著者
伊藤 祐子 井上 薫 三浦 香織 山田 孝 品川 俊人 米田 隆志
出版者
日本保健科学学会
雑誌
日本保健科学学会誌 (ISSN:18800211)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.164-169, 2006-12-25
参考文献数
5
被引用文献数
1

発達障害児に対する作業療法では,対象児の障害に合わせ様々なアプローチ方法が提唱されている。その一つに感覚統合療法がある。感覚統合療法は,主に学習障害児や自閉症児,自閉傾向児に施行されており,障害の特性に合わせて前庭覚,固有覚,触覚などの感覚刺激を入力できる様々な遊具を使用する。ホーススイングは天井から吊られた遊具で,重力を利用して自在に揺らすことができる。前庭刺激を与えやすく使用頻度の高いもので,平衡反応に問題を持つ児のセラピーに利用することが多い。しかし,平衡反応の改善等の効果は観察による評価が主体であり,定量的評価が難しいのが現状である。そこで,本研究ではホーススイングの揺れをモータで制御し,セラピストの力加減に依存しない一定の刺激を与えられるシステムの開発および,3次元動作解析を用いた平衡反応の定量的評価手法の検討を行ったので報告する。
著者
桑田 耕太郎 松嶋 登 高橋 勅徳 山田 仁一郎 水越 康介 山口 みどり 入江 信一郎
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究テーマである「制度的起業」とは、単に制度的環境を与件としてそれに組織が適応するとする議論を越えて、企業が既存の制度に埋め込まれながら新たな制度を創造する側面を持っていることに注目した概念枠組みである。本研究では、こうしたダイナミックな制度的実践の側面に注目しつつ、制度変革のマネジメントについて明らかにした。
著者
山田 礼子 木村 拓也 井ノ上 憲司 森 利枝 舘 昭 吉田 文 西郡 大 園月 勝博 相原 総一郎 沖 清豪 杉谷 祐美子 田中 正弘 安野 舞子 渡辺 達雄
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究の成果は、(1)KCSS(韓国版大学生調査)を24年に実施し、日韓のデータ結合により分析、(2)日本では、平成25年まで、延べ866大学・短大から約14万人がJFS、JCSSとJJCSSに参加するなど標準的調査が根付いた。(3)24年には中国版CSSが試行され、25年には、上海市で中国版CSSの実施へと進展し日本発の標準的調査のアジアでの展開への基盤が形成されつつある。(4)2014年末までに、14万人のデータを格納し、参加大学が利用できるデータベースを開発、(5)日本のカレッジ・インパクト研究を下記で示す理論モデルにまとめたという5点が挙げられる。
著者
岩田 康宏 浦 正広 中 貴俊 後藤 昌人 遠藤 守 山田 雅之 宮崎 慎也 田村 浩一郎
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.13, pp.1-2, 2011-05-06

動画コンテンツ投稿者は,投稿コンテンツが視聴者に与えた印象等の情報を必要としているが,それが得られるかは視聴者の自発性に依存するところが大きい.そこで本研究では,動画共有コミュニティにおけるユーザのアクテイピティに着目し,ユーザ間のコミュニケーションを活用する事で自発性を促す手法を提案する.In video-sharing sites, video content contributors need information such as influence that gave to viewers. However, whether that information is obtained depends on viewers' initiative. In this study, we present a method for urging unprompted evaluation using communications between users based on users' activities in video-sharing community.
著者
山家 浩樹 林 譲 久留島 典子 鴨川 達夫 高橋 則英 高田 智和 馬場 基 大内 英範 耒代 誠仁 高橋 敏子 遠藤 基郎 山田 太造 渡辺 晃宏 小倉 慈司 高橋 典幸 井上 聰 谷 昭佳 川本 慎自 高山 さやか
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

「ボーンデジタル進捗状況管理システム」を構築して、無秩序に生成されがちなデジタル撮影画像(ボーンデジタル)を、組織として一貫して管理・運用するシステムを確立し、歴史史料のデジタル画像を共有する基盤を整えた。さらに、標準化された仕様に適合しないデジタル画像を、メタデータとともに管理する一例として、ガラス乾板など古写真を取り上げ、「ガラス乾板情報管理ツール」を開発して、ガラス乾板の研究資源化および保存にむけた研究を行なった。あわせて、具体例をもとに、デジタル画像を主たるレコードとするデータベースの構造転換に向けた研究を推進した。
著者
孫田 信一 小野 教夫 武藤 宣博 山田 裕一
出版者
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
雑誌
特定領域研究(A)
巻号頁・発行日
1999

