著者
二木 宏明 松沢 哲郎 久保田 競 岡部 洋一 岩田 誠 安西 祐一郎
出版者
東京大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

本研究では人間における言語機能の神経心理学研究とチンパンジ-における数の概念の研究を足がかりとして、思考や言語の基礎をニュ-ロンレベルで解明する手掛かりをつかむべく、サルの前頭前野のニュ-ロンにおける高次の情報処理の特徴を調べる。一方、思考と言語の脳内メカニズムのモデル化の研究においては、脳のような並列階層的システムが論理的推論をどのような形で行っているかという脳内表現の計算機構を説明できるモデルを提案することを目的としている。岩田は、H_2 ^<15>O PETを用いて漢字、仮名黙読時の脳血流を測定した。仮名単語の読字は漢字単語の読字より広汎に局所脳血流を増加させ、両側の角回も賦活されていることが明らかになった。松沢はチンパンジ-の数の概念の研究をおこなった。アラビア数字1から9までの命名を形成し、反応時間の分析をしたところ、ヒトと同様の二重の計数過程が示唆された。久保田は、アカゲザルで学習が進行するのに伴って、手掛かり刺激の色の違いに特異的に応答するニュ-ロンの数が増えることを明らかにした。二木は、ヒトのカ-ド分類と類似の課題を遂行中のサルの前頭前野のニュ-ロン活動を記録し、注目すべき次元の違いに依存して、ニュ-ロン活動の応答が異なることを明らかにした。岡部は、概念がどの様に運動ニュ-ロンにパタ-ン化されていくかについて2関節の指の運動のシミュレ-ションを行った。その結果、極めて自然な関節運動の得られることを確認した。以上のごとく、初年度にもかかわらず着実に成果がありつつある。
著者
岩田 洋夫
出版者
ヒューマンインタフェース学会
雑誌
ヒューマンインタフェース学会論文誌 (ISSN:13447262)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.21-30, 2012-02-25 (Released:2019-07-01)
参考文献数
20

This paper discusses a new concept named"device art."The recent decades has shown significant advance in the interactive artwork created in Japan.Those artworks employ innovative interface devices. Device art has different characteristics from western art; bottom-up creation process, playfulness, and commercialization. Traditional Japanese culture, such as tea ceremony or flower arrangement, uses sophisticated devices, which are roots of device art. This paper describes characteristics of device art as well as its methodologies for creation of works.
著者
金森 達之 岩田 祐子 瀬川 尋貴 山室 匡史 桑山 健次 辻川 健治 井上 博之
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.123-133, 2019 (Released:2019-07-31)
参考文献数
13

The isomers of fluoro-butyrylfentanyl, fluoro-isobutyrylfentanyl, and fluoro-methoxyacetylfentanyl, in which the position of fluorine on the N-phenyl ring varies, were synthesized, characterized, and differentiated by infrared (IR) spectroscopy, liquid chromatography/mass spectrometry (LC/MS), and gas chromatography/mass spectrometry (GC/MS). The isomers could be clearly differentiated by their IR spectra. In the LC/MS chromatograms, the separation of the fluoro-butyrylfentanyl and fluoro-isobutyrylfentanyl isomers was insufficient. However, in the GC/MS extracted ion chromatograms, all compounds were completely separated. The LC/MS and GC/MS mass spectra of the isomers were similar, demonstrating that it is difficult to distinguish the positional isomers of fluorinated fentanyl analogs by their mass spectra.
著者
金森 達之 桑山 健次 辻川 健治 宮口 一 岩田 祐子 井上 博之
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.91-101, 2014 (Released:2014-07-30)
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

The in vivo metabolism of 2,5-dimethoxy-4-ethylthiophenethylamine (2C-T-2) and 2,5-dimethoxy-4-isopropylthiophenethylamine (2C-T-4), new psychoactive drugs, were studied using rats. 2C-T-2 hydrochloride and 2C-T-4 hydrochloride were administered separately to male Sprague-Dawley rats via the oral route (10 mg/kg), and the urinary extracts were analyzed by liquid chromatography/mass spectrometry. Fourteen and ten metabolites for 2C-T-2 and 2C-T-4 were detected in the urinary extracts, respectively. Our results suggested that sulfoxidation, sulfone formation, S-dealkylation followed by S-methylation, N-acetylation and deamination followed by oxidation were the major metabolic pathways of 2C-T-2 and 2C-T-4 in rat.
著者
金森 達之 岩田 祐子 辻川 健治 桑山 健次 山室 匡史 瀬川 尋貴 井上 博之
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.139-147, 2016 (Released:2016-07-23)
参考文献数
16
被引用文献数
1 3

