著者
後藤 裕子 渡部 修
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.220-223, 2010-05-15 (Released:2010-07-01)
参考文献数
15
被引用文献数
2

渋カキ果実は,アルコールや炭酸ガス等によって脱渋処理することにより,渋みが消失する.しかし,脱渋処理後に果実を加熱すると,再び渋くなる.この現象が渋カキの食品への加工を阻害している.本研究において,カキ‘会津身不知’果実に少量の分子量3000から5000のコラーゲンペプチドを加え,室温で混合することによって短時間でカキの味を損ねずに脱渋する方法を開発した.また,この方法により加熱による渋もどりも抑制できることが明らかとなった.開発した技術によって,渋カキを様々な食品に利用できることの可能性が示唆された.
著者
輿石 彩花 後藤 智香子 新 雄太 矢吹 剣一 吉村 有司 小泉 秀樹
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.1355-1362, 2022-10-25 (Released:2022-10-25)
参考文献数
36
被引用文献数
3 3

コミュニケイティブプランニングの普及に従い、都市計画やまちづくりにおいて住民参加の重要性が高まっている。本研究では、2020年にバルセロナから日本に導入された住民参加のためのオンラインプラットフォーム「Decidim」に着目し、3つの先進的な事例からDecidimの日本での活用実態を明らかにする。導入者へのインタビューやDecidim上のコメントの分析から、Decidimの利用における効果や課題を明らかにした。日本では、様々な目的や方法でDecidmが導入され、参加の間口を広げることに寄与していた。一方で、行政や住民による受け入れ体制やDecidimの「使い方」、カスタマイズ方法に課題があることが明らかになった。日本におけるDecidimは、熟議のためのツールではなく、共感のためのツールであると言える。
著者
後藤 康彦 桧垣 正吾 柴田 尚 保坂 健太郎
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.53-58, 2022-11-01 (Released:2022-12-28)
参考文献数
7

福島原発事故後に,富士山の方位別および標高別に野生食用きのこ3種を採集して,子実体の放射性Cs濃度を測定した.富士山東面では全ての地点で最高値を示す試料が多く,特に中標高地域が高かった.次いで北東面の中標高地域および高標高地域で高い傾向にあった.北面では低い値を示す試料が多く,高標高地域では特に低い値を示す傾向にあった.
著者
名和 弘幸 山内 香代子 栁瀬 博 岡本 卓真 松野 智子 荒木 麻美 堀部 森崇 藤井 美樹 外山 敬久 藤原 琢也 後藤 滋巳 福田 理
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.426-431, 2016 (Released:2017-06-30)
参考文献数
14

上顎第二乳臼歯の晩期残存と上顎第二小臼歯の異所萌出,上顎前突を呈する11歳9カ月の自閉スペクトラム症男児の治療について報告する.患者の発達指数は,遠城寺式・乳幼児分析発達検査においてDQ:59で,歯科治療に対する協力性は比較的良好であった.患児は5歳11カ月から医療福祉センターの歯科にて,歯科治療への適応向上のために定期的な口腔衛生管理を受けていた.最初の治療計画として,口腔衛生管理のため上顎第二小臼歯を正しい位置へ移動することとした.初期治療が問題なく完了し,患者が矯正歯科治療を希望した場合,上顎前突の治療のために矯正歯科を紹介する予定とした.スプリントを作製し,患者が口腔内に装置を装着できるかどうか確認するため,自宅で装着するように指示した.3カ月後,スプリントの着用時間が長くなったので,固定式矯正装置を作製し口腔内に装着した.7カ月後,上顎第二小臼歯は歯列に移動して,口腔衛生管理が行いやすくなったので,装置を取り外した.咬合誘導は良好な結果であり,患者と両親は上顎前突の改善も希望したので,矯正歯科へ依頼をした.矯正歯科受診時の患者の暦年齢および精神年齢は13歳0カ月と7歳8カ月であった.この症例報告より歯科治療への適応向上ができた自閉スペクトラム症児は,矯正歯科治療を始められる可能性が示唆された.
著者
中村 祐子 奥田 博之 後藤 由佳 勅使川原 早苗
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.344-354, 2019 (Released:2020-03-06)
参考文献数
22