均衡型染色体構造異常を有し、同時に遺伝性疾患を含む各種疾患、器官形成異常や発生異常などを示すマウスを系統的に作製し、切断点を指標にして各異常に関する遺伝子探索システムの確立を目指した。チャイニーズハムスターによる予備実験に基く方法にしたがって実施した。マウスを用いて4シーベルトのX線照射した雄との交配で26.9%の子獣に染色体構造異常をもつ65系統が得られ、これらのうちホモ接合体(一部ヘテロ接合体)で何らかの症状を示すものが得た(8.6%)。発育障害を含む諸症状、行動異常、不妊、発生及び器官形成異常などを発現する動物・系統を分離した。また構造異常のホモ接合体で能を含む器官形成異常、着床後早期の発生異常、2〜8細胞期における発生異常や発生停止などを示すものもかなり多いことが判明した。また、ゲノム解析を進めるため近交系マウスおよびチャイニーズハムスター(CH)のgenomic DNAを用いて定法によりゲノムライブラリーを作製した。これまでCHについては500以上のコスミドクローンをFISH法で染色体上にマッピングし、マウスでも同様にライブラリーを作製した。染色体2p23と4q19の相互転座を有し、ホモ接合体で侏儒症と学習記憶障害を示すCH系統と特定の発生異常、器官形成異常を示す転座2系統の動物を用いて切断点の遺伝子解析を実施した。前者の切断点近傍に成長ホルモン受容体遺伝子GHRが存在しその発現異常を認めたが、切断点とは一致しない。発生障害を示す他の2系統の遺伝子を含めその領域をかなり狭い範囲に決定したが、まだ遺伝子を特定するには至っていない。本研究システムを用いて各種疾患や発生異常に関わる遺伝子が多数発見され、それぞれの構造・機能が解明されれば、異種遺伝子間の相同性を利用して同一機能のヒト遺伝子が解析できる。
著者
室山 泰之 山田 彩 遠藤 美香
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

集落などの人為的な環境を利用する複数のニホンザル集団を追跡調査するとともに、その生息環境を環境省植生図などの既存の資料と現地調査から分析することにより、彼らの土地利用と環境選択、個体群パラメータなどを明らかにした。集落を利用するニホンザルにとって、集落に隣接する林は採食や休息などの多様な機能をもつ生息地であること、農作物採食によって出産率の上昇など個体数増加につながる変化が起こることなどを明らかにした。
著者
蛭田 秀一 安藤 詳子 山田 宏 島岡 みどり 今枝 敏彦 小野 雄一郎
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

各種介助作業方法間で、介助者側の負担感と患者側の安心感を比較した。また、負担感や安心感と介助者の筋力との関係を検討した。作業として、ベッド上での仰臥位から長座位への起き上がり介助(5方法;患者の右側から)とスライド板使用の車椅子からベッドへの水平移乗介助(3方法)を設定した。被検者は18人の介助者役(平均年齢21.4±SD0.6歳、平均身長157.9±5.9cm、平均体重52.7±5.8kg)と1人の患者役(身長152.2cm、体重48.9kg)の女子看護系大学生であった。方法によっては、患者支持用補助具として、フレキシムーブ(把手紐付きのたわみ可能な介助板)とフレキシベルト(把手紐付き介助ベルト)を使用した。起き上がり介助における介助者の全身負担感(Borg's RPE値)は「ムーブ使用・右膝ベッド上置・回旋引き起こし」が平均10.8±1.6で、他の4方法に比較してそれぞれ有意に(P<0.05)低かった。「患者右前腕固定・回旋起こし」(11.2±2.1)と「ムーブ使用・回旋引き起こし」(11.6±1.7)はともに、「患者背部持ち上げ起こし」(13.2±2.2)、「対面左肩保持引き起こし」(13.3±2.4)より有意に低かった。7段階で尋ねた患者の安心感については、最良の「ムーブ使用・右膝ベッド上置・回旋引き起こし」と最低の「患者背部持ち上げ起こし」の間のみ有意差がみとめられた。移乗介助における介助者負担感は、「ムーブ使用」が「支持具不使用」より有意に低値を示し、患者安心感は「ムーブ使用」が「ベルト使用」に比べ有意に良好であった。筋力との関係については、「支持具不使用」移乗において介助者の脚力が高いほど患者安心感も高いという有意な相関関係がみられた。本研究の結果、介助方法や補助用具の選択の際には、介助者側、患者側双方からの評価を総合的に検討すべきであることが示唆された。
著者
青木 幹喜 水谷 正大 山田 敏之 石井 昌宏 松崎 友世
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、チーム・エンパワーメントの概念を明らかにするとともに、チーム・エンパワーメントの先行要因やその諸効果を明らかにした。チーム・エンパワーメントは、チームに有意味感や自己決定感、効力感、到達感のある状態のことである。そして、こうした状態に至るには、外部チームリーダーの行動等が関係していることが明らかになった。さらに、チーム・エンパワーメントにより、チームの創造性発揮も促進されることが予測されている。
著者
林 農 神近 牧男 若 良二 原 豊 田川 公太朗 河村 哲也 山田 廣也
出版者
鳥取大学
雑誌
地域連携推進研究費
巻号頁・発行日
2000

