著者
辻田 誠 押谷 創 杉山 豊 三村 哲史 浅野 靖之 成瀬 友彦 平山 幹生 渡邊 有三
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.403-408, 2009-05-28 (Released:2009-08-11)
参考文献数
12

ギラン・バレー症候群(以下GBS)は,急速に進行する四肢筋力低下を主症状とするニューロパチーである.一般的にGBSの治療については,単純全血漿交換(以下PE)や免疫グロブリン大量療法(以下IVIg,400mg/kg/日×5日間)が推奨されており,その効果は同等とされている.しかし,維持透析患者に合併する症例数は少なく治療方針についても一定の見解が得られていない.われわれは,GBSと診断された維持透析患者4症例を経験した.2症例に対しては,第一選択で施行したIVIgで効果がなく,PEを施行したところ,施行直後より筋力の改善を認めた.残りの2症例ではPEを第一選択とした.4症例ともにPE施行後順調な経過をたどった.維持透析患者のGBSの治療にはIVIgよりPEが有効であると考えられる.
著者
成瀬 トーマス誠
出版者
関西法政治学研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:24330795)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.59-90, 2014-03-28 (Released:2018-01-10)

In 2009, in a thesis titled "The Concept of Judicial Power in the Early Period of American Constitution", the author tried to show how the judicial power was concepted during drafting and early era of American constitution. In that thesis, the author considered about drafting process of article 3 of the Constitution, Federalists' view of the judicial power, early debate about advisory opinions, and early 2 U.S. supreme court cases. In that thesis, as a conclusion, the author found out that the judicial power had not took a shape yet, and still on the way to be defined (still, need for some sort of "case" was clear). However, further consideration about some more topics such as Anti-Federalists view of judicial power, Judiciary Act of 1789, and debate about concept of early judicial review, will enable closer look at early concept of judicial power. In this thesis, the author will discuss those topics, and shows more specific figure of early concept of judicial power.
著者
成瀬 トーマス誠
出版者
関西法政治学研究会
雑誌
憲法論叢 (ISSN:24330795)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.87-108, 2011-12-19 (Released:2018-01-10)

This article examines how the concept of standing has changed through the history of the United States Supreme Court cases from 1803 to 2011. For the conclusion, the concept of the standing has changed under the demand of the change of the society. However, through the 200 years of the history, there were 6 points that have not changed, such as prohibition of advisory opinions, etc. This article argues that though standing has changed dramatically, there still remains an area which has been kept unchanged.
著者
田辺 晶代 内原 正樹 成瀬 光栄
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.105-109, 2022 (Released:2022-08-29)
参考文献数
14

PPGLに対する治療の第一選択は腫瘍摘出であり,薬物治療は術前治療あるいは切除不能性に対する慢性治療として施行される。PPGLの診断が確定したら速やかにα受容体遮断薬を開始し,頻脈に対してβ受容体遮断薬を併用する。交感神経受容体遮断薬で十分な治療効果が得られない症例にはメチロシンを併用する。PPGLの根治治療は未だ存在せず,治療目標はカテコールアミン過剰症状のコントロール,無増悪生存期間(progression-free survival:PFS)の延長である。手術困難例では抗腫瘍治療として化学療法,対症療法としてαβ受容体遮断薬やメチロシンの内服が行われる。海外ではチロシンキナーゼ阻害薬,Mammalian target of rapamycin(mTOR)阻害薬,免疫チェックポイント阻害薬が試みられている。
著者
石川 恭 成瀬 麻美
出版者
国立大学法人愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育創造開発機構紀要 (ISSN:21860793)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.17-26, 2014-03-31

人間の性に関することがらは、昔から秘められ閉ざされた世界にあった。人々の性行動は、何かしら後ろめたさをもって見られていたからである。そのため近代社会において、人々の性行動に関する学術的な研究はほとんどない。オランダも例外ではなく、20世紀後半に至るまで人々の性行動の実態を客観的に知ることはできなかった。キリスト教の教義において、性に関わる婚前行為は罪だと考えられていたからである。しかし産業革命以降、近代化が進む中で、人々の価値観は多様化し、キリスト教の教義を尊守する伝統的な価値観をもった人は少なくなったと思われる。それにより、人々の性行動も解放化に向かったのではないか。このような疑問から、近代化と人々の性行動の関係について産業化の視点から取り組んだ。まず、オランダにおける宗教人口を調べ、人々の宗教離れについて検討した。次に、社会生活における人々の性行動を調べるとともに、工場労働者の性に関する言動を明らかにした。第3に、非嫡出子から見た人々の性行動について産業化の視点から分析した。いずれも限られた資料からの文献研究である。その結果、人々は社会の近代化とともに宗教生活から離れ、次第に個人の価値観に基づいた生活を営むようになった。近代化が進み、都市部で工場労働者が増加すると、人々の性行動は解放的になった。また、非嫡出子は、産業化が進んだ都市部の方が農村部より多かった。これは都市部において社会的統制が弱くなったためと考えられる。だが、これによって近代化がそのまま人々の性行動を解放的にしたとは言い切れない。地域性や、避妊行為、どのレベルでの性行動を性の解放化と捉えるかなどについて疑問が残るからである。