Simultaneous analytical methods for 18 compounds of fentanyl and its analogues by thin-layer chromatography (TLC), gas chromatography/mass spectrometry (GC/MS) and liquid chromatography/mass spectrometry (LC/MS) were developed. In TLC, fentanyl analogues were well separated by using toluene-acetone-28% aq. ammonia (20:10:0.3, by vol.) as a developing solvent. In GC/MS, fentanyl analogues, except for fentanyl and acetyl-α-methylfentanyl, could be separated on the extracted ion chromatograms (EIC) of the characteristic fragment ions of each compound. In LC/MS, fentanyl analogues could be separated on the EICs of the protonated molecule of each compound. All of the fentanyl analogues tested were identified correctly by using the combination of TLC, GC/MS and LC/MS.
著者
根岸 祥子 中園 裕紀子 神田 康司 辻川 健治 桑山 健次 金森 達之 岩田 祐子 宮本 和奈 糟谷 史代 井上 博之
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.111-119, 2014 (Released:2014-07-30)
参考文献数
16
被引用文献数
6 5

Methylamphetamines (methylamphetamine (Me-AP) and methylmethamphetamine (Me-MA)) have three ringpositional isomers. Among them, 4-Me-AP has been controlled as a designated substance (Shitei-Yakubutsu) in Japan since November 2012. Furthermore, Me-APs are a structural isomer of methamphetamine (MA), controlled as a stimulant. Because of the increasing number of structural isomer of designer drugs encountered in forensic science laboratories, analytical differentiation of structural isomers is a significant issue. In this study, a method for differentiation of methylamphetamines using gas chromatography/mass spectrometry (GC/MS) was developed. DB-1ms and DB-5ms columns could not separate free bases and trifluoroacetyl (TFA) derivatives of methylamphetamines while the columns incompletely separated their trimethylsilyl (TMS) derivatives. On the other hand, the mid-polar DB-17ms column separated free bases, TFA and TMS derivatives of 6 methylamphetamines though peak shapes of the free bases were tailing. The best separation was obtained from the analysis of the TMS derivatives on DB-17ms column. The mass spectra showed a little difference between the 2-, 3-Me-AP and 4-Me-AP after TFA derivatization. Also the structural isomers of Me-AP and MA could be differentiated by their EI mass spectra. The results indicated that differentiation of regioisomeric methylamphetamines could be accomplished well by GC/MS of their TMS derivatives on the mid-polar capillary column.
著者
岩井 千春 岩根 久 岩田 聖子
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

日英比較による苦情対応のについての量的研究―アンケート調査と談話完成テスト(Discourse Completion Test)を日米で実施し、分析を開始する1. アンケート調査の質問内容の設定: 苦情対応の事例と対応方法、そして、苦情対応に関する意識を日本と(英語母語国の)アメリカで調査するため、質問内容を作成した。質問の形式は選択と記述の両方を採用し、調査実施前には接客業務の経験がある、日本人とアメリカ人の協力者にパイロット調査を行い、質問紙の完成度を高めた。2. 談話完成テストの質問内容の設定:アンケート調査と同時に、日本とアメリカで実施する談話完成テストの内容を作成した。談話完成テストは特定の状況(本研究では苦情対応)での具体的な発話内容を調査するものである。本研究では、談話完成テストの中で使用する苦情の状況を設定するために、頻繁に発生するタイプの苦情を研究し、更に、談話完成テストの協力者が答えやすい苦情の状況と質問を設定した。回答協力者に回答方法をわかりやすく示すために、最初に例題と答えの例を提示した。また、前項のアンケート調査と同様にパイロット調査を行い、質問内容の完成度を高めた。3. 日本とアメリカでアンケート調査と談話完成テストの実施:アンケート調査と談話完成テストともに、調査方法はインターネットを利用し、両調査ともに日米で調査対象者を接客業で苦情対応を経験した者に限定し、その上で各国で300を超える有効回答数を得ることができた。4. 分析(分析は30年度も実施): 前項までの調査データを分析している。アンケート調査の記述式回答や談話完成テストの回答はカテゴリー化して、日本人とアメリカ人の語用論的パターンを分析している。
著者
田内 広 和久 弘幸 屋良 早香 松本 英悟 岩田 佳之 笠井(江口) 清美 古澤 佳也 小松 賢志 立花 章
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第53回大会
巻号頁・発行日
pp.79, 2010 (Released:2010-12-01)

