Yamada
雑誌
日本福祉大学社会福祉論集 = Journal of social welfare, Nihon Fukushi University
巻号頁・発行日
vol.128, pp.51-65, 2013-03-31

ホームレス問題が社会的排除の一つの典型であるならば, ホームレス対策は社会的包摂を志向するものであるべきである. 本稿の目的は, ホームレス状態の解消が社会的排除の克服に結びついているかどうかを検討することにある. そのために, 筆者がホームレス状態からアパート生活に移行した人々を対象として 2009 年に実施した調査の結果を用いて, ホームレス状態解消後の被排除状況を, 先行研究の分析枠組みに依拠しながら分析した. その結果, 第 1 に, 回答者の多くはホームレス状態を解消してもなお社会的に排除された状態に置かれていることが明らかになった. 第 2 に, 被排除状況には年齢階層による相違がみられ, 若年層では生活保護受給後の孤立化が, 高齢層では居住環境の低位性が課題となっていることがうかがえた. 第 3 に, 生活保護受給者の多くが, 社会的必需項目を剥奪されていることが明らかになった.
著者
山田 陽子
出版者
広島国際学院大学現代社会学部
雑誌
現代社会学 (ISSN:13453289)
巻号頁・発行日
no.11, pp.3-14, 2010

本稿の目的は、ソーシャルネットワーキングを介した時間管理術の自主的勉強会における参与観察や参加者へのインタビュー調査をもとに、昨今の「自己啓発」の内実について明らかにすることである。調査の実施期間は2008年6月から2009年3月、インタビュー対象は大手企業勤務のシステムエンジニアやIT系の起業家である。近年、ビジネスマンの自己啓発や仕事の効率性・生産性の向上を目的とした諸々のテクニックの集積体は「時間管理術」や「ライフハック」といった名称で呼ばれることが多い。本稿では、時間管理術やライフハックとは何なのか、人々は時間管理術やライフハックに何を求め、どのような点に魅力を感じているのか、その社会的機能とはどんなものか、時間管理術やライフハックという知が人々をどのように結び付けているのか、時間管理術やライフハックという知が出てきた社会的背景はどのようなものか、時間管理術やライフハックと現代人の自己がどのように関連しているのか等について知識社会学の観点から明らかにする。In this paper, from a viewpoint of sociology of knowledge, I survey the aspects of worker's self-enlightenment today based on the qualitative research concerning the social networks of time management and life-hacks. Methods of self-enlightenment or of working with great efficiency for businessperson frequently are called "life-hacks". In this paper,I interviewed two systems engineers worked in world-wide electronic company and an entrepreneur. In this paper, the following the points at issue are examined."What is the life-hacks?,". "What are social functions of life-hacks?", "What are social backgrounds of life-hacks?", "How does the life-hacks connect people?" and so on.
著者
大泉 杏 山田 英司 三浦 亜衣子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.33 Suppl. No.2 (第41回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0147, 2006 (Released:2006-04-29)

【目的】大腿骨頚部内側骨折に対する治療は、一般的に手術療法が選択されるのが現状である。しかし、高齢者であるため様々な合併症があり手術が不可能な場合、あるいは患者様自身や家族が手術を希望しない場合にはやむをえず保存的療法が選択される。Garden分類stage1、2に対しては骨癒合を目的とした保存療法が可能であることが報告されている。しかしstage 3、4では支配血管の損傷が伴いやすく、解剖学上、骨癒合が困難であるため、現在のところ統一されたプロトコールは確立されておらず、保存療法の経過を報告した研究は散見する程度である。そこで今回、大腿骨頚部内側骨折のGarden分類stage3、4を受傷し、保存療法を施行した5例において移動能力を中心にした成績の検討を行ったので報告する。【方法】2000年から2004年までに大腿骨頚部内側骨折Garden分類3、4を受傷し保存療法を施行した5例(男性2例、女性3例、平均年齢83±5歳)を対象とした。追跡期間3ヶ月から14ヶ月、手術が施行されなかった理由は合併症4例,手術拒否1例であった、また、受傷前歩行能力は独歩3例、T字杖歩行1例、老人車による歩行1例であり全員自立歩行が可能であった。当院に転院後、疼痛に対して温熱療法、消炎鎮痛剤による薬物療法及び介達牽引を施行した。そして可能な限り疼痛をコントロールしながら、積極的な運動療法を行った。まず、端座位から開始し、車椅子への移乗練習、可能ならば平行棒内起立練習を開始した。荷重は痛みに応じて漸増していき、平行棒内歩行、歩行器歩行、杖歩行へと進めた。筋力強化練習、他動的関節可動域練習は歩行練習と併用し積極的に行った。【結果】受傷からリハビリ開始までの期間は最短17日、最長6ヶ月、平均2.7ヶ月であった。5例中1例がGarden分類3にもかかわらず内反位で骨癒合し、残りの4例は骨折部の2次的転移により偽関節が形成された。その結果,1.5~3cmの脚長差が生じたが、補高をすることにより代償することが可能であった。疼痛もリハビリ開始当時と比べ徐々に軽減した。また5例共に受症前と比べADLの低下を生じたが、四輪型歩行器による自立歩行2例、四脚型歩行器による自立歩行1例、四点杖による監視歩行1例、片ロフストランド杖による監視歩行1例と何らかの移動能力は獲得することができた。【考察】今回の結果から保存療法は決して放置、あきらめではなく可能な限り疼痛をコントロールし,離床を促していくことが重要であり、積極的な運動療法を行なうことでGarden分類stage3、4例における保存療法でも移動動作の再獲得ができる可能性があると考えられた。