1 0 0 0 OA 随筆茶壷

著者
成瀬閑次 著
出版者
増進堂
巻号頁・発行日
1946
著者
成瀬 康
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual58, no.Abstract, pp.130, 2020 (Released:2020-08-05)

我々は,いつでもどこでも計測が可能なウェアラブル脳波計の開発を行っている.これを利用することで,病院や研究室以外での脳波計測が容易となってきている.これにより,脳波を使った応用の範囲が広がっている.我々は,無意識や言語化が困難な情報を可視化することで初めて実現できるシステムの開発を目指した研究を行っている.例えば,音の違いに反応する事象関連電位であるミスマッチ陰性電位を利用したニューロフィードバックトレーニングにより,日本人が聞き分けることが苦手な「right」と「light」の違いが認識できるようになることを明らかにした.また,英語を聞いている時の脳波を計測し,N400に相当する事象関連電位を抽出することで,その人の英語の能力の推定が可能であることも明らかにした.さらに,テレビゲームを行っているときの脳波を計測し,エラーをしたときに発生する事象関連電位であるエラー関連陰性電位を抽出することで,ゲームへの没入度の推定ができる可能性が示唆された.このように,脳波を利用することで無意識および言語化が困難な情報を取り出すことができる可能性が示唆された.
著者
小林 佑輝 成瀬 涼平 薛 自求
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.56-70, 2018 (Released:2018-09-20)
参考文献数
25
被引用文献数
1 2

近年の技術進歩により,坑内に展開した光ファイバーをジオフォンの代わりとして使用するDistributed Acoustic Sensing(DAS)計測が注目されており,将来の低コストでの長期モニタリングのツールとして大いに期待されている。二酸化炭素地中貯留技術研究組合は,2017年8月に,大深度および傾斜井で,かつ,コイルドチュービング内に展開した光ファイバーを用いてのDAS-Vertical Seismic Profile(VSP)記録の評価を目的に,国内陸域の坑井においてDAS-VSP現場実証試験を実施した。貴重なDAS計測の機会を活用し,人工震源での発震作業を行えない夜間には,バックグラウンドノイズデータ取得のため連続DAS計測を行った。計12時間の連続計測期間中,通常のバックグラウンドノイズとは明らかに異なるイベントを観測した。同イベントと他のノイズイベントとの比較から,同イベントが自然地震によるものであると結論付けられた。気象庁解析結果と比較したところ,8月27日4:15(Japan Standard Time) に調査井からの震源距離約16 kmで発生したマグニチュード2.3の地震と同定できた。周辺のHi-net観測点波形データの解析結果と比較し,本調査期間中にDAS計測の検出感度を超えていた地震は上記地震のみであると考えられる。DAS計測を用いた地震観測には依然克服されるべき課題が多いものの,従来のジオフォンによる坑内観測と比較しメリットが多い同手法による長期地震観測の可能性が示された。
著者
成瀬 厚
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.300-304, 2021 (Released:2021-10-31)
参考文献数
42
著者
成瀬 敏郎
出版者
日本第四紀学会
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.75-93, 2014-04-01 (Released:2014-10-24)
参考文献数
86
被引用文献数
1

これまで著者は,乾燥地域や氷河末端から風で運ばれる風成塵とその堆積物であるレスについて,日本列島をはじめ,中国,韓国,ヨーロッパ,イスラエル,アメリカ合衆国,ニュージーランドなどのレス地帯を調査し,レスの分布,研究史,堆積時期,気候変動とのかかわりを研究してきた.本論では,レスの研究史,レスの分布と堆積時期,風成塵の同定に ESR 酸素空孔量(以下,酸素空孔量とする)分析が有効であること,風成塵・レスの堆積量や粒径などが過去の風の強さを復元するのに有効であること,完新世土壌の母材に占める風成塵の役割の重要性について述べた.さらに中国と韓国の旧石器編年・対比にレス-古土壌による編年法が有用であること,日本列島において MIS 6 のレス層に前期旧石器が包含されていることを述べた.
著者
成瀬 厚
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2022年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.25, 2022 (Released:2022-03-28)