高LET放射線に特異な生物現象として、体細胞突然変異や細胞癌化において線量率が非常に低くなると逆に生物影響が大きくなるという逆線量率効果が知られている。この現象は1978年にHillらによって初めて報告されたものであるが、その原因はいまだに明らかになっていない。我々は、マウスL5178Y細胞のHPRT欠損突然変異における核分裂中性子の逆線量率効果が、低線量率照射による細胞周期構成の変化と、G2/M期細胞が中性子誘発突然変異に高感受性であることに起因することを報告し、さらに放医研HIMACの炭素イオンビーム(290 MeV/u)を用いて同様の実験をおこなって、放射線の粒子種ではなくLETそのものがG2/M期細胞の突然変異感受性に大きな影響を与えていることを明らかにした。また、各細胞周期において異なるLETによって誘発された突然変異体のHprt遺伝子座を解析した結果、G2/M期細胞が高LETで照射された時に大きな欠失が増加することがわかり、G2/M期被ばくではDNA損傷修復機構がLETによって変化していることが示唆された。さらに、正常ヒトX染色体を移入したHPRT欠損ハムスター細胞を用いた突然変異の高感度検出系を開発し、総線量を減らすことによってHIMACのような限られたマシンタイムでの低線量率照射実験を可能にした。実際、この系を用いてLET 13.3 KeV/μmと66 KeV/μmの炭素イオンビーム(290 MeV/u)で突然変異の線量率依存性を比較した結果、66 KeV/μmで明らかな逆線量率効果が認められたのに対して13.3 KeV/μmでは逆線量率効果は認められなかった。これらのことから、高LET放射線による逆線量率効果は低線量照射による細胞周期の部分同調とG2/M期における高LET放射線損傷に対する修復機構の変化に起因していると考えられる。
著者
岩田 三枝子 Mieko Iwata
巻号頁・発行日
2017-03-09

東京基督教大学
著者
生田 久美子 吉國 陽一 尾崎 博美 畠山 大 岩田 康之 八木 美保子
出版者
田園調布学園大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、「教える」専門家としての教員養成の根幹が問われる中で、学問としての「教育学」が果たすべき役割を明らかにすることを目的とする。具体的には、以下の2点の解明を目指す。①「教える」専門家がもつ「高度な専門性」の特徴を明らかにする。②「教育学」と「教える」専門家の養成との間の歴史的・制度的な関係性を明らかにし、「教育学」に基づく「教える」専門家養成システムの在り方を提示する。以上の2つの目的の達成を、教育哲学・教育思想、教育史、教育制度・教育行政、教育実践の4つの専門領域から検討することを通して、「教える」専門家の養成を学問として構築する「教育学」のあり方(モデル)の提示を目指す。
著者
阿曽 かずき 岩田 宏美 清水 史子 小川 睦美 Kazuki ASO Hiromi IWATA Fumiko SHIMIZU Mutsumi OGAWA
雑誌
學苑 = GAKUEN (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
vol.818, pp.27-30, 2008-12-01

In order to examine and compare the content of resistant starch (RS) under different conditions, the amount of non-starch polysaccharides (NSP) in boiled rice (A. boiled, B. boiled and frozen and defrosted), purchased bread (A. just after purchase, B. frozen and defrosted), and retort rice (A. microwaved, B. microwaved and frozen and defrosted) were measured using the Englyst method. The results were as follows: There was no difference in the content of NSP in the boiled rice A and B. The amount of NSP content in the purchased bread A was lower than that in the purchased bread B. Therefore, we could not calculate the amount of RS. The NSP content of the retort rice B was higher than that of the retort rice A. The RS content of the retort rice was 1.0±0.8 (g/100 g). The NSP content of the purchased bread was significantly higher than that of the boiled rice and retort rice.
著者
岩田 博夫 加藤 功一 笹井 芳樹 滝 和郎
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

