著者
山田 滋
出版者
日経BP社
雑誌
日経ヘルスケア : 医療・介護の経営情報 (ISSN:18815707)
巻号頁・発行日
no.307, pp.103-105, 2015-05

独居で生活保護を受けているAさんは、2カ月前からデイサービスを利用しています。脳梗塞の後遺症による軽い半身麻痺があるものの認知症はなく、日常生活に大きな支障はありません。 Aさんを紹介したケアマネジャーは利用前、「性格が少々荒っぽい」と…
著者
堀 光代 阿久澤 さゆり 下山田 真 吉田 一昭 長野 宏子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.205, 2005

【目的】国内産・県内産小麦の生産量が年々増加している現状である。各地で生産から消費までの取り組みについて行われているが、今回は、製粉工程が異なる岐阜県内産小麦について製パン性を比較検討することを目的とした。【方法】2003年に岐阜県で生産された小麦「中国152号」と「タマイズミ(関東123号)」の2種類について製粉工程の違いから(細)と(粗)に分類した計4種類と、対照として外国産小麦1CW(カナダ産)を用いた。パンの材料配合は、小麦粉に対し、砂糖(6.8%)食塩(2.0%)酵母(1.12%)水(68.0%)とした。小麦粉は粒度分布と色差を測定し、ドウはファーモグラフによるガス発生量の測定を行った。ホームベーカリーにてパンを焼成後、質量・体積・色差等の測定とあわせてパンの品質評価と官能検査を行った。【結果】(1)小麦粉の粒度分布は(細)と(粗)では差が認められ、色差も感知できる程度の差が見られた。(2)ガス発生量は、県内産小麦粉は対照である1CWと異なった結果を示し、ガス保持力等に差が見られた。(3)パンの比容積は1CWが高く、県内産小麦粉両品種の(細)と(粗)ではいずれも(粗)ほうが低い比容積であった。色差の測定結果は、小麦粉の測定値より製パン時の色差に顕著な差が見られた。パンの品質評価では、(粗)が(細)より低い評価であった。両品種の(細)における比較は、品質評価では外観は1CWに劣る評価であったが、味・香りは1CWに近い評価であり、官能検査の結果もほぼ一致していた。
著者
山田 雄二 Primbs James A.
出版者
朝倉書店
雑誌
ジャフィー・ジャーナル:金融工学と市場計量分析
巻号頁・発行日
vol.11(市場構造分析と新たな資産運用手法), pp.125-152, 2012-03

一般に,株式価格はランダムウォークに従い,将来の価格を予測することはできない.一方,同業同規模の企業の銘柄など,株式価格が一定の差(スプレッド) を維持しながら推移するような値動きが,市場において観測されることがある.このような株式価格における現象は,共和分性として特徴付けることができる.株式価格のペアが共和分する場合,スプレッドは平均回帰性をもつ.従って,一時的にスプレッドが平均を上回る(あるいは下回る) ような状況が生じても,いずれは平均的な水準に収束することが期待される.さらに,共和分ペアが複数存在すれば,これらを利用したポートフォリオ最適化問題を考えることができる.本論文では,このような共和分性をもつ株式価格のペアを抽出し,複数のスプレッドを利用して最適ポートフォリオを構築する手法について検討する.最適ポートフォリオについては,離散時間設定における条件付き平均・分散最適化問題, および,連続時間設定における動的最適化問題の2 つの問題設定の下で計算し,実データを用いてシミュレーションを行う.さらに,離散時間設定の最適ポートフォリオに対し,取引コストやパラメータ推定期間の影響について考察する.
著者
山田 保雄
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.154-156, 1960-06-20 (Released:2010-03-16)
参考文献数
7

(1) By treating influenza A virus suspended in 0.1M phosphate buffer (pH 7) with 5×10-4M p-chloromercuribenzoate (PCMB) for 24 hours at 37°C, the infectivity which was measured by the membrane piece technique could be destroyed without affecting hemagglutinating capacity.(2) When an equal volume of an aqueous solution (pH 7) of the reactivating agent, cysteine or sodium thioglycolate, within the initial 30 minutes of the inactivation period, was added to the PCMB-treated virus, the reactivation was obtained. When cysteine or sodium thioglycolate solution was added after 60 minutes of the inactivation period, essentially no reactivation was obtained.From these results, it seemed that SH group of virus protein was necessary to manifest the infectivity, and it was concluded that the infectivity and the hemagglutinating capacity were the independent attributes respectively.
著者
福島 大輝 山田 朋人 宮崎 真
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_1759-I_1764, 2013 (Released:2014-03-31)
参考文献数
9