本研究は、世界各地の乾燥地で運転可能な風車と風力発電を開発することを目的として着手した。得られた研究業績の多くは、その取り組みの容易さから、サボニウス風車と直線翼垂直軸風車の数値シミュレーションにまず成果を得た。風車の性能試験は風洞実験施設の設計と建設に時間を必要としたこと、新技術風車もまた設計と試作に時間を必要としたので多くの研究業績を得るまでには至らなかった。この研究期間の内に挙げることができた研究業績は次のように分類することができる。(1)直接研究:サボニウス風車、垂直軸風車の数値シミュレーション、風洞実験など(2)関連研究:(a)沙漠に関する研究(b)風力発電に関する研究:(i)風況精査に関する研究(ii)風車の要素技術に関する研究本研究のために開発した風洞は、風車研究用風洞として世界に稀な特性を有する風洞である。すなわち、動翼ピッチ可変式の軸流送風機により定常風のほかに自然風のように時間とともに風速が変動する風を吹かせられる風洞であり、脈動風、突風、瞬間風の3種類の変動風パターンを発生することができる。この科学研究費補助金は地域連携を推進するための助成金であるので、地域の産学官連携に携わる人達、鳥取大学と共同研究を望む人達、流体力学の分野で活躍する研究者達、風力発電を事業化しようとする自治体の人達など、鳥取大学を訪れる多くの人達に沙漠環境風洞を見学する機会を提供した。さらに、本研究費の趣旨に則って、地域の企業との産学連携を積極的に推進するために多くの共同研究を受け入れ、鳥取県、NEDOや企業などからの委託研究も積極的に受け入れた。さらに、本研究は、最終年・平成14年度に文部科学省の21世紀COEプログラムに採択された鳥取大学「乾燥地科学プログラム」の自然エネルギーグループに研究が引き継がれる幸運が重なることになった。したがって、地域連携推進研究費で設計し試作した新技術風車は、その風車の改良を含めて、乾燥地科学プログラムのなかで、詳細な特性試験と再設計を繰り返して完成品へと導かれることになる。
著者
一井 太郎 張 成年 望岡 典隆 酒井 光夫 吉村 拓 山田 陽巳 本多 仁
出版者
独立行政法人水産総合研究センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

胃内容物の検討にはそのホスト生物の種判別も重要であることからDNAを用いた重要水産動物稚仔の種同定についても継続した。イカ類の種判別に基づいた研究成果を利用し、系群及びイカ類の資源変動やイカ類を利用する魚類資源の動態についての研究を行った。また、まぐろ類については新規核遺伝子マーカーを用いた系統類縁関係についても検討した.イカ類幼生、ウナギ類幼生及びイセエビ類幼生について胃内容物ゲノム解析を継続するとともに、結果の取り纏めを行った。イカ類(アカイカ)とウナギ類(ウナギ、ハモ、アナゴ)については真菌類と微細真核生物に一致するDNAが多く検出されるとともに、ホスト自体の変異型も多く検出されたが、餌生物由来と考えられるDNA分子は検出できなかった。イセエビ科(Palinuridae)、セミエビ科(Scyllaridae)幼生からも同様な生物群とホスト変異型が検出されたが、尾索動物や刺胞動物といったゼラチナスプランクトンのDNAが共通して検出され、これらが餌生物として利用されていることが示された。イセエビ(Panulius japonicus)の近縁種であるカノコイセエビ(Panulirus longipes bispinosus)と大西洋の種(Panulirus echinatus)は秋季に採集された標本であり、これらのゼラチナスプランクトンが検出されたが、春季に採集されたイセエビからはこれらの生物が検出されず、硬骨魚類のDNAが検出された。この違いが季節や海域、あるいは種によるものかどうかは今後の検討課題である。
著者
矢部 貞雄 中山 幹男 山田 堅一郎 北野 忠彦 新井 陽子 堀本 泰介 増田 剛太 見藤 歩 田代 眞人
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 : 日本伝染病学会機関誌 : the journal of the Japanese Association for Infectious Diseases (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.1160-1169, 1996-11-20
参考文献数
17
被引用文献数
7 14