更年期障害の治療において,更年期女性を「証」に基づき個別的総合評価を行い,治療薬を選択する漢方治療は有用である。中でもホルモン補充療法(hormon replacement therapy 以下HRT)禁忌,または HRT を希望しない場合はその有用性が高いと考える。今回我々は漢方的指標を用いて証を判断し駆瘀血剤に抑肝散加陳皮半夏を併用し有効だった症例を経験したので報告する。

1 0 0 0 OA 太陽熱蒸留

著者
A.A. Delyannis E. Delyannis 後藤 藤太郎
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.340-343, 1981 (Released:2013-02-19)
参考文献数
12
著者
藤田 友敬 笹岡 愛美 後藤 元 増田 史子 南 健悟
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究は、現在進行中の第4次産業革命のもとで生じつつある海事産業のデジタル化が海事法にもたらす革新のうち、①自動運航船を用いた運航により生じる責任と②分散台帳(ブロックチェーン)技術を用いた運送書類の電子化のもたらす法律問題について検討し、立法論・解釈論的な提言を行うことを目的とする。前者は、海上航行のリスクを関係者――船舶の遠隔操作者や自動運航プログラム供給者等を含む――の間でいかに分配することが望ましいか、後者は、準拠法選択ルールを含め有価証券という法技術に依拠して構築されてきた法体系を有価証券のない世界でいかにして実現するかという、高度に学問的な問題の探求という性格を有するものである。
著者
坂本 徳仁 後藤 玲子 宮城島 要 中田 里志 吉原 直毅
出版者
東京理科大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))
巻号頁・発行日
2020-10-27

本研究課題は、東京理科大学・一橋大学で定期的に開催してきた規範経済学研究会の日本側研究者チームと、英国ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスのVoorhoeve教授らとの国際共同研究を推進し、①不確実性の文脈に応じた望ましい政策評価方法の構築、②異なる集団・自治体・国家間の福祉比較の方法の開発、③さまざまな評価の方法の理論整備と応用可能性の拡大、といった問題を分析する。本研究課題では、実務上恣意的に用いられてきた政策評価の方法を理論的に検証し改善を加えることで、「望ましい社会とは何か」という規範分析の最重要課題に科学的な回答を提供する点に特色と意義がある。
著者
森 恵里子 井上 歩 園山 和代 宮川 大樹 後藤 希 山田 雅 國嶋 憲
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.497-504, 2023-08-31 (Released:2023-08-31)
参考文献数
5

京都市立病院では,2020年9月より臨床検査技師が救急室で業務を行っている。その主な業務は,検査業務,診療補助業務,その他業務があげられる。配置導入時には人員確保の問題などがあったが,短時間の滞在から開始し,現場の意見を取り入れながら徐々に業務や配置時間を拡大することができた。配置から約1年後に実施した医師・看護師対象のアンケートでは,臨床検査技師の救急室配置は必要だとする回答が90%以上を占めた。また臨床検査技師による救急室での静脈路確保についても必要だとする回答が85%以上を占めた。アンケートで肯定的な意見が多数であった要因としては,救急室で他職種と協働するなかで,臨床検査技師の有用性が認知されてきた点が大きい。今後も臨床検査技師として,検査に関する専門性を活かしながら,従来の枠にとらわれない幅広い業務を行い,多方面で患者に貢献できる存在を目指していきたい。
著者
八木原 寛 角田 寿喜 宮町 宏樹 後藤 和彦 平野 舟一郎 日野 亮太 金澤 敏彦 海宝 由佳 塩原 肇 渡邊 智毅 望月 将志 根本 泰雄 島村 英紀
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.227-239, 1996-08-23 (Released:2010-03-11)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