This paper discussed the land and sea breeze circulation (LSBC)between Ishikari and Yuhutsu areas in Hokkaido. The diurnal variation of LSBC during boreal summer(July and August) of 1985-2009 was mainly investigated by using various data. LSBC was observed between Ishikari and Sapporo up to 13km from coastal zones of the Japan Sea. Tomakomai to Atsuma area also showed LSBC around16km from coastal zones of the Pacific Ocean. For inland region that area from Chitose to Naganuma, southerly wind was observed all day long. The reason is related to a fact that this inland region has strong southerly wind associated with the meridional temperature gradient between Ishikari and Yuhutsu area. Thermal balance between SST and temperature of land could be important to control the horizontal scale of LSBC. In the La-Nina years, SST over the Japan Sea at the vicinity of Sapporo area was higher than the climatology, and LSBC was enhanced and expanded its spatial scale.
著者
山田 祥子
巻号頁・発行日
2013-09-25

Hokkaido University(北海道大学). 博士(文学)
著者
三浦 菊佳 住吉 英樹 山田 一郎 宮﨑 太郎 宮崎 勝 松井 淳 加藤 直人 田中 英輝
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.J66-J72, 2018

<p>AI(人工知能)技術でより多くの情報を活用して,質の高い番組を制作する取り組みが始まっている.過去に放送された番組を,新たな番組制作により活かすために,放送日時やジャンルといった表層的な情報に加え,詳細なコンテンツ内容で番組を関連付けたテレビ番組マップを提案する.番組検索の際,目的の番組と同時に,意味的に関連する別の番組も見つけることができるほか,一般視聴者向けネットサービスにおけるお薦めコンテンツ提示などにも応用できる.本論文では,テレビ番組マップを自動構築する手法について述べる.大規模なWebデータから獲得した単語間の意味的関係を用い,EPG(電子番組表)に含まれる番組概要文から主題を表す単語を取り出し,抽出した主題語と番組との関係を推定する.実際にNHKの科学番組に手法を適用し,テレビ番組マップを試作した実験について報告する.</p>
著者
今井 翔 吉田 磨 河野 恒平 豊田 栄 藤井 彩子 山田 桂大 渡邉 修一 吉田 尚弘
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.267, 2008

WOCEの2ラインにおけるメタンの空間的特徴や起源、大気海洋フラックスについて明らかにすることを目的とし、北太平洋において溶存メタン濃度と炭素安定同位体比を測定した。 海水試料は海洋地球研究船みらいによる2005年10月~2006年2月のMR05-05航海(WHP-P03)と、2007年7月~9月のMR07-04航海(WHP-P01)で得た。研究室に持ち帰り海水試料を脱気・精製し、FID-GCを用いてメタン濃度、GC/C/IRMSを用いて炭素安定同位体比(δ13C-CH4)を測定した。通常濃度の試料から得られた測定精度はそれぞれ~5%と~1‰となった。P01観測ではメタンの極大及び20-50%の過飽和が、表層300 m以浅において観測された。炭素安定同位体比から水柱での生成が示唆され、東部では生成経路が異なることを示唆している。P03観測東部沿岸域では沿岸湧昇にともなって現場でのメタン生成が表層に限定されることがわかった。密度躍層を境界に表層では生成、深層では酸化され、表面水のメタン過飽和により大気へ逃散していることがわかった。
著者
矢野 博美 田原 英一 山田 靖子 山内 俊彦 吉永 亮 犬塚 央 久保田 正樹 平田 道彦 栗山 一道 三潴 忠道
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.13-22, 2014 (Released:2014-07-22)
参考文献数
22
被引用文献数
1 3

58歳男性。20年来の2型糖尿病を放置し,糖尿病足病変を発症した。HbA1c10.8%(JDS)でトリオパチーを合併していた。発症12日後に漢方治療を希望して当科に転院した。右足全体は浮腫状で,第4・5趾間と足背に潰瘍(約7 × 4 cm と 5 × 4 cm)を認め,骨髄炎を合併していた。抗生剤,インスリン,プロスタグランディン製剤とともに,漢方治療は小腹不仁を目標に八味地黄丸料を用い,瘀血を改善する目的で桂枝茯苓丸大量投与(自家製剤2 g × 24丸/日)を7日間行い漸減した。その後,八味地黄丸料を自家製剤に変更し,肉芽形成促進を期待して帰耆建中湯(黄耆20 g)に転方した。経過中に右第5趾の骨が露出したが,潰瘍は退院時(発症50日)に2.5 × 1.8 cmに縮小した。発症約2ヵ月後には潰瘍部分が上皮化して包帯が不要になり,4ヵ月後に治癒した。漢方治療は糖尿病足病変に有効で治癒を早める可能性があると考えた。
著者
石井 幹太 山田 正昭 鈴木 繁喬
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.373-378, 1986-04-05
被引用文献数
17 17