スポーツの国際大会において,出場選手は地理的環境の異なる場での競技パフォーマンスを高めるために事前合宿を行う。東京2020五輪大会では,政府が事前合宿の場を全国から募り,ホストタウン政策を実施した。共生社会ホストタウンはパラリンピック選手の事前合宿を受け入れるもので,競技施設や宿泊施設,また交流事業を行う公共施設などのバリアフリー化が事業計画に含まれる。 日本の障害者政策には2006年のバリアフリー新法があるが,東京2020大会は施設整備を推し進める契機として期待された。共生社会ホストタウンの事業計画には,地方自治体にとって福祉のまちづくりの推進への期待が読み取れる。全105の登録自治体の事業計画を整理すると,直接パラリンピックに言及するものよりも当該自治体の福祉政策を反映しているものが多い。スポーツ施設だけでなく,教育施設や交通インフラ,観光施設,防災関係の計画も少なくない。ソフト面ではバリアフリーマップや啓発用パンフレットの作成,障害者関連条例に関する記述などもある。自治体のウェブサイトでは事前合宿の様子が報告されているが,具体的な施設整備の状況は確認できない。そこで,自治体の予算書から五輪関連予算の内訳を確認した。4市の事例から,施設整備とその財源,地方都市におけるスポーツ・イベントの存在,ツーリズムとの関連と新型コロナウイルス感染症対策,オリンピックを契機としたまちづくり計画の加速化が明らかにされた。諸施設のバリアフリー化の詳細や,政府の財政支援の詳細については明らかにできなかった。ホストタウン政策を通じて全国に分配しようとした五輪大会の効果は限定的なものとなったが,各自治体の取り組みは福祉のまちづくりをある程度推進したといえよう。
著者
前之園 唯史 成瀬 貫 Maenosono Tadafumi Naruse Tohru
出版者
琉球大学資料館 (風樹館)
雑誌
Fauna Ryukyuana (ISSN:21876657)
巻号頁・発行日
no.23, pp.1-41, 2015-08-25

Six species of terrestrial sesarmid crabs of the genus Parasesarma De Man, 1895, viz. P. dumacense (Rathbun, 1914), P. lepidum (Tweedie, 1950), P. leptosoma (Hilgendorf, 1869), P. liho Koller, Liu & Schubart, 2010, P. pictum (De Haan, 1835), and P. tripectinis (Shen, 1940) were collected from the Ryukyu Archipelago, Japan, of which P. dumacense, P. lepidum and P. liho represent new records for the Japanese fauna. Notes on their morphological features, colorations, ecological aspects, and distributions in the Ryukyu Archipelago are provided. The identification of P. dumacense in the present study is provisional, as the original descripton of the female holotype of P. dumacense is insufficient to confirm the identification of the Ryukyuan specimens as male characters are most important to identify the species. Rahayu & Ng (2010) redescribed P. dumacense, but the present study indicates that Rahayu & Ng's (2010) "P. dumacense" may contain more than two species (Fig. 4). Furthermore, Parasesarma kuekenthali is morphologically very close to P. dumacense. Further taxonomic study is necessary to clarify the systematic status of P. dumacense, P. kuekenthali, and the species studied by the present study and Rahayu & Ng (2010). It has been considered that P. lepidum is distinguished from allied P. palauense (Takeda, 1972) by the fewer number of granules on the upper surface of the movable finger of male chela (17–18 in P. lepidum vs. 19 in P. palauense). Our additional material of P. lepidum expands the range of the number of the granules to 20, which now overlaps with that of P. palauense. Reappraisal of the identity of P. palauense is necessary. Taxonomic problems and distinguishable characters of the other four Parasesarma species are also discussed in detail. Controversial distributional records of P. affine (De Haan, 1837) from the Ryukyu Archipelago are also discussed.琉球列島において採集されたカクベンケイガニ属Parasesarmaの6種 [ヨコスジベンケイガニ (新称) P. dumacense (Rathbun, 1914), ツメナガベンケイガニ (新称) P. lepidum (Tweedie, 1950), キノボリベンケイガニP. leptosoma (Hilgendorf, 1869), ミズギワベンケイガニ (新称) P. liho Koller, Liu & Schubart, 2010, カクベンケイガニP. pictum (De Haan, 1835), ユビアカベンケイガニP. tripectinis (Shen, 1940)] について, 形態や色彩の特徴, 生息環境, 琉球列島における分布記録および分類学的な諸問題を記述した. これらの種のうち, ヨコスジベンケイガニ, ツメナガベンケイガニおよびミズギワベンケイガニは日本初記録となる. P. dumacenseの同定については, 原記載が雌1個体に基づいており, 雄の形質を重視する現在の同定方法には不充分な情報しか得られていない. また, P. dumacenseは形態的にP. kuekenthali (De Man, 1902) に類似することから, これらの種の分類学的位置を確定するためにはさらなる研究が必要である. さらに, P. lepidumとP. palauense (Takeda, 1972) は雄の可動指上面の瘤状顆粒数によって識別されるとされていたが (P. lepidum: 17–18 vs. P. palauense: 19), 本研究によりP. lepidumの瘤状顆粒数は16–20の間で変異することが確認されたため, P. palauenseの分類学的な位置付けについても再検討が必要である. 本報では, 文献情報に基づき, 琉球列島におけるクシテガニP. affine (De Haan, 1837) の分布記録についても言及した.