We investigated seismic activity around Tokara Channel north off Amami Oshima, Nansei Syoto (Ryukyu) Islands of western Japan, using 12 ocean-bottom seismographs (OBS), as well as two temporal stations at Yaku Shima and Amami Oshima islands, operated from April 16 to May 10, 1992. One-dimensional velocity structure and station corrections were inverted from P and S times of 51 events provisionally well-located in the OBS network. We then relocated precisely 239 events in the studied region, using the inverted velocity structure and station corrections.Seismicity was highest in an area of about 10km×10km near the trench axis northeast off the OBS network: the largest event of MJMA 5.6 and other 40 events (probably aftershocks) were located at shallow depths. A mechanism solution of normal fault type with a T-axis of NW direction for the largest event was concordant with bending process of the Philippine sea plate. On the other hand, 18 events at depths of about 30km in a small area north of the OBS network were presumably due to interplate thrusting, because a composite mechanism solution for three events was of reverse fault type with a P-axis of ESE direction. A cluster of 17 events at depths from 10km to 25km was found in a southwest area of the network. These shallow events were probably crustal earthquakes within the Eurasian plate.We found an area of very low seismicity in the southeast of the network during the period studied. It is also identified at the nearly same location in the epicenter distribution from 1984 through 1991 obtained by Japanese Meteorological Agency (JMA) and possibly corresponds to the aftershock area of the 1911 Kikaijima Earthquake (M 8.0).Although we could not confirm any discernible alignments of shallow earthquakes along the Tokara Channel which is a notable tectonic line, the dipping angle of the intermediate-deep seismic zone changes discontinuously from about 65° on the north of the channel to about 40° on the south.
著者
豊田 隆謙 佐藤 信一郎 工藤 幹彦 後藤 由夫
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.133-138, 1974-03-31 (Released:2011-08-10)
参考文献数
11

アルギニンによるインスリン分泌にはグルコースの存在が必要である. しかしアルギニンによるグルカゴン分泌にたいしてグルコースがどのように作用しているかは明らかではない. ラット膵灌流実験を行ない, グルコース, 0, 50,150,300mg/dlの存在下でアルギニン作用を検討した.アルギニン注入後2分のグルカゴン値はそれぞれ745±46, 2062±106, 3433±127,510±21pg/nlと増加し, その分泌パターンはグルコース濃度0, 50mg/dlでは1相性であり, 150,300mg/dlの条件下では2相性を示した. アルギニン注入によるインスリン分泌はそれぞれ10.7±1.6, 32.4±3.2, 39.0±3.3, 43.2±3.5ng/dlと増加し, 分泌パターンはグルコース濃度0, 50mg/dlでは1相性, 150,300mg/dlでは2相性を示した. この成績はアルギニンによるグルカゴン分泌にはインスリン分泌にたいするのと同様にグルコースの存在が必要であることを示唆している. 特に興味ある事実はグルコース濃度300mg/dlによってグルカゴン分泌が完全に抑制されるようにみえるが, この条件下でもアルギニンがグルカゴンを分泌させることである. このことから次の三つの可能性が考えられる. (1) グルコースはグルカゴン分泌を抑制するがグルカゴン合成にグルコースは必要ではないか,(2) グルコースによって分泌されるインスリンがα 細胞に影響していないだろうか,(3) アルギニンの膜透過にグルコースが必要なのではないかと云うことである.
著者
後藤 輝男
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.16, no.169, pp.809-818, 1967-10-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
97
著者
後藤 実世 福島 庸晃 伊藤 真 飯田 しおり 河村 優磨 鵜飼 俊 佐合 健 河野 彰夫 尾関 和貴
出版者
一般社団法人 日本造血・免疫細胞療法学会
雑誌
日本造血・免疫細胞療法学会雑誌 (ISSN:2436455X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.183-189, 2021 (Released:2021-10-20)
参考文献数
13

30歳男性。胃部不快感を契機に,脾腫,白血球増多,LDH高値を指摘され,精査の結果,非定型慢性骨髄性白血病(atypical chronic myeloid leukemia,aCML)と診断された。Hydroxyurea単独の内服では腫瘍量制御が困難であったことから造血幹細胞移植を目的として当院へ転院した。aCMLは化学療法単独での腫瘍量制御が難しく長期生存のため造血幹細胞移植の必要性が報告されており,速やかに造血幹細胞移植を行う必要があると判断した。骨髄・臍帯血バンクでは適切なドナーが得られずHLA半合致の姉をドナーとした末梢血幹細胞移植を行う方針とした。移植前の架橋的治療としてazacitidine導入後より速やかな白血球数および血清LDHの低下を認めた。Azacitidine投与開始から18日目に前処置を開始し,24日目に移植を施行した。移植後17日目に好中球生着を認めた。皮膚GVHDを発症したが外用で改善し,移植後1年現在も完全寛解を維持している。aCMLに対してazacitidine療法後にHLA半合致末梢血幹細胞移植を行い,寛解を維持している症例は稀である。
著者
後藤 真宏 西谷 弘信 宮川 浩臣 柳川 恭広
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.54, no.499, pp.497-502, 1988-03-25 (Released:2008-02-21)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