1985年から1995年にかけて, 主に東南アジアからの入・帰国者でデングウイルス感染が疑われる症例について, 血清学的診断及びRT-PCRによるデングウイルス遺伝子の同定を行い, 輸入感染症としてのデングウイルス感染の重要性を検討した. デング熱を疑われて検査依頼のあった不明熱患者は173例であった. その内77例がデングウイルス2型抗原に対してペア血清によるHI抗体価の有意上昇, あるいは単一血清で320倍以上のHI抗体価を示したことから, デングウイルス感染と診断された. 一方, ペア血清で4倍以上の抗体価の上昇が認められた15例については, 3例で回復期の抗体価が80倍以下, また12例では回復期が160倍と低かったため, いずれもデングウイルス感染が疑われたが確定診断は不可能であった. 患者の旅行・滞在先の地域別では, タイが39名と最も多く, 続いてフィリピン15名, インド13名, インドネシア9名であった.<BR>HI試験では, デング患者血清は日本脳炎ウイルス (JEV) 抗原との問に異常に高い交差反応が見られたが, IgM-Capture ELISA法ではこのような交差を認めなかった. 一方, JEV感染患者血清ではデングウイルス2型に対するHI試験での交差はほとんど認められず, デングウイルス感染備のJEV抗原に対するHI交差反応は一方向的なものであることが明らかとなった. またデング熱患者血清について, デングウイルス1~4型のE~NS2領域に対する各プライマーを用いてRT-PCRを行ったところ, 第三病日以内の血清3例からデングウイルス1型の遺伝子が, また第4病日の血清1例からデングウイルス2型の遺伝子が検出された.
著者
井上 誠 山村 健介 山田 好秋
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、(1)咀嚼に関わる運動神経のプレモーターニューロンの神経生理学的特徴を調べる,(2)咀嚼運動に関わる中枢神経系の制御を受けている顎筋,舌筋,舌骨下筋に注目し,リズム性の顎運動が遂行される際に,これらの運動神経がどのような協調運動を行っているかを調べることであった.麻酔下の動物の大脳皮質咀嚼野を電気刺激してリズム性顎運動を誘発した後に上下歯根膜からの入力の変化が協調運動に与える影響を調べた.これらの結果は,閉口筋とともに,舌牽引筋である茎突舌筋は歯根膜からの入力を受けてその興奮性を高めることにより咀嚼時の顎舌協調運動を維持させて,食塊の形成・維持に関わることが明らかとなった.次に覚醒動物が食物を自由に咀嚼・嚥下するときの顎舌協調について,さまざまな物性をもつ食品を摂取したときの顎筋舌筋,舌骨上筋の筋電図を同時記録することにより評価した.その結果は歯根膜からの刺激が舌筋活動に大きな影響を与える可能性があることを示唆していた,しかし,試験食品のうち,最も硬い食品である生米を用いたときよりも飼料用のペレット咀嚼時のほうが茎突舌筋の活動は大きかった.このことは,顎筋のように歯根膜や閉口筋筋紡錘だけでなく,舌活動に大きな影響を与えている口腔粘膜や舌の受容器などのような他の末梢性入力の可能性が大いに考えられることを示唆している.咀嚼運動に関わると思われる顎口腔顔面領域の運動神経核に投射するプレモーターニューロンの神経生理学的性質を検索した結果では,末梢からの投射を受け,さらに複数の運動核に投射するプレモーターニューロンを見つけることができなかった.このことは,咀嚼運動に関わる制御機構は末梢の入力により変調は受けるものの,その制御は主にプレモーターよりも上の脳幹領域で行われ,それぞれの運動神経に出される指令は独立して行われていることを示唆するものである