化学発光法を利用する銅(II)のサブピコグラムレベルの超微量分析法を確立した.化学発光系には銅(II)に極めて特異性の高い1,10-フェナントロリン-過酸化水素-水酸化ナトリウム-ヘキサデシルエチルジメチルアンモニウムブロミドミセル系を選び,フローインジェクション系に組み込んだ.化学発光反応は陽イオン界面活性剤ミセル溶液中で著しく促進される.応答は20μl注入の場合8.0×10^<-14>〜2.0×10^<-9>g,キャリヤー液として連続的に試料を流す場合(導入速度5.0ml min^<-1>)1.6×10^<-13>〜1.0×10^<-9>Mの間で直線を示した.選択性は極めて高く,銅(II)の次に最も大きな化学発光応答を与えるのは鉛(II)であるが,銅(II)に対する相対モル応答は約3/10000で無視できるほど小さい.他成分の干渉も無視できた.繰り返し精度は良く,4.0×10^<-10>M銅(II)溶液連続10回注入の相対標準偏差は1.7%であった.試料処理速度は毎時180試料であった.
著者
山田 富秋
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.8-11, 2017-01-31 (Released:2018-07-31)
参考文献数
4

「問題経験のナラティヴをきく」をメインテーマとした今大会シンポジウムでは、薬害被害当事者の経験の語りとして、特にサリドマイド事件と薬害エイズ事件を取り上げた。本稿は花井十伍氏の教育講演「薬害エイズの教訓から考える」の提起した「人権の問題」の視点から、このシンポジウム全体の意義を捉え直した。薬害のナラティヴの共有と継承にとって重要なことは、メディアによって単純化された薬害被害者の語りを、適切な社会的・歴史的文脈に位置づけ直すことによって、個々の被害当事者の多様な経験を回復することにある。さらにまた、薬害被害者の語りが証言することは、人権という概念が発効する以前の、生存そのものが脅かされる過酷な事態である。問題経験のナラティヴをきくことを通して、被害当事者の語りを断片的にではなく、トータルな時間的流れとして理解できるようになり、それは人権の問題として薬害被害を捉える時に不可欠なものとなる。
著者
樋笠 正晃 宇野 理恵 宇野 雄博 山田 茂夫 安澤 数史
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.649-653, 2018-11-20 (Released:2018-12-20)
参考文献数
16

慢性鼻炎として長期治療していた猫が,進行性の瞬膜及び眼球突出を呈し,鼻腔や眼窩を中心として,壊死組織を伴う炎症性肉芽の浸潤性増殖を認めた.病理組織学的検査により真菌感染が原因と診断され,抗真菌剤などによる内科治療や,壊死組織及び肉芽組織のデブリードマン等の外科治療を実施した.しかし,真菌感染は浸潤性に進行し,死亡した.本症例の起因菌の培養形態と高温発育試験及びβチューブリンとカルモジュリン遺伝子の塩基配列は近年分類されたAspergillus felis と一致していた.また,分離株は多くの抗真菌薬に対して高い最少発育阻止濃度を示し,感受性が低いことが示唆された.
著者
山田 正行
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第4部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.279-294, 2009-09

フロイトとエリクソンの心理歴史研究をヴィクトル・フランクル,ジュディス・ハーマンなどにより発展させ,それをパスカルとブルデュの研究と組み合わせ,アイデンティティとハビトゥス(ヘクシス)の連関を示し,西田や宮原の形成と教育の考察を介して自己教育の研究に結びつけた。その中で歴史と社会を時間と空間を統合した時空間と捉え,前回の「アイデンティティと歴史の自己教育的研究(I)」で用いた「モメント」に加えて「ベクトル」も心理歴史的に援用する意義を示した。I refined the psycho-historical study of Freud and Erikson by Victor Frankl, Judith Herman, connected it to the study of Pascal and Bourdieu, showed correlation of identity and habitus (Hexis), and developed the study of the self education through the idea of formation and education of Nishida and Miyahara. By regarding the history and the society as the space-time that unified time and space, I showed the psycho-historical significance of "vector" as well as "moment" that I used in "Study of Identhity and History from the View-point of Self-education (I)".
著者
山田 進太郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1954, pp.58-61, 2018-08-20