Using a series of base oils of different viscosity grades, rotating bending fatigue tests of 0.34 % C steel plain specimens were carried out to examine the effect of oil environments on the fatigue behavior. Although the effect of oil is hardly observed in one grain size crack initiation process, its effect appears in the crack propagation process. As the main effects of oil, two actions are considered ; that is, the isolation of the atmosphere and the oil wedging action. The propagation of a crack smaller than 0.1mm is controlled mainly by the former effect. For a crack larger than 0.1mm, its behavior is controlled mainly by the latter effect. On the other hand, the effect of oil on the fatigue limit is very small.
著者
後藤 佳太
出版者
全国数学教育学会
雑誌
数学教育学研究 : 全国数学教育学会誌 (ISSN:13412620)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.53-61, 2015-01-31 (Released:2019-01-17)
参考文献数
12

In mathematics learning, we expect students’ activity that they create meaningful mathematical knowledge and make use of it by themselves.  In such activities, we need to distinguish the stage of guess and justification and we focus on the stage of guess.  Wada (2009) pointed out the importance role of the reasoning of abduction in the stage of guess. However, it is not fully clarified what types thinking are the basis of abduction.  Thus, we focus on the Yonemori (2007) because he argues about the nature of abduction.  According to him, there are the stage of insight and inference in the process of abduction, and both of them play essential role for to form a hypothesis. In the stage of inference, there are four criteria for to choose a hypothesis. When subjects form and choose a hypothesis, s/he use the criterion consciously and reflectively.  For this reason, we argue the criteria by to analyze examples and to compare Nakazima (1981). As a result, we propose three criteria (the criterion of the hypothesis formation) that played primary role for abduction.
著者
米地 敦 樋口 光徳 塩 豊 鈴木 弘行 藤生 浩一 管野 隆三 後藤 満一
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.193-198, 2002-03-15 (Released:2010-06-28)
参考文献数
12
被引用文献数
6 6

症例は56歳女性.持続腹膜透析 (continuous ambulatory peritoneal dialysis: 以下CAPDと略す) 施行中に透析液の消失と胸水貯留があり精査のために当院に入院した.胸腔腹腔シンチで横隔膜交通症と診断された.胸腔鏡下に手術施行し横隔膜に責任病変を認め外科的な治療にてCAPDの再開に成功した.横隔膜交通症は保存的に加療されることが多く, その半数でCAPDを断念し血液透析に移行している.外科的に治療された症例を検索したところ12例の報告があり, 10例でCAPDの再開に成功していた.胸腔鏡下手術は侵襲が少なく優れた術式であり, 責任病変の有無を調べるという診断的意味も含めて有効な手段だと考えられる.
著者
後藤 喜広 伊藤 桂子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.2_231-2_244, 2022-07-20 (Released:2022-07-20)
参考文献数
35

目的:総合病院で働く男性看護師が看護師からのセクシュアル・ハラスメント(以下,SH)被害を受けたのち,働き方を構築するプロセスを明らかにする。方法:SH被害経験のある男性看護師14名に対して半構造化面接を行った。得られたデータを逐語録に起こし修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手順で分析を行った。結果:分析の結果,21の概念が抽出された。男性看護師は自身の経験から,性被害・加害の両義的な当事者性がわかると,強者であらねばならない女性看護師を理解するに至り,職場でSHが発生する意味を捉えられるようになっていった。結論:男性看護師は加害者との社会的相互作用によって対処行動が培われたり,職場内の力関係を把握したりするようになっていった。SHを経験した男性看護師が働き方を構築するプロセスとは,女性優位の職場環境において権力構造を理解し自己の成長へと昇華する防衛機制であった。