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著者
山田 卓良
出版者
紙パルプ技術協会
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.420, 1995
著者
山田 実 河内 崇 森岡 周
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.5, 2008

【目的】特定高齢者は、要支援・要介護高齢者の予備群と位置づけされており、これら高齢者の転倒を予防することは介護予防や医療・介護費用の削減に直結する重要な取り組みである。自験例において、特定高齢者の転倒には、探索的行為や注意機能、それに幾多の方向転換などの要素が関与していることを報告した。本研究では、日常生活で不可欠となる極短期的な作業記憶(ワーキングメモリ)の要素を組み入れた複合機能評価によって、特定高齢者における転倒の特性について検討した。<BR>【方法】対象は特定高齢者30名(79.5±6.2歳)とした。対象者が立っている位置より後方2mにホワイトボードを設置し、側方から前方2mにかけて扇状に高さ70cm、幅200cm、奥行き40cmのテーブルを2台設置した。テーブル上には、裏面に磁石のついた15cm×15cmの厚紙に『あ』から『ん』までの平仮名が一文字ずつ書かれた46枚の仮名カードがランダムに配置された。ホワイトボードには3文字(例:らはそ)か4文字(例:こるそや)、もしくは5文字(例:かふろんほ)の意味をなさない文字が書かれてあり、対象者はスタートの合図でホワイトボードの文字を見て、テーブル上にある仮名カードを探索し、拾い集めてホワイトボードに貼り付けることが求められた。検者はスタートの合図より全ての仮名カードを貼り付け終えるまでの時間を計測した。なお、3文字、4文字、5文字は対象者によってくじ引きによってランダムな順序で実施し、1週間の間隔を挟みながら3通りの測定を行った。また、過去1年間の転倒経験の有無によって転倒群12名、非転倒群18名に分けて統計解析を行った。<BR>【結果】3文字の際には、転倒群32.6±10.7秒、非転倒群29.9±8.5秒で有意な差は認められなかった(p=0.607)。同様に4文字の際にも、転倒群43.7±8.1秒、非転倒群39.8±9.3秒で有意な差は認められなかった(p=282)。しかし5文字の際には、転倒群75.5±12.1秒、非転倒群57.3±11.9秒で有意な差が認められた(p=0.012)。<BR>【考察】3文字及び4文字の場合には群間差は認められなかったが、5文字になると転倒群で有意に時間的延長を認めた。本研究で用いたテストは、仮名カードを探す探索的行為や注意機能、仮名カードを探す為に繰り返し行う方向転換、手を伸ばして仮名カードを採るリーチ動作、そして文字を極短期的に記憶しておくワーキングメモリなど日常生活で欠かすことのできない要素が組み込まれている。5文字の場合でのみ転倒群で有意に延長していたということから、探索的行為や方向転換、リーチ動作などの機能に群間差があるとは考えにくく、ワーキングメモリが転倒に関与していたものと考えられた。<BR>【まとめ】特定高齢者の転倒には、ワーキングメモリ機能低下が関係している可能性が示唆された。
著者
山本 篤志 福永 智栄 新沢 敦 堀江 延和 米谷 さおり 長濱 通子 藤原 進 山田 陽三 福永 淳 錦織 千佳子
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.133-139, 2018 (Released:2018-11-08)
参考文献数
18

