著者
谷村 厚子 山田 孝 京極 真
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.89-100, 2007
参考文献数
15
被引用文献数
2

我が国の精神障害をもつ当事者の精神保健福祉および生活上の主観的なニーズに関する研究について1994〜2005年の専門誌をレビューし,そこに示されたニーズを,KJ法に準じた手法を用いて分類した。各文献から抽出された当事者のニーズは819枚のラベルに転記され,コアカテゴリ『自分が望む生活を営める』,『精神医療保健福祉システムが充実している』,『生活する環境が整っている』,『人的環境が充実している』,および,より下位のカテゴリに分類された。これらのカテゴリに分類された当事者のニーズは,具体性に富み,専門家が支援していく上で大いに参考になると考えられる。また,これらは,精神-脳-身体の遂行サブシステム,意志のサブシステム,習慣化のサブシステム,物理的環境,社会的環境,作業行動場面といった人間作業モデルの概念にも対応したため,作業療法の実践モデルによる支援が可能であると考えられる。
著者
丸中 良典 新里 直美 中島 謙一 楠崎 克之 芦原 英司 細木 誠之 宮崎 裕明 山田 敏樹
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アルドステロンが、管腔側膜結合型プロテアーゼ発現・活性を亢進させることにより、ENaCの管腔側膜上滞在時間を増大させることを明らかにした。1)アルドステロンの投与の有無により管腔側膜結合型プロテアーゼ(channel activating protease : CAP)の発現が促進されることをウエスタンブロッティング法を用いて確認した。この結果、アルドステロン投与により、CAPの発現および活性とも、増大することが明らかにした。2)上記の結果、アルドステロン投与によりENaCのクリベッジが促進され、リサイクル効率を増大させることを明らかにした。
著者
菅原 一幸 北川 裕之 山田 修平 三上 雅久 浅野 雅秀 BAO Xingfeng LI Fuchuan
出版者
神戸薬科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

(1)ヒトの先天性脊椎・骨端異形成症(spondyloepiphyseal dysplasia, SED)がコンドロイチン6-O硫酸基転移酵素-1(C6ST-1)の変異によって発症することを証明した。(2)コンドロイチンの基本骨格の生合成に関わるコンドロイチン重合化酵素(ChPF)の線虫のオルソログPAR2.4をクローニングし、その機能低下により、線虫の胚発生初期の細胞質分裂が異常になることが分かった。(3)サメ皮膚のCS/デルマタン硫酸(DS)ハイブリッド糖鎖の種々の生物活性を証明し、治療薬への応用の可能性を示した。(4)ブタ胎児脳のCS/DS鎖の神経突起伸長促進作用が増殖因子プレイオトロフィンとの結合を介することを証明し、さらに機能ドメインである硫酸化十糖を単離し、配列を決定した。(5)海産ホヤの果肉から海馬ニューロンの突起伸長促進活性をもつ高硫酸化デルマタン硫酸を精製し、これでマウスを免疫し、抗デルマタン硫酸単クローン抗体を調製した。この抗体は海馬ニューロンを染色し、免疫源であるデルマタン硫酸の神経突起伸長促進活性を阻害した。(6)ヘルペス単純ウイルス(HSV-1、HSV-2)は細胞表面のヘパラン硫酸への結合を介して感染するとされてきたが、今回我々は、感染細胞のコンドロイチン硫酸のE構造を認識して感染しうることを証明した。
著者
根岸 秀明 山田 哲治 白石 友紀 奥 八郎 田中 博
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.687-690, 1990-12-25