胚性幹細胞(ES細胞)からのインスリン産生細胞の分化誘導:マウスまたカニクイザルのES細胞から米国NIHのMcKayらの報告した分化誘導法を基本に研究を進めてきた。インスリン陽性細胞には2種類のタイプが存在し、一つはインスリン染色で細胞全体が強く染色される小さな細胞、他はインスリン染色で細胞質のみ染色される比較的大きな細胞であった。また、サブカルチャーを行っても常にインスリンの免疫染色が陽性になる細胞が存在した。さほど高効率ではないが、間違いなくインスリン産生細胞へと分化誘導できていると考えている。高効率にインスリン分泌細胞を分化誘導するために、Tet systemを利用してカニクイザルサルES細胞内でPDX-1遺伝子発現を制御することによりインスリン分泌細胞へと分化誘導する方系を作成した。ES細胞からのドーパミン産生細胞の分化誘導:PA6細胞のConditioned Medium中の成分とポリイオンコンプレックス形成法を用いて表面を試作し、この表面上でES細胞をドーパミン産生細胞へと分化誘導した。また、PA6細胞のConditioned Mediumを用いてES細胞を浮遊培養しドーパミン分泌細胞への分化誘導を行った。培養30日後においてもドーパミンの検出ができた。中空糸内にカニクイザルES細胞を封入した後、PA6細胞の順化培地中で培養を行ったところ、効率よく神経細胞へと分化した。免疫隔離膜:PEG脂質を用いて細胞表面を細胞に障害を与えることなく極めて薄い層で覆うことができた。カプセル化による体積増加が極めて小さい生細胞マイクロカプセル化法として極めて有力であると考える。ヒトES細胞:ヒトES細胞使用許可の取得が諸般の事情で遅れ、平成18年3月10日付けでヒトES使用計画の大臣確認書が交付された。このため大部分の仕事はマウスES細胞とカニクイザルのES細胞を用いて研究を行った。
著者
菅原 玲 田里 誠 岩田 修一 田辺 義一
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館研究報告 E類 理工学 (ISSN:18819095)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.55-63, 2007-12

The history of Japanese turbine generators started with introducing the Western knowledge and technologies after Meiji Restoration, and improved mainly by referring to the Western manufacturers, especially in the initial stage. And now the Japanese technology reaches the world highest level. The Tari's research showed that an advance of generator performance has something to do with improvements of background technologies such as an ability to make greater steel ingot, and there likely should be a linkage relations among them. This paper shows the correlation graphically and the strong correlation between the unit capacity of generator and the size of turbine rotor by making a multiple-regression analysis for quantitative evaluation.
著者
櫻井 克己 岩田 行剛
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.2_115-2_120, 2016 (Released:2016-08-26)
参考文献数
13

大学による研究成果の特許保有が,企業が大学研究成果の実用化をする為の投資インセンティブに繋がるという考え方は正しいかについて,十分検討されずに来た.そこで,企業が大学と共同研究を進める際に大学特許出願の有無をどう認識しているかについて,企業産学連携関係者へアンケートを行った.その結果,企業は大学と共同研究を開始するに際して,共同研究対象について,大学の特許出願を必要としていないことが分かった.これは製薬系企業においても同様であった.又,共同研究成果の取扱いについて,特許は活用する側にある企業に帰属させるべきと考える人が多いこと,譲渡条件については共通認識が醸成されていないことが分かった.
著者
岩田 清二
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.82-86, 1948-12-25 (Released:2008-02-29)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

The living bivalves have the 3 forces concerning to close the valves: namely the closing force of adductor muscle, the opening force of ligament of valves and the adhesive force of adductor muscle to the shells. The closing force of adductor muscle decreases gradually as temperature rises and becomes minimum at about 70°C and increases as temperature rises higher until the shell opens. The force of ligament increases by degrees as temperature rises so as to open the valves. The adhesive force of adductor muscle to the shell is exceedingly strong in lower temperatures but it decreases as temperature rises so far as the shell opens. The sementing substance between the adductor muscle and the shell dissolves at length completely by prolonged boiling. The results of my observations and experiments show that when the closing force of adductor muscle or the opening force of ligament exceeds the adhesive force of adductor muscle to the shell the adductor muscle comes off from one side of the valves, which open widely at last.