ステロイド忌避を含む難治性のアトピー性皮膚炎(AD)患者で顔面に皮疹を有する12名を対象に,白虎加人参湯エキスに石膏末を加味した方剤を4週間投与し,AD 診療ガイドラインに基づく皮疹の重症度スコア,痒みVAS,生活の質(Quality of life)の指標であるSkindex-16および各種血液検査を行い,有効性を前向きに評価した。 また,どのような証(漢方医学的に把握した病態)に有効かを後ろ向きに調査した。 その結果,内服4週間で重症度スコアとSkindex-16の平均が有意に低下した。好酸球数,IgE 抗体,TARC 値は有意な低下を認めなかった。白虎加人参湯と同様で「暑がり」,「汗かき」の証を有する患者に有効であった。4週間という短期間で皮疹が改善したことより,ステロイド忌避を含む難治性アトピー性皮膚炎患者に使用する内服薬の選択肢の1つになりえると考えた。
著者
吉岡 明 山田 俊郎
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.56-64, 1990-01-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
50
被引用文献数
5 6

An economical synthetic process of methyl jasmonate has been established.Total yield of this process is higher than 60 % for all five steps from cheaply available adipic acid. 2-Pentyny1-2-cyclopentenone, the key intermediate in this route, is synthesized by applying the improved palladiumcatalyzed enone formation from allyl β-keto carboxylate as a key reaction. The pentynyl moiety is introduced by the use of pentynyl chloride which is prepared in two steps from 2-butyne, our original source, cheaply.
著者
山田 健一 野田 政春 野口 忠広 熊本 勝己
出版者
九州病害虫研究会
雑誌
九州病害虫研究会報 (ISSN:03856410)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.158-163, 1983-10-30 (Released:2009-05-22)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

1.チャバネアオカメムシの越冬密度を知る方法として,篩法は効率的で精度の高い調査法である。2.南向斜面の常緑広葉樹林では越冬密度が高く調査場所として適している。3.調査時期としては,大部分の個体が落葉中に生息している11月下旬~3月下旬が良い。4.赤褐色の越冬色を呈した個体は10月下旬より見られ始め,11月以降3月下旬まではほとんどが越冬色であった。5.篩法による各地の越冬密度の年次変動と翌春の各種指標植物樹上における寄生量の年次変動とはよく一致した。6.越冬色を呈した成虫を18℃以上の温度条件下に置くと体色が緑色に変化し,特に25℃以上では処理4日目にはほとんどの個体が変色した。7.照明条件は体色の変化には無関係のように思われた。8.篩法でふるった落葉を大型ポリ袋に入れたまま25℃の定温条件下に4~6日置くとほとんどの個体が変色するため,より簡単で精度の高い調査ができる。
著者
山田 純
出版者
明治大学大学院
雑誌
文学研究論集 (ISSN:13409174)
巻号頁・発行日
no.22, pp.117-127, 2004
著者
木村 学 木下 正高 金川 久一 金松 敏也 芦 寿一郎 斎藤 実篤 廣瀬 丈洋 山田 泰広 荒木 英一郎 江口 暢久 Sean Toczko
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.124, no.1, pp.47-65, 2018-01-15 (Released:2018-05-30)
参考文献数
98
被引用文献数
1

2007年開始の南海トラフ地震発生帯掘削計画は,プレート境界で起こる地震発生,断層メカニズムの理解を目的に実施,掘削の結果,これまで以下の主要な成果が得られた.1)南海前弧域は,~6Ma以降の沈み込み,特に2Ma以降の付加体の急成長によって形成され,プレート境界の上盤を形成することとなった.2)プレート境界と分岐断層に沿うすべりは,海底面まで高速ですべり抜けたことがある.3)粘土鉱物に富む断層ガウジは静的にも動的にも,絶対的に弱い.4)掘削によって応力測定に成功した.多くの地点で最大水平圧縮方向はプレートの収束方向とほぼ平行であり,次の南海地震に向けての応力蓄積の進行が示唆される.5)掘削孔設置の観測計が,2016年4月1日に南海プレート境界で72年ぶりに発生した地震による圧力変動を観測した.海底観測網による微小津波観測と同期しており,上盤内の地震時体積収縮を世界で初めて観測した.
著者
一色 俊佑 渋谷 恒司 松野 行秀 丸山 信哉 山田 忠義 松下 俊 河内 弘茂
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp._1A2-A23_1-_1A2-A23_3, 2010

This study aims at the construction of a robotic system that can precisely grind metal molds instead of skilled persons. For example, in case of plastic products like cellular phones, the surface-roughness must be from about 0.1 to 0.03 micrometers. Usually, it takes seven to eight hours for rough grinding and two to three hours for finishing grinding even if a skilled person grinds, which costs a lot of money. Development of an automatic grinding system will reduce the costs. Therefore, the goal of this study is to develop such a system. We use an industrial robot with six joints, and soft and ceramic whetstone to grind molds. We conducted some basic experiment and found that the robot can grind the mold as smooth as human to some extent.