Pseudomonas solanacearumの自然発生の非病原性突然変異株, M4Sから約6.6kbpの環状2重鎖のプラスミドDNA, pJTPSlを分離した。pJTPSlはM4Sの親株である病原性菌, U-7からは検出されなかった。このプラスミドは, ApaI, EcoRI, EcoRV, HindIII, PstI, StuI, XhoIなどの制限酵素認識部位をもっていた。U-7の全DNAとのハイブリダイゼーション分析の結果から, pJTPS1はゲノムまたはメガプラスミド由来であろうと推測された。
著者
田口 正樹 石川 武 山田 欣吾 石部 雅亮 村上 淳一 石井 紫郎
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、西洋と日本の歴史の中で法が有した統合作用を、そのさまざまな側面について検討した。その際、法そのものの持つ内実よりも、法が表出される様式、広い意味での法の「かたち」に注目するという視角を採用し、史料論および文化史の手法を参照しつつ、研究を進めた。史料論との関係では、古代末期・中世初期イタリアの文書史料、ドイツ中世中期の法書史料、西洋中世中期から初期近代(近世)にかけての法学文献とその体系、日本中世の日記を取り上げて、文字記録が支配と統合にとって有した意味、法書の国制像におけるラント法とレーン法の関係、lnstitutiones体系による法素材の整理と統合、京都を舞台とした「政治」の諸相などを解明した。文化史的研究に対しては、中世ドイツ人の国家像、中世中期ドイツの国王裁判、中世後期ドイツの貴族の実力行使(フェーデ)を考察対象として応接し、ローマ帝国を最終帝国とする歴史神学的世界観の意義、貴族間の紛争解決ルールの変容、フェーデにおける名誉や公衆の意義、などの問題が論じられた。更に転換期における法の「かたち」を、古代末期ローマ帝国の贈与に関する皇帝勅答、近世ドイツ都市における法類型、近世ドイツの大学における法学教育などを取り上げて検討し、皇帝政府による勅答を通じた諸利害の調整、中間権力と雑多な法を組み込んだ領邦君主の支配体制、近世の法学入門文献による法学諸分野の関連づけと歴史法学によるその改変などを明らかにした。最後に、「統合」そのものが現代世界において持つ意味と、日本の歴史上現れる「統合」の特徴的なパターンを、ドイツの社会学者ニクラス・ルーマンの後期の思考と日本古代から近代に至るまでの、公的ないし半公的な歴史叙述を対象として考察し、統合が構造的に生み出す排斥や、中心権力に奉仕する者たちの由緒の歴史という統合パターンを論じた。
著者
関岡 哲也 横川 勇仁 舩曳 信生 東野 輝夫 山田 朋弘 森 悦秀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.459-470, 2001-03-01
被引用文献数
24

唇の輪郭線は, 口腔外科における口唇裂症などの術式検討や術後トレースに重要であり, シンプルかつ高精度のモデルでの自動抽出が望まれている.そこで本論文では, 顔画像を入力とし, 前処理, 1次検出, 2次検出の3段階の処理を経て, 唇の輪郭線を関数で合成する手法を提案する.まず前処理では, 顔画像から唇の位置を検出し, おおよその大きさを決定する.次に1次検出ではDeformable templateマッチング法により唇のおおよその輪郭線を探索する.そして2次検出では, 遺伝的プログラミングを用いて置換と分割によって詳細な唇の輪郭線を探索する.本提案手法が従来の動的輪郭モデル(SNAKES)よりも精度, パラメータ数, 探索時間の点で優れていることを一般人の唇, 口唇裂症患者の唇のサンプルに対するシミュレーションにより示す.
著者
山田 弘文 南出 章幸 竹俣 一也 中村 純生
出版者
金沢工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

グローバル化の進む21世紀において国際的に活躍できる技術者を育成するには、専門知識に加えて、外国人とのプロジェクトを円滑に推進するためのコミュニケーション能力が必要である。そこで、本研究では、学生がWeb上の共同実験施設を外国人とチームを組んで利用し、プロジェクト活動を推進する国際交流型の工学教育を実践できる教育ネットワークを構築することを目的とし、Webブラウザでコントロールできる遠隔操作ロボットシステムの開発を試みた。開発したシステムの有効性を検証するためシステムー式を協力機関に設置した結果、本システムが使えそうであることを明らかにできた。
著者
山田 邦夫
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