もちろん可能です。そもそも僕は、何もない状態からいきなりアイデアを生み出せるような、クリエーティブな人間ではありません。自分では、周囲から様々な刺激を受けながらアイデアを具体化していくタイプだと感じています。
著者
門間 正子 林 裕子 井瀧 千恵子 木口 幸子 森 康子 辻 紀代子 山田 惠子
出版者
札幌医科大学保健医療学部
雑誌
札幌医科大学保健医療学部紀要 = Bulletin of School of Health Sciences Sapporo Medical University (ISSN:13449192)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.27-33, 2003-03

札幌市の看護系大学および専門学校に在籍する女子学生180名(18?24歳、平均20.2±1.6歳)を対象に、自覚的健康状態および食事摂取形態について調査した。居住形態の違いにより自覚的健康状態や食事摂取形態に差があるかどうかを知る目的で、対象者を自宅・下宿群(自宅や下宿で生活している者)とアパ・マン群(アパート・マンション、寮、その他で生活している者)の2群に分けて解析を行った。対象者の70.8%が自宅・下宿群であった。自宅・下宿群の25.4%、アパ・マン群の42.5%が「風邪をひきやすい」と回答した。居住形態に関わらず、対象者の62.9%が規則的な月経周期を有していたが、約8割は月経時に何らかの症状を呈していた。7時間以上の睡眠をとる者の割合はアパ・マン群で高かった。居住形態に関わらず、スナック菓子を毎日あるいはときどき食べている者の割合は8割を超えていた。塩分および糖分摂取に対する関心度は自宅・下宿群よりアパ・マン群で高かった。これらの結果から、女子学生の自覚的健康状態と食生活や食事に関する意識ならびにそれらの居住形態による差が明らかになった。The subjective self-evaluation of health and dietary habits of 180 female nursing students aged 18 through 24 were investigated by a questinnaire survey. The subjects were divided into two groups, one living at home/boardinghouse and the other living alone. A total of 70.8% of subjects who lived at home/boardinghouse and 25.4% of them answered "I am susceptible to cold", whereas 42.5% of those living alone did. Regardless of whether they lived at home/boardinghouse or alone, 62.9% of subjects had a regular menstrual cycle, but about 80% of subjects had dysmenorrhea. Subjects who lived alone slept longer than those in the home/boardinghouse group. Over 80% of subjects ate junk food every day. Subjects living alone paid more attention to overtake of salt and sugar than those living at home/boardinghouse. The subjective evaluation of health and dietary habits differed between subjects who lived at home/boardinghouse and alone.
著者
大竹 美緒 山田 博之 小山 慎一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.65, pp.444-445, 2018

他者からの視線は人に様々な影響をもたらすが、それは本物の人間の目に限ったことではない。イラストや作り物など、人工的な目をも人は他者からの視線だと認識する傾向がある。人工的に作られた目は状況や使い所によって、不快・恐怖などの負の印象から、愛らしさなどの正反対の印象を与えることも出来る。目単体に対する不快感を検証した例として、人間の目の写真を利用した研究は存在するものの、人工物の目を主題とした研究は今のところ見られない。また、実物・人工物に限らず、顔や身体全体の印象評価を行う為に目を主題として扱う研究は多数存在するが、目のみを対象とした研究は少ない。本研究の目的は、人工的な目が配置された空間が、そこに置かれた人々にどのような影響や効果をもたらすかを明らかにする事である。しかし本研究に関連する事象は未だ解明されていない事が多く、要因をひとつずつ検証していく必要がある。本実験では、先行研究である目の写真に対する不快感を検証した実験を、イラストの目に置き換えて実験を行った。その結果、実写の目とイラストの目が与える不快感には差があるという事が示された。
著者
高津 康正 眞部 徹 霞 正一 山田 哲也 青木 隆治 井上 栄一 森中 洋一 丸橋 亘 林 幹夫
出版者
日本育種学会
雑誌
育種学研究 (ISSN:13447629)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.87-94, 2002
被引用文献数
1

21種のグラジオラス野生種について特性調査および育種素材としての評価を行ったところ, 草丈, 葉数, 葉·花の形態, 小花数および開花期等には種によって大きな違いがみられた. また草丈が10cm程度で鉢物に利用可能なもの, 現在の栽培種にはみられない青色の花被片を有するものなど, 育種素材として有望な野生種が見出された. 香りを有する種は全体の52.3%を占め, 香りのタイプもチョウジ様, スミレ様などさまざまであることが示された. さらにこれらの野生種について到花日数, 小花の開花期間, 稔実日数および1さや当たりの種子数を調査し育種上重要な情報を得ることができた. フローサイトメトリーによる解析の結果, 野生種においては細胞あたりのDNA含量が多様で, 種によってイネの0.9∼3.5倍のゲノムサイズを有するものと推定された. 本法による倍数性の判定は困難であるが, 種の組合せによっては交雑後代の雑種性の検定に利用可能であることが示唆された.