昨年度から引き続きイチゴにおける花芽分化時に特異的に発現する遺伝子のクローニングを進め、シロイヌナズナを始めとする各植物のFT塩基配列と類似性の高い塩基配列が得られ,これをFaFTと名付けた.またバラのTFL1塩基配列と類似性の高い塩基配列が得られ,これをFaTEL1と名付けた.イチゴを短日夜冷処理区(花芽誘導区)とコントロール区(花芽非誘導区)で栽培し花芽分化の様子を顕微鏡下で確認したところ,短日夜冷処理区では処理後35日に花芽の分化が見られ、コントロール区では35日後では花芽分化は確認されなかった.葉において,短日夜冷処理区では全てのステージでFaFTの発現が確認出来なかったのに対し,コントロール区では全てのステージでFaFTの発現が確認された.また,明条件になって1時間から8時間目まで1時間毎に発現を解析したところ,コントロール区ではどの時間も発現が確認された.さらに短日夜冷処理区では2および8時間目においてFaFTの発現は確認されなかった.FaTFL1は葉・葉柄・クラウンにおいて特に目立った変化は見られなかった.一方クラウンにおけるFaFTは、花芽分化が確認できた短日夜冷処理区の35日目で明らかな発現上昇が見られた。これは、短日夜冷条件下では、クラウンにおいてFaFTの発現が上昇し、花芽分化を引き起こしていることを示唆する結果であった。つまりこのFaFTは花芽分化の指標となりうることが明らかとなったが、発現部位がクラウンであったため、今後は葉において指標となる遺伝子候補を探索する必要がある。
著者
有賀 誠司 白瀬 英春 山田 佳奈 生方 謙
出版者
東海大学
雑誌
東海大学スポーツ医科学雑誌 (ISSN:09153659)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.33-41, 2008

The purpose of this study is to obtain some basic data on the judogi chin-up training method for improving women judoists KUMITE strength and the testing method for determining its effectiveness. The subjects in this study are women collegiate judoists, concerning whom the number of chin-ups from a suspended judogi was measured. Also examined was the relationship between those results and the practitioners body shape, weight class and other physical strength measurement results along with the technical characteristics of their judo skills. The findings are as follows : 1) The average measurement value of their judogi chin-ups was 5.0 ±3.0 times which was 31 % of men's reported in the past. 2) There was a significant negative correlation between the measurements of their judogi chin-ups and their weight, but there was no significant correlation between the measurements of their judogi chin-ups and their body fat percentage. 3) Regarding the average measurement value of judogi chin-ups by rankings, the average for light weight class was significantly higher than that for middle weight class, and the average for middle weight class was significantly higher than that for heavy weight class. 4) There was a significant positive correlation between the measurements of their judogi chin-ups and their number of chin- ups from a regular bar. But there was a significant negative correlation between the measurement's of their judogi chin-ups and their strength of grip. 5) There was a significant negative correlation between the measurement of their judogi chin-ups and their 1RM of power clean, but there was a significant positive correlation between the measurement of their judogi chin-ups and their 1RM weight ratio for bench press. 6) The measurements of the group of right-hand KUMITE chin-ups tended to show greater values than those of left-hand KUMITE chin-ups. It implied that there was a positive correlation between features of KUMITE and judogi chin-ups. 7) There was no significant correlation between the measurements of their judogi chin-ups and their rankings and records in judo.
著者
山田 裕司 小泉 彰 宮本 勝宏
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 = Journal of aerosol research (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.35-43, 1996-03-20
被引用文献数
7

Aerosol penetrations through fibrous filters with pinholes were studied theoretically and experimentally. An equivalent thin filter layer (ETFL) model assuming a virtual filter layer was proposed to account for penetration through filters with pinholes. From one to thirty pinholes per filter were made on HEPA filter media using columnar pins of 0.195, 0.150 or 0.130 mm in diameter. Aerosol penetration through these filters was measured using monodisperse NaCl aerosols ranging from 0.05 to 0.3 μm in diameter at air flow face velocities of 0.00775, 0.0233 and 0.0698 m/s. Net penetration through the pinholes increased in proportion to the pinhole number and size. But there was no change in pressure drops across the filters. As a result of analysis based on the ETFL model, the layer thickness was estimated to range from 1/5 to 1/12 of the normal filter thickness. The predicted penetration curves were confirmed to agree well with the measured curves.
著者
野田 利弘 浅岡 顕 中野 正樹 中井 健太郎 澤田 義博 大塚 悟 小高 猛司 高稲 敏浩 山田 正太郎 白石 岳 竹内 秀克 河井 正 田代 むつみ 酒井 崇之 河村 精一 福武 毅芳 濁川 直寛 野中 俊宏
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

日本の重要な社会資本は,沖積平野や海上埋立人工地盤といった地震被害が懸念される軟弱地盤上に多く蓄積されている.本研究では,特に沿岸域に立地する社会基盤施設を対象に,長周期成分を含み継続時間が数分にも及ぶ海溝型巨大地震が発生した際の耐震性再評価と耐震強化技術の再検討を実施した.既往の被害予測手法は地震時安定性評価に主眼が置かれ,地震後の長期継続する地盤変状を予測することはできない.「地盤に何が起こるかを教えてくれる」本解析技術による評価を既往手法と並行して実施することで,予測精度の向上とともに,被害の見落としを防ぐ役割を果たすことを示した.
著者
飯田 和質 平井 敏雄 富永 敏朗 津田 利雄 松田 春悦 山田 良 土田 寿 竹内 桂一 大月 恭範 大森 正弘
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.2171-2177, 1986-12-01
被引用文献数
1

概要 福井県の車集検は昭和47年より開始され、昭和49年に福井県健康管理協会が発足して全県下を一本化して実施して現在に至つている。昭和49年から昭和58年までの10年間の成績について若干の知見を得たので報告する。 福井県ぱ人口約81万人て30歳の対象婦人は昭和58年て249、392人である。受診率は昭和49年の39%から58年の62%と増加しているがまた低い。要精検率ぱ0 77〜2 02%てあり、精検受診率は86 3%〜97 7%で比較的良好な成績である。痛検出率ぱ0 08%〜03%であり、上庄内痛の検出率ぱあまり変らないが浸潤痛ぱ年毎に低下している。異型上皮は年毎に増加し、49年の0 11%に対し57年は0 35%であつた。異型上皮、上庄内痛、浸潤痛の比は49年〜53年の前半は13 17 10であり、54年〜58年の5年間ぱ61 25 10となつている。上皮内痛およひ浸潤癌発見まての受診回数てぱ子宮頭癌Ib期以上でぱ全員が初回受診時に発見されている。頭痛Ia期てぱ31人中3人が2回目て、28人ぱ初回に発見され、上庄内痛146人中126人か初回、14人が2回目、6人が3回目以上であつだ。細胞診成績てぱclass ? の72例でぱ異型上皮87%、上皮内癌56 9%、浸潤痛12 1%てfalse posltlveは22 2%てあり、class ?の51例でぱ異型上皮19%、上皮内癌45 1%、浸潤痛47 1%でfalse posltlve ぱ58%にみられた。福井県のCAIを診療検診と車検診の合計で計算し、昭和57年ぱCAI 152、 58年ぱCAI 148、 59年ぱCAI 177であつた。福井県子宮癌検診も今後は日母方式の施設検診を加えて検診者の増加をはがり子宮癌死亡0を目さして努力している。
著者
小出 哲哉 山田 佳廣 矢部 和則 山下 文秋
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.19-26, 2008-02-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

We assessed several methods for deploying nets over windows and entrances so as to prevent the escape of the adult European bumblebee, Bombus terrestris, from greenhouses. Bumblebees were completely prevented from escaping from glass-based greenhouses by both netting windows and filling gaps around windows with sponge, tape and/or building tamping materials. For windows in greenhouses constructed from plastic-covered steel pipe frames, bumblebees did not escape when nets were set under the plastic film and over steel frames and fixed to the outside of the steel frames, but they did escape when nets were set under the steel frames and fixed to their inside. When an entrance was netted, double netting was imperfect even with a room in front of the entrance; however, a net with a zipper completely prevented bumblebee escape. Bumblebees escaped through ventilation fans irrespective of whether they were operating, and thus netting was required, but they did not escape through fresh-air inlets. Our results indicate that it is possible to completely prevent the escape of bumblebees by netting windows and entrances, but